ハリウッドなう by Meg
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ハリウッドを拠点に活動するテレビ評論家。Television Critics Association (TCA)会員として年2回開催される新番組内覧会に参加する唯一の日本人。Academy of Television Arts & Sciences (ATAS)会員でもある。アメリカ在住20余年。

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ハリウッドなう by Meg

ジェイソン・ルイス、ジル・フリント等、NBCの新作、更新作の番宣に駆けつける

去る3月20日、ビバリーヒルトンで毎年恒例のNBC Universal Summer Press Dayが開催されました。春から初夏にかけて放送開始となる新作や更新作の番宣イベントです。

午前
9時~ 9時15分   朝食
9時15分~10時15分 「The Carmichael Show」シーズン3の囲み取材
10時30分~45分 「Famously Single」(E!局)シーズン2パネルインタビュー
11時~11時15分 「The Wall」シーズン2パネルインタビュー
11時30分~45分 「Midnight, Texas」パネルインタビュー

午後
12時~12時15分 「Cyrus vs. Cyrus: Design & Conquer」パネルインタビュー
12時30分~45分 「Faherty」& 「Jack」(ゴルフチャンネル)パネル
1時~ 2時     昼食
2時~2時20分  「World of Dance」パネルインタビュー
2時30分~45分 「ナイトシフト」シーズン4パネルインタビュー
3時~3時15分  「Marlon」パネルインタビュー
3時30分~45分 「Hollywood Game Night」シーズン2パネルインタビュー
4時~4時15分  「American Ninja Warrior」シーズン8パネルインタビュー
4時30分~7時   カクテル・レセプション

今年は、NBCのシカゴ・フランチャイズ(「シカゴ・ファイア」「シカゴP.D.」「シカゴ・メッド」「Chicago Justice」)からは1本も参加がなく、少々寂しい1日となりました。インタビューが実施された12作のうち、ドラマは僅か2本、新作「Midnight, Texas」と日本でも放送されている「ナイトシフト 真夜中の救命医」シーズン4です。


先ず、7月25日放送される「Midnight, Texas」は、シャーレイン・ハリスの同名の小説をテレビ化したホラー/アクション/ロマコメです。ハリスは、「トゥルー・ブラッド」の著者ですから、ハリス好みの’魔物’が登場することは想像に難くありませんが、何の予備知識もなく観たパイロットは、決して私好みの美しい映像ではありませんでした。幸い昼間に観たので、うなされることはありませんでしたが....テキサス州の田舎町ミッドナイトで密かに暮らす吸血鬼、魔女、牧師、殺し屋(実は虎女?)、天使、霊能者などが織り成すドラマです。



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天使ジョーを演じるジェイソン・ルイス(左)と魔女フィージー役のパリサ・フィッツ=ヘンリー。ルイスは、「セックス・イン・ザ・シティー」でサマンサの若いツバメ’スミス’を演じたが、あの役もある意味の’天使’だった。(c) Meg Mimura


一方、「ナイトシフト」シーズン4は、6月22日に再開されます。他の医療ドラマと差別化するために、「軍関係や退役軍人に纏わる逸話を増やす」とジェフ・ジュダーが発表しました。トランプ政権下で、退役軍人支援の雲行きが怪しい昨今、サンアントニオ記念病院と退役軍人病院が試験的に合併する設定で、毎回退役軍人のストーリーを盛り込みます。「シーズン4後半には、軍人の、軍人による、軍人のための逸話を用意しており、脚本、逸話監督、ゲスト出演など、レギュラー以外は、全て陸・海・空軍の退役軍人を起用する」とジュダーが今シーズンへの抱負を語りました。


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ジョーダン役のジル・フリントと会う度に、「グッドワイフ」の話になるが、フィナーレ回は未だ観ていないので、感想を聞き出すことはできなかった。又、カリンダ(アーチー・パンジャビ)がスピンオフ「The Good Fight」に出演すると聞いたので、フリントにも声がかかったか?と聞いてみたが、答えは「ノー」だった。因みに、今ハマっている作品は、「Feud」と「Schitt's Creek」(コメディー)!と意見がぴったり一致してしまった。(c) Meg Mimura


夕方、ホテルの最上階にあるスターダスト・ルームで、レセプションに参加しました。最初に出会ったのが、3月9日にご紹介したペテン師のドラメディー「Impostors」のエズラ役で活躍中のロブ・ヒープスでした。この日は映像インタビューのみに参加したらしく、1月プレスツアー時にはクリエイター・コンビに話を聞くだけで、俳優まで手が回らなかったので、毎回楽しく観ていると伝えました。是非、更新して欲しい面白い作品です。


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2月7日から始まった「Impostors」の主役マディーを演じるインバー・レヴィー(左)とエズラ役のロブ・ヒープス。マイクを持たされて、2人でインタビューの真似事を。回を重ねる毎に、意外な方向に展開する「Impostors」は、良く出来たドラメディーだ。(c) Meg Mimura


3月5日から始まったE!局のオリジナル・ドラマ第二弾「The Arrangement」は、ハリウッド蜃気楼のからくりを暴くドラマです。まるで絵に描いたような完璧なスター夫婦は、どこでどのようにして生まれるのでしょうか?メーガン・モリス(クリスティーン・エヴァンジェリスタ)は、ウエイトレスをしながらオーディションを渡り歩く駆け出し女優。アクション俳優カイル・ウエスト(ジョシュ・ヘンダーソン)に見初められて、メーガンのシンデレラストーリーが始まるかのように見えたのですが....


裏で糸を引いているのは、Institute of the Higher Mindと名乗るセルフ・ヘルプ団体の教祖テレンス・アンダーソン(マイケル・ヴァルタン)と妻ディーアン(レクサ・ドイグ)。組織の看板スターであるカイルの公私をコントロールして、世界制覇を企んでいます。映画のオーディションと称してカイルの花嫁選考会を開き、カイルが白羽の矢を立てたメーガンを契約結婚でがんじがらめにしようと試みますが....



1月初旬に観たパイロットは、ヴァニティ・フェア誌2012年10月号が暴露したトム・クルーズの花嫁選びオーディションと背後で糸を引くサイエントロジー教会の陰謀を彷彿とさせ、思わず「えー、これドラマにしても大丈夫なの?」と思いました。業界では周知の事実だった花嫁選びオーディションやサイエントロジー教会がお膳立てした契約結婚なので、1月17日に開催された本作のパネルインタビューでは、当然のことながらトム・クルーズとケイティ・ホームズの結婚を描くドラマである事を確認する点に集中しました。クリエイターのジョナサン・エイブラハムズは、「肯定も否定も出来ない」とのらりくらりとはぐらかしました。又、「ベテランのライターによれば、無声映画の時代から契約結婚はハリウッドの常套手段だった」とトム・クルーズとケイティ・ホームズを描くドラマに非ずと遠回しに述べました。契約結婚ではなく、裏で糸を引いている団体が鍵!ですが、エイブラハムズは「友達や友達の友達(?)から聞いたセルフ・ヘルプ団体での体験を適当に混ぜ合わせて捏造した」と言います。うーん、それにしても詳細が余りにも生々しくて、にんまり....


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遠目に捉えたマイケル・ヴァルタンは、教祖テレンス・アンダーソンを演じる。「エイリアス」時代の覇気がすっかり消え失せ、会う度に「大丈夫ですか?」と聞きたくなるほど、元気がない。(c) Meg Mimura

年増女優の確執を描くライアン・マーフィーの「Feud: Bette and Joan」。ハリウッド史上最大のライバルの醜い闘いを描いていと可笑し!実は、排他的白人男社会を批判するドラマか?

ABCはションダ・ライムズ、CWはグレッグ・バーランティ、NBCはディック・ウルフの手になるドラマの発表の場となっているように、ケーブル局FXはライアン・マーフィー局と化した感があります。「Glee」でお馴染みのマーフィーは、同局で「NIP/TUCK マイアミ整形外科医」を手がけて以来、「アメリカン・ホラー・ストーリー」「アメリカン・クライム・ストーリー」等のアンソロジーを次々と発表して成功を収めてきました。


今日、ご紹介する「Feud」は、マーフィーのアンソロジー・シリーズ第三弾。3月5日から始まったシーズン1「Feud: Bette and Joan」は、ハリウッド史上最大のライバル女優ベティ・デイヴィス対ジョーン・クロフォードの壮絶な闘いを8話で描きます。プレミア前の2月28日、シーズン2「Feud: Charles and Diana」(10話)の制作が発表され、FXの鼻息の荒さを明示しました。シーズン2は、英国王室に舞台を移して、チャールズ皇太子とダイアナ王妃の確執が描かれます。


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ベティ(スーザン・サランドン・左)は家族の支援を受けて舞台女優として名を馳せていた。しかし、ユニバーサル時代には、色気がないと酷評され、ワーナーに移るまでは実力を発揮できなかった。一方、ジョーン(ジェシカ・ラング・右)は、貧困生活から這い上がるためには何でもやってのけるダンサーだったが、野望を抱いてハリウッドにやって来た。スターにのし上がるまでに、相当卑劣なことをしたらしく、女優達からは総スカンを食らっている。 Suzanne Tenner/FX


長年デイヴィスのファンだったマーフィーは、亡くなる直前にインタビューを取り付けました。去る1月12日のTCAプレスツアーに駆けつけたマーフィーは、「『モノマネしたくなるほどの、どぎつい女優にならないと忘れられる。だからいつもベティ・デイヴィスを演じてる訳よ』が前置きでしたが、4時間に渡って話し込んだデイヴィスは、普通の人でした」と裏話を披露。デイヴィスの「地」に触れた体験を基に本作を制作したマーフィーは、「60年代のハリウッドで’老いてますます盛ん’の場を奪われた女優の哀しさ、悔しさ、やるせなさを描きたかった」と語りました。


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映画「何がジェーンに起こったか?」のセットでベティ(サランドン)の不平不満を聞くロバート・アルドリッジ監督(アルフレッド・モリーナ)。職場ではライバル女優の醜い争いに、家庭では妻におもねるのに一苦労。体がいくつあっても足りないロバートだ。 Suzanne Tenner/FX


ハリウッド史上最大のライバルとは、ブロードウェイで鍛えた演技派女優ベティ(スーザン・サランドン)と、ダンサー上がり故にスターの座にこだわるジョーン(ジェシカ・ラング)です。時代は既に、マリリン・モンロー、オードリー・ヘップバーン、ナタリー・ウッド等に移行しており、活躍の場を失ったジョーンが、カムバックを図ろうと躍起になって探し当てた小説「何がジェーンに起こったか?」の映画化プロジェクトに、宿敵ベティを起用することから始まります。当時、ホラー・ジャンルは誰も手を出したがらず、映画「枯葉」(1956年公開)でジョーンを演出したロバート・アルドリッジ監督(アルフレッド・モリーナ)に白羽の矢が立ちます。


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ロバート(モリーナ)は、「枯葉」で演出したジョーン(ラング)から、小説の映画化を手伝って欲しいと持ちかけられる。お互い、スランプが続いており、ジョーンは盛りを過ぎた年増女優として消えるかカムバックを果たせるかの瀬戸際だった。プロデューサーの立場からベティをねじ伏せられると思ったジェーンだったが、現実は男どもに将棋のコマに使われるに終わった。 Suzanne Tenner/FX


アルドリッジは、ブロードウェイで端役に甘んじていたベティを説き伏せ、配給にはワーナー・ブラザース映画のジャック・ワーナー社長(スタンリー・トゥッチ)を巻き込んで、撮影に漕ぎ付けます。ベティに訴えられた恨み、ベティの後釜に雇った筈のジョーンの我が儘に手を焼いていたジャックは、二人の一騎打ちを銀幕に映しだせば、興行収入に繋がると見込み、あの手この手で確執を煽ります。


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女優達の法外な要求にむかついていたジャック・ワーナー社長(スタンリー・トゥッチ)は、映画の配給を引き受け、黒幕としてベティとジョーンを思いのままに操っていた。どんなに足掻いても、女優は単なる商品=モノでしかないと、自分の権力を顕示することで報復。 Kurt Iswarienko/FX


確執の背景やハリウッドの史実は、女優オリヴィア・デ・ハヴィランド(キャサリーン・ゼタ・ジョーンズ)とジョーン・ブロンデル(キャシー・ベイツ)が、ドキュメンタリーのインタビュー形式で語ります。男が牛耳る社会で、若さも美貌も失い’売り物’にならない女の奮闘努力と足掻きが見事に描かれており、60年以上経った今も、世の中はほとんど変わっていない!!と愕然とします。もっとも、21世紀に入ってから、50代以上の女優が演じられる役の数が増えたことは確かですが、それでも女性解放運動を続けなければ、元の木阿弥になるに違いないと確信します。


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オリヴィア・デ・ハヴィランド(キャサリーン・ゼタ・ジョーンズ)は、ベティの唯一の味方だった。デ・ハヴィランド(100歳)は現在フランスに住んでいるが、実妹ジョーン・フォンテインとの確執は、ベティ対ジョーンの次に有名である。妹の恨みや嫉みの的となったデ・ハヴィランドは、ジョーンの標的ベティに同情を寄せた。 Suzanne Tenner/FX


そして、「何がジェーンに起こったか?」(62年公開)のジェーン役で、ベティがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、完全に無視されたジョーンがどうするか?を山場に、常に脚光を浴びていないと気が済まないスターの哀しい性が描かれます。自尊心の低い成り上がりジョーンが、演技派ベティに女優として認めてもらう為に、次々と汚い手を打っては闘いを挑む姿は、憐れとしか言いようがありません。同じ立場なんだから、下手な競争心やプライドを捨てて、結託して男どもを見返して!と叫びたくなります。但し、スターの座についたことのない一般女性を代表して言わせて頂くなら、ジョーンの焦りや足掻きは実感としては湧いてきません。ほんの一瞬でも、「仕切る人」になった経験があると、力を失うことが何よりも怖いのでしょうか?何もかも失った時に、自分に直面せざるを得ないことの方が怖いのかも知れません。


一見、女同士の闘いを描いているような本作ですが、マーフィーの真の意図は実は他にあるようです。1998年、初めてセットに足を踏み入れた時に感じた疎外感を「ゲイは僕だけで、他は50代のヘテロのおじさんたちばかり。孤独!でした」と語ります。当時の独りぼっちの気持ちを救ってくれたのが、希少価値である女性スタッフで、「恩返しとして、どのプロジェクトでも撮影班の50%は女性かマイノリティーを雇ってきた」と付け加えています。但し、マーフィーの言うマイノリティーは、伝統的な定義ではなく、所謂白人ヘテロ男性のみ(こちらの方が人口で言うとマイノリティー?)が差配する家父長制度(=男社会)で見下げられてきた人達を十把一絡げにしたものです。白人でもLGBTQのカテゴリーに属する人達から、白人以外の多種多様な人種、更に何世紀も’モノ扱い’されてきた女性までを含みます。と言うことは、マーフィーは、トランプ政権に反抗する「その他大勢」を代表しているような気がします。

風前の灯火「スリーピー・ホロウ」!?3月31日の最終話でシリーズ完となるのか?

※「スリーピー・ホロウ」日本未公開シーズンについてのネタバレが含まれます。


今年1月のプレスツアーでは、話題にものぼらず、プロデューサーにインタビューを申し込んだのに、結局会うこともできませんでした。新ロケ地アトランタに、メディアを招待する企画があると聞いたので、問い合わせましたが、梨の礫です。4年前、鳴物入りで登場した超ユニークな「スリーピー・ホロウ」の前途は、3月現在風前の灯火と化しています。

アイデアが枯渇して久しいハリウッド(映画、テレビとも)は、アメコミドラマに走るか、複雑なリメイクでお茶を濁してきました。現況では、独創性の高い「スリーピー・ホロウ」は、希少価値の最たるドラマと言えます。米国独立戦争の史実に、18世紀を生きたイカボッド・クレーン(トム・マイソン)が見聞きした魔女伝説や歴史には記されていない魔物伝説などを加えたファンタジー+ホラーものです。米国の歴史を学べる上、建国に力を貸したクレーンの目から見た偉人の人となりを知ることができる、実にユニークなドラマです。

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このドラマで一躍スターの座についたマイソンだが、英国人の国民性なのか、謙虚で礼儀正しく、奢らないのが魅力的だ。個人的には、本作シーズン2で深く掘り下げようと試みられた、クレーンの生き様をもっと知りたかったが、今となっては諦めるしかなさそうだ。 WENN.com

18世紀の軍人クレーン(トム・マイソン)と、幼い頃から生き地獄を味わって大人になった21世紀の捜査官アビー・ミルズ(ニコール・べハーリー)との摩訶不思議な関係がやがて黙示録の’証人’として一丸となって諸悪に立ち向かうようになります。その名コンビが解消してしまった今、「スリーピー・ホロウ」に未来はあるのかが、昨冬より懸念されてきました。

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アビー役で体力の限界を感じていたベハーリーは、予想通りシーズン3を完了して降板してしまった。アビーとクレーンの友情がロマンスに発展しなかった事が、視聴率降下の原因と言われているが、在り来たりの男女関係にならなかったことに感謝、感謝。 WENN.com


16年1月27日の「悲喜交々?2016年冬のプレスツアー」でご報告しましたが、フォックス・テレビジョン・グループのデイナ・ウォルデン会長兼CEOからは、「シーズン3には、大いに満足している。創作チームは良くやっていると思うが、毎シーズン『からくり』を考案するのに苦労している。今日更新発表はできないが、2~3ヶ月中には決める」と、どちらとも解釈できる政治家並の答えでした。但し、マイソンを他に取られたくないのは明らかで、いかなる器を構築して引き止めるのだろう?と期待が寄せられていたのですが....


Sleepy Hollow


1月6日から放送開始となったシーズン4は、過去の報道とは正反対で、キャストは総入れ替えと言っても過言ではありません。クレーンは、首都ワシントンDCに根拠地を移し、アビー亡き後の冒険を続けますが、スリーピーホロウからはジェニー(リンディー・グリーンウッド)が助っ人に駆けつけるのみです。



1月のプレミア前に拡散されたツイートには、シーズン4の新チームの写真が。左からアレックス(メルヴィン)、ジェイク(マッキノン)、ダイアナ(ギャヴァンカー)、クレーン(マイソン)、ジェニー(グリーンウッド)。


クレーンの新パートナーは、ダイアナ・トーマスFBI特別捜査官(ジャニア・ギャヴァンカー)。FBIの相棒を失い、現場に居合わせたクレーンと捜査を続けるうち、女手一つで育てているモリー(オオナ・ヤッフェ)が、ある日突然口を聞かなくなった悩みを打ち明けて、絆が深まります。

そして、今シーズンの「からくり」は....ダイアナの娘モリー(10歳)がアビーの身代わり、つまり新たな証人として登場します。又、クレーンとモリーを守る取り巻きは、年齢層がぐっと下がり、一見高校生?と見紛うばかりの、ジョージ・ワシントンが設立した怪奇現象古文書保管所で働くジェイク・ウェルズ(ジェリー・マッキノン)と、機械に精通したアレックス・ノーウッド(レイチェル・メルヴィン)です。まるでハリー・ポッターか少年探偵団を彷彿とさせます。

悪を呼び寄せて世界制覇を目指す、クレーンの大敵には、テクノロジー成金マルコム・ドライファス(ジェレミー・デイヴィース)、ボディーガード(魔物?)、ジョーブ(カマール・デ・ロス・レイエス)、更に若い女の子に大人気のネット・スター、ローガン・マクドナルド(ロビー・ケイ)がPied Piper役になります。

モリーが主役なの?と尋ねたくなる展開や取り巻きキャラの数が増えて、Foxが大事にしている筈のマイソンの出番は半分以下になってしまいました。マイソンの美しさに惹かれて観ている私は、早送りが常套手段になってしまいました。

平均視聴者数は、シーズン3の307万人から、194万人に激減しました。3月31日に、シーズン4の最終話が放送されますが、青天の霹靂でもない限り、シリーズ完の逸話となるに違いありません。あー、残念!イギリス/アイルランドから、美青年が続出しているとは言え、トレンドの先駆けがマイソンだっただけに、名残惜しい気がします。

3月13日午後9時放送のDLife開局5周年スペシャル 海外ドラマSO!選挙SPに出演。

3月1日から数日、東京で仕事をしてきました。雨が降ったり、天気予報では暖かいと予想されていたにも関わらず、意外と冷えたりで、初春を期待していた割には、まだまだ寒い東京でした。

この記事を読まれる頃には、もう放送済みかも知れませんが、私にとってはテレビ初出演の大事なので、皆さんにお知らせしたいと思いました。3月13日午後9時放送の「DLife開局5周年スペシャル 海外ドラマSO!選挙SP」にパネリストの一人として参加させて頂き、視聴者が選んだトップ10ドラマについて、米国で実施した俳優やプロデューサーとのインタビューや撮影現場の裏話などを披露しました。ドラマが大好きな方、是非ご覧下さい。見逃した方は、2回再放送が予定されているそうですので、放送時間をチェックしてみて下さい。

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Dlife開局5周年スペシャル 海外ドラマ SO!選挙 開票特番 Dlife公式サイトより

短期間の滞在でしたが、他にもいくつか取材を受けて、3月6日にLAXに降り立ちました。日本とは全く逆で、LAではもう初夏のような日が続いています。日本で仕入れてきた冬ものは、夏のプレスツアー時までちょっとお休み!昨夏のビバリーヒルトンがまるで南極並みの極寒地帯で、ダウンジャケットを着てもまだ寒く、肺炎にかからなかったのが不思議なほどの冷凍庫だったからです。

毎回、里帰りして満喫するのは、美味しい食べ物と健康維持に役立つ貴重な情報です。今回は、期間が短かったものの、野菜がこんなに美味しいとは!と思う料理の数々と季節限定のサラダやケーキを満喫しました。そして、テレビで仕入れた気象病対策(毎日3回行うマッサージ)と睡眠障害をリンゴ酢で解消する方法です。早速、実行していますが、効き目があったように思います。

帰宅してから、溜め込んだDVR録画を楽しんでいますが、次回から現在進行中の「スリーピーホロウ」シーズン4や、今春の新番組「The Good Fight」「Feud」「The Arrangement」などを追い追いご紹介します。又、3月23日にはNBC Summer Press Dayに参加しますので、目ぼしいことがあれば、レポートする予定です。お楽しみに!

ポール・アデルスタイン共作「Impostors」登場。「The Catch」「Good Behavior」に次ぐペテン師のドラメディー横行は現代社会の何を物語るのか?

2017年冬のプレスツアーでは、セット訪問時のインタビューも含めて、総計143回のパネルが実施されました。その中から、期待の新作をご紹介しましょう。

2月7日から放送されているBravo局の「Impostors」は、同局初のドラマ「Girlfriends' Guide to Divorce (GGD)」とコメディー「Odd Mom Out」に引き続き3本目のオリジナルドラマです。「GGD」パイロットを演出したアダム・ブルックスと、演出だけでなく脚本も手がけ、ジェイク役までこなしていたポール・アデルスタインの共作です。「演出に興味があったので、パイロットですっかり意気投合したアダムに勝手に弟子入りしてつきまとって、質問攻めにしたんだ。何から何まで吸収したかったから」とアデルスタインが語りました。

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ポール・アデルスタインは、日本では「プリズンブレイク」や「プライベートプラクティス」で有名になった俳優だが、個人的には映画「SAYURI」以来の長いお付き合い。奥方ライザ・ウィールにも、「ギルモア・ガールズ」でインタビューさせてもらったことがある。「GGD」の離婚過程を余りにも生々しくアデルスタインが描いていたので、経験もなくあそこまで書けるとは、才能だ!と感心していたが、つい最近ウィールとの離婚が報道されてがっかりした。鴛鴦夫婦だと思っていたが 、実は....と言うことらしい。 WENN.com


アイデアはブルックスのもの。「長年連れ添った伴侶をどこまで知っているか?蓋を開けて見たら、何も知らなかったってよく聞く話だから....」が制作の動機だと言います。最初は独りでコツコツ脚本を書いていたそうですが、「一緒に制作しませんか?」とアデルスタインに持ちかけました。渡りに船と乗ったアデルスタインは、以来西海岸と東海岸を行ったり来たり、他にもいくつもプロジェクトを抱えているので大変です。(ここだけの話、お互い仕事が忙しくてすれ違い夫婦だったのでしょうね。よくある話です。)


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結婚詐欺に引っかかったエズラ(ロブ・ヒープス)、リチャード(パーカー・ヤング)、ジュールス(マリアン・レンドン)が、何故?を元妻に問いただすために、詐欺師追跡の旅に出ます。一文無しで放り出された被害者三人が目的地に到達すべく、自らペテンを働くようになる様子が、哀しくもコミカルに描かれています。本人の口から、何故?を聞きたい、聞かなければ前進できない捨てられた人間の心理が軽いタッチで巧みに描かれています。


一方、ザ・ドクターと呼ばれる謎の人物の指令を受けて、標的に如何に接近して大金を巻き上げるかを計画する、結婚詐欺グループ三人の陰謀や巧妙な手口が並行して描かれます。本名マディー・ジョンソン(インバー・レヴィー)は、美貌と甘ったるい声で標的好みの女に変身し、心を奪います。標的がメロメロになっている間に、グループのリーダー格マックス(ブライアン・ベンベン)とベテラン詐欺師サリー(キャサリン・ラナサ)が背後で動いて、脅しのネタや隠し財産などを探り当てるのが段取りです。

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インバー・レヴィーは、次々と標的好みの女に変身するマディーを演じる。しかし、目の前にちょっと気になるパトリックが登場して、自分探しの旅に出ざるを得なくなり、仕事に嫌気が差すようになる。レヴィーはポーランド人の父とモロッコ人の母の間に生まれ、イスラエルで育った語学の達人。 WENN.com

エズラと両親の会社から大金をせしめた後、結婚詐欺グループはシアトルに向かいます。今回の標的は冴えない中年の銀行家。マディーはサフロン・キーズと名乗り、アシスタントになって職場に侵入します。そんな矢先、テクノロジー成金パトリック(スティーブン・ビショップ)と出会い、豪邸に招かれたマディーは、いつもの癖が出てパトリックの書斎に忍び込み、金目のものを探し始めますが....銀行家を誘惑して結婚するのが使命なのに、パトリックとの将来を夢見るようになり、自分は一体何を求めて生きているのだろうかと考え始めたから大変!仕事が捗らず、業を煮やしたザ・ドクターが手下を送り込みます。


アデルスタインは、「詐欺師は、標的が何を欲しているかを熟知していて、完璧な標本として自分を提示するから引っかかるんだろう」と言います。私の経験では、人間は恋人や伴侶にしたい「タイプ」を見つけた時点で、相手に求めている部分(例えば、’優しい’とか’几帳面’などの性格)のみを見て、のめり込んで行くものだと思います。いくら相手が全てをさらけ出したとしても、見たい部分のみ選り分けて、「この人だ!」と決めるのではないでしょうか?恋は盲目と言うではありませんか。


昨今登場した「The Catch」(2016年3月23日にご紹介)「Good Behavior」(16年12月19日にご紹介)がペテン師を描いたドラマですが、詐欺の最たる巨額詐欺を働いて服役中のバーニー・マドフを描くテレビ映画「The Wizard of Lies」も5月にHBOで放送されます。ペテン師が横行するには、最適のご時世なのでしょうか?レヴィーは、「人間は四六時中、騙されていると思うの。でも、へこまないで!まだまだ、夢と希望を捨てないで!って言いたいわ」と語ります。常識が完全に覆され、何でもありの世知辛い世の中では、最早「騙すより騙される方が良い」の論理は成立しません。個人的には、何故?を明らかにして欲しいと思うので、本作の3人に肩入れしています。

トランプ対策一色の17年冬のプレスツアー

新年早々5日から始まった2017年冬のプレスツアーは、1月18日に終了しました。

トランプの就任式を目前に、扇動政治が始まったらメディアやテレビ番組にどのような影響があるか?トランプの祟りを恐れて、腫れ物に触るような「中庸」をドラマに取り入れるのか?特に政界を描くドラマ「スキャンダル」「ホームランド」などでは、トランプをどのように扱うのか?など、今回のプレスツアーではトランプ独裁政治対策を練るかのような質問が後を絶ちませんでした。

私は、トランプ当選後1週間ほど落ち込み、再選デモに巻き込まれるのを恐れて、我が家から一歩も外に出ず、喪に服しました。そして、1週間後にはオバマ大統領の当選という歴史的な出来事を体験し、2008年から8年間尊敬できる大統領による行政の恩恵を受けたことに感謝し、政治には何の興味もない元の人間に戻ることにしました。漸く諦めがついて、参加したプレスツアーで目撃したのは、何とかしたいけれどなす手が無い、やるせ無い人間の集団です。ハリウッドがここまでトランプを毛嫌いし、この国の将来を案じているかを身を以て体験し、心穏やかに臨んだにも関わらず、どんどん落ち込んでしまう2週間でした。


TRUMPED | 'Impossible Rise' Tease | SHOWTIME Documentary


昨年は平穏な毎日を送るために、ニュースや選挙情報は全てシャットアウトし、16年3月7日「現在進行中の新作『Billions』と『The Circus』が面白い!」でご紹介したShowtime局の「The Circus: Inside the greatest show on earth」で、1週間の纏めを観て選挙の行方を達観していました。残念ながら最も悲惨な結果となってしまいましたが、「The Circus」の総集編とも言えるヒラリー対トランプの一騎打ちからトランプ当選までのダイジェスト版「Trumped: Inside the greatest political upset of all time」で、狂気の沙汰が再生され、再び惨事を目撃することになりました。昨夏「The Circus」のパネルインタビューに参加したマーク・ハイレマン(「ゲーム・チェンジ」の作者)と政治アドバイザーのマーク・マッキノンが、自信たっぷりにトランプの落選を予想したことが思い出されます。ドキュメンタリーの最後に、「白人男性によるオバマ政権への逆襲が今回の選挙だった」と締め括ているのが興味深い点です。


旧体制対前代未聞の未知の体制だと解釈する人もいれば、多様化した米国社会で白人男性軍による最後の逆襲だと解説する人もいます。「The Circus」のハイレマン、ジョン・ハルパリン、マッキノンの政治プロチームが、トランプ当選を予測できなかったのは、選挙運動台風の目で周囲を見回していたからでしょうか?近過ぎたからでしょうか?それが証拠に、CNNで全米各地から多様な文化/人種の観点をレポートするW・カマウ・ベル(コメディアン)は、「United Shades of America」(16年のエミー賞ドキュメンタリー部門最優秀作品にノミネート)の撮影で全米を駆け回っただけに、「庶民の声を直に聞いたから、トランプの当選に愕然とはしなかった」と語りました。


Comedian W. Kamau Bell arranges a special meeting with th...


それにしても、偉大だった米国は、どこまで落ち込んで行くのでしょうか?一触即発状態の米国ではありますが、幸いカリフォルニア州(特にLAとサンフランシスコ)にいる限り、トランプバッシングして袋叩きにされる危険度は低いように見受けます。トランプ就任後の不法移民対策に真っ向から反対しているのがLAPDで、不法移民が支えている経済を無視した連邦政府の言うことなんか鵜呑みにしてたまるか!の態度です。故に、カリフォルニア州が独立すると言う話まで出ているほどです。


とは言え、暗い17年冬のプレスツアーは、最終日に明るいニュースで幕を閉じました。16年、唯一のヒット作「This is Us」のパネルインタビューの席で、2シーズン(36話)の更新が発表され、拍手喝采を浴びました。クリエイターのダン・フォーゲルマンにお祝いを述べたところ、「いつも応援して頂いて、ありがとうございます」と逆に感謝されてしまいました。「5シーズンは安泰ですよね?」と尋ねたのは、単に私の憶測だったのですが、どうも図星だったような笑顔が答えでした。この手の込み入った語り口は、最大5シーズンしか維持できないだろうな~と以前から思っていました。


This Is Us 1x14 Promo #2 "I Call Marriage" (HD)


NBCは、昨年の大統領選挙の前(9月26日)に、「ふたりは友達 ウィル&グレイス」のキャスト4人が集まって、一票を投じなければとんでもない輩が米国を牛耳るぞ!的公示ビデオ「VoteHoney」を発表しました。ヒラリー派のウィルとグレイス、トランプ派のカレンが、迷っているジャックに投票を迫るという設定です。


***OMG!*** NEW “Will & Grace” scene about 2016 Election.


以前から、NBCのヒットコメディー(98年9月~06年5月)を再開する?と言う噂は流れていましたが、「VoteHoney」が視聴者の受けを確認したかのように、17年秋に10話で再デビューを果たすと発表がありました。「VoteHoney」が、再デビューのサンプルとして制作されたとしたら、キャスト及び制作陣の全員復帰は嬉しいニュースです。待ってました!!!元々、「ウィル&グレイス」のファンだった私は、毎週金曜日(6話)と土曜日(14話)の「ウィル&グレイス」マラソン放送(We局)にすっかりハマっていて、再デビューを心待ちにしていました。落ち込んでいる時に最適の特効薬コメディーで、何度観ても飽きないシリーズだからです。ゲイ文化の先駆けだったことは確かで、21世紀に同じものを放送できるのだろうか?と言う懸念はありますが、10年間にすっかり様変わりしてしまった米国社会が、どう受け止めるのか楽しみです。

米国テレビ業界の過去、現在、未来

クリスマスが終わって、今年も残り少なくなりました。今秋の新作は中休みの真っ最中で、来年早々まで後半は再開されません。新年1月5日から恒例の冬のTCAプレスツアーが始まります。地上波局、ケーブル局とも、春の新番組を紹介し、同時に1月以降再開される2016~17年期新番組の後半と継続番組についてもパネルインタビューが予定されています。

2017年冬のTCAプレスツアーの予定
1月5日  DirecTV
1月6日 セット訪問
1月7日 Hulu
1月8日 The CW
1月9日 CBS/Showtime
1月10日 Disney/ABC
1月11日 Fox
1月12日 FX
1月13日 ケーブル局
1月14日 ケーブル局
1月15日 PBS
1月16日 PBS
1月17日 NBCユニバーサル
1月18日 NBC


11月初旬、先ずNetflixが冬のプレスツアー不参加を発表しました。理由は色々と憶測されていますが、2013年初参加以降、Netflixが世界制覇しようと焦る余り、番宣費用を浅く広くばら撒き過ぎた結果ではないか?と思います。テレビ業界に殴り込みを掛けたものの、オリジナル作品以外は、地上波やケーブル局から購入したものをストリーミング配信している訳ですから、配給元を脅かせば、それなりの報復は免れません。旧体制への挑戦とは言うものの、旧体制としては黙って崩壊するのを見ている手はありません。ここ1年程、地上波局もケーブルもそれなりに対策を講じてきました。Netflixは自ら築き上げた新体制の中で、生き残れるのか?的記事がそろそろ出回り始めています。


来春、シーズン3で完了すると発表された「ブラッドライン」のパネルインタビューに参加できないことだけが心残りです。プレミアは毎年NYで開催され、大手紙媒体のみを対象に番宣をかけるNetflixですから、シーズン3は取材は疎か情報入手さえ更に困難になることが予想されます。


又、今月初旬には地上波局(ABC、CBS、Fox、NBC)がお偉方のインタビューを、夏のプレスツアー時のみに実施すると発表しました。つまり、来る1月にはABC、CBS、NBC3局の方向付けは聞くことができないと言うことです。Foxは、後日評論家から要望のメールが舞い込んだので、何とかスケジュールを調整して実施すると知らせてきました。CWとFox以外は、質問があればプレスツアーでお偉方を探し当てろと言うことです。


ストリーミング配信会社にも、地上波局にも見切りを付けられたTCAプレスツアーは、そろそろ古代の遺物として、葬り去られようとしているような気がします。TCAの存在自体が危ぶまれて10年余り、2017年夏にはもう開催されないかもしれません。プレスツアーがなくなってしまうと、どこでどうやって情報入手したら良いのでしょうか?お先真っ暗!!


ここ2週間、春の新番組のパイロットを視聴するように、各局からDVDが届いたり、オンライン視聴のパスワードが送られてきます。まだ、全て観た訳ではありませんが、HBOの「The Young Pope」は、「ボルジャ家 愛と欲望の教皇一族」の現代版と言っても良い、宗教団体の内幕暴露シリーズです。信者でもないのに、ローマ・カトリック教会傘下のミッションスクールに押し込まれ、苦難の12年を過ごした私は、権力の濫用や不条理な慣習などを指摘して憂さ晴らしできるので、内幕暴露シリーズは大歓迎です。


Official Trailer: The Young Pope (HBO)


又、同局の「Big Little Lies」は、ニコール・キッドマン、リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、シェイリーン・ウッドリー等、有名な女優が出ている割には、「デスパレートな妻たち」の超高級版で、こんな海辺の豪邸に住んでいて何の文句があるの?と腹が立ちます。(笑)尊敬するデビッド・E・ケリーの手になる限定シリーズだとは、資料を読むまで気が付きませんでした。作風がすっかり変わってしまったのか、最後まで観ると趣旨が明確になるのか....


Big Little Lies: Official Trailer (HBO)


更新された番組としては、「Billions」と「ホームランド」に敵う作品はありません。「Billions」については、本年3月7日「現在進行中の新作」及び5月18日「女性キャラの台頭が目覚しい『Billions』に参加」で再三述べましたが、ヘッジファンドで巨万の富を築いたボビー・アクセルロッド(ダミアン・ルイス)対NY検事局のチャック・ローズ検事(ポール・ジアマッティ)の一騎打ちを描くシリーズです。シーズン2は、訴訟に持ち込めなかったチャックが二度と立ち直れないよう、ヘッジファンド界の競合会社と共謀、益々凶悪化して行くボビーを描きます。チャックとボビーの間を巧みに泳いで大金を手にしたウェンディ・ローズ(マギー・シフ)は、期待外れも良いところです。もっと、大それたことをしていて欲しかったのに....パフォーマンス・コーチの醍醐味が忘れられないのか?ヘッジファンド界の引っ張りだこの座を維持したいのかも知れません。


Billions | Season 2 Tease | SHOWTIME


「ホームランド」シーズン6はキャリー(クレア・デインズ)の故郷NYを舞台に、インターネットでテロ教育を受けた、今最も恐れられている「国産テロリスト」にどう対処するかが描かれます。テロリストは、最早遠方の脅威でも、他人事でもありません。米国本土で、密かに培われている現実を直視する時が来たのです。


Homeland Season 6 (2017) | Official Trailer | Claire Danes & Mandy Patinkin SHOWTIME Series


物騒な話で終わるのは何なので、12月4日から再開された「The Royals」シーズン3のトレーラーをご覧ください。2015年3月11日「スキャンダル満載!英国王室一族を描く『The Royals』」でご紹介したE!局初のオリジナル作品です。シーズン2は、サイモン国王(ヴィンセント・レーガン)が暗殺され、犯人の捜査と、国王の弟サイラス(ジェイク・モスコール)の暴君振りを描きました。シーズン3は、死んだ筈の長男ロバート(マックス・ブラウン)の奇跡的帰還と、国王の座に就く覚悟を固めた次男リアム(ウィリアム・モーズリー)との対決になりそうです。


The Royals “Are Crazy in Love” (Season 3 Promo # 3)


15年5月26日の「気になる英国人俳優達」でご紹介したトム・オースティンが演じるジャスパーは、シーズン2ではエレノア王女(アレクザンドラ・パーク)に取り入ろうと必死になればなるほど、足蹴にされる弱い立場でした。漸く、エレノア王女とよりを戻したジャスパーの活躍が期待されるシーズン3です。更に、王妃ヘレナ(エリザベス・ハーリー)の秘書のようにこき使われるスペンサー役に登板したジュールス・ナイトも、十二分に目の保養になります。番組の中では、歌唱力を披露できるのでしょうか?


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ポップグループ「ブレイク」の一員歌手から、俳優に転身。王妃ヘレナにこき使われるスペンサーとして登板したジュールス・ナイト。英国から次々と登場する期待のニューフェイスの一人だ。WENN.com

ペテン師と殺し屋の丁々発止のやり取りが面白い「Good Behavior」

去る2月1日「16年冬のプレスツアーで読み取った今春の傾向」で分析しましたが、テレビ業界は今正にアンチヒロインの時代と言えます。今回ご紹介するミシェル・ドッカリーの「Good Behavior」は、今春の傾向の5)暗~~いドラマで触れたTNT局のカラー激変!と、6)アンチヒロインの続出を実証する作品だと思っていたのですが、意外にも....


今年6~8月に放送されたTNTが局のカラーを変えようと持ち出した「Animal Kingdom」の極悪非道のアンチヒロイン、スマーフ(エレン・バーキン)とは月とスッポンです。パイロットからレティ(ドッカリー)の心痛と原因は明らかで、どん底から這い上がろうと必死に努力するにも関わらず、もうちょっと!と言う所で元の木阿弥になる、大いに共感できるキャラです。因みに、2016年現在、同情の余地ゼロ、最悪のアンチヒロインは、息子達を凶悪犯罪者に育てあげるスマーフと、法学部の生徒達を手下に悪事を働く「殺人を無罪にする方法」のアナリース(ヴィオラ・デイビス)です。何もかも曝け出せば良いと言うものではなく、ここまでワルだと観る気もしません。


「Good Behavior」は、ブレーク・クラウチの同名のテレノベラの主人公レティ・ドベッシュの危なっかしい生き様をテレビシリーズ化したものです。「シーズン1は、レティと殺し屋の複雑怪奇なラブストーリーを10話で描く」と、本作クリエイターのチャッド・ホッジが7月31日の制作発表の席で述べました。



出所したばかりのペテン師レティ・レインズ(ドッカリー)は就職して居を構え、10歳の息子ジェイコブ(ナイルス・ジュリアン・スティール)と生きていけば、心にポッカリ空いた穴を埋められると確信しています。しかし、母エステル(ルシア・ストラス)に親権を奪われ、実家に近づくこともできません。ジェイコブを引き取る為、マトモな人間になろうと努力はしますが、どうも辛抱が足りません。退屈極まりない普通の生活は性に合わず、スリルを求めてアルコールや薬物に走ります。更生を指導する保護司クリスチャン(テリー・キニー)もアルコール依存で教授職を失っただけに、同情の余り、レティの度重なる違反を見逃しては、上司に目を付けられ、針の筵に座る思いを味わいます。


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エステル(ルシア・ストラス)は、15歳でレティを生んだため、青春を謳歌できずに中年になった。結婚依存症(?)で、7回離婚したタフな女だが、好き勝手して生きているレティに嫉妬。歳が近いこともあって、エステルは娘を競争相手と見なしており、ジェイコブの親権を剥奪して優越感を満喫する。WENN.com


アルコールや薬物を避けようと、レティはカツラやブランド品で変装し、持ち前の美貌と色香で、高級ホテルの客室に忍び込み空き巣を働いたり、宝飾店で万引きしてスリルを味わいます。ホテルの一室で耳にした殺し屋と依頼者との会話から、身の程知らずの人命救助に乗り出したレティは、更生の道を踏み外すどころか、とんでもない方向に脱線していきます。


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タカビーのメアリーから180度転換、お先真っ暗レティを好演するドッカリー。「アメリカ人の役なので、故郷の人との会話を避けて、米語にどっぷり。演技中は、発音にまで気を使う余裕がないから」と告白。WENN.com


12月13日までに6話観ましたが、早く続きが観たい!と思わせる楽しいドラマです。TNT局の発表とは裏腹に、主人公レティは暗~~いキャラではなく、強がりかも知れませんが、思った事をそのまま口に出す、あっけらかんとした性格です。高飛車メアリーとは雲泥の差ですが、メアリーは貴族の後ろ盾があるので、強がる必要はないのでしょう。ハヴィエル(フアン・ディエゴ・ボット)の存在や殺し屋と言う職業柄、当然暗い場面もありますが、クリエイター(ホッジ)が意とするのは、「レティが何をどう感じているかを視聴者に見せること」です。お先真っ暗レティの目に写るのは、心中とは裏腹なキラキラ輝く極彩色の美しい世界なのです。


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善人を自負する(?)殺し屋ハヴィエル役のボット。自尊心が低いため、レティを救うことで、自己有用感を高めるメサイアコンプレックスがある。レティ自身が更生しようと一大決心しない限り、ハヴィエルのコンプレックスは、悪事や悪癖を助長するのみに終わるのでは?WENN.com


ハヴィエルもレティも一匹狼で、ジプシーのような流浪の民、世間の爪弾きであることが共通項です。回転の速さと機知で窮地を逸してきただけに、悪知恵と切返しの女王のタイトルがふさわしいレティ。一方、’善人’だと主張するハヴィエルは無口で四角四面。ホッジはそんな二人のラブストーリーだと言いますが、同じ穴の狢はお互いの悪癖や悪事を可能にしているだけで、二人で助け合ってマトモな人間になるなど、不可能ではないでしょうか?今後どのような展開を遂げるかは不明なので、今シーズンは、マトモな人間になるとは、具体的にどういう意味かを探る旅に出たレティとハヴィエルの丁々発止の渡り合いを楽しむことにします。


保護司クリスチャン以下、レティを捻じ伏せようとする人間を、煙に巻くのも特技です。しかし、煙に巻くのは、当座の逃避手段で、問題の解決にはなりません。もっとも本人は、自尊心の欠如から、「ふりをする」のが大好きで、アルコールも薬物も取り上げられた今、現実逃避の手段として「誰かに成り済まして、口八丁手八丁で盗みを働く瞬間がハイ!」とクリスチャンに告白しています。レティがクリスチャンに破天荒な現実逃避を伝授する第5話、「Beautiful Things Deserve Beautiful Things」は見応えがあります。


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クリスチャン(キニー)は、レティの保護司。依存症を断ち切るのが如何に困難かを知っているだけに、レティだけでも夢を叶えて欲しいと応援する。知的な会話ができる上、クリスチャンを遣り込める回転の速さと自由気ままな生き方に一目置いているからだ。WENN.com


「ふりをする」「誰かに成り済ます」のがハイなら、美貌も頭脳も揃っているレティですから、女優を目指すべきだと思うのは私だけでしょうか?

サラ・ジェシカ・パーカーのテレビ復帰作「Divorce」は離婚の機微をリアルに描くコメディー

「セックス・アンド・ザ・シティー」(「SATC」)の放送が終了して12年。映画「SATC」では、サラ・ジェシカ・パーカーがオリジナル・キャストと集合することは何度かありましたが、パーカーが古巣HBO及びシリーズへ復帰したのが、10月9日から放送されている「Divorce/ディボース」です。HBOはプレミアチャンネルのため、我が家では視聴できませんが、例年の如く感謝祭の週末(11月24日~27日までの4連休)はプレミアチャンネルも無料視聴できたので、早速本作をチェックしました。

Showtime局の「アフェア~情事の行方」に対抗するようなタイトルでHBOが制作した「Divorce/ディボース」は、離婚の機微をリアルに描く30分のコメディーです。とは言え、離婚と言う名の人生最大の危機を描く訳ですから、どんより曇った冬空のように、重~くのしかかって来ることは否めませんが、それなりに笑えるシーンも其処此処に盛り込まれています。もっとも、離婚過程真っ最中では、泣き笑いになること間違いなしです。


現在、米国での離婚率は49%と言われているので、視聴者の半分は私的体験のレンズを通して本作を観ているものと思われます。私も離婚と言う岐路に立たされ、第二の人生を切り開きましたが、長年かけて築き上げた結婚を破壊することが、如何に狂気の沙汰で、どれほどの労力を要するかを身を以て体験しました。本作が、哀しくも可笑しくもある狂気の沙汰を余りにも巧みに描いているので、クリエイターのシャロン・ホーガンは離婚体験者に違いない!と思ったのですが....


今夏開催された制作発表のパネルインタビュー記録を読み返してみた所、ホーガンは「他の作品では、自分の体験を基に書いていますが、残念ながら(?)離婚体験はありません。友達に離婚の現実を事細かに聞いて、心の痛みがどのような形で姿を現わすかを描写するよう心掛けました。」と告白しています。確かに、ホーガンの「Catastrophe」(Amazon)も、現実を直視する正直な作品ですし、離婚体験者からネタを引き出すのはいとも簡単なことです。故に、「そう、そう、そうなのよ!」「あー、そんな事があったな~」と共感できる場面が満載です。一旦、離婚列車のレールに乗ってしまうと、誰もが同じような体験をするものなんだ!と過去のお浚いをするような気持ちで私は十分に堪能しました。一方、上級プロデューサー/主演を務めるパーカーは「結婚とはそもそも何なのか?を描きたくて、結婚の終止符である離婚を選んだ」と説明しました。


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夫ロバート(トーマス・ヘイデン・チャーチ)のする事なす事に苛立つ妻フランシス(サラ・ジェシカ・パーカー)だが、フランシスとて決して良妻賢母ではない。「Divorce/ディボース」は、男と女の立場が逆転した21世紀米国の離婚を描く故、フランシスに’鼻持ちならぬ女’のレベルを貼る女性視聴者が多い。 Craig Blankenhorn/Courtesy of HBO


結婚して15年余り、一男一女を育てる中年夫婦が倦怠期を迎え、ある出来事をきっかけに、離婚の道を歩み始めます。夫の浮気で結婚が破綻し離婚に至る従来の筋書きではなく、一家の大黒柱も、不倫に走るのも妻フランシス(パーカー)で、夫ロバート(トーマス・ヘイデン・チャーチ)は、自由業の育メンと言う21世紀の設定になっています。所謂「慰謝料」や生活基準維持は稼ぎ手の妻に課せられるのが女性上位の離婚は、シーズン1後半で、喉から手が出るほどの仕事を諦めざるを得なかったフランシスで具現されます。ロバートに給料の半分を持っていかれることは阻止したものの、夢の仕事を諦めたフランシスの喪失は、夫を失う以上に大きいと私は思います。夢の仕事なんて、そこいらに転がっていませんよ。


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左から長女ライラ(スターリング・ジェリンズ)、フランシス(パーカー)、長男トム(チャーリー・キルゴア)は通学バスの停留所に向かう。二人とも親離れが始まっており、両親の不穏な空気は見て見ぬ振りをしているが、一旦離婚を知らされるとさらりと流す冷めた現代っ子だ。 Macall B. Polay/Courtesy of HBO


米国では、親の死以上に、離婚が人生最大級の喪失だと言います。長年連れ添っていると、いつどこで亀裂が生じたかを紐解くことは至難の技で、日々の生活に追われて、夫婦間の会話が途絶えたまま時間だけが過ぎて行きます。世間体や子供の手前、同居人として現状維持を続けるか?夢よもう一度!と離婚に踏み切るべきか?など、決定事項が山積みです。ご多分に漏れず、フランシスとロバートは結婚カウセリングに飛び込み、調停で離婚の泥沼を避けようと試みますが....


離婚は心のすれ違いを解消する手立てではなく、資産と親権の分割と言う法的処理でしかありません。心痛とは無縁の何とも興醒めな離婚訴訟にどっぷり浸かり、冷静な判断ができない混乱状態の真っ只中で、今後の人生を大きく左右する重大な決断を強いられます。「先ず、心を癒して頭がスッキリするまで待ってもらえませんか?」と思った人は多い筈ですが、一旦レールに乗っかってしまった離婚列車は誰にも止められません。


弁護士は友達でも話し相手でもなく、高時給で雇った法的アドバイスをしてくれるプロでしかありません。本作では、フランシスが雇った離婚弁護士マックス(ジェフリー・デマン)をはじめとする個性的な弁護士が笑いをとりますが、現実は常軌を逸した弁護士は使い物になりません。話し相手も慰めてくれる人もおらず、真の孤独を味わいます。ロバートのように、親友と結婚するのは、得作ではなかった!と気付いても、後の祭です。伴侶と親友の両方を失ってしまうのが離婚なのです。


幸い、女は結婚しても友達は維持しているものです。フランシスにも、頼りになるかならないかは別として、何らかの支えにはなるダイアン(モリー・シャノン)とダラス(タリア・バルサム)がいます。離婚を口にした瞬間、周囲の人が散り散りばらばらになってしまう体験をしました。伝染病ではないのに....結果的には、まるで篩にかけたように、真の友達だけが残りました。面白いものです。


時間が経ったからこそ、面白いなどと言えるのでしょうが、離婚は終止符と呼ぶには余りにも長く険しいイバラの道です。人生最大級の喪失に直面できず、即再婚に走る人あり、喪失に浸かったまま恨み辛みで残りの人生を無駄にする人もあります。火の海の苦しい体験から学べば、不死鳥になって飛び立つこともできます。既に制作が確約されたシーズン2では、フランシスとロバートは縒りを戻すのではないかと噂されていますが、「Divorce/ディボース」は「アフェア」と同じく、男女関係を客観的に深く考えさせ、主観的に離婚のお浚いができる私好みの作品です。

「アフェア~情事の行方~」シーズン3開始 [ネタバレ]

※「アフェア 〜情事の行方〜」シーズン1~3についてのネタバレがあります。


私の人間ドラマへの固執は今に始まったことではありません。幼い頃から、好奇心が強く、同年代の子供と遊ぶより、大人の会話を黙って観察するのが大好きな子でした。情報を収集して心理分析するのが好きだから、モノ書きになったのか、モノ書きの素質があった故、観察分析力が養われたのかは、卵が先がニワトリが先か問答になってしまいますが、結果的には観察分析力を十二分に活かして、私好みのドラマを観て頂く説得力のある番組評を書けるようになり、仕事が楽しくて楽しくて仕方がない幸せな「第二の人生」を満喫しています。


文句を言うとしたら、最近何度観ても飽きない、唸るほどの人間ドラマが影を潜めてしまったことです。「グッドワイフ」が完となり、今年のエミー賞関連の報道でも、授賞式でも、ほとんど言及されず、あれ程の秀作に何と冷たい仕打ち!と悲しい思いをしました。最終話を書き下ろしたキング夫妻が、最優秀脚本賞候補に挙がっていたので、これだけでも受賞して欲しい!と思う私の悲願も達成できず、何とも後味の悪いエミー賞でした。唯一の救いは、9月20日にご紹介した新番組「This is Us」が期待を裏切らない、新鮮なドラマとして君臨していることです。何がどう影響してキャラが今に至ったのか、私がいつも欲している’何故?’が巧みに描かれていて、どのキャラにも親近感を感じる故、痛みを我が事のように感じます。視聴率を維持していることは、更に嬉しい事実です。


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左からコール役のジョシュア・ジャクソン、アリソン役ルース・ウィルソン、ヘレン役モーラ・ティアニー、長女ウィットニー役のジュリア・ゴルダーニ・テレス。シーズン2のエミー賞根回しイベントは、NYで開催された。 Courtesy of Showtime

そして、待ちわびていた「アフェア~情事の行方~」シーズン3が始まったことも、吉報です。昨年11月23日の「『アフェア』シーズン2進行中。益々、面白くて目が離せない!」と同じく、日本での放送が予定されていると思うので、今回もネタバレは極力避け、新シーズンの方向を大雑把にお知らせします。これまで番宣用の小冊子とDVDが送られてきて、クリエイター自身の新シーズンの方向説明がありましたが、最近継続番組の評論を書きたくても、資料どころか、数話を視聴することもままならぬお粗末な現況です。何度も懇願して、やっと3話を観ることができたので、英文評を書くことができた次第です。

英文評

シーズン1は、不倫の当事者ノア(ドミニク・ウェスト)とアリソン(ルース・ウィルソン)の視点から描かれ、男と女では物の見方、感じ方がこれ程違うのか!と仰天する巧妙な描き方でした。現実逃避だったシーズン1とは打って変わり、シーズン2は不倫の犠牲者ヘレン(モーラ・ティアニー)とコール(ジョシュア・ジャクソン)の視点が加わり、ノアとアリソンが築こうとする新たな世界が遭遇する数々の障壁を、シーズン1よりは遥かに早いペースで描きました。置き去りにした家族や日々の生活に追われ、波打ち際に築いたノアとアリソンの砂の城は音を立てて崩れました。不倫から出発すると、お互いへの信頼は脆いもので、些細なことから疑心暗鬼を生ずることが実証されました。更に、「アフェア」は二組の夫婦を切っても切れない腐れ縁にするために、モントークで発生した刑事事件を織り込んでいます。


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エミー賞の根回しイベントの招待状として送られてきたシーズン2の番宣ポスター。 Courtesy of Showtime


シーズン2は、衝撃的なノアの告白で最終回を迎えました。そして、シーズン3は、ノアが拘禁されてから3年が経過し、不倫の波紋は表面的には収まったかのように見えますが、未だ未だ深く潜行して行きます。作家志望の大学生相手に教鞭を執るノアは、キャンパスで巡り合ったフランス人客員教授ジュリエット(イレーヌ・ジャコブ)に誘惑されます。今シーズンは、厳しい現実に耐え切れず逃避留学中のジュリエットが新たに加わって、5人の視点から描かれ、サスペンススリラー要素は、ノアを苛む謎のストーカーに替わります。


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「シーズン3は、各キャラの翳りの部分を更に掘り下げる」とトリームが発表。クリエイターの意図を映像化した番宣ポスターだが、5人目ジュリエットの視点が入っていないのが残念。 Courtesy of Showtime


クリエイターのサラ・トリームの意図は、シーズン1では男女の視点に加えて、生い立ち、階級、教養などのフィルターを通して不倫を描くことでした。「不倫の常習犯ではなく、善人が二人、落ち込んでいる時に巡り会い、赤い糸で結ばれているかのような錯覚に陥った。偶然が偶然を呼ぶ成り行き」と、ノアとアリソンを責め咎めることなく描写しました。


シーズン2は、置き去りにされたヘレンとコールの視点が加えられ、ファンタジーの世界が現実に豹変しました。’去られた’側の私的体験があるだけに、ヘレンとコールに感情移入するのはいとも簡単、心痛をじんじんと感じました。アリソンをミューズに祭たてていたノアは、暗い過去を引きずっている生身の人間である事実には目を背け、自作「Descent」に登場する魅惑的なキャラから少しでもズレようものなら、修正を加えようと試みます。アリソンの自己主張は、ノアにとっては大いに興醒めなのです。生身の女を自分なりの理想像に押し込めようとするのは、男の常套手段。不倫など考えたことのない私でさえ、ノアの勝手さに腹が立ち、アリソンを応援してしまいました。よくよく考えてみると、この秀作で同情や感情移入できないのは、ノア独りなのです。


しかし、ノアの正体見たり!のシーズン2第10話で、謎が解けました。セラピストに「浮気男は偉大な男であり得るか?のジレンマに陥っている」と、自ら告白しています。はー、マジですか?ジレンマというより、自惚れ屋の宣言に聞こえるのですが....不倫は一度で済む筈がありません。


ノアがアリソン(新妻)とヘレン(4人の子供の母親で元妻)を法から守るために、犯してもいない罪を認めてムショ入りしましたが、ジレンマ告白シーンでノアの心中が明らかになると、この奇特な行動を怪しむようになりました。どちらを突き出しても、娑婆で苦しむのは自分。村八分になって生きて行くより、いっそ全ての責任を逃れて離れ小島に隔離されている方がどんなに楽か....無意識かもしれませんが、現実逃避の手段だったのでは?と疑ってしまいます。それが証拠に、ノアは再出発に手を貸そうとする妹、よりを戻そうと必死になるヘレンを冷たく突き放します。


トリームは、「夫婦間の信頼は雲をつかむようなもの」と言います。お互いを信用していると夫婦が確信している時には存在しますが、いずれかが疑い始めた時点で、消え失せてしまうからです。信用できない人と、人生を一緒に歩いて行くことはできません。米国では、「男は恋人に変わらないで欲しいと願い、女は恋人に変わって欲しいと願って結婚する」と言われています。男は現実と結婚し、女は将来と結婚するという、男女の結婚観の違いでしょうか?言い得て妙です。観れば観るほど、心理分析したくなる「アフェア」は、今一番面白いドラマです。

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