USA局の新作「Complications」と「Tyrant」に相通じる父親像 - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

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USA局の新作「Complications」と「Tyrant」に相通じる父親像

(2015年6月11日)

6月18日に2時間のプレミアで放送開始する「Complications」。「TERRA NOVA/テラノバ」「VEGAS/ベガス」などでお馴染みのジェイソン・オマラが、救急医ジョン・エリソンを演じるアクション医療ドラマです。アトランタを舞台に、愛娘を亡くして間もないジョンとサマンサ(ベス・リースグラフ)が、心痛をいかに処理するかが描かれます。ジョンは医師という仕事柄、人助けに生き甲斐とスリルを求め、サマンサはサポートグループや信仰に癒しを求めます。

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ジョンを演じるジェイソン・オマラ。初めて会ったのは、10年ほど前「In Justice」に出ている時だった。以来、「Men in Trees」「Life on Mars」「TERRA NOVA/テラノバ」「VEGAS/ベガス」などの番宣イベントで、その時点での役柄について語ってくれた。残念ながら、今回の役は数年前Foxでポシャッタ「Mob Doctor」になる可能性が.... WENN.com

【動画】「Complications」トレーラー映像

瀕死の黒人少年を救うため、とどめを刺しに車で疾走して来る男を射殺したことから、ジョンは黒人対メキシコ人のギャング抗争に巻き込まれて行きます。パイロットを観た時点では、「久しぶりの正義の味方だ!」と喜んだのですが….

メキシコ人殺し屋からアントワン(11歳)を守ろうと、ジョンが白羽の矢を立てたのは、無鉄砲な看護婦グレッチェン(ジェシカ・ゾア)。カルテをすり替えて、近くの手術センターにかくまったのが運の尽き!アントワンの父親に刑務所から脅される、深夜チンピラが押し入ってエリソン一家を巻き込む、果てはアントワンの隠れ家探しの責任まで押し付けられるジョン。少年の命を救おうと拳銃を拾って発砲したばかりに、まるでドミノ倒しのように、ジョンを取り巻く家族や職場の仕事仲間に連鎖反応が止め処もなく広がって行きます。更にグレッチェンの’怒り’が火に油を注ぎます。一体、ジョンはどこまで深みにはまって行くのでしょう?

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DVの犠牲者なのか、目的の為には手段を選ばない向こう見ずなグレッチェン(ジェシカ・ゾア)との絶え間の無い口論に嫌気がさし始めたジョン(オマラ)。ゾアが演じる役はいつもブレーキが効かない疾走車を想像させる。 Daniel McFadden/USA Network

病院内で人命救助するのは、医師の仕事であり、全能の神になりきることも止むを得ませんが、一歩外に出ると普通の人に戻らなければ紛糾の種を蒔くことになると、職場の心理学者がジョンに注意します。人助けに生き甲斐とスリルを求めるのは、ジョンの心痛処理法だとしても、もう少しサマンサや長男オリバー(10歳)のことを考えて欲しいと思うのは私だけでしょうか?もっとも、人命救助のプロにとって、家族は二の次。911多発テロ後、家族を残して、ツインタワーに向かい、殉死した消防士や警官の話を多々耳にしたのが良い証拠です。

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夫ジョン(オマラ)との心の狭間を埋めようとする良妻賢母サマンサ(ベス・リースグラフ・左)。リースグラフは、「レバレッジ」のパーカー役とは似ても似つかぬ大人の役を演じていて、がっかり! Daniel McFadden/USA Network

楽しみにしていた「Complications」ですが、家族を顧みないジョンが毎回、グレッチェンの尻拭いをすると同時に、底なし沼の深みに嵌って行くのを目撃するのは、辛くて....躊躇してしまいます。オマラの長年のファンとしては心外ですが、子供の立場から「それはないよ!お父さん」と物申したくなる’パンドラの箱’ドラマです。4話で、蓋を閉めることにしました。

「Complications」に失望した後、FX局の「Tyrant」シーズン2のメディアキットが届いたので早速視聴しました。不思議な巡り合わせですが、「Complications」と同じ「それはないよ!お父さん」と抗議したくなってしまいました。

「Tyrant」は、昨年6月24日から始まった家族ドラマです。シーズン1は10話で、小児科医バリー・アル=ファイード(アダム・レイナー)が、妻モリー(ジェニファー・フィニガン)、十代の息子サミー(ノア・シルバー)、娘エマ(アン・ウィンタース)を引き連れて、20年前に捨てた祖国アブディン(架空の国)に向かうところから始まりました。バリーの甥の結婚式に参加するためですが、一家が到着して間もなく、中東の独裁者として悪名高き父カリードが突然死去。民主化革命運動を押し切って、大統領の座に就いた兄ジャマル(アシュラフ・バローム)の暴君振りを目の当たりにして、バリーは密かにクーデターを企てます。独裁者の世継ぎとして育て上げられた兄ジャマルの側近的立場に置かれたバリーは、米国に逃げて自由を満喫して大人になったため、兄弟とは言え、今更溝を埋めることはできないと悟ります。そして、ジャマルを失脚させ、民主国にしようと策略を巡らしますが....

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モリー役ジェニファー・フィニガン(左)とバリー役アダム・レイナー。現在、シーズン2を撮影中で、インタビューはできなかったが、フィニガンはドラマでもコメディでも実力を発揮する役者。シーズン2の活躍が楽しみだ。 WENN.com

6月16日から再開されるシーズン2は、反逆者として投獄されたバリーの運命は?を、13話で綴ります。バリーが絞首刑に処せられる直前、アブディンに残って釈放活動を組織していたモリーは米国に強制送還されます。学校で’英雄’扱いされる父に対する気持ちをサミーが母親モリーに訴えるシーンがあり、正に「それはないよ!お父さん」です。バリーも人命救助のプロ!何の関連もない、2本のドラマに相通じるのは、目的の為なら手段も影響も顧みない無鉄砲な父親像です。何もしないゴキブリ亭主よりマシ???

【動画】「Tyrant」シーズン2 トレーラー映像


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