ペテン師と殺し屋の丁々発止のやり取りが面白い「Good Behavior」 - ハリウッドなう by Meg
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ハリウッドを拠点に活動するテレビ評論家。Television Critics Association (TCA)会員として年2回開催される新番組内覧会に参加する唯一の日本人。Academy of Television Arts & Sciences (ATAS)会員でもある。アメリカ在住20余年。

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ペテン師と殺し屋の丁々発止のやり取りが面白い「Good Behavior」

去る2月1日「16年冬のプレスツアーで読み取った今春の傾向」で分析しましたが、テレビ業界は今正にアンチヒロインの時代と言えます。今回ご紹介するミシェル・ドッカリーの「Good Behavior」は、今春の傾向の5)暗~~いドラマで触れたTNT局のカラー激変!と、6)アンチヒロインの続出を実証する作品だと思っていたのですが、意外にも....


今年6~8月に放送されたTNTが局のカラーを変えようと持ち出した「Animal Kingdom」の極悪非道のアンチヒロイン、スマーフ(エレン・バーキン)とは月とスッポンです。パイロットからレティ(ドッカリー)の心痛と原因は明らかで、どん底から這い上がろうと必死に努力するにも関わらず、もうちょっと!と言う所で元の木阿弥になる、大いに共感できるキャラです。因みに、2016年現在、同情の余地ゼロ、最悪のアンチヒロインは、息子達を凶悪犯罪者に育てあげるスマーフと、法学部の生徒達を手下に悪事を働く「殺人を無罪にする方法」のアナリース(ヴィオラ・デイビス)です。何もかも曝け出せば良いと言うものではなく、ここまでワルだと観る気もしません。


「Good Behavior」は、ブレーク・クラウチの同名のテレノベラの主人公レティ・ドベッシュの危なっかしい生き様をテレビシリーズ化したものです。「シーズン1は、レティと殺し屋の複雑怪奇なラブストーリーを10話で描く」と、本作クリエイターのチャッド・ホッジが7月31日の制作発表の席で述べました。



出所したばかりのペテン師レティ・レインズ(ドッカリー)は就職して居を構え、10歳の息子ジェイコブ(ナイルス・ジュリアン・スティール)と生きていけば、心にポッカリ空いた穴を埋められると確信しています。しかし、母エステル(ルシア・ストラス)に親権を奪われ、実家に近づくこともできません。ジェイコブを引き取る為、マトモな人間になろうと努力はしますが、どうも辛抱が足りません。退屈極まりない普通の生活は性に合わず、スリルを求めてアルコールや薬物に走ります。更生を指導する保護司クリスチャン(テリー・キニー)もアルコール依存で教授職を失っただけに、同情の余り、レティの度重なる違反を見逃しては、上司に目を付けられ、針の筵に座る思いを味わいます。


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エステル(ルシア・ストラス)は、15歳でレティを生んだため、青春を謳歌できずに中年になった。結婚依存症(?)で、7回離婚したタフな女だが、好き勝手して生きているレティに嫉妬。歳が近いこともあって、エステルは娘を競争相手と見なしており、ジェイコブの親権を剥奪して優越感を満喫する。WENN.com


アルコールや薬物を避けようと、レティはカツラやブランド品で変装し、持ち前の美貌と色香で、高級ホテルの客室に忍び込み空き巣を働いたり、宝飾店で万引きしてスリルを味わいます。ホテルの一室で耳にした殺し屋と依頼者との会話から、身の程知らずの人命救助に乗り出したレティは、更生の道を踏み外すどころか、とんでもない方向に脱線していきます。


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タカビーのメアリーから180度転換、お先真っ暗レティを好演するドッカリー。「アメリカ人の役なので、故郷の人との会話を避けて、米語にどっぷり。演技中は、発音にまで気を使う余裕がないから」と告白。WENN.com


12月13日までに6話観ましたが、早く続きが観たい!と思わせる楽しいドラマです。TNT局の発表とは裏腹に、主人公レティは暗~~いキャラではなく、強がりかも知れませんが、思った事をそのまま口に出す、あっけらかんとした性格です。高飛車メアリーとは雲泥の差ですが、メアリーは貴族の後ろ盾があるので、強がる必要はないのでしょう。ハヴィエル(フアン・ディエゴ・ボット)の存在や殺し屋と言う職業柄、当然暗い場面もありますが、クリエイター(ホッジ)が意とするのは、「レティが何をどう感じているかを視聴者に見せること」です。お先真っ暗レティの目に写るのは、心中とは裏腹なキラキラ輝く極彩色の美しい世界なのです。


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善人を自負する(?)殺し屋ハヴィエル役のボット。自尊心が低いため、レティを救うことで、自己有用感を高めるメサイアコンプレックスがある。レティ自身が更生しようと一大決心しない限り、ハヴィエルのコンプレックスは、悪事や悪癖を助長するのみに終わるのでは?WENN.com


ハヴィエルもレティも一匹狼で、ジプシーのような流浪の民、世間の爪弾きであることが共通項です。回転の速さと機知で窮地を逸してきただけに、悪知恵と切返しの女王のタイトルがふさわしいレティ。一方、’善人’だと主張するハヴィエルは無口で四角四面。ホッジはそんな二人のラブストーリーだと言いますが、同じ穴の狢はお互いの悪癖や悪事を可能にしているだけで、二人で助け合ってマトモな人間になるなど、不可能ではないでしょうか?今後どのような展開を遂げるかは不明なので、今シーズンは、マトモな人間になるとは、具体的にどういう意味かを探る旅に出たレティとハヴィエルの丁々発止の渡り合いを楽しむことにします。


保護司クリスチャン以下、レティを捻じ伏せようとする人間を、煙に巻くのも特技です。しかし、煙に巻くのは、当座の逃避手段で、問題の解決にはなりません。もっとも本人は、自尊心の欠如から、「ふりをする」のが大好きで、アルコールも薬物も取り上げられた今、現実逃避の手段として「誰かに成り済まして、口八丁手八丁で盗みを働く瞬間がハイ!」とクリスチャンに告白しています。レティがクリスチャンに破天荒な現実逃避を伝授する第5話、「Beautiful Things Deserve Beautiful Things」は見応えがあります。


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クリスチャン(キニー)は、レティの保護司。依存症を断ち切るのが如何に困難かを知っているだけに、レティだけでも夢を叶えて欲しいと応援する。知的な会話ができる上、クリスチャンを遣り込める回転の速さと自由気ままな生き方に一目置いているからだ。WENN.com


「ふりをする」「誰かに成り済ます」のがハイなら、美貌も頭脳も揃っているレティですから、女優を目指すべきだと思うのは私だけでしょうか?

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