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ハリウッドを拠点に活動するテレビ評論家。Television Critics Association (TCA)会員として年2回開催される新番組内覧会に参加する唯一の日本人。Academy of Television Arts & Sciences (ATAS)会員でもある。アメリカ在住20余年。

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2017年TCA賞「THIS IS US 36歳、これから」と「Leah Remini: Scientology and the Aftermath」の受賞に乾杯!いずれもエミー賞獲得を祈りつつ....

2017年のTCA賞授賞式は、去る8月5日夜に開催されました。毎年6月に私が選んだ俳優や作品のリストをTCAに提出します。手間暇かけて、一年の総決算だと信じて、無駄な演習に終わってしまうのを承知の上で、自分なりの候補を選んで自己満足しているだけです。


今年も12カテゴリーに6俳優/作品が選ばれ、最も得票数の高かった俳優あるいは作品にTCA賞が贈られました。毎年、私が贔屓にしている俳優やハマっている作品は最終候補にも挙がらず、今年は自棄のやんぱちで、該当するカテゴリーは全て「THIS IS US 36歳、これから」に投票しました。5日お昼前に、受賞者のリストがメールで送られてきて、「THIS IS US 」と「Leah Remini: Scientology and the Aftermath」の受賞が判明しました。翌日早朝からABCの映像インタビュー10本が入っていて、質問の準備に忙しく、今年は不参加を決め込むことにしました。


今年の打率は6分の1で、例年よりは良い(?)結果でした。「THIS IS US 」の健闘を期待していたのですが、蓋を開けてみたら、最優秀新作賞のみの受賞に終わってしまいました。絶賛されたドラマだけに、総ナメではないか?と思っていたのですが....現実は厳しいものです。それにしても、心温まる人間ドラマが根暗ドラマに押し潰されて、まるで蛍の光です。来年の夏は、トランプ公害で空気が淀んで、蛍はTCAに戻って来ないような、悪い予感がします。


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中央の演壇で新作賞受賞の喜びを語る「THIS IS US 」のダン・フォーゲルマン(クリエイター)。左手には制作関係者、主要キャストの面々は右手に勢揃い。 (c) Frederick M. Brown, Getty Images

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授賞式会場に到着したばかりのマイロ・ヴィンテミリア。エミー賞ドラマ部門の最優秀男優賞候補に挙がっているが、8月1日NBCパネル後にお祝いの言葉を述べたところ、「候補に挙がっただけで、何も変わらない!」と手放しで喜んでいる様子ではなかった。授賞式で撮影されたどの写真を見ても、仏頂面のヴィンテミリア。何かあったの?と心配してしまう。 (c) Frederick M. Brown, Getty Images


エミー賞の最優秀ドラマ候補をはじめとして、6部門にノミネートされている「THIS IS US 36歳、これから」です。地上波局のドラマが最優秀作品賞の候補に上がったのは、2011年の「グッドワイフ」以来のことで、完全にケーブル局の暗~~い、夢も希望もないドラマに長年圧倒されてきた地上波局ですから、是非本作で挽回して欲しいものです。


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2017年の新作賞は、「THIS IS US」が受賞。メインキャストの(左から)ヴィンテミリア、マンディー・ムーア、ジャスティン・ハートレー、スターリング・K・ブラウン、スーザン・ケレチ、クリス・サリバン、クリシー・メッツ。エミー賞最優秀ドラマ賞は、受賞できるか? (c) Stewart Volland


心温まる家族ドラマとは、まるで正反対の「Leah Remini: Scientology and the Aftermath」ですが、私とは好みが全く違う評論家が、このピカイチ!リアリティー番組に投票したことは、青天の霹靂です。信じられません!


私が宗教団体の内部告発モノ(例:HBO「Mea Maxima Culpa: Silence in the House of God」)やカルト教団の内幕暴露モノ(例:HBO「Going Clear: Scientology and the Prison of Belief」Showtime「Prophet's Prey」など)が大好きなのは周知の事実です。2015年9月27日の「事実は小説よりも奇なり!を実証する最近のドキュメンタリーが面白い」で「Prophet's Prey」を、古くは2013年1月30日の「TCA冬のプレスツアー」で「Mea Maxima Culpa: Silence in the House of God」をお薦めしました。

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受賞の喜びを語るリア・レミニ(中央)。左には、サイエントロジー暴露番組に不可欠の元教団幹部から内部告発者に転じたマイク・リンダー、右手は番組のプロデューサー。 (c) Frederick M. Brown, Getty Images


シーズン1は、サイエントロジーの起源や創始者のL・ロン・ハバードの生い立ちから奇行に始まり、レミニ自身のセレブ布教活動や教団内体験、脱退あるいは逃げ出さざるを得なくなった元信者の苦難がドキュメンタリーとして綴られました。又、サイエントロジー盲信者の手になる体罰、性的虐待、脅迫、違法行為など、個人的体験談を記録しました。サイエントロジー教団撲滅運動を率いる元信者で女優のリア・レミニの勇気と行動力、熱意に大いに触発されました。


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日本では知名度は低いが、「The King of Queens」で9シーズンも主役を務めたレミニ。2013年にサイエントロジー教団を脱退、15年11月「Troublemaker: Surviving Hollywood and Scientology」を出版、内部告発者として教団から様々な罪状で糾弾されている。エミー賞を獲得して、撲滅運動を続けて欲しい。 (c) Stewart Volland


サイエントロジーの根深いマインドコントロールは、2015年アレックス・ギブニーが制作した「Going Clear: Scientolology and the Prison of Belief」が描写した’信仰と言う名の檻’が脱退者の体験談から克明に描かれました。この映画の中で紹介された元教団幹部マイク・リンダーが、「Scientology and the Aftermath」では、レミニの右腕となり、脱退者が仕返しの恐怖に慄きながら語る暗い過去を披露します。


カルト教団叩きは、映画→ドキュメンタリー・シリーズ→テレビドラマと変遷しています。E!局のオリジナル・ドラマ第二弾「The Arrangement」は、ヴァニティ・フェア誌2012年10月号が暴露したトム・クルーズの花嫁選びオーディションと背後で糸を引くサイエントロジー教団の陰謀を彷彿させる面白いドラマです。もう1本、’信仰と言う名の檻’を見事に描いているシリーズは、「ザ・パス」(Hulu)です。このドラマは、教祖になる為には教えに反することでも平気でやってしまうサイコパス、教団で育った女性と外部の男性が築こうとする理想の夫婦/家庭、親子三代の信仰度の差などを描く、これまでになかった秀作です。日本でも視聴できるので、是非チェックしてください。

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