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Vol. 37 「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョニー・デップ 俳優までの道のり

2007年8月27日
青春刑事ドラマ「21ジャンプ・ストリート」で覆面刑事トム・ハンソン役を演じアイドル・スターとして大ブレイクしたジョニー・デップ。彼はティーンから絶大的な支持を受けたアイドル俳優出身としては珍しく、アカデミー賞にノミネートされる正統派映画俳優としても大成功を収めた役者です。

これから数回に分けて、ハリウッドを代表する個性派俳優に成長したジョニー・デップをご紹介します。

12歳でタバコ・麻薬・万引き常習犯に
1963年6月9日ケンタッキー州オーウェンズボロで、エンジニアの父とウェイトレスの母との間に4人兄弟の末っ子として誕生したジョニー。6歳の時、父はもっとよい給料の仕事を求めフロリダ州ミラマー市に移ります。しかし、しばらくは職が見つからず家族6人でモーテルの狭い部屋に住んでいました。ここでいうモーテルは「マイ・ネーム・イズ・アール」のような廃れた感じの宿舎のことを指します。

父親の職が見つかり家を借りることが出来てからも、母親の「この家は清潔じゃない!」を理由に頻繁に引越しをしたのだとか。ジョニーは「まるでジプシーのようで、引越しのたびに玩具や宿題を失くしていった」と当時のことを振り返っています。この頃、ジョニーは空想の世界に浸るのを趣味にしていたそうで、悪いことをしている空想をしてはストレスを発散させていたそうです。

しかし、12歳になると空想だけでは満足できなくなったのか、悪い友達とつるむようになり、タバコ、麻薬に手を出すようになります。万引きの常習犯だったのもこの頃でした。どうにかして別のことに興味を持って欲しいと悩んだ母は、ある日25ドルでギターを購入。ジョニーに渡しました。ジョニーいわく「一目ぼれ」だったそうで、たちまちギターの世界にのめり込み時間を惜しんで練習するようになり、悪友ともすっぱりと手を切ったそうです。

13歳で童貞卒業・20歳で結婚
13歳になると地元のガレージ・バンド「フレイム」のギターリストとして活動するようになったジョニーは、この年に童貞を卒業したそうです。相手は年上の追っかけファンだったとか。

15歳になると両親が離婚。母親に引きとられたジョニーは生活を少しでも楽にしてあげようと高校を中退し、フルタイムのプロのバンドマンとして収入を得ることを決意します。17歳になったジョニーは地元バンド「The Kids」にメンバー入りし、南フロリダで活動をするようになります。バンドはB-52やトーキング・ヘッズの前座なども勤め知名度を上げていきました。

この頃ジョニーは5歳年上のメイクアップ・アーティストのロリ・アン・アリソンと交際をスタート。ジョニーは彼女に夢中になり、2人は1983年12月20日にマイアミで結婚式を挙げました。バンドも高く評価されるようになり、メジャー・デビューを目指して仲間と妻と共にロサンゼルスへ移住しました。

テレマーケティングで演技の練習
バンド名を「The Kids」から「Six Gun Method」に変えメジャーデビューを狙った彼らでしたが、ハリウッドでは同じレベルのバンドが山ほど活動しており、仕事が全くない状態が続きました。ロリはメイクアップ・アーティストの仕事をし、ジョニーはテレフォン・マーケティングの職を得て家計を支えるようになります。

ジョニーは「今思えばアレ(テレマーケティングの仕事)が最初の俳優トレーニングだった」「電話をかけては断られる、の繰り返しで退屈になって。そのうち色々なキャラクターを作り上げて、その役になりきって電話をかけるようになったんだ。凄く楽しかったよ」と当時を振り返っています。

しかし、金銭面で夫婦喧嘩が絶えなくなり、結婚生活2年で二人は離婚してしまったのでした。

「エルム街の悪夢」で役者に目覚める
相変わらずバンド活動に力を入れていたジョニーですが、さっぱりで頭を抱えていた頃、ロリの紹介で当時若手ハリウッド俳優として売り出し中だったニコラス・ケイジと知り合います。ジョニーはニコラスの「お前は音楽じゃ食っていけない。ここ(ハリウッド)にいるんだからオーディションを受けてみる方が絶対チャンスはあるはず」というアドバイスを受けて役者という職業に目を向けてみる気になったのです。

そして最初に受けたホラー映画「エルム街の悪夢」のオーディションに見事合格。監督は「経験はなかったが、ジョニーの大きな瞳が印象的で採用を決めた」とコメントしており、ジョニーは「演技の勉強も業界の仕組みも何も知らなかったのに、採用してくれて本当に感謝した」そうです。

1984年11月に映画はリリースされ、そこそこヒット。このことに気をよくしたジョニーはオーディションを受けるようになるのですが、思ったようにチャンスは巡ってきませんでした。とにかく役者としての経験をつみたかったはジョニーはショート・スチューデント・フィルム「Dummies」の役を得ます。そしてこの映画の共演者シェリリン・フェン(「ツイン・ピークス」)と最初に顔をあわせた瞬間に恋に落ち、すぐに同棲。そして婚約したのです。

<次回は「21ジャンプ・ストリート」採用秘話などを中心にご紹介します。お楽しみに!>