あなたの知らないディープなSUPERNATURAL 実は、「スーパーナチュラル」には実在の人物や伝承などを基にした題材が多く含まれている。今回は、そうした“現実との接点”を幾つか紹介してみよう。よりディープな“スーパーナチュラル・ワールド”が垣間見えてくるはずだ。

ウィンチェスター家は実在した?“ウィンチェスター・ミステリー・ハウス”

ディーンとサムのウィンチェスターという苗字を聞いて、すぐさま怪奇現象と結びつけることが出来た人はなかなかのオカルト・マニアであろう。そう、このウィンチェスターというファミリー・ネームは“悪霊”と非常に縁が深いのだ。

カリフォルニア州のサンノゼに“ウィンチェスター・ミステリー・ハウス”と呼ばれる豪邸が存在する。ここは、西部開拓時代から全米で広く使用されてきたウィンチェスター銃の2代目社長ウィリアムの未亡人サラ・ウィンチェスターが建てた屋敷。彼女の指示で増築を繰り返し続けたことから、まるで迷路のような構造になっていることで知られる。

この豪邸が建築される前、ウィンチェスター家には不幸が相次いだ。それをウィンチェスター銃によって殺された人々の呪いだと考えたサラは、悪霊たちを封じ込めるために新たな屋敷を建てたのである。現在でもここには無数の幽霊が潜んでいるとされ、観光客向けの肝試しツアーも組まれている。

『スーパーナチュラル』のクリエイター、エリック・クリプキは、サムとディーンの悪霊狩りの旅を西部劇になぞらえて考えていた。ウィンチェスターといえば西部開拓時代を代表する銃器だし、それに加えて“悪霊”とも深い縁がある。まさに理想的な名前だったのである。

なお、悪霊退治に使われるコルト銃の製造者サミュエル・コルトも実在した人物。彼が製造したコルト銃は、西部開拓時代にウィンチェスター銃と市場を二分するほど広く使われた。しかし、サミュエル・コルトが悪霊退治に関わりがあったというのは完全なフィクションだ。

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アフリカから伝わった十字路の伝説 ブードゥーの呪術

2つの道路が折り重なる十字路は、古くから世界各地で“あの世”と“この世”の境目に位置する場所だと信じられてきた。『スーパーナチュラル』では悪魔を呼び出して魂を売る場所とされているが、これも昔からアメリカ南部のアフリカ系住民の間で伝えられてきた伝説に由来する。

奴隷として連れて来られたアフリカ系アメリカ人は、ブードゥーと呼ばれる呪術を信じていた。それによると、真夜中から夜明けにかけての特定の時間に十字路へ訪れ、音楽や舞踏などの儀式を行うと、黒い男性の姿をした悪魔が現れる。呼び出した者はその悪魔へ魂を売る見返りとして、望みを叶えてもらうことが出来るというのだ。

その言い伝えをモチーフにしたのが、1930年代に活躍した伝説的な黒人ブルース歌手ロバート・ジョンソンの名曲「クロス・ロード・ブルース」。彼自身もそのギター・テクニックのあまりに巧みなことから、“十字路で悪魔に魂を売ったに違いない”と人々から噂された。しかも、27歳という若さで不可解な死を遂げたことから、悪魔に殺されたのだと考える人もいまだに多い。「スーパーナチュラル」シーズン2の第8話でも、このロバート・ジョンソンの“クロスロード伝説”が描かれている。

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聖書にも登場する天使と悪魔 聖書の中に出てくる“4大天使”

『スーパーナチュラル』に登場する多種多彩な天使と悪魔たち。その多くが聖書や神話などを出典としている。まず、ディーンを地獄から救い出した天使カスティエル。伝承によると、カスティエルは“木曜日の天使”なのだという。これは、『スーパーナチュラル』の全米放送が毎週木曜日という事実と無関係ではあるまい。

そのほか、シーズン5で正体を現すガブリエルは“神の言葉を伝える天使”、そのシーズン5冒頭に登場するラファエルは“癒しの天使”、カスティエルに同伴する冷酷なウリエルは“太陽を司る天使”、そしてシーズン5後半の鍵となるミカエルは言わずと知れた大天使。いずれも聖書の中にに出てくる“4大天使”として有名だ。

一方の悪魔たちだが、まずはウィンチェスター家の宿敵である“黄色い目の悪魔”ことアザゼル。彼は旧約聖書に出てくる堕天使のリーダーだ。また、地獄の扉を開く鍵となる悪魔リリスは、もともとは古代メソポタミアを起源とする女性の妖怪である。

そして、サムとディーンが復活させてしまう地獄の魔王ルシファーは、泣く子も黙る悪魔界のボス。キリスト教の伝説によれば、彼はもともと天使のリーダーであったのだが、人類の祖たるアダムとイヴに仕えることを拒絶し、神に逆らったことから天国を追放された。「スーパーナチュラル」でもその伝説が巧みに生かされている。

シーズン4に登場する悪魔アラステア(地獄でディーンを拷問した男)とシーズン5に登場する悪魔クロウリー(十字路の悪魔のリーダー)は、20世紀を代表する神秘主義者アレイスター・クラウリーの名前をヒントにしている。彼は自らをアンチキリストと称し、秘密結社を組織するなどして世間を騒がせた人物。黒魔術やオカルトに関する著書も多い。デヴィッド・ボウイやビートルズなどのロック・ミュージシャンから崇拝されたことでも知られる。

「スーパーナチュラル」の挿入歌に楽曲が多く使用されているバンド、レッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジも熱心な崇拝者だった。

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史実に基づく悪魔や妖怪の正体とは?

各エピソードに登場する悪霊や妖怪も、その多くがアメリカやヨーロッパで知られている本物の伝承や実在の殺人鬼などを基にしている。その中から、特に有名なものを幾つか紹介しよう。

ブラディー・メアリー

シーズン1の第5話に出てくるブラッディ・メアリー。アメリカ人なら誰でも知っている都市伝説だ。夜中に鏡の前で3回名前を唱えると姿を現し、呼び出した者を怪我させたり殺したりすると言われている。その正体は幼い子供を亡くした母親、わが子を手にかけた母親などと様々な説がある。

シーズン1の第7話では、車でデート中の若い男女カップルがフックマンと呼ばれる怪物に殺される。これは1960年代からアメリカではよく知られた2つの都市伝説“フックマン”と“ボーイフレンドの死”を合体させたもの。特に、怪しい物音に気付いて車を降りたボーイフレンドが殺されるという“ボーイフレンドの死”はヨーロッパにも伝説があり、イギリスでは斧を持った“アックスマン”が犯人とされている。ちなみに、フックマン伝説は映画『ラスト・サマー』('97)のモチーフにもなった。

シーズン2の第6話では、“アメリカで最初の連続殺人鬼”として有名な実在の人物H・H・ホームズの幽霊が登場する。ドラマの中ではアパートの女性住人ばかりを拉致して殺害するホームズだが、実在のホームズも自らが経営するホテルの従業員や宿泊客の中から若い女性ばかりを誘拐し、ホテル内の隠し部屋で拷問した上に殺した。その数は、自供しているだけでも27人にのぼるという。

シーズン2の第13話では天使のお告げで人を殺したという女性が登場するが、これは2004年に神のお告げで自分の子供2人を殺したという女性ディアナ・レイニーの事件をヒントにしている。

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