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影響を与えたのは日本の超有名怪獣!?スペイン映画「スガラムルディの魔女」監督がイマジネーションのルーツを解説

2014年11月18日
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督と、妻で女優のカロリーナ・バング ©TVGroove.comアレックス・デ・ラ・イグレシア監督と、妻で女優のカロリーナ・バング ©TVGroove.com
映画「気狂いピエロの決闘」がベネチア国際映画祭で銀獅子賞と脚本賞を受賞するなど、スペイン映画界をけん引するアレックス・デ・ラ・イグレシア監督の待望の新作映画「スガラムルディの魔女」が公開される。本作PRのために妻で女優のカロリーナ・バングと共に来日したイグレシア監督を直撃し、イマジネーションの根本をなすという“とある”日本映画についてはもちろんの事、クライマックスの舞台に隠された秘密も教えてもらった。

ペドロ・アルモドバル監督に才能を見出され、1993年に映画「ハイル・ミュタンテ!/電撃XX作戦」で長編監督デビュー。独創的なストーリーの中にハイテンションなアクションとバイオレンスを盛り込み、シニカルな笑いで全体を包み込むタッチを持ち味に「ビースト 獣の日」「どつかれてアンダルシア」「みんなの幸せ」「気狂いピエロの決闘」など傑作・快作を連打。「スガラムルディの魔女」は、子連れ強盗が人喰い魔女の村に迷い込み、人類滅亡を左右する事態に直面する様を、恐怖とユーモアの絶妙なバランスで見せきる。

現実世界からダークファンタジーの世界に流れ込む、先読み不可能な展開はイグレシア監督の十八番芸。クライマックスに登場する物体には、開いた口が塞がらないほどの“笑撃”が待ち受ける。しかもその物体のルーツには、日本生まれの超有名な怪獣が関係していた。「生まれて初めて映画館で観たのが『モスラ』。それに僕は大きなインパクトを受けた。それ以来巨大な怪物が大好きになって、監督人生のすべてをかけて巨大な怪物を作り出そうと望んできた。だから今回の作品のクライマックスは、怪獣映画に対するオマージュでもあるんだ」と夢の実現に手応え十分。

映画監督はごまんといるが、映画作家は一握り。その違いは自らの中に根底とするテーマがあるか否か、それを映像の中で発露できるかどうか。どうやらイグレシア監督はその一握りに入りそうだ。その発露は怪獣映画へのオマージュとは別の意味で、クライマックスに見て取れる。イグレシア監督はほとんどの作品で、高所をクライマックスの場所に指定しているのだ。

「高所でのクライマックスは、僕の映画には欠かせない要素の一つ。そもそも映画作りとは、自分の中にあるものすべてを裸になって見せびらかすという、ナルシズムの極致でもある。だから高い場所をクライマックスの場所にするというのは、そこから自分自身を表現して、色々な人々に見せびらかしたいという思いの表れでもあるんだ」と説明する。

©TVGroove.com©TVGroove.com


イグレシア監督の各作品には、見た様な顔がチラホラと脇役として登場する。俳優陣の中で特定のチームが出来上がっているようでもある。俳優のキャスティングで重要視している点とは何か?「僕の撮影はとてもハード。役者から出来ないと言われたり、思うように動いてくれなかったら面倒くさいし、新しい役者を連れて来て問題が起きるのが嫌なんだ。僕が使うのは信頼している役者のみ。その顔触れはまるでイグレシア劇団だよね。撮影の合間に楽しく話したり、家族的な雰囲気の中で映画を作るのが好きだから、険悪な空気を持ち込む役者とは組みたくないんだ」と舞台裏を明かす。

妻で女優のカロリーナは映画「気狂いピエロの決闘」から参加し、「刺さった男」「スガラムルディの魔女」と連続登板しているが、イグレシア監督は「規律正しい女性で、役者としても熱心。天井から逆さ吊りにされて2時間待たされても、文句の一つも言わなかった。女優魂にあふれていて、非の打ち所がない。まさに自分にとってのミューズだし、だからこそ、結婚したんだ。これからも僕の作品すべてに出演してほしいね」と一人の女性としても女優としてもメロメロだ。カロリーナは「スガラムルディの魔女」で長髪モヒカンヘアーのパンキッシュな魔女を演じているが、そのビジュアル・イメージはカロリーナ自身が発案したそうだ。

公私共に心強い伴侶を得たイグレシア監督のイマジネーションは、枯渇することを知らない。「映画の構想を立てて、それが本当に観客を楽しませるものなのかどうか、自分の中で突き詰める作業はとても怖い。資金集めなど、映画作りにはクリアしなければならない障害も山ほどある。実際『スガラムルディの魔女』は実現まで15年もかかったからね。でも実現するハードルが高ければ高いほど、やる気が奮い立たされるのも事実」と生み出す作品同様に攻めの姿勢だ。

次回作も決まっており、直訳タイトルは「私の偉大な夜」。イグレシア監督は「大みそかにテレビで流れる偽善的な番組のパロディとして作るつもりだよ。大勢の登場人物が1年を「幸せだった」と振り返るが、それはすべて偽りの幸せ。あたかも幸せそうに振る舞う彼らの中に、一つの真実もないことを痛烈に描きたいね」と不敵な笑みを浮かべた。

映画「スガラムルディの魔女」「刺さった男」は、11月22日より全国公開。


【動画】映画「スガラムルディの魔女」予告編


【動画】映画「刺さった男」予告編




■ 公開情報

「スガラムルディの魔女」
11月22日(土)よりヒューマントラスト渋谷ほか全国順次公開

R-15
原題:LAS BRUJASDE ZUGARRAMURDI
監督・脚本:アレックス・デ・ラ・イグレシア
脚本:ホルヘ・ゲリカエチェバリア
出演:ウーゴ・シルバ、マリオ・カサス、カロリーナ・バング、テレール・パベス、カルロス・アレセス、カルメン・マウラ
公式サイト://www.shochiku.co.jp/iglesia/
 
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