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亡き妻に捧げる……ノルウェー映画界の名匠ベント・ハーメル、主人公を初めて女性に 「人間の性を描いた物語」

2015年10月29日
ベント・ハーメル監督ベント・ハーメル監督
ノルウェー映画界の名匠ベント・ハーメル監督の新作映画『1001グラム ハカリしれない愛のこと』が、10月31日に日本公開される。TVグルーヴでは第28回東京国際映画祭のために来日したハーメル監督に直撃。コメディ映画の作り手として紹介される機会の多いハーメル監督だが「これまで、コメディ映画を作ったという意識はない」との心境を明かしてくれた。

長編デビュー映画『卵の番人』、キッチンを舞台にスウェーデン人男性とノルウェー人男性の風変わりな交流を描いた『キッチン・ストーリー』、作家チャールズ・ブコウスキーの原作をベースに破滅的に生きる男の姿を描いた『酔いどれ詩人になるまえに』など、これまでのハーメル作品の主人公はすべて男性。しかし本作では、ノルウェー国立計量研究所に勤める女性科学者マリエを主人公に、“キログラム原器”を通して自分にとっての本当の幸せを見つけるまでを描く。

ベント・ハーメル監督ベント・ハーメル監督


「人間の孤独、自分にとって確かな基準となるようなものを求める人間の性(さが)を描いた物語ですから、脚本を書いた時や主人公のキャラクターを生み出した時は、実は男性でも問題ないと思っていました。しかし毎回“女性を主人公にはしないのですか?”と質問されてきたので、自分にとっての挑戦として、主人公をマリエという女性にしました」

ハーメル監督初の女性主人公を演じたアーネ・ダール・トルプとは、運命的な出会いがあった。「昨年亡くなった妻とトルプは、ある映画祭が行われた時に偶然一緒のタクシーに乗り合わせたそうです。そこで妻がトルプに『夫はいつもおじさんばかりを主人公にする。今度の映画では女性を主人公にするべき』と言ったそうです。今回の作品の編集中に妻は亡くなりましたが、妻は今回の映画を作るにあたり『私が女性の主人公を生み出したのよ』と言っていました」。ちなみに本作は、そんな亡き妻に捧げられている。

【動画】『1001グラム ハカリしれない愛のこと』予告編 10/31(土)、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開!


ハーメル監督の持ち味は、珍しいモノや事象を素材として物語の中に盛り込む点。今回は1キログラムの基準となる“キログラム原器”や“国際キログラム原器”などを起点として、そこに様々な人間模様を紡ぐ。これまでのハーメル作品は“コメディ”というジャンルの中で紹介されてきたが、しかし本作では、まったく表情を変えない孤独なヒロイン像、親の死からくる喪失感など、ヘビーさが漂う。

「ヒロインが感情を表に出さず、人生の答えを見出す終盤に感情を発露させる展開ですし、これまでの作品とは笑いの度合いも違うでしょう。その部分でシリアスに受け取られるかもしれない」としながらも「しかし人生にはユーモアがつきもの。どんなシリアスな場面においても、ユーモアという視点で読み解くことが出来ます。私自身、コメディ映画を作ろうと思った事は一度もありませんが、それでもユーモアが入るのは、ユーモアが私にとって自分や周りの世界を理解する一つの方法だからです。自分のそんな考えが、作品やキャラクターに投影されているのかもしれません」と教えてくれた。(取材・文/石井隼人)


■映画『1001グラム ハカリしれない愛のこと』
10/31(土)、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開
公式サイト://1001grams-movie.com/

ベント・ハーメル監督ベント・ハーメル監督
 
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