FOXの人気アニメ・シリーズはテキサスのさえない中年おやじが主人公
キング・オブ・ザ・ヒルは、1997年に登場したFOXの新アニメ・シリーズ。 テキサスの片田舎に住む、さえない中年おやじハンク・ヒルとその家族や隣人たちの物語だ。
プロパンガスのセールスマンのハンク。仕事のないときはいつも、ぽっかーんと晴れわたったテキサスの青い空の下で、近所のおっさんたちと一日中ビール片手に世間話をしている。
彼の家族もこれまた全然さえない。おばさんパーマですっかり色気がなくなってしまった妻ペギー。デブで短足でのろま、お世辞にもかわいいとはいえない息子のボビー。ハンクの書斎に住みついていて、ボーイフレンドに捨てられてばかりの姪のルアン。スーパー頑固じじいのコットン。と、なんともさえない一家なのだ。
毎回ストーリーも本当に日常的なことばかり。近所づきあいの問題、ハンクの便秘問題、飼っている犬の問題、ボビーの性教育などなど。
でもこの日常的でうさんくさいところが、妙にリアルで新鮮。この斬新さがウケて「キング・オブ・ザ・ヒル」は放送開始直後からアメリカのお茶の間で人気爆発。「シンプソンズ」同様、大人が楽しめるアニメ番組としての地位を確立し、米FOXが鉄壁のラインアップを誇る日曜のプライムタイムで「X-ファイル」、「シンプソンズ」とならび常に安定した高視聴率を稼ぎだすまでになった。(1997~1999年ごろ)
作者はMTVのアニメ「ビーバス&バットヘッド」で有名なマイク・ジャッジ。ちなみにマイクは1999年、「フレンズ」でおなじみのジェニファー・アニストン出演の映画 "Office Space"で実写映画の監督としてのデビューも果たしている。
これぞ古きよきアメリカの姿!
「キング・オブ・ザ・ヒル」の登場人物たちは、ある意味で最もアメリカ人らしいアメリカ人だといえる。われわれほとんどの日本人にとって、アメリカといえば、ニューヨークやロサンゼルスのような大都市がまず連想され、そこで接するアメリカ人は、日本車やヨーロッパ車に乗り、バーで寿司をつまみながら「コニチワ。オゲンキデスカ?」と話しかけてくるような、フレンドリーで洗練された人たちというイメージがあるのではないだろうか。
でも「キング・オブ・ザ・ヒル」の舞台となっているアメリカ南部や中西部には、そんなイメージとはほど遠い超ドメスティックな人たちがたくさんいる。車はでっかいアメリカ製の乗用車やトラック。芝の敷きつめられた庭には、これまたでっかい芝刈り機。格好はいつもTシャツにジーンズにベースボールキャップ。信仰心と愛国心が強く頑固で保守的。家族を大切にする。外国なんて一度も行ったことがない。(でも将来はハワイぐらいには行きたいと思っている。)外人なんて生まれてほとんど見たことがないし、会った時どう接していいかわからずパニックする。アジア人を見ると中国人か日本人だと思う…….。
少々ステレオタイプ的な見方だが、実際にこんな人たちが大国アメリカを草の根から支えているのだ。とかく都会のグラマラスな生活を題材にしたテレビドラマが多くつくられる中で、田舎のコテコテアメリカ人を題材にした「キング・オブ・ザ・ヒル」。人気の秘密はこういう点にあるのかもしれない。
(TVグルーヴ・ドット・コム)



