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レディー・ガガ インタビュー! 待望の新作『クロマティカ』で、アリアナ・グランデ、BLACKPINKとのコラボはどうやって実現したの?

レディー・ガガ INTERVIEWS
レディー・ガガ

レディー・ガガの、6枚目の新アルバム『クロマティカ』(原題:Chromatica)が、いよいよ5月29日(金)にリリースされる。

先日、アルバムの全トラックリストが発表され、「レイン・オン・ミー」という楽曲で人気歌手のアリアナ・グランデとコラボしていることが明らかになった。

さらに、「サワー・キャンディ」で、韓国発の人気ガールズ・グループのBLACKPINKとコラボ。また「Sine From Above」ではエルトン・ジョンとコラボしていることも明らかになるなど、豪華コラボにも注目が集まっている。

tvgrooveでは、そんな期待のアルバムをリリースするレディー・ガガのインタビューをお届けする。(2020年3月11日実施)


 

ここ数年間にあなたの人生にも、アメリカと世界にも、様々なことが起きたわけですが、そういったことを踏まえて『クロマティカ』に着手した時のあなたは、エモーショナルな意味でどういう場所にいたのでしょう?

「『クロマティカ』の制作に着手した時の私は、ものすごくダークな場所にいたわ。すごくウツになってた。それは必ずしも、世界の状況とかアメリカの政治情勢のせいではなかったの。私はウツ持ちなの。だから、毎日、仕事はしていたけれど、それは一緒に仕事をする私の友人たちの思いやりのおかげだった。友人たちが、「おいでよ、一緒に作曲しよう、君はやれるよ」って声をかけてくれて、本当に私の力を信じてくれたから、私はゆっくりと、このアルバムを作ることができた。そして、私を癒してくれたのは、曲を作った後に聞き返してみたら、私の歌声がハッピーに聞こえたことだったの。歌詞は私の人生についての詩で、歌うのが難しい内容ではあったけれど、でも同時に私はこの世界のことも考えていて、どうすれば人々を幸せにできるだろうってことを考えていたの。私は、それが私のやるべきこと(使命)だと信じているの。私は人々をハッピーにするためにここにいるべきだって、信じているの」

あなたは2013年のアルバム『アートポップ』を最後に、ポップ・ミュージックから距離を置いて、以来トニー・ベネットとのデュエット・アルバムである『チーク・トゥ・チーク』、『ジョアン』、映画『アリー/ スター誕生』のサウンドトラックの3作品で、よりオーガニックでルーツ・ミュージックに根差した音楽を作りましたよね。ここにきて久しぶりにポップを志したのはなぜですか?

「私自身が、私をポップに戻らせたのよ。私がこういう曲を書いたっていうだけなの。私はこれまで、自分のハートと頭で感じていないものは創造したことも書いたこともないの。そして、これが私の作りたかったものなの。私が沢山の痛みを抱えてる時にこれが出てきたから、驚きだったわ。そして私は、痛みの中で踊り切ることができるような曲を書こうって、決心したの。日々、作曲とプロデュースをして、私が作った曲の数々を聞き返す度に思ったのよ、「ああ、私の声がハッピーに聞こえる、私の中にまだハッピーな何かが残ってるはずだわ」って。それが徐々に大きくなって行って、遂にアルバムが完成したと感じた時に、『クロマティカ』と名前をつけたのよ。それが今の私がいる場所。私はハッピーな場所にいて、私の周りの人々に心から感謝していて、私の人生と、創造できる力と、私がこの世界で声を持っていることに深く感謝しているの。そして今の私は、思いやりを世界に広めることにフォーカスしているのよ」

今すでに少し語ってくださいましたが、『クロマティカ』のテーマや、あなたがこのアルバムを通して伝えたいメッセージはなんですか。なぜ『クロマティカ』というタイトルなのかも合わせて教えてください。

「アルバム・タイトルの『クロマティカ』(色彩・半音階)は、まず色と、それから、全ての人々は本当に様々な形で異なっているということにインスパイアされているの。単に人種や、宗教だけでなく、個性や性自認、セクシャリティにおいても人はみんな違うわ。だから、様々な形で、私たちはとてもカラフルな存在なのよ。でも、音楽面での意味もあって、いちオクターブの中に半音階があるの。どういうことかというと、音は半音ずつ上がっていくものなのね。だから、音楽の中の音は、お互いにすごく近い関係にある。それで私は、すごくカラフルであることを、すごく近い関係であることになぞらえたら面白いわって思ったの。つまり、私たちはそれぞれにとても異なっているけれど、色々な意味でとても近い存在だっていうことなの。そして、世界に沢山の衝突がある時、沢山のネガティヴなこと、憎しみ、戦争、あるいは病が存在する時、どうすれば私たちはお互いを癒せるだろう、どうすれば生き残れるだろうって考えたのよ。そして私は、思いやりこそがこの全てを解決する鍵だと信じているの。思いやりが私たちを自由にすると信じているし、思いやりは決して失敗しないって、信じているの」

今回「レイン・オン・ミー」という素晴らしい曲でアリアナ・グランデと共作されていますが、どういった経緯なのですか。アリアナとコラボしてどうだったか、そして、ミュージック・ビデオはどのようなものになっているかを教えてください。

「私はアリアナが大好き。ミュージック・ビデオはサプライズにしたいから、それに関してはまだ情報を出したくないの。でも、アリアナと私は本当に結束したわ。私たちが人生で経験したことをお互いに話し合ったの。私たちは二人とも、沢山の困難を経験したわ。私は彼女の数々の体験と、彼女の強さを尊敬しているの。そして彼女も、私の強さを敬ってくれた。歌詞では、私たちが「私はドライでいられるならそうしたいけど」って歌ってて、「私は泣かずにいたいけど」っていう意味なの。「でも少なくとも私は生きてる、私の上に雨を降らせて」って。だから、泣くのは弱いと思われるかもしれないけど、でも私が流した全ての涙は私を本当に強くしたわ、ってことを言っているの。それから「今の私は雨の中に立っていられる」、つまり、私の涙の中で立っていられる、そして私はパワフルで力を得たと感じてる、っていう意味なの。私は本当に、この世界で手にした私の声を他の人たちを助けるために使いたい。そしてあなたの涙は、あなたを弱い者にはしない、むしろあなたを強くするって、知らせたいのよ。天気のようにね。雨のように。それが嵐になる時もあるわ」

【MV】レディー・ガガ、アリアナ・グランデ「Rain On Me」

今回BLACKPINKとも「サワー・キャンディ」という曲を共作されていますが、こちらもどういった経緯だったのですか。彼女たちとコラボしてどうだったか、そして、ミュージック・ビデオはどのようなものになっているかを教えてください。

「私が彼女たちに声をかけて、私と一緒に曲をやりたいかどうか聞いてみたら、彼女たち、すごく喜んでやる気になってくれたの。本当にワクワクするコラボレーションだったわ。私は彼女たちのようなパワフルな女性たちが大好きだから、彼女たちを祝いたかった。そして彼女たちも、私を祝いたいと思ってくれたの。この曲を一緒に作って、素晴らしい時間を過ごしたわ。彼女たちが韓国語で曲の解釈をするのを聞いて興奮したし、そのパートがすごくクリエイティブで楽しかったって彼女たちに伝えたわ。彼女たちの歌声を聞いて感嘆したわ。彼女たちは美しい若い女性で、本当に才能があって、(この曲で)BLACKPINCKの5人目のメンバーになれたことを誇りに思うわ」

BLACKPINK

BLACKPINK

線維筋痛症という病気を抱えながら、「Stupid Love」ではこれだけの激しいダンスを披露されていますが、葛藤や苦悩はありましたか。

「撮影現場で? ええ。もの凄く痛みを感じてたわ。でも、それを感じながら踊りきったの。それにね、私の周りには最高のダンサーたちがいてくれて、私を支え、私の気分を上げてくれた。友人たちもそこにいたし、監督は素晴らしかったし。正直、私は慢性痛の疾患を持ってることを根本的に受け入れたの。楽ではないけれど、それでも私はロックできるし、踊れるし、パフォーマンスを披露できるのよ。それができない人たちもいるわ。だから、私の感謝の気持ちは強大なの。私にとって良いことを認識して、それに感謝できれば、それが困難なことに立ち向かう助けになるのよ。私、私の日本のファンには、本当に感心しているのよ。日本のファンはとても強くて、感謝の心を持っていて、すごく個性的で美しいやり方で人生を楽しんでる。彼らは会う度にいつも、私をすごくハッピーにしてくれるわ。だから日本のファンに会うのが楽しみで仕方ないの」

【MV】レディー・ガガ 「Stupid Love」

「Stupid Love」のミュージック・ビデオで、あなたはピンクの装いをしていますが、日本ではそれが「セーラームーンみたい」(特にセーラーちびムーン)と似ていると話題です。このことについてどう思いますか。これなんですけど(絵を見せる)。

「この子、セーラームーンの妹じゃなかった?」

ええ、セーラーミニムーン(セーラーちびムーン)です。

「セーラーミニムーンね。私たちがこのビデオを製作した時、私はアニメにインスパイアされていたの。今の私は、アニメにインスパイアされてるのよ。なぜかというと、プロデューサーのブラッドポップが、私がスタジオで悲しんでいる時にアニメのオモチャをくれたからなの。そんな風にして彼は、私を元気づけようとしてくれた。それで、私の友人が私に優しくするためにしてくれたことを祝って、音楽と共にこのアート的表現を作れたら最高に素敵だわって思ったの。彼はスタジオにベヨネッタのフィギュアを持ってきてくれたわ。そこにあるヌイグルミ(コリラックマ)もね。彼の様々なプレゼントのおかげで、私は愛されてるって実感できたの。それが、このビデオにも反映されたのよ。だから、私は日本とアジアの文化の一面を祝福したの。私のファンと世界中の人々に、私が最高の敬意を持って特別なやり方でやったことだと知って欲しいわ。本当に、私を笑顔にしてくれたから」

あなたが日本に最後に来たのは、『ジョアン』のプロモーションで2016年10月のことですが、久しぶりに日本に帰って来てやりたいことはありますか。

「日本でどこに行きたいかしら、私はパフォーマンスしたいから、日本のスタジアムに行きたいわ。私の新しいツアー、『クロマティカ・ボール』を日本に持っていきたい。それから、ただ歩き回りたい。私は東京が大好きなの。さっき言ったように、このアルバムの制作中に友達から素敵な日本のギフトをもらうのが本当に嬉しかったし、日本の文化が大好きだし、日本のファンと日本を愛してる。だから、とにかく日本に行きたいわ。私は日本に居られるだけで嬉しいの。多分、みんなが想像するよりも日本での私はみんなが想像するよりも地味だと思うわ、日本に居られるだけでハッピーだから」

「フリー・ウーマン」は、人々に力を与える素晴らしい曲ですね。あなたがデビューした約10年前と比べ、女性がアクティヴに表現することに対して、世の中がポジティブに受け入れるようになったと思います。あなたはデビュー時からそのムーヴメントの先頭を走ってきたように思えますが、この世の中の変化についてどう思いますか。

「そんな風に言ってくれて、本当にありがとう。すごく優しいわね。私はこれまでずっと、人々のロールモデルになろうと努力してきたわ。私は、女性はこういう見た目であるべきとか、こういう行動や振る舞いをするべきといった固定観念に一度も従いたくなかったから。私は常に、どんな人間にとっても大事なことは、私たちの心と知性(頭)、そして私たちが世界に提供すべきことだと思っていたの。世の中の変化について思うのは、この業界で今よりも若かった時、一緒に仕事した男性たちに物として見なされたことが沢山あった。セクシーな服を着ろとか、こういう髪型にしろとか、性的なことを言う人たちと同じ部屋で仕事するのはすごく大変だった。私は私を使ってお金を稼いでいる人たちに、絶えず性的な魅力を強要されていたの。女性として、不快だった。あの当時と今の違いは、当時は自分のために立ち上がることがトレンドではなくて、社会的に容認されていなかったことだと思うわ。でも今は、そういうことが起こったら、私は「あなたは私を物として見てる。仕事場で、私を性的に見てる。私は私がやりたい時に私がやりたい方法で、セクシーになるわ。私は自由な女性で、それが私の権利よ」って言うわ。そして私は、それは女性に限らず全ての性と、性自認に当てはまることだと思ってる。何が変わったかと言うと、私が声を上げても、もう衝撃的ではなくなったことよ。昔は私が「それはやりたくない」とか言うと、反対されたり、イラつかれたり、差別的な言葉で罵られたりしたわ。私が強く出たことでね。自分たちのために立ち上がる女性たちを良い人間じゃないとか言うのは良くないと思うの。自分自身のために立ち上がるって素晴らしい資質だから、何も悪くないもの」

また自分を表現したくても人の目が気になり出来ない、という思いを抱えている女性たちに何を伝えたいですか。

「あなたの中にあるその恐怖心を敬って、自分自身に優しくすること、その部分を思いやることは大切よ。だから多分、ゆっくりと、自分が自由になれると感じることを、常に少しずつやっていけばいいと思うの。色々と試して見て、どうすれば自分に力がついた感じがするかを知る。そうするうちに、気づいたら、あなたがなりたい自由な女性になっているんじゃないかしら。私だって、世界がどう私を見ているかとか、人々がいつも私にレディー・ガガのルックスでいて欲しいと思ってるとかを気にしていたのよ。でも、少しずつ勇気を持つことを続けていけば、いつかは自分がすごく勇敢であることに気づくわ。私は、女性はものすごく勇敢だと思ってる。それに人は誰もが、すごく勇敢だと思うわ。私たちは、勇敢さで溢れた世界に生きているのよ。でも、お互いをもっと励まし合うことはできるし、自分自身を励ますこともできるわ。私はもっと自由になりたいって言うことは、勇敢なことの一つ。でも、より自由になるためには、この牢屋から出ることが必要なの。そして、牢屋に閉じ込められている気分になったら、あなたがその牢屋の鍵を手に持っているってことを覚えていて欲しいの。そして柵の間が充分に空いてるから、あなたはそこから手を伸ばして、外側から鍵を開けて、ドアを開けて、その牢屋から自分を解放できるのよ。私たちは全員、その能力を持っていると思う。その恐怖心を乗り越える必要があるかもしれないけれど、でも、恐れていても大丈夫だし、時間がかかってもいいのよ。私だって、長い時間がかかったんだから」

近年のあなたは、テレビドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル』と映画『アリー/ スター誕生』に出演。役者としての類稀な才能も見せつけましたが、今作を作りながら「演技も面白いけど、やっぱり音楽はここが素晴らしい」と再確認したところがありましたら、教えて下さい。

「音楽は、この世で最もパワフルなものの一つよ。そして、それは色々な意味で、私たちが持っているあらゆる才能と同等だと思っているの。全ての人に得意なことがあって、全ての人がシェアできるものを持ってる。音楽は、私が持っていて、私がシェアできるもので、演技もまた私が持っていてシェアできるもので、慈善家も私がシェアできるもの。でも私は、音楽がそれ以外のことよりも優れているとは思っていないの。演技がそれ以外のことより優れているとも思っていないわ。私たちが提供するべきものは、等しく重要なのよ。だから私は常に言っているの、『クロマティカ』においても、私の頭の中においても、何かが他よりも優れていることなんて決してないの。だから、音楽は強力か? と問われたら、答えはイエスよ。でも、本当に強力なのは、全ての人たちが、お互いに提供できるものを、思いやりを持って分け与えることなの。「あなたを愛してる、私はこれを作ったことに感謝してる、あなたが何をしているかに関係なく、私はこれをあなたと共有するわ」って、贈り物として提供するのよ。それは音楽と同じレベルで強力だと私は思うわ。だから、そのことを音楽を通して人々にインスパイアできたらと思っているわ。それが私が提供するべきことだから」

まだアルバム・ジャケットは公開されていませんが、今作にまつわるヴィジュアル・コンセプトを教えてください。また、ピンクを多用していますが、この色にはどんな意味が込められているのでしょう?

「私がピンクに惹かれた理由は、私がパワフルなイメージ、パワフルな色になると思う第七感を感じることが時々があって、『クロマティカ』でピンクを私の色として選んだの。思いやりのある色としてね。これは子宮と女性たちにインスパイアされたのよ。私は女性たちとピンクを色々な意味で結びつけているから。私は以前から、女性達は沢山の知恵を持っていると言ってきたわ。かつてジョン・レノンがオノ・ヨーコについて言っていたことなの、「彼女は男性が持っていない知恵を持っている」ってね。でも、私は全ての性が知恵を持っていると思うわ。だから、女性と子宮、創造と出産にとてもインスパイアされていると言う意味で私はピンクに惹かれたの。でも、ピンクが全ての性が同一視できるカラーになることを願っているわ。思いやりの色だと思うし、ハッピーな色だと思うから。私たちは、お互いを愛し合うために、お互いを高め合うためにこの地上にいるって、思い出させてくれる色だと思うから」

日本のリトル・モンスターたち(ファンの総称)にメッセージをお願いします。

「日本のファンの皆さん、私はあなた達を本当に愛しているわ。これまでずっと、あなた達とは特別な繋がりを持ち続けてきたわ。過去10年間、いえ、10年以上、私たちは美しい時間を一緒に過ごしたわね。あなた達が私の人生にいてくれて、本当に感謝してる。あなた達と一緒にパフォーマンスをするのが待ち遠しいし、新しい思い出を築くのを楽しみにしてる。日本に行って、私にできる限りの思いやりと勇気をインスパイアするのも楽しみにしてるし、日本で慈善事業もやりたいわ。私は日本が大好きだから、日本の人たちのためにいいことをしたいから」

(インタビュー終わり)

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