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ラウヴ、髪色を鮮やかなグリーンにした理由は? 待望の2ndアルバムに秘めた胸の内を赤裸々告白・・ 最新インタビューが到着

ラウヴ INTERVIEWS
ラウヴ photo by Lauren Dunn

ポップ・ミュージック界のビジョナリー(独創的/先見性のある人物)、ラウヴ(Lauv)による待望の2ndアルバム『All 4 Nothing』(読み:オール・フォー・ナッシング)が8月5日、ついに世界同時リリースとなった。

tvgrooveでは今作に先立って実施されたインタビューを紹介。BTSら人気アーティストとのコラボレーションが話題になった1stアルバムから2年、ふたたび始動したLauvはどんな思いでこの作品をつくったのか?赤裸々な胸の内を語ってくれた。


2020年3月にリリースされたラウヴの1stアルバム『~ハウ・アイム・フィーリング~』は、BTS、トロイ・シヴァン、アン・マリー、アレッシア・カーラ、LANY、ソフィア・レイエスとのコラボレーションも話題になった多彩な作品だった。なかでもBTSをフィーチャーした「Who」は、派手さのないバラードだったにも関わらず、BTS人気の爆発と共に再生回数が伸びていった。

「2019年に彼らがロンドンでショーをしていたときに初めて会ったんだ。すごくいい人たちで、会ってすぐに彼らの“Make it right“のリミックスに参加しないかと誘ってもらった。彼らのアルバムのなかで一番好きな曲だったから“もちろん!”と答えてリミックスをした。そのあと僕が作っていた曲で“Who“という彼らにピッタリな曲があったから、初めのヴァージョンを送ったら、ぜひ一緒にやりたいと言ってくれてね。とても自然な流れだったんだ」

Make It Right (feat. Lauv)

1stアルバムから2年が経ち、今年の初めに久々のニューシングル「26」をラウヴがリリースした際には、BTSのジョングクがInstagramのストーリーにその曲をアップしたそうだ。

「あれはマジで嬉しかったよ。ある朝起きてTwitterを開けたら、それをスクショしたツイートがいくつも目に入った。“26”は出してすぐに注目を集めるような曲だと思っていなかったから、それを彼が投稿してくれたことが本当に嬉しかったね」

その「26」は、次のような思いで書いた曲だと言う。

「自分が26歳になって考えたことや問い直したことを歌っている。傍から見たら僕は恵まれた生き方をしていて幸せそうかもしれないけど、実際はしばらくの間、苦しみを抱えていた。実は1stアルバムの制作前に、僕は診断未確定の強迫性障害を患っていたんだ。不安に苛まれ、落ち込み、自分の人生とキャリアにきちんと向き合うことができずにいた。あのアルバムに至る前に、僕は自分をひとつの型に嵌めすぎてしまったとも感じていた。“こんなふうにしか感じられないのなら、なんのための成功なんだ?!”と自問する日々が続いたんだ。そんなときに、仲のいい友達が瞑想の仕方を教えてくれてね。もっと人生を大切にして、前向きだった自分に戻ろうと思った。それが新しいアルバムを作るにあたっての、ひとつの指針になったんだ。その第一歩が“26”というわけ」

Lauv – 26 [Official Audio]

ラウヴが再び前向きな気持ちを取り戻せたのは、今の恋人と出会ったことも大きかったようだ。そのカノジョに対する恋心は、このアルバムからの2ndシングル「All 4 Nothing(I’m So In Love)」でかなりストレートに歌われている。「僕はすっかり恋している。知ってた? 僕のハートは君でいっぱいだって。知ってた? 僕が愛することを止めたくないって」。ロマンティックなメロディに乗せ、そんなふうに歌われている。

「今付き合っているカノジョと出会って、ドキドキしているときに書いたんだ。”この気持ちを抑えられない。この人に恋をしているんだ”と、そう考えていたらサビのメロディが降りてきた。前作を作っていたときは不安に苛まれ、自分を大切にすることができなくなっていたけど、カノジョと出会って一緒にいると幸福な気持ちになれたし、癒されたんだ。おかげで前向きな自分を取り戻すことができた」

Lauv – All 4 Nothing (I’m So In Love) [Official Video]

前向きな気持ちを取り戻し、この新作では「ある意味での無邪気さを取り戻すことが重要だった」とラウヴは話す。そうした思いはとりわけ3rdシングル「Kids Are Born Stars」に強く反映されている。MVを見れば、それもわかるだろう。

「これは、“子供の頃の自分”に影響を受けて書いた曲。大人になった自分は子供の自分から想像力を膨らませることを学び、子供の自分は大人の自分から自信を持つことを学んでいる。そう、これはアルバム全体に言えることだけど、もう一度子供の頃の無邪気さを取り戻すことが今の僕には必要だったんだ」

Lauv – Kids Are Born Stars [Official Video]

前向きさと無邪気さを取り戻したラウヴの今のモードは、鮮やかなグリーンの髪色にも表れている。

「COVID-19のパンデミックでロックダウンとなって自宅待機を強いられた時期、初めのうちは時間を気にすることなく制作に没頭できるぞと前向きだったんだけど、自分を追い込みすぎて、ちょっと生活が荒れてしまった。髪も髭も伸び放題でね。でもその状態から抜け出して、このようにいいアルバムを作ることができた。で、全ての曲を録り終えてミックスを聴いているときに、急に思い立ったんだよ。“よし、髪を切るぞ。グリーンに染めるぞ”ってね。精神的にナチュラルな状態になれたから、ナチュラル・グリーン。いいと思わない?(笑)」

photo by Clare Gillen

 

そんなラウヴに、最近お気に入りのファッションについても訊いてみた。

「これまではずっとバギーでカラフルなスウェットやパーカーばかり着ていたんだけど、最近は少し変わってきて、仕立てのいいきちんとした服も好きになり始めている。27歳だからね。“ALL 4 Nothing(I’m So In Love)”のMVの撮影では、生まれて初めてスーツを着たんだけど、かなり気に入ったんだ。今後はスーツだったり、仕立てのいいきちんとした服をもっと着たいと思っているよ。でも髪色はグリーン。遊び心はあったほうがいいでしょ」

最後にシリアスな質問も投げかけてみた。ラウヴは社会問題や政治に対する関心を深く持つアーティストで、前作ではソーシャル・メディア依存の問題を曲にしてもいた。そして社会のメンタルヘルスの問題に取り組むために、彼は「Blue Boy Foundation」という財団を設立して活動を続けている。また、ラトビア出身の彼である故、ロシアのウクライナ侵攻、戦争にも非常に心を痛めている。争いの絶えない現実世界を前に、音楽にはどんな力があると彼は考えているのだろうか。

「いい質問だね。理想としては、世に出る音楽そのものが人の心の琴線に触れ、聴いた人が前向きになってくれたらいいと思う。そして何らかの気づきを与えられればいい。それはあくまでも理想で、難しいことだとわかっているけど、音楽にはそういう力があることを忘れちゃいけないと思うんだ。それともうひとつ。アーティストに限らず、何かを発信するプラットフォームを持っている人たちは、世の中にいい影響を与える発信をするなど、それを役立てることに意識的であるべきだと思う。音楽だけじゃなく、言葉の発信も今の時代は重要だからね」

そんなことも意識しつつ、様々なメッセージが含まれたラウヴの2ndアルバム『ALL 4 NOTHING』をぜひじっくり聴いてみてほしい。

インタビュー・文●内本順一

リリース情報

Lauv (読み:ラウヴ)
2nd アルバム 『All 4 Nothing』
(読み:オール・フォー・ナッシング)

ポップ・ミュージック界のビジョナリー、ラウヴによる待望の2ndアルバム

※「ビジョナリーとは:独創的、先見性のある人物のこと

2022年8月5日(金)世界同時リリース
国内盤:品番:UICB-1014 / 価格:¥2,500+税

配信リンク:
https://virginmusic.lnk.to/Lauv_kabs

【収録曲】
1. 26  1stシングル/読み:トゥエンティ・シックス
2. Stranger
3. Kids Are Born Stars 3rd シングル/読み:キッズ・アー・ボーン・スターズ<PUSH曲>
4. Molly In Mexico
5. All 4 Nothing (I’m So In Love) 2nd シングル/オール・フォー・ナッシング・アイム・ソー・イン・ラヴ
6. Stay Together
7. Summer Nights
8. Time After Time
9. Hey Ari
10. Better Than This
11. Bad Trip
12. I (Don’t) Have A Problem
13. First Grade
14. Forever *
15. Dream (Demo) *

*国内盤ボーナス・トラック収録

バイオグラフィー

1994年8月8日生まれ。LAを拠点に活動するシンガー・ソングライター/プロデューサー。ギターを弾き始めた10歳の頃はグリーン・デイ等のポップ・パンクを聴き、その後はジョン・メイヤーなど幅広いアーティストに影響を受け、そのうちケイティ・ペリーなどのヒット曲の分析までするようになっていた。2015年にアーティストとしてのキャリアを始動し、NY大学在籍時に発売したシングル「The Other」がバイラルヒットした後、シングル「I Like Me Better」はSpotifyのみで10億回再生を記録。『I met you when I was 18.』のプレイリストを発表した2018年には、エド・シーランのツアーのサポートアクトも務め、2019年にはトロイ・シヴァンを迎えたシングル「i’m so tired…」、アン・マリーとの「fuck, I’m lonely」を発表。2020年にはLANYやBTS等とのコラボ曲も収録した待望のデビュー・アルバム『~ハウ・アイム・フィーリング~』をリリースし、全米Top20入りを果たしている。

日本公式アーティストホームページ:https://www.virginmusic.jp/lauv/

ディスコグラフィー

『I met you when I was 18.』 2018年 ミックステープ/2019年日本独自企画盤(2CD)(Trafficよりリリース)
『~ハウ・アイム・フィーリング~』 2020年デビュー・アルバム(Trafficよりリリース)

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