キャサリン・ハイグル「私は気難しくなんてないわ!」の真相 - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

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キャサリン・ハイグル「私は気難しくなんてないわ!」の真相

(2014年8月19日)

7月13日、NBCが新作(ドラマ3本、コメディー3本)を発表しました。昨秋の新作「ブラックリスト」がヒットしたので、今年も同様のスリラー/ミステリー路線を続行します。9月17日に「The Mysteries of Laura」が、11月17日に「State of Affairs」がデビューします。

中でも、「State of Affairs」はキャサリン・ハイグルのテレビシリーズ復帰という点だけで、1年前から話題になっていました。題名を聞いた時点では、ABCのヒット作「スキャンダル」に追い付け、追い越せ!的なメロドラマを想像していましたが、パイロットを観ると「HOMELAND」70%+「リベンジ」30%の深刻なドラマです。

【動画】 キャサリン・ハイグル主演「State of Affairs」トレーラー

ハイグルが演じるチャールストン(チャーリー)・タッカーは、CIAアナリスト。毎朝、コンスタンス・ペイトン大統領(アルフリー・ウッダード)に、国家安全保障を脅かす可能性を秘めた内外の重大事件トップ10を提示し、政局への影響と対策を助言する「ブリーファー」です。チャーリーは、テロ襲撃で婚約者アーロンを亡くし、PTSD症状を仕事で覆い隠してはいますが、埋葬後、アーロンの母親ペイトン大統領に報復を誓います。

仕事は人並み以上でも、私生活は荒れ放題の「デキる女」チャーリーは、原因こそ違え「HOMELAND」のキャリー地上波局版と言えます。PTSD治療中ですが、襲撃の詳細が記憶になく、心痛に直面できないため、異常な行動に走ったり、何かに依存しなければ生きられない不安定な状況です。

この日、キャストとしてウッダードと二人で登場したハイグルですが、取り巻きは5人のエグセクティブ・プロデューサー(EP)です。ブッシュ、クリントン両政権で「ブリーファー」を務めたロドニー・ファロンがボブ・サイモンズに持ち込んだ企画で、ファロンの配役第一希望がハイグルだったと発表がありました。


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チャーリー役ハイグル(左)と大統領役のウッダード。二人の嫁姑関係が本作の原動力だ。 WENN.com

経緯やドラマの内容などについて、インタビューはスムーズに進んでいたのですが、EPナンシー・ハイグルに矛先が向けらた瞬間に、会場のムードが一転しました。実は、朝一で実施されたNBCエンターテイメントお偉方のパネルインタビューで、’ステージママ’ナンシーについて、ジェニファー・ソルキー社長が「しっかりとした意見をお持ちですが、’付合せ’的存在でしかありません。ケイティー(キャサリンのあだ名)は、人生の先輩として完璧に頼っているようですし、’二個一’と考えれば問題はありません」と評しました。これまでに制作に支障は来していないと言いつつも、「ナンシーさんは、ケイティーにとっては『mom-ager(Mom+manager)』『親友』『腹心』『子育てパートナー』ですから、’二個一’で企画会議に来られたのも不思議ではありません」と、真綿で首を絞めるような発言をしたため、好ましからざる印象が前以て植え付けられていました。

ソルキー社長の意味深(?)なナンシー評を基に、見知らぬジャーナリストの質問の主旨は、「娘さんの映画制作に関わっているのは知ってますが、母親が地上波局番組のEPとしてパネルインタビューに登場するとは前代未聞!何をするんですか?」というもの。キャサリンが下手に「クッキーを焼いてくれるのよ」と、その場を濁そうとしたのが大間違い!「クッキーなんて言ってる場合じゃないでしょ。『グレイズ』で’ごねて’以来の問題児を守るためですか?今回も’ごねる’と予測して、楯の役目ですか?説明して頂きたい」と飽くまでも食いついて離れません。

会場はシーンと白け、キャサリンは完全に守りの姿勢に入りました。それでも、ナンシーさんは全く動揺せず、「State of Affairs」がハイグル親娘の制作会社に持ち込まれた経緯とシリーズ化過程を説明、「EP一年生ですが、毎日学ぶことが一杯!」とはぐらかしました。EPジョー・カーナハンは、「ナンシーは配役に貢献大」と付け加え、ショーランナーのエド・バーネロは、親娘プロデューサーの日々の仕事振りを賞賛し、サイモンズは「魔女ジニー」の映画化がうまく進まなかったので、良い脚本があがってくるまで、‘ケーブル質’の本作を薦めたと述べて、次々と援護射撃しました。

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キャサリン(左)はプロデューサー兼主演、母親ナンシー・ハイグルはEPのタイトル付きで登場した(上の写真は2012年撮影)。主演女優がプロデューサーのタイトルをもらうことは、「グッドワイフ」以降、当たり前のようになりつつある。 WENN.com

それでも、執拗にキャサリンに矛先が戻り、過去の報道では「ハイグル親娘はごねるから大変!」「起用は薦めない」などのバッシングが続出する一方で、ハリウッドでは「‘物申す女’は干される」のが常と弁護する評論家もいたが、「やっと復帰できると決断してのシリーズ主演なのか?‘物申す女’だから干されたのか?」を本人から聞き出そうとします。躊躇するキャサリンを庇おうと、バーネロが3回に渡り、口を挟もうとしましたが、全て却下され「失礼じゃないか!」と啖呵を切り、気まず〜〜い雰囲気になりました。

ここでやっとキャサリンが重い口を開き、要は「ロマコメは卒業して、何か新しいことに挑戦したいと思い、本作を選んだ」と説明し、過去については、日本でも報道されている「私は気難しくなんてない!」の否定声明(?)で締めくくりました。母親が攻撃され、闘志に燃えた後のキャサリンの発言だったことを目撃した評論家達も、「さっさと謝ってしまえ!」派と、「‘物申す女’バッシングの実証!」派に分かれ、パネル後も討論が続きました。

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6〜7年前の「グレイズ」制作陣との遣り取り以来、槍玉に挙げられるキャサリン。一方、出演契約更新後、「デレク役は適当にやって、ル・マン24時間レースで鬱憤晴らしするしかない!」と公言するパトリック・デンプシーは制裁を加えられた試しがない。矛盾ではないか? WENN.com

「ロズウェル」以来、キャサリンに何度も個別インタビューをした友人の評論家B氏でさえ、折角のチャンスだったのに、謝らなかったと憤慨しています。キャサリンと直に話してから結論を出すよう説得を試みましたが、驚いたことに、今夜キャサリンはとんずらを決め込むと決めてかかっていて、取りつく島もありません。温和を絵に描いたようなB氏が、こんなに怒っているのを見たことがありません。

私は個人的にインタビューした経験がなく、「グレイズ」を追い出された(?)後のロマコメ映画を何本も観て、ハイグル親娘が制作する映画には、必ず何か得るものがあると感心していました。軽〜いロマコメではなく、いつも人生の教訓が隠されているからです。勿論、制作現場にいた訳ではないので、キャサリンの立ち居振る舞いを目撃/体験したことはありませんが、仕事振りや作品を見る限り、妥協しない女優ではないかと傍観してきました。妥協しない→物申す=’ごねる’と解釈されるのではないでしょうか?しかも、物申すのが女だから、余計に叩かれるのです。

B氏の予想に反して、少々遅れてではありますが、NBC主催のパーティーにハイグル親娘が姿を現しました。気軽に応じたインタビューで、ユタ州に越して‘良妻賢母’に専念していたが、「クリエイティブな仕事に戻りたくなった」と、キャサリンは本音を語りました。それでも、共演女優ウッダードから「仕事と家庭を両立させる秘訣」を伝授してもらうまでは、登板するべきか否か随分悩んだと言います。えーっ!?「マッドメン」じゃあるまいし、この期に及んで女が仕事と家庭の両立を思案している?キャサリンの過去や復帰云々より、その方が社会問題だよ!!!と思ったのは私だけでしょうか?

インタビュー後、「昔の可愛いキャサリンのままだった!」とB氏は大喜び。7月16日に、記事「Katherine Heigl still interesting」を執筆しています。少なくとも、B氏の偏見を覆すことができて、良かった!と、胸を撫で下ろしている私です。報道とは言え、執筆者の世界観フィルターを通していますから、真に客観的な見解などあり得ません。「‘物申す女’バッシングの実証!」派の一員として、このドラマでキャサリンが見事復帰してくれることを祈っています。但し、自局で放送する番組のEPを「ステージママに毛が生えたようなもの!」呼ばわりする社長の統制下では、お先真っ暗かもしれません。番組の幸先の悪さに輪をかけるように、8月15日、ショーランナーのバーネロが降板しました。「ハイグルとは何の関係もない」と言い残して....

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数年、’良妻賢母’をやっていれば、クリエイティブな仕事に挑戦したくなるのは当然のこと。妥協しない女優ハイグルは、前途多難である。優秀な広報を雇った方が良いのではないか? WENN.com


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