アマンダ・シュルを追い越す勢いの新人サラ・ヘイ - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

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アマンダ・シュルを追い越す勢いの新人サラ・ヘイ

(2015年9月 3日)

今夏もパイロットを片っ端から観て、プレスツアーに臨みました。

ツアーが始まる直前に、早く続きが観たい!と思ったシリーズは、
・Starz「Flesh and Bone」
・The CW「Crazy Ex-Girlfriend」
・CBS「Limitless」
の3作と、寂しい限りでしたが、プレスツアーに参加して下記の2作が新たに’早く続きが観たい!’リストに加わりました。
・Crackle「The Art of More」
・ABC「Quantico」

今回は、今秋私が最も期待するStarz(プレミア・ケーブル局)の意欲作「Flesh and Bone」をご紹介します。とは言え、放送前(11月8日、シリーズ全8話をストリーミング公開の予定)からシーズン継続は無いと発表があり、8話限定シリーズと心して楽しむしかないのが玉に瑕です。マシュー・グードが好演した「Dancing on the Edge」(2013年春放送)、「The White Queen」(2013年夏)に続く、プレミア・ケーブル局のイベントシリーズ/限定シリーズです。

【動画】「Flesh and Bone」予告編

パイロットと第2話をオンラインで観て、すっかりハマってしまった訳ですが、最大の魅力は主役のバレリーナを演じる役者の迫真の演技です。こんな名優がいたのか?と思うと同時に、踊れて演技ができるのか?名優で踊れるのか?という疑問が湧いてきました。7月31日午後に実施されたStarz局の最終セッションで、判明しました。

FleshandBone.jpg
「『ブレイキング・バッド』でエミー賞を3回受賞したモイラ・ウォリー・ベケット作」と一番上に記してあるのみで、他はタイトルとプレミア日、局名しかない。細部に目を凝らすと、ピンクのトーシューズ、十字架のアンクレット、スパイクの付いたブレスレットに気が付く。更に、クレアの背中の刺青「take no prisoners」(捕虜は無用=皆殺しにしてやる!)は、華麗な世界に殴り込みをかけたクレアの気迫を物語っており、従来のバレエ物語ではないことが一目瞭然だ。これ程意味深の番宣ポスターは珍しい。
(C)2015 Courtesy of Starz


暗い過去に押しつぶされそうになりながらも、華麗で残酷なクラシックバレエの世界で、逞しく、危なっかしく、必死に生きるクレア・ロビンスの生き様を描きます。クリエイターのモイラ・ウォリー・ベケットは、「ブレイキング・バッド」で凄まじい人間ドラマを書いた体験を元に、「きらびやかで、現実離れした世界を美しい映像で見せるのが習わしだったけど、本作ではバレエ団の恥部を暴露する」と創作の動機を披露しました。「ボディダブルは絶対に使わない!」宣言をした手前、芝居上手なバレエダンサーを世界中で隈無く探して配役した本物嗜好のシリーズです。

それでも、クリエイターがイメージするクレアが最後の最後まで見つからず、制作を諦めかけていた時、本作の振付師イーサン・スティーフェルが、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)時代、印象深かった生徒サラ・ヘイを思い出したと言います。ドレスデンのゼンパーオーパー・バレエ団で踊っていたヘイに白羽の矢が立ち、登板の運びとなりました。

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主役を踊りたくて、鎬を削るアメリカン・バレエ・カンパニー(ABC)団員達は、ぽっと出のクレア(ヘイ・中央)へのやっかみを隠さない。 (C)2015 Courtesy of Starz


初めてのテレビシリーズについて、「クレアの職場での葛藤は、バレリーナなら誰でも体験したこと。私の日常よ!」と、実物ヘイはキャラよりずっと明るく語ります。撮影完了翌日には、ドレスデンの仕事に戻ったと告白したヘイですが、祖国アメリカでは活躍できるバレエ団が見つからず、探しあぐねた結果手に入れた天職ならこその意気込みと大いに納得が行きます。

SarahHay2.jpg
クレア(ヘイ・左)の並外れた才能を利用して、12年前に設立したABCをNY一のバレエ団にしようと策略を巡らすディレクターのポール・グレイソン(ベン・ダニエルズ)。グレイソンは、躁鬱病でしかもバイセクシュアルの典型的な(?)芸術家で、クレアを将棋の駒扱いするが.... (C)2015 Courtesy of Starz


ダンサーはスポーツ選手と同様、体が資本ですから、短命は周知の事実。故に、死に物狂いで手に入れた地位は、何が何でも死守しなければならず、自ずとドラマが生まれます。しかも、3話以降は、クレアの暗い過去=家庭の事情が明るみに出ると説明がありましたが、「ブラック・スワン」のようなホラー/サイコスリラーではありません。

パネルインタビュー後、控え室に戻るヘイと立ち話をしました。演技指導を受けたことはないそうで、生まれつきの芸術家と読み取れました。「12モンキーズ」のアマンダ・シュルの前例を挙げたところ、「はい、知ってます。私の良き先輩にしたいです」と答え、27歳にしてそろそろバレエ界引退後の第二の人生を考えている様子でした。ドレスデンのバレエ団仲間と付き合っていて、「今日も一緒に来てるの」と打ち明けましたが、恋人云々より引退後は役者の道を選んで欲しいと伝えました。結婚して家庭に引っ込んでしまうのは、宝の持ち腐れです。礼儀正しく、謙虚、しかも芯の強そうな純粋培養は、今秋最も有望なニューフェースです。去年、ヒスパニック系少女のお手本になりたいと「Jane the Virgin」に登板したジーナ・ロドリゲスを彷彿させるスターレットです。

次回は、それほど斬新なアイデアではない分、役者の魅力で’続きが観たい!’と思った新作をご紹介します。お楽しみに。


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コメント

初めまして、失礼します。とてもとても気になっている作品で、日本語の記事がなかなかなくてとても嬉しいです、ありがとうございます!日本語で見ることができるのでしょうか。。望みは薄そうですね..??

投稿者:真奈美 |2015年9月 4日 23:10

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