16年冬のプレスツアーで読み取った今春の傾向 - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

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16年冬のプレスツアーで読み取った今春の傾向

(2016年2月 2日)

無数のパイロットを観て参加したTCAプレスツアーでしたが、169回に及ぶパネルインタビューで得た情報を基に今春の傾向を分析してみました。

1)数が多い割には、例によって例の如く「続きが早く観たい!待てない!」と思う作品は皆無です。下手な鉄砲も数打てば当たる式に登場するのは、アメコミドラマ(「Lucifer」「レジェンド・オブ・トゥモロー」「Preacher」など)、世の終わりに地球人がどう対処するかを描くSFモノ(「Colony」「You, Me and The Apocalypse」など)ばかりです。吸血鬼が減少の一途をたどっていることは、喜ばしいことではありますが...アメコミドラマ蔓延に辟易としているのは私だけなのか、The CWやNetflixのお偉方は「蔓延からは程遠い!必ずファンが付いてくる」と言います。

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謎の力を持つ牧師のアメコミドラマ「Preacher」の試写会への招待状がメールで送られてきたが、血生臭い内容だったので遠慮した。

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1月14日から始まった「Colony」は、ジョシュ・ホロウェイ(右端)主演のSFサバイバル・ドラマ。何者かに占領されたLAで捕虜になった次男を救出するために、占領パトロール軍に侵入したウィル・ボウマン(ホロウェイ)と、レジスタンス軍の妻ケイティ(サラ・ウェイン・キャリーズ)を描く。 Courtesy of USA Network

2)どの番組にも必ずと言って良いほど、イギリス人俳優が配役されています。イギリス人でなければ、オーストラリアかニュージーランド人で、ヒュー・ローリー(「HOUSE」)が配役された頃に比べると、イギリス人俳優は完全に米国テレビ界に浸透、今では当たり前になってしまいました。

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英国人トム・エリス(左)は、Foxの新作「Lucifer」でチャーミングな悪魔ルシファー・モーニングスターを演じる。マーティン・ヘンダーソン(右)は、「グレイズ・アナトミー」シーズン12の6話からネイサン・リッグス医師を演じるニュージーランド人。メレディス(エレン・ポンペオ)の相手役ではないか?と噂されている。 WENN.com

3)相変わらず続くリメイクの数々。「Xファイル」「プリズン・ブレイク」「スタートレック」など。「24:レガシー」や「フラーハウス」など、オリジナルを一捻りしたものは視聴率を獲得できるかもしれませんが、「HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン」のように過去の栄光を追いかけても、時代や業界がすっかり様変わりした今、成功する確率は低いのではないでしょうか?

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「Xファイル」は、13年振りに画面に復帰。記念すべきプレミアだと言うのに、プロモ用に配られたのはパクパク占い。SFに似つかわしくないローテクだ。 (c) Meg Mimura

4)一気觀に対抗するため、NBCが始めたミュージカルのライブ放送に見習って、Foxは今春「グリース」とイースターを祝う「The Passion」を予定しています。スポーツの生中継かミュージカルのライブ放送ミュージカルのライブ放送しかないと、地上波局は気が付いたようです。

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ジュリアン・ハフは、映画「グリース」でオリヴィア・ニュートン・ジョンが演じたサンディ役を見事にこなした。1月31日、3時間に及ぶライブ放送で日曜日の視聴率戦争に勝ったFox。昨年12月に放送されたNBCの「The Wiz」に僅かに劣る視聴率で、この傾向は今後当分続きそうだ。WENN.com

5)暗~~いドラマは、増え続ける一方で、青空シリーズで名を馳せたUSA、お偉方が変わって自分色に塗り替えようとする余り、暗さ度を上げているターナー系列局(TNTとTBS)にまで魔の手が伸びています。
USAは、先日ゴールデン・グローブ賞を受賞した「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」が好例です。TNTは「MAJOR CRIMES ~重大犯罪課」と「The Librarians」は打ち切りを免れたものの、「リゾーリ&アイルズ」は今シーズンを以って完了と発表がありました。今夏放送開始予定の「Animal Kingdom」や「Good Behavior」は女が仕切る犯罪者一家を描きます。TNTのカラーは、正に今塗り替えられようとしています。

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USAの暗いドラマの中で、ゴールデングローブ賞を獲得した「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」のプロモ用カード。裏面は、1月14日に実施されたパネルインタビューの座席表。 (c) Meg Mimura

6)アンチヒーローにとって代わる、アンチヒロインの相次ぐ登場も顕著な傾向と言えます。男女平等を謳っている以上、仕方がありませんが、極悪人は男の専門特許ではない!と言わんばかりに、次々とアンチヒロインが生まれています。前出TNT局の「Animal Kingdom」と「Good Behavior」、Starz局から「The Girlfriend Experience」、更にPBS(公共放送)からも「Dark Angel」が控えています。

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今夏のプレミアを控える究極のアンチヒロイン。エレン・バーキン(左)は、無法一家を仕切る極悪非道な母親を演じる。一方、ミシェル・ドッカリー(右)は、「ダウントン・アビー」の高飛車メアリーから、出獄したばかりの詐欺師に変身する。WENN.com


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