エイダン・ターナー、ポルダークを語る - ハリウッドなう by Meg
海外ドラマのプレゼントに応募
TVGROOVE BLOG
プロフィール

Meg
ハリウッドを拠点に活動するテレビ評論家。Television Critics Association (TCA)会員として年2回開催される新番組内覧会に参加する唯一の日本人。Academy of Television Arts & Sciences (ATAS)会員でもある。アメリカ在住20余年。

プロフィールをもっと見る

月別アーカイブ

Category一覧
最新記事
最新のコメント

サラ・ラファティ、同い年ですが最高に可愛らしくてセクシーですよね。・・・
(2015年10月17日)

初めまして、失礼します。とてもとても気になっている作品で、日本語の記事・・・
真奈美(2015年9月 4日)

「レザレクション」のコメント、ありがとうございます。私は地味なドラマが・・・
Meg(2015年2月23日)

検索ワードを打ち込んだら、たまたまこちらにたどり着きました。 地味めな・・・
リョウ(2015年2月 5日)

初めてコメントさせて頂きます。 外からで窺い知れないプレスツアーの模様・・・
usagy(2012年9月29日)

おおー!TCAの内幕面白い!w EMMYもTCAもノミネート作がマンネ・・・
sao(2012年7月 2日)

megさんはじめまして! Suitsの大ファンの一人として、パネルディ・・・
sao(2012年7月 2日)

RSS
このブログのRSS RSS
全てのブログのRSS RSS

ハリウッドなう by Meg

前の記事:
「This is Us」トレーラーに感銘を受けた人達を繋ぎ止めておけるか?
次の記事:
SFは苦手でも「Timeless」は面白い!

エイダン・ターナー、ポルダークを語る

英国では既に「ポルダーク2」の中盤あたりですが、米国では13ヶ月振り、9月25日から再開されました。シーズン1がロス・ポルダーク(エイダン・ターナー)の逮捕と言う崖っ淵で終わり、シーズン2の第一話は判決がおりるまでの過程を2時間で描きます。


Poldark2_Ep1.jpg
絞首刑に処せられるかどうかの裁判。ロス(ターナー・左)は、飽くまでも無罪を主張し、公平な社会ではないことを指摘するが、弁護人は信条を貫くより、家族の身になって折れることを勧める。判決は? Courtesy of Mammoth Screen Ltd.


このコーナーでは、2015年6月22日に「凛々しいエイダン・ターナーにうっとり!真の英雄『Poldark』放送開始」やエイダン・ターナーの変身振りを16年9月6日の「夏のプレスツアーのハイライトーエイダン・ターナー、レイチェル・ブルーム」でご報告しました。待ちに待ったシーズン2再開にあたり、今回は7月28日番宣に駆けつけたターナーと交わした英雄論を披露します。


18世紀グレートブリテン王国コーンウォールの名家ポルダーク一族の長編冒険談「ポルダーク」は、米国ではPBS(公共放送) MASTERPIECEシリーズ「ダウントン・アビー」の後釜として登場しました。一族の中で主役格はポルダーク分家の長男ロス(ターナー)で、アメリカ独立戦争で戦い、負傷して帰郷します。心身ともに傷ついたロスを待ち受けていたのは、父親の死、荒れ果てた分家の土地、廃坑、将来を誓い合ったエリザベス(ハイダ・リード)と本家の跡取りフランシス(カイル・ソラー)の婚約でした。お先真っ暗!?絶望の淵に立ったロスが、準貴族階級に後ろ指をさされながらも、型破りな選択と決断でどん底から立ち上がり分家を立て直す過程が描かれます。


PoldarkElizabeth.jpg
米国に出征する前に、ロス(ターナー)とエリザベス(リード)は、将来を誓い合うが、3年後帰郷した時には、エリザベスは本家の跡取りフランシス(ソラー)と婚約していた。未だにエリザベスを見るロスの目は、「逃がした魚は大きい!」を物語る。初恋の相手だし、本家に嫁いだエリザベスと、事ある毎に顔を合わせないといけないのも忘れられない理由である。 Courtesy of ©Robert Vigiasky/Mammoth Screen for MASTERPIECE


第一話で助けた家出少女デメルザ(エレノア・トムリンソン)は、ボロ家で飯炊きからポルダーク夫人に昇格、病に倒れた本家一家を看病して帰宅したものの、二人が溺愛していた幼い娘はデメルザから感染し、あっけなく死んでしまいます。ロスの帰郷から、結婚、長女を失うまでが目まぐるしく描かれ、もう少し時間をかけて欲しかったな~と思います。喪失の種類こそ違え、あそこまで次々と畳み掛けられると、癒しの間がなく、息を詰めたままシーズン1を観たような疲労感を覚えました。古い小説を基にしているだけに、もう少し緩やかに時が流れるものと期待していましたが、我慢のない現代人のペースに合わせるためか、3~4倍速で帰郷から逮捕に至りました。長編小説12巻の1~2巻を8話で綴るのも、この異例の3~4倍速に寄与しているのでしょう。このペースで行くと、6シーズンは継続する計算になります。


PoldarkBehindScene.jpg
家出少女デメルザ(トムリンソン・左)は、ロス(ターナー)に拾われて、ボロ家に戻ってくる。父から貰い受けた使用人は、飯炊きは疎か一番きつい野良仕事をデメルザに押し付けるが、文句も言わず働く。ある日、突然ロスの妻に昇格して、周囲の嫉妬を買うことに。 Courtesy of ITV pic (ITV Global Entertainment Ltd.)


アンチヒーローの横行に飽き飽きしている私にとって、「ポルダーク」は何度観ても飽きない壮大なドラマです。ポルダークは常に正しいことをしようと努力し、過ちから学んで成長して行く私の英雄なのです。ところが、シーズン1終了後、オンラインでターナーのインタビューを片っ端から観たところ、「ポルダークは英雄ではない!」と断言しています。はー???開いた口が塞がりません。私好みの英雄を十二分に映像化し、最近とみに欠乏している勇気と希望を与えてくれたのに、イメージをぶち壊すこの発言は何なのでしょう?以来、次回ターナーにお目もじできたら、絶対に聞こう!納得が行くまで説明してもらうぞ!と、待ち構えていました。


PoldarkOnHorse.jpg
’弱い者イジメ’は、人間の風上に置けぬと戦争体験で学び、故郷コーンウォールで平等な社会を築こうと心身を傾ける馬上のポルダーク。乗馬は得意と断言したものの、海辺の草原を馬で駆け抜けるシーンで撮影1日目が始まると聞きつけ、「ヤバイ!と思って、特訓を受けましたよ!」とは、ターナーの裏話。 Courtesy of ITV pic (ITV Global Entertainment Ltd.)


今夏のパネルインタビューには、トムリンソン、ターナー、リードの3人が登場し、質問が2015年のインタビューより分散され、シーズン2の種明かしは当然無く、特に面白い裏話も飛び出しませんでした。昨今のアンチヒーロー横行風潮に逆らうポルダークの人となりは?と尋ねられ、「とんでもない欠陥人間です」と答えたターナー。非の打ち所が無い人間なんて存在する訳がありませんから、欠陥は許せるんだけど....と密かに思っていると、「今で言う『仕切りたがり屋』ですね。何をするにもお山の大将でないと気が済まないし、人に任せられない性格って言うか....何でも自分で差配したがるタイプ。追い詰めると、冷淡、猪突猛進の自己チューで根性の悪い男に変身するしね」と畳み掛けました。えーっ!!!それって、誰のこと?私の英雄を引きずりおろすのは止めてください。


PoldarkTriangleTCA.jpg
番宣に駆けつけた(左から)トムリンソン、ターナー、リード。トムリンソンは当初、エリザベス役でオーディションを受けたが、翌日家出少女デメルザの扮装で挑戦して登板が決まった。ターナーはアイルランド出身、リードはアイスランドからロンドンに引っ越して9年、俳優修行中で登板。 (c) Rahoul Ghose/PBS


パネル後、場所を変えて午後の紅茶パーティーが開催されました。レッドカーペットを歩き終えた直後のターナーを捕まえて聞いてみました。シーズン2を演じてポルダークを見る目が一変したらしく、「失敗ばかりの男。やってしまってから気が付くんだけどね」と’欠陥人間’を語ります。若気の無分別からやらかす失敗は、無茶ではあっても、悪意から生まれた過ちではありません。完璧な人間しか英雄になれないとターナーは信じているのでしょうか?ポルダークは、阿漕を絵に描いたようなフランク・アンダーウッド(「ハウス・オブ・カード」)とは訳が違います。


押し問答の末、ターナーは止めを刺すように’謎だらけの不可解な男’、’無法者’、’裏切り者’、’反逆児’等の言葉でポルダークの影の部分を浮き彫りにし始めました。ぎょっ!最早、英雄の定義の差どころの話ではありません。米国人の英雄崇拝が度を超えているため、英雄のレッテルを貼ることに拒絶反応を示すターナーの私感が口を付いて出たのでしょうか?謙遜な西欧人として「英雄役を演じています」と宣言できないとも考えられます。ポルダークを英雄と称しても、ターナーの自画自賛ではないので、何の支障もないと思うのですが....あるいは、今後永遠に英雄役しか回って来なかったら困るな~の不安から英雄と呼びたくないとも読み取れます。思い起こせば、私が出席したいずれのパネルインタビューでも、ターナーの口から英雄と言う言葉は聞きませんでした。


TurnerSeriously.jpg
モニターを見て演技を確認するターナー。「ビーイング・ヒューマン」のミッチェル役同様、感情表現に幅があり、激情のみでなく、繊細さも十二分に表現できる役者だ。 Courtesy of ITV pic (ITV Global Entertainment Ltd.)


映画とは異なり、テレビシリーズは有機体です。状況に応じて変化を遂げて行くのが常識で、制作関係者しか知らない裏事情が多々あって、私など知り得ない無数の軌道修正が日々加えられているに違いありません。私は、シーズン2の第二話までしか観ていない上、原作を手にしたことさえありません。ポルダークを知り尽くしているターナーの発言には、それなりの理由や背景があるに違いありません。英雄か?否か?の判断は、もう少し先送りした方が良いのかなぁと思いつつ、インタビューを締めくくりました。


さて、シーズン2は、妻デメルザと本家に嫁いだエリザベスの間で揺れ動くロス・ポルダークの私生活と、家柄や権力を誇る準貴族階級対、財力で権力と家柄を手に入れようと躍起になる成金階級の激戦が描かれます。ロスは生まれ持った家柄やそれに付随する’力’には無頓着で、貧民を助けたり、地域を潤す手助けができないのなら、階級など何の役にも立たないと、炭鉱に資本投資してくれる人を探します。一方、幼い頃からロス・ポルダークになりたい!と憧れてきたジョージ・ウォーレッガン(ジャック・ファーシング)は、鍛冶屋から叩き上げた成金三代目で、当時台頭し始めた銀行家と言う名の商人です。ロスに依存して生きる家族、鉱夫や使用人の輪が広がった今、独り身の時に通用した善悪の判断ができなくなりました。信念を貫けば、波紋は大きく、遠くまで広がります。世渡り術を学ぶしか生きる道はないのでしょうか?ジレンマ続きのシーズン2は、益々面白くなりそうです。


Poldark2Poster.jpg
ターナーは、18世紀英国の乗馬用の丈の長いコートと、実用的な工夫を凝らした帽子が大いにお気に入り。シーズン2の番宣ポスターにしたい美しい構図だ。 Courtesy of ©Robert Vigiasky/Mammoth Screen for MASTERPIECE


英文の「ポルダーク」評を発表した後に、BBCのシーズン2の番宣トレーラーを観ました。英国ではロス、妻デメルザ、’元カノ’エリザベスの三角関係にスポットライトを当て、ロスが紳士ではないかも?を前面に押し出しています。シーズン2は、「英雄色を好む」的スキャンダラス路線を狙っているように見受けます。道理で、’英雄’のレッテルを引っぺがしたい訳だ~~と勝手に謎解きして納得している私です。


前の記事:
「This is Us」トレーラーに感銘を受けた人達を繋ぎ止めておけるか?
次の記事:
SFは苦手でも「Timeless」は面白い!

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
https://www.tvgroove.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/2648

最近の記事

▲ TOP