ポール・アデルスタイン共作「Imposters」登場。「The Catch」「Good Behavior」に次ぐペテン師のドラメディー横行は現代社会の何を物語るのか? - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

ハリウッドなう by Meg


前の記事:
トランプ対策一色の17年冬のプレスツアー
次の記事:
3月13日午後9時放送のDLife開局5周年スペシャル 海外ドラマSO!選挙SPに出演。

ポール・アデルスタイン共作「Imposters」登場。「The Catch」「Good Behavior」に次ぐペテン師のドラメディー横行は現代社会の何を物語るのか?

(2017年3月 9日)

2017年冬のプレスツアーでは、セット訪問時のインタビューも含めて、総計143回のパネルが実施されました。その中から、期待の新作をご紹介しましょう。

2月7日から放送されているBravo局の「Imposters」は、同局初のドラマ「Girlfriends' Guide to Divorce (GGD)」とコメディー「Odd Mom Out」に引き続き3本目のオリジナルドラマです。「GGD」パイロットを演出したアダム・ブルックスと、演出だけでなく脚本も手がけ、ジェイク役までこなしていたポール・アデルスタインの共作です。「演出に興味があったので、パイロットですっかり意気投合したアダムに勝手に弟子入りしてつきまとって、質問攻めにしたんだ。何から何まで吸収したかったから」とアデルスタインが語りました。

PaulAdelstein01.jpg
ポール・アデルスタインは、日本では「プリズンブレイク」や「プライベートプラクティス」で有名になった俳優だが、個人的には映画「SAYURI」以来の長いお付き合い。奥方ライザ・ウィールにも、「ギルモア・ガールズ」でインタビューさせてもらったことがある。「GGD」の離婚過程を余りにも生々しくアデルスタインが描いていたので、経験もなくあそこまで書けるとは、才能だ!と感心していたが、つい最近ウィールとの離婚が報道されてがっかりした。鴛鴦夫婦だと思っていたが 、実は....と言うことらしい。 WENN.com


アイデアはブルックスのもの。「長年連れ添った伴侶をどこまで知っているか?蓋を開けて見たら、何も知らなかったってよく聞く話だから....」が制作の動機だと言います。最初は独りでコツコツ脚本を書いていたそうですが、「一緒に制作しませんか?」とアデルスタインに持ちかけました。渡りに船と乗ったアデルスタインは、以来西海岸と東海岸を行ったり来たり、他にもいくつもプロジェクトを抱えているので大変です。(ここだけの話、お互い仕事が忙しくてすれ違い夫婦だったのでしょうね。よくある話です。)


Imposters


結婚詐欺に引っかかったエズラ(ロブ・ヒープス)、リチャード(パーカー・ヤング)、ジュールス(マリアン・レンドン)が、何故?を元妻に問いただすために、詐欺師追跡の旅に出ます。一文無しで放り出された被害者三人が目的地に到達すべく、自らペテンを働くようになる様子が、哀しくもコミカルに描かれています。本人の口から、何故?を聞きたい、聞かなければ前進できない捨てられた人間の心理が軽いタッチで巧みに描かれています。


一方、ザ・ドクターと呼ばれる謎の人物の指令を受けて、標的に如何に接近して大金を巻き上げるかを計画する、結婚詐欺グループ三人の陰謀や巧妙な手口が並行して描かれます。本名マディー・ジョンソン(インバー・レヴィー)は、美貌と甘ったるい声で標的好みの女に変身し、心を奪います。標的がメロメロになっている間に、グループのリーダー格マックス(ブライアン・ベンベン)とベテラン詐欺師サリー(キャサリン・ラナサ)が背後で動いて、脅しのネタや隠し財産などを探り当てるのが段取りです。

InbarLavi01.jpg
インバー・レヴィーは、次々と標的好みの女に変身するマディーを演じる。しかし、目の前にちょっと気になるパトリックが登場して、自分探しの旅に出ざるを得なくなり、仕事に嫌気が差すようになる。レヴィーはポーランド人の父とモロッコ人の母の間に生まれ、イスラエルで育った語学の達人。 WENN.com

エズラと両親の会社から大金をせしめた後、結婚詐欺グループはシアトルに向かいます。今回の標的は冴えない中年の銀行家。マディーはサフロン・キーズと名乗り、アシスタントになって職場に侵入します。そんな矢先、テクノロジー成金パトリック(スティーブン・ビショップ)と出会い、豪邸に招かれたマディーは、いつもの癖が出てパトリックの書斎に忍び込み、金目のものを探し始めますが....銀行家を誘惑して結婚するのが使命なのに、パトリックとの将来を夢見るようになり、自分は一体何を求めて生きているのだろうかと考え始めたから大変!仕事が捗らず、業を煮やしたザ・ドクターが手下を送り込みます。


アデルスタインは、「詐欺師は、標的が何を欲しているかを熟知していて、完璧な標本として自分を提示するから引っかかるんだろう」と言います。私の経験では、人間は恋人や伴侶にしたい「タイプ」を見つけた時点で、相手に求めている部分(例えば、’優しい’とか’几帳面’などの性格)のみを見て、のめり込んで行くものだと思います。いくら相手が全てをさらけ出したとしても、見たい部分のみ選り分けて、「この人だ!」と決めるのではないでしょうか?恋は盲目と言うではありませんか。


昨今登場した「The Catch」(2016年3月23日にご紹介)「Good Behavior」(16年12月19日にご紹介)がペテン師を描いたドラマですが、詐欺の最たる巨額詐欺を働いて服役中のバーニー・マドフを描くテレビ映画「The Wizard of Lies」も5月にHBOで放送されます。ペテン師が横行するには、最適のご時世なのでしょうか?レヴィーは、「人間は四六時中、騙されていると思うの。でも、へこまないで!まだまだ、夢と希望を捨てないで!って言いたいわ」と語ります。常識が完全に覆され、何でもありの世知辛い世の中では、最早「騙すより騙される方が良い」の論理は成立しません。個人的には、何故?を明らかにして欲しいと思うので、本作の3人に肩入れしています。


前の記事:
トランプ対策一色の17年冬のプレスツアー
次の記事:
3月13日午後9時放送のDLife開局5周年スペシャル 海外ドラマSO!選挙SPに出演。

最近の記事

▲ TOP