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ハリウッドを拠点に活動するテレビ評論家。Television Critics Association (TCA)会員として年2回開催される新番組内覧会に参加する唯一の日本人。Academy of Television Arts & Sciences (ATAS)会員でもある。アメリカ在住20余年。

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ハリウッドなう by Meg

ブランド嗜好のおしゃれな殺し屋とスパイになりたい冴えないMI5保安局員の一騎打ち。スパイスリラー「Killing Eve」はサイコパス対心理分析プロの心理戦を美しい映像とブラックユーモアで描く。

今春、私がお薦めする新ドラマのうち、一番暗~~いのがBBC America制作の「Killing Eve」です。通常、タイトルに'kill'の言葉が含まれているものは、パイロットさえすっ飛ばすことにしていますが、1月12日BBC Americaのパネルインタビューで、正反対の二人の女の摩訶不思議なイタチごっことして紹介されて、おおいに期待を寄せていました。


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番宣ポスター(c) BBC AMERICA/Sid Gentle Films Ltd.


米国では、4月8日にデビューしましたが、4月5日にシーズン2更新が既に発表されており、局の肩入れ度が伺えます。シーズン1は全8話ですが、プレミア前に7話の視聴が許され、更新の発表に大いに納得した次第です。スパイスリラーは、映画も含めて掃いて捨てるほどありますが、アクションで繋ぐ世界を股に掛けたイタチごっこではなく、テレビシリーズにしか実現できない知能/心理戦が綴られる点がユニークです。最近珍しい「早く続きが観たい!」とわくわくするスリラーに仕上がっています。もっとも、惨殺シーンは例によって例の如くすっ飛ばし、日中に観ました。暗くなってから観ると、夜中に魘されそうです。


原作はルーク・ジェニングスのノベラ(中編小説)シリーズ4本の中から「Code of Villanelle」を土台にして、フィービー・ウォラー=ブリッジが書き下ろし、テレビ化しました。


イヴ(サンドラ・オー)は、英国軍情報部第5課(MI5)保安局で要人警護にあたるアラフォー局員。地味な仕事と平穏無事な結婚生活に満足していると主張するものの、イヴの夢は秘密諜報員になることです。退屈で死にそうになっていたある日、ウィーンでロシア人政治家の暗殺を目撃した女性がロンドンの保安局に護送されて来て、イヴの刺激的なキャリアが始まります。得意の犯罪心理分析と直感で、殺し屋は女と推理したイヴは、目撃者を尋問しようと病院を訪ねますが、トイレで意外な出会いが...


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(左)同僚ビル(デビッド・ヘイグ)は、女スパイなどあり得ないと言い張るが、イヴ(サンドラ・オー)の直感に一目置いて、ドイツに出張。(c) BBC AMERICA/Sid Gentle Films Ltd.


イヴの挑戦を受けて立つのは、過去2年10ヶ国で次々と要人を惨殺した’くノ一’ヴィラネル(ジョディ・カマー)です。乙女チックな外見とは裏腹に、人間が息を引き取る瞬間を満喫する殺しのプロ。ブランド志向のグルメで、パリのアパートで贅沢三昧の生活をしています。


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くノ一ヴィラネル(ジョディ・カマー)。当然のことながら、ピンクのドレスは仕事着ではない。(c) BBC AMERICA/Sid Gentle Films Ltd.

イヴは、ファッションセンス0、がさつで粗野そのもの。善良な夫ニコ(オーウエン・マックドネル)とは正反対で、心の闇や陰謀など「暗さ」に興味津々です。犯罪心理分析官イヴの目に映る殺し屋ヴィラネルは、冷酷、無慈悲、尊大、良心/恐怖心/罪悪感の欠如等、まるで教科書から飛び出したような完璧なサイコパスです。一生に一度あるかないかの好機を逃してなるものか!と、イヴは周囲の反対を押し切って、ヴィラネルに接近して行きます。追う側も追われる側も、正反対の世界に住んでいる故に、強く惹かれあいますが、職業柄友達になる訳にも行かず(?)、イタチごっこに没頭して行きます。


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(左から)イヴ(オー)、コンピュータの天才ケニー(ショーン・デラニー)、アシスタントのエレナ(カービー・ハウエル=バプティスト)、ビル(ヘイグ)。MI6の事務所で、捜査を検討する。(c) BBC AMERICA/Sid Gentle Films Ltd.

「プリティ・リトル・ライアーズ」のルーシー・ヘイルが放つ新作「Life Sentence」は、癌を克服した一家の再出発を涙と笑いで描く。8年間の犠牲と妥協が家族に残した傷は、想像以上に深い!?「目からウロコ!」満載のドラメディー。

CW局は、統合失調症を患う地上波局です。吸血鬼が幅を利かせていた頃は、視聴者ターゲットは17~34歳の女性と主張していましたが、SFモノやアメコミ実写版が大半を占めるようになった昨今は、14~27歳の男性が対象だと言います。2~3年毎に、コロコロと気が変わるのか、作風に応じて集まってくる視聴者が変わるため、ファン層=ターゲットと称するのか?等、首を傾げてしまうことが多い摩訶不思議な局です。カメレオンではあるまいし、局のカラーや対象が、いとも簡単に変わるのは、はっきり言って変ですよ!


4月2日、CW局が更新するシリーズ10本を発表しました。
「ARROW/アロー」
「ブラックライトニング」
「レジェンド・オブ・トウモロウ」
「The Flash/フラッシュ」
「スーパーガール」
「リバーデイル」

「クレイジー・エックス・ガールフレンド」
「ジェーン・ザ・ヴァージン」
「ダイナスティ」

「スーパーナチュラル」(シーズン14、300回を迎える長寿番組)

アメコミ実写版は数あれど、私はDCコミックスのTVシリーズの第一弾としてCWでデビューした「アロー」一本に絞っています。何を隠そう、オリヴァー・クィーンに抜擢されたスティーブン・アメルを観ているだけなのです。それでも、オリヴァーの過去の経緯を描くフラッシュバックが鬱陶しくて、一時は放棄しようかと考えました。あそこまで、これでもか!これでもか!とオリヴァーの過去を見せられると、食傷気味になります。話が行きつ戻りつ=ほとんど前進しないもどかしさと、延々と続くアクション・シーンにもウンザリしていましたが、最近、フラッシュバックとアクション・シーンを早送りですっ飛ばして観ることにしました。問題解決!です。


アメコミ実写版、SFモノ/ファンタジースリラーに加えて、時々評論家好みの「ジェーン・ザ・ヴァージン」「クレイジー・エックス・ガールフレンド」などの異色ロマコメと、クリエイターの思い入れの深い、ユニークなドラメディーやロマコメを発表するのも統合失調症を患う(?)CW局の特徴と言えます。特に今年から土曜日を除く週6日午後8~10時の2時間枠を埋めるため、異色作を増やす必要があるのかも知れません。


この評論家好みカテゴリーに属するのは、2016年10月25日にご紹介した「No Tomorrow」(2016~17年)、ブリット・ロバートソンのデビュー作「Life Unexpected」(2010~11年)、そして古くは、ルーシー・ヘイルがキャストの1人を務めた「Privileged」(2008~09年)です。いずれも短命で葬り去ったにも関わらず、懲りない(?)CW局は、今春又もやキラリと輝く「Life Sentence」を放ちました。


英文評


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CW


ステラ(ヘイル)は、15歳で癌を宣告され、家族に支えられて、我が人生に一片の悔いなしリストを片っ端から実行して、精一杯「死ぬ」準備をしました。最後の願いは、姉リンジー(ブルック・ライオンズ)のように、幸せな家庭を持つこと。パリで恋に落ちることを夢見ていたステラは、街を徘徊している英国人ウエス(エリオット・ナイト)に出会い、電撃結婚します。長くても、半年の命と言い渡されていたステラは、葬式ケーキまで注文して覚悟していたのですが、臨床試験薬が効いて、生命拾いします。


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1月7日に開催されたCW局のパネルインタビューは「Life Sentence」と「ブラックライトニング」の2本。会場入口には、「Life Sentence」の巨大な番宣写真が飾られていた。(c) Meg Mimura


23歳にして、初めて終身刑(「Life Sentence」の意味)に処せられ、「生き」始めるステラです。しかし、第二の人生を始めるのは、ステラだけではありません。母アイダ(ジリアン・ヴィグマン)は父ポール(ディラン・ウォルシュ)を捨て、レスビアン生活を始めます。長女リジーは小説を書くと、幼い子供を夫ディエゴ(カルロス・ペナ・ヴェガ)に押し付け、山中に籠ってしまいます。プレーボーイを自負する長男エイダン(ジェイソン・ブレア)は、闘病中ステラには心の支えだったのですが、野心もなく処方鎮痛薬を売って食べている「負け組」です。


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「Life Sentence」をテーマにした朝食(?)が振舞われた。幸い、病院食ではなかった。(c) Meg Mimura

闘病中、病状に触るような厳しい現実は一切知らされなかったステラ。1日でも長く生きてもらおうと、家族全員が並々ならぬ努力、妥協をし、犠牲を払っていたのです。完治して初めて、綺麗事世界に隔離されて8年を生きたのだと悟ったステラは、完璧な家族が音を立てて崩れて行くのを目前にして、後ろめたさで心中穏やかではありません。恩返ししたいと思うものの、23歳にもなって就職したことも自立したこともありません。「死ぬ」準備に忙しくて、「生きる」術を取得していなかったからです。


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カフェラテのフォームミルクにも、趣向が凝らされて、番宣に力が入っていた。(c) Meg Mimura


こうして自分探しの旅を余儀なくされたステラは、瞬く間に冷たい現実の壁にぶち当たります。もう誰も応援してくれないのか?お互い何も知らずに結婚した夫は、果たして頼りになるのか?これからどんな人間になりたいのか?等々、不安の材料は山ほどあります。危なっかしいながら、自分探しの第一歩を踏み出したステラの冒険を笑いと涙で綴るのが、「Life Sentence」です。


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番宣グッズは、「Life Sentence」のロゴ入りのスープカップ。(c) Meg Mimura


「どんな人間になりたいか?夢は?希望は?このまま結婚していても、大丈夫なのか?などをステラが追求する行程を描くのよ」とヘイルは、このドラメディーへの熱い思いを語りました。私は幸い、癌患者の側にいた経験がありません。ステラを守るために、家族が払った犠牲が語られる毎に、目から鱗が落ちる思いです。癌と闘ったのはステラだけではないのです。一家全員が癌の被害者です。何度も、「御もっとも!」と唸ってしまう、未知の世界に誘ってくれる作品なので、是非長く続いて欲しいものです。


しかし、3月7日にデビューしたばかりと言うのに、既に放送日を水曜日から金曜日に移されてしまいました。米国では、金曜日は誰もテレビを観ていない日と見下され、打ち切りを待つだけの煉獄なのです。やばい!ですよ。もっとも、「クレイジー・エックス・ガールフレンド」と「ジェーン・ザ・ヴァージン」は金曜日枠に追いやられましたが、いずれも更新が発表されていますから、「クレイジー・エックス・ガールフレンド」と対にして、継続してもらえないかしら?と希望的観測をする私です。

良妻賢母だけが女じゃない!「デスパレートな妻たち」2018年版ドラメディー「Good Girls」も、崖っぷちに立つ女たちを哀しく可笑しく描いて爽快、爽快!

前回、18年冬のプレスツアーでは、セクハラが話題の中心だったとご報告しましたが、現在のトレンドは解雇処分になったセクハラ加害者の後釜に座る、あるいはエンタメ業界のトップの座に最も無難な「女性」の起用です。更に、有色人種の女性であれば、男尊女卑、セクハラ、あらゆる意味の’差別’を回避することができるので、一石二鳥いや一石三鳥も四鳥も可能で、今正に真の「女の時代」が始まったように見受けます。


この世相を反映して、今春の新作の女主人公は、「グッドワイフ」のアリシア級のデキる女に違いないと期待していましたが、数ある春の新番組の中から、女のドラマ一辺倒の私がお薦めできるのは、僅か三本しかありません。期待し過ぎたのもありますが、よく考えてみれば、今春デビューするドラマは、1年も2年も前から企画されていた作品だからです。来秋を期待しましょう!


2017年のパイロットの中で、粗筋だけ読んで「これっ!」と思ったのが、今回ご紹介する「Good Girls」(NBC)です。配役など一切知らない時点から、期待に胸を膨らませていた作品ですが、待つこと1年余り。昨秋に間に合わなかったのは、配役変更で、パイロットを撮り直す必要があったからです。プレスツアー準備の為に送られて来た3話は、「デスパ」2018年版と言える、崖っぷち女の哀しくて可笑しいドラメディーに仕上がっていました。


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NBC Universal

去る2月26日のプレミア直前に発表した英文評はこちらをご覧ください。

英文評のリンク


ベス(クリスティーナ・ヘンドリックス)は、4人の子育てに余念が無い専業主婦の優等生。夫ディーン(マシュー・リラード)は中古車販売店を経営、6人家族は羽振りよく暮らしていました。ある日、夫の浮気と遣い込みに気が付いたベスは、キレまくり、勢いに任せて夫を追い出します。子供の為に持家だけは守らねば!と覚悟したものの、手に職の無いベスには滞納していた住宅ローンを払う手立てがありません。


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ベスを演じるクリスティーナ・ヘンドリックス(左)とアニー役メイ・ウィットマン。ヘンドリックスは登板の条件として、「過激な部分を切り捨てないとNBCから確約を取付けたの」と言う。ウィットマンは、「これまで自分を押し殺して生きて来た女性に、羽ばたいて欲しいから引き受けた」と母親役への抱負を語った。 WENN.com


アニー(メイ・ウィットマン)は、姉ベスとは正反対の無責任、無鉄砲を絵に描いたようなシングルマザー。スーパーのレジ打ちをして、「ギルモア・ガールズ」風友達親娘を楽しんでいましたが、元夫グレッグ(ザック・ギルフォード)に養育権を奪われそうになっています。弁護士を雇う余裕など皆無、娘を諦めるしかないのかと切羽詰まっています。


ルビー(レタ)は、夫スタン(リノ・ウィルソン)と子供2人と幸せに暮らしていましたが、娘が難病にかかり治療に毎月1万ドルを工面しなければなりません。ダイナーのウエイトレスには、逆立ちしても無理な額です。しかも、ショッピングセンターの守衛では飽き足らず、夫は警官になると学校に通い始める始末です。


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ルビーを演じるレタ。「Girlfriends' Guide to Divorce」(Bravo局)での脇役から主要キャストに昇格したのは、レタの演技力の賜物だ。ここ数年、活躍の場が増えて、浮上して来た黒人女優の一人。 WENN.com


スーパーの金庫に常に大枚が保管されていることを知っているアニーの薦め(?)で、切羽詰まった良い子ちゃんトリオは強盗を働きます。うまく逃げ果せたものの、予想だにしなかった問題が次々と発生します。地元のヤクザから取立てられる、チンピラに脅迫されるは、崖っぷちトリオは「普通の主婦に戻りたい!」と言いますが、今更後の祭りです。シーズン1は、良妻賢母だけが女じゃない!と武器(?)を手にした良い子ちゃんトリオが、毎回深みにはまって行く様子を面白おかしく描きます。


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(左から)無鉄砲アニー(ウィットマン)、ペテン師顔負けの口八丁手八丁ベス(ヘンドリックス)、歯に衣着せぬ物言いの超現実派ルビー(レタ)の仲良し3人組。トリオの会話は、即興のセリフ満載で絶妙。 Josh Stringer/NBC


「Good Girls」の舞台は、自動車の街デトロイト。良い子ちゃん3人組は、働けど働けど我が暮らし楽にならずの労働階級で、贅沢する為ではなく、男に頼っていては埒が明かないと立ち上がります。高級住宅街で繰り広げられる裕福な家庭を守るのが「デスパ」なら、一攫千金を夢見て敢えて危ない橋を渡る労働階級を描くのが「Claws」(17年7月24日にご紹介したフロリダ・ノワール)ですから、「Good Girls」は丁度中間辺りに位置すると言えます。但し、一難去ってまた一難の茶番劇が3作の共通項です。


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1月9日に開催された「Good Girls」のパネルインタビュー。左から、クリエイターのジェナ・バンズ、ヘンドリックス、レタ、ウィットマン。バンズは「過激なシーンはご法度!の御達しはなく、好き勝手させてもらってる」と告白。地上波局が何とかケーブル局の「暗さ」と肩を並べようとしている証拠だ。 Evans Vestal Ward/NBC Universal


クリエイターのジェナ・バンズは、「絶望の崖っぷちに立つ女は、コメディーそのもの」と言います。崖っぷちから奈落の底に真っ逆さまに落ちて行くトリオは、「普通の主婦に戻りたい」と言いますが、「普通」って何なのでしょう?一旦、悪に手を染めてしまうと、人間普通には戻れません。法律や道徳に一瞬目を背ければ、あくせく働かずともお金になるのです。今更、辞められない、止まらない!とは言え、他人事だから大いに笑えます。但し、家族を守ると言う大義名分が立てば、何をしても良いのでしょうか?トランプ政権下では、そんな屁理屈がまかり通りそうで、追い詰められた者の怖さを実感する今日この頃です。

セクハラ、ディズニーのFox買収に明け暮れた18年冬のTCAプレスツアー。トランプの悪政1年を耐えた疲労感、倦怠感は顕著ながら、背景化した感あり

2018年冬のTCAプレスツアーは、1月4日から2週間に渡り、パサデナにあるランガム・ホテルで開催されました。今回のツアーは珍しく地上波局から始まり、公共放送PBSで無事終了しました。

スケジュール
1月4日 Fox
1月5日 FX
1月6日 CBS/Showtime
1月7日 CW
1月8日 Disney ABC
1月9日 NBC Universal
1月10日 セット訪問
1月11日 ケーブル局 (HBO, Turner, AT&T Audience Network, BritBox)
1月12日 ケーブル局 (BBC America, ESPN, Starz, Discovery, IFC)
1月13日 ケーブル局 (YouTube, ナショジオ, AMC, AMC/Sundance Now, Hallmark)
1月14日 ケーブル局 (Hulu, POP, Crackle, A+E Networks, A+E/Lifetime)
1月15日 ケーブル局 (Paramount Network, Viacom Networks, Acorn TV, Snap, Inc.)
1月16日 PBS
1月17日 PBS

ストリーミング会社は、昨年夏からケーブル局のマーケティング団体CTAMに組み込まれたため、CTAM枠内に企画されるようになりました。但し、今回もNetflixとAmazonは姿を現しませんでした。新局は、英国作品のみを扱うBritBoxとパラマウント映画系のParamount Networkです。此の期に及んで、新たにテレビ局を開設する意味があるのでしょうか?


17年冬のTCAプレスツアーは、トランプ就任前だったため、各局が作品の中でいかにトランプ支持/打倒を表現するのか、特に米国大統領の役柄が組み込まれている作品の制作陣に質問が集中しました。ところが、蓋を開けてみると、トランプ嫌いを歯に衣着せず表明したのは、「グッドワイフ」のスピンオフ作品「The Good Fight」のみでした。トランプに一票を投じた事実を認め、’黒人の、黒人による、黒人のための’法律事務所に居た堪れなくなったジュリアス・ケイン(マイケル・ボートマン)の逸話は、’オバマランド’と呼ばれるシカゴの現状を物語っているのでしょう。去る3月4日に再開された「The Good Fight」シーズン2では、初っ端から「トランプ罷免」の言葉が飛び交い、「民主党支持のシカゴ市民が罷免に持ち込むための法的手続きに着手する舞台裏を描く」とクリエイターのキング夫妻は語りました。辛うじてとは言え、未だにホワイトハウスに君臨しているトランプの祟りは怖くないのだろうか?と制作陣の勇猛果敢さに仰天します。テレビ好きのトランプとは言え、何もかも観る時間はないでしょうし、ドラマの本数が多過ぎて、網羅し切れていないのでしょう。知らぬが仏(誰が?)かも知れませんね。


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「グッドワイフ」シーズン1から、人種差別を訴えつつも、常に「こうもり」として描かれていたジュリアス・ケイン(マイケル・ボートマン)。スピンオフ「The Good Fight」には、’黒人の、黒人による、黒人のための’法律事務所の一員として再登場。トランプに投票した唯一の裏切者として爪弾きにされ、小さい事務所に一時避難する逸話があり、シカゴの現状を物語った。同作2では、第一話から元の法律事務所で投票権を持つパートナーとして活躍するが、「こうもり」ケインはいつ、どう寝返るか判らない。WENN.com


トランプ就任以来、米国は悪ガキを退治しようとあの手この手を打ったものの、何の効果もなく、辟易の頂点に辿り着いた被害者の疲労感と倦怠感に浸っています。異常が平常になって1年。根負けした反トランプ派常識人は、悪ガキに立ち向かうどころか、怒涛の毎日をやっとの思いでこなしているのが現状です。因みにこの「何をやっても無駄!」と認知し、闘う努力さえしなくなった心理状態を、学習性無力感/絶望感と呼び、鬱病の一歩手前と心理学者は定義しています。米社会も私生活でも、二進も三進も行かない状況に置かれた私は、今正に学習性無力感/絶望感のどん底です。但し、「もう、良い加減にして!」と叫びたいのは、私だけではないのだと、今回のプレスツアーで再確認しました。


しかし、今回のプレスツアーでは蔓延する「トランプ疲れ」は単なる背景と化し、昨年10月に発覚したハーヴェイ・ワインスタインに端を発したセクハラ訴訟、告発が引き金となり、業界でセクハラをどのように扱うかに焦点が絞られました。幸い私はワインスタイン兄弟と接触したことはありませんが、報道された時に、「それって、公然の秘密?」ではと思いました。しっかりと裏工作をして口封じしていたからですが、火のない所に煙は立たぬと言うではありませんか?ワインスタインやケヴィン・スペーシー、マット・ラウワー(NBCのニュースキャスター)の3人は「然もありなん!」納得組に分類できます。実際に会った人当たりの良い芸能人が次々と解雇処分され「ブルータス、お前もか!」組に入れたのは、FXコメディーの希望の星だったルイ・CK 、マーク・ハイレマン(「The Circus: Inside the greatest political show on earth」で活躍していた政治ジャーナリスト)、定年間近のチャーリー・ローズ(PBSやCBSで活躍していたベテラン・ニュースキャスター)です。この3人が活躍していた局が、即刻解雇処分したのは驚きで、ワインスタインのセクハラ騒動は、これまでとは全く異なる展開を見せています。業界の恥部をこの際に、根から切り取ってしまおうとの動きでしょうか?ワインスタインに限られていた時点では、俳優ビル・コスビーの前例があるだけに、いくら著名な被害者が名乗りをあげても、十把一絡げにされて、示談で処理されるのかと懸念していましたが、件数の多さと刑事事件として捜査中の申し立てもあって、ワインスタインはとんずらを決め込んだまま、卑怯にも姿を見せません。もっとも、この下地を築いたのが、内部告発でセクハラ容疑が浮上したフォックス・ニュースCEOロジャー・エイルズの辞任(退職金をたっぷりともらって)と、Fox局の看板男(超右派の)ビル・オライリーの解雇事件です。


今回のプレスツアーには、新作の番宣に駆けつけたミラ・ソルヴィーノ(AT&T Audience Networkの新作「コンドール」)とローズ・マッゴーワン(E!局の新ドキュメンタリー・シリーズ「Citizen Rose」)が、ワインスタインの職権を乱用したセクハラと嫌がらせの被害者で業界追放の促進力となった張本人です。


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ミラ・ソルヴィーノは、ワインスタインの執拗な要求を蹴ったため、女優として羽ばたく前に翼を折られてしまった被害者の一人。オーディションさえ受けられなかった映画「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が、ミラマックス社から「ソルヴィーノとアシュリー・ジャッドを配役するな」と圧力を掛けられた事実を認めたことについて「やっぱり、組織的に足を引っ張られてたんだ!って、涙が出たわ。20年、そうじゃないかって思ってたの。確証をありがとう。でも最近、仕事が入ってくるようになったのよ」と涙ぐましい発言。「扱い難い女優」のレッテルを貼られ、人生を狂わされたソルヴィーノだが、今後も逞しくしなやかに生きて欲しい!と応援したくなる。WENN.com


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「チャームド~魔女3姉妹」の頃の面影もない、ローズ・マッゴーワン。パネルインタビューに登場する前に、「あいつの名前を出さないで!」とビデオで指図。ソルヴィーノと比べて、まだまだ傷が深いのか、男嫌いなのか、「大丈夫?」と言いたくなるような言動だった。気狂い呼ばわりしたメディア、~~運動、応援している振りをしたメリル・ストリープ、’バケモノ’の味方をしたNetflix、更に業界全体に物申す!と周囲を全て敵に回しては、空回りに終わるのに...WENN.com


ゴールデン・グローブの授賞式に、女性が団結を象徴して黒衣で参加し、全世界に訴えたこともあって、プレスツアーではほとんど毎日のように、1)内部告発があったので、セクハラ疑惑を捜査中、2)容疑が浮上したので解雇処分にした(ブライアン・シンガー「The Gifted ザ・ギフテッド」「レギオン」のエクゼクティブ・プロデューサー、アンドリュー・クライスバーグ「スーパーガール」「ARROW/アロー」「The Flash/フラッシュ」他)が発表されました。


容疑が晴れたのは、30年の芸能生活のどこかで誰かに告発されたらしいロバート・ネッパーです。但し、「iゾンビ」の制作現場では問題無しと、現在レギュラー出演中の作品に限定されている点が気になります。又、アリー・シーディーのツイートが曖昧で「容疑をかけるなら、顔を出せ!」と居直ったジェームス・フランコは、HBOの「The Deuce」に現在出演中のため、HBOが敢えて持ち出し、容疑は晴れたと発表しました。フランコの演劇学校の生徒5人からセクハラ告発があった事実は、完全に無視されている上、このセクハラ疑惑が実際に捜査されているのか、闇に葬られたのかは不明です。いずれのケースも、過去を遡って調べれば続々と疑惑が浮上するので、臭いものには蓋!式に、「iゾンビ」と「The Deuce」に限って確証は出なかったと言うことなのでしょう。


PBSのポーラ・カーガー社長兼CEOに至っては、インタビュー番組を持っていた前出のチャーリー・ローズと地元LAのタヴィス・スマイリーを解雇した経緯を発表しました。ローズは既に確証が上がっていたので解雇を即決、内部告発だったスマイリーは、セクハラ専門の調査会社に委託した結果の解雇であることを明らかにしました。公共放送は6割強を個人の寄付でまかなっているので、透明にする必要があったものと思われます。又、映画「トゥルー・ライズ」で36歳のスタントマンからセクハラを受けたと最近公表したエリザ・ドゥシュクに対して、「今更だけど、当時聞いていたら、何とかできたのに、残念です」と述べたのは、同作を監督したジェームス・キャメロンでした。本当に、今更ですね...12歳のドゥシュクにそんな勇気があると思いますか?


昨年10月から毎日のように、セクハラ騒動の被害者と加害者が公表され、今日は誰かな?と楽しみにするようになりました。今年に入って下火にはなったものの、エンタメ業界で働く職権濫用できる立場にある男性は、身に覚えがある人も無い人も、いつ何時容疑をかけられるか、暴露されるか、毎日ビクビクしているに違いありません。#MeToo(私も被害者!と名乗るセクハラ告発運動)や#Time's Up(男どもに足蹴にされるのは、もう沢山!男尊女卑&セクハラ撲滅運動)等に代表される女性解放運動に拡大した現状を考えると、この’おっかなびっくり’が作品にいかに影響するのかは、大いに興味のある所です。


しかし、「グレイズ・アナトミー」「スキャンダル」で、職場恋愛を奔放に描いて来たションダ・ライムズは、相変わらず評論家の揚げ足を取りながら、のらりくらりと質問を交わしました。これがライムズの常套手段なので、まともな答えは期待していませんでしたが、「私の作品には、現実には起こり得ないことは山とあるわ。ファンタジーの世界だもの」と述べました。ファンタジーなら職場でくっ付いたり離れたりは許されるのか?の質問に、「『スキャンダル』は残り数話だから、ネタバレは避けたいわ。それに、最終章では恋愛は関係ないし。『殺人を無罪にする方法』については、ピート(ノーウォーク)に聞いて頂戴」と逃げの一手です。ライムズのお墨付き番組に関しては、暗に「私の作品じゃないから、クリエイターか脚本家に聞いてくださいな」とまるで他人事のように言います。的外れな答えで、時間を無駄にしないでくださいな!と言いたくなります。


テレビ業界にとって2017年の一大事は、何と言っても、12月に報道されたディズニーのFox買収劇です。Fox, Fox News, Fox Sportsのみを残して、21世紀フォックス社傘下の20世紀フォックスの映画とテレビ部門をディズニーが買収、拡張する計画です。プレスツアー初日、Fox放送局の共同会長ゲーリー・ニューマンとデーナ・ウォルデンが朝一で、Fox放送局の今後について質疑応答を実施しました。

1)Foxの’現存’の番組がABCに鞍替えすることはない

2)二社間で合意は結ばれたものの、独禁法に触れないと連邦政府に正式認可されるまでに1年~1年半かかると思われる。認可が下りるまでは「通常の業務」を続行する=現在、宙ぶらりん状態と解釈できる

3)買収が成立しても、落ち着くまでには4~5年かかる

と、今年のパイロット制作には何の影響も無さそうな話です。良い子ちゃんの象徴のようなディズニー(+ABC)と、異端児が売りで登場したFoxを統合するには、それなりに時間をかけて、長期戦を覚悟しなければならないに違いありません。FXで数本のシリーズ、限定シリーズを世に送り出したライアン・マーフィーは、プレスツアー時には「様子を見て」で逃げ切りましたが、ライムズに引き続き、そそくさとNetflixに鞍替えしました。捨て台詞は「僕はディズニー風のものなんか書けないから」。テレビ業界の混沌は、まだまだ続きそうです。Netflixに対抗する為に、どんどん規模を大きくするしか手がない地上波局ですが、Appleがテレビ業界に殴り込みをかければ、Netflixですら勝てないとの記事を昨年末に読んだのですが....長い物には巻かれろと、降参する訳にはいかないのでしょう。

意外と面白い今秋の新作「The Brave」「The Orville」「Young Sheldon」。視聴率は?

2017~18年シーズンの秋の新作は、情け無いほど面白くありません。例年の如く、一応パイロット版は全て観たのですが、注目に値する作品が皆無に近い暗~いシーズンとなりました。


それでもめげずに、数話観たところ、うーん、なかなかの出来じゃないか!と感心したのが、NBCの愛国心バリバリの「The Brave」と「スタートレック」と見紛うFoxのSFモノ「The Orville」のドラマ二本です。


パイロットは、まあまあの出来でしたが、「The Brave」は主役のマイク・ヴォーゲルに惹かれて、しばらく我慢の子で観続けようと思っていました。「パンナム」に出演が決まった時に一度お目にかかったのですが、何と言ってもちょい役ながら映画「ヘルプ」でヴォーゲルの演じたキャラが好きで、地上波局の軍隊モノ新作の中から、俳優で選んでしまいました。


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左からマックG役ノア・ミルズ、ジャズ役ナターシャ・カラム、プリーチ役デミトリアス・グロス、諜報員アル・ライサニ役ハディ・タバール、特攻隊隊長のダルトン大尉役ヴォーゲル。(c) Jeff Riedel/NBC


内容は中東にお忍びで待機している特攻隊5人が、米国国防情報局(DIA)の指令で全世界の危機やテロに対処するアクション・ドラマです。ハラハラ、ドキドキの末、救出や脱出を果たすもので、毎回スリル満点です。ヴォーゲルがお目当てで観ようと臨んだプレスツアーのパネルインタビューですが、マックG役のノア・ミルズは画面で見るよりも、実物の方が遥かに魅力的でした。ミルズもヴォーゲル同様、モデル出身の好感度抜群の俳優です。視聴率が芳しくないので、先行きが心配です。


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ヴォーゲル(左)とミルズ。モデル出身の役者が2人揃うのは珍しい?ミルズは、「まだまだ新米なので、学ぶことが一杯です」と抱負を述べた。(c) Lewis Jacobs/NBC


CBSの「SEAL Team」は主役にデヴィッド・ボレアナズ(「BONES 骨は語る」)が起用されていることが判明した時点で、興味が半減しました。そして、何よりも興醒めだったのは、パネルインタビューでも、CBSオールスター・パーティーの席上でも、制作陣が「軍隊モノ」であることを執拗に否定したことです。何故認めないのかは未だに謎のままですが、家庭生活に重点を置くと主張するプロデューサーのサラ・ティンバーマン(「マスターズ・オブ・セックス」)に、「パイロットを観た限り、『ザ・ユニット 米軍極秘部隊』に似ていると思いました」とコメントしたところ、顔色が変わり、側に立っていたプロデューサーとヒソヒソ話をする始末。「ユニット」が好きだったから指摘したのですが、どうもご機嫌を損ねたようで、後味の悪い会話になりました。そこまで、否定するには、何か訳があるに違いありません。


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デヴィッド・ボレアナズは、ネイビーシールズ・ブラボーチームのヘイズ隊長に起用された。「BONES」後のシリーズ復帰作となる。WENN.com


一方、CW局のカラーにそぐわないもう一本の軍隊モノ「Valor」は、戦闘ヘリコプター操縦士として初めて女性が起用されたことに重点を置いたドラマです。こちらは、プロデューサーも俳優もあっさりと軍隊モノであることを認め、CBSとは対照的で爽やかでした。残念ながら、CW視聴者には受けが悪く、シーズン2は期待できそうにありません。


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番宣ランチが開催されたホテル中庭には、主役を演じるクリスティーナ・オチョア(左)とマット・バーの大型ポスターが展示された。(c) Meg Mimura


CBSオールアクセスのオリジナル第二弾として始まった「スタートレック ディスカバリー」は、余りの暗さに一話で見限りましたが、SFモノが大いに苦手な私でさえ、Foxの新作「The Orville」には、すっかりハマってしまいました。シーズン2が既に確約されている事実を見る限り、局自体が視聴率に満足しているものと思われます。


夏のプレスツアーの最中にパイロットを含めた全三話をオンラインで視聴できるようになっていたのですが、私の好きなジャンルではないので、視聴せずにパネルインタビューに臨みました。プロモはコメディーとして押していましが、第三話はとても奥が深いドラマなので、「コメディーとして宣伝しない方が良いのでは?」とある評論家から提案があり、これは一見の価値あり?と観て、すっかりファンになってしまいました。


映像がそれはそれは美しく、50インチのハイデフで観るために制作されたような宇宙探検ドラマに仕上がっています。又、ダークマターなどの概念が映像として表現され、私のようなSF苦手人間でも十分に理解できる点も気に入っています。そして、何よりも夢も希望もない昨今、制作主演のセス・マクファーレンの発言通り「希望のあるドラマ」としてキラリと光っており、毎週楽しみに観ています。現代社会、特にトランプ政権下を暗に批判するような筋書きも多々あり、いつの時代も、どんな世の中でも、人間は然程変わらないんだなぁと思い知らされます。つまり、進歩が無いと言うことなのですが....


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自作自演のセス・マクファーレンは、オーヴィル号のマーサー艦長を演じる。三話以降、コメディー傾向(主にダジャレ)を放棄したのが成功の鍵?WENN.com


今秋のコメディーの話題作「Young Sheldon」は、パイロットを9月25日に放送して、人気を確認してから、11月2日より二話以降を放送するという珍しい方法でデビューしました。「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」のシェルドン・クーパー(ジム・パーソンズ)の生い立ちを描くコメディーです。「ビッグバン★セオリー」でシェルドンの口から聞いた子供時代を映像化したもので、9歳の神童シェルドンを演じるイアン・アーミテージ君がとても愛くるしい上、幼いシェルドンが素直で無邪気な点が大いに気に入りました。ここ数年、シェルドンが意地悪になり、人を蔑む言葉が聞くに耐えないようになっていたからです。パネルインタビューで、パーソンズがまるでアーミテージを我が子のように暖かく見守る微笑ましい姿が印象的でした。


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ジム・パーソンズは、「ビッグバン★セオリー」が始まってすぐにインタビューして、独占記事を書いた思い入れの深い俳優。腰の低さは変わっておらず、「久しぶりですね!元気にしてました?」と声をかけてくれた。「僕自身は、もっと粗削りな自信のない9歳だった」とアーミテージ君を称賛。 WENN.com


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神童シェルドンに抜擢されたアーミテージは、読書が趣味。テレビはほとんど観ないので、登板が決まってから、「ビッグバン★セオリー」を数話観て撮影に入ったと余裕綽々。怖いもの知らずなのか、本当に自信があるのか? WENN.com

第二話は、神童でなくても、学校で除け者扱いをされた経験のある視聴者にはジーンと来る逸話でした。パーソンズのナレーションも、視聴率獲得に寄与していることは間違いありません。難を言えば、シェルドンの母メアリー・クーパーの若かりし頃に配役されたゾーイ・ペリーと、ばあば役アニー・ポッツです。ペリーは、「スキャンダル6」で冷酷で無惨な役を演じている最中に、本作のオーディションを受けたと言いますが、私はあの怖い怖いサマンサのイメージを未だに拭い去ることができず、何度観ても慣れません。イメージがダブって、いつ切れるのだろう?とハラハラします。


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狂信的なメアリーの30代に抜擢されたゾーイ・ペリーは、本家本元メアリーを演じて来たローリー・メトカーフとジェフ・ペリー(「スキャンダル」のサイラス・ビーン役)の実の娘という曰く付きだ。 WENN.com


ばあばは、私のイメージと正反対のポッツが配役されて、小説を読んだ時に、頭に描いていたキャラ像と映画化された時のイメージのギャップに驚くのと同じく、もっと古風なテキサスのおばあちゃんを想像していたんだけど....と思いました。それでも、ポッツはしばらくすればしっくり来るかも知れません。シェルドンにポーカーフェイスを教え込むなど、なかなか強かなばあばだからです。

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モダンなばあば役を演じるアニー・ポッツ。ポッツの代表作「浮気なおしゃれミディ」 の頃から、ファンだったので起用されたのは嬉しいが、私のイメージとは月とスッポン!WENN.com

「風の勇士 ポルダーク3」米国で放送開始。未熟な男対実質的な女の闘いは、いつの世も変わらず?但し、18世紀英国の女が近代化され過ぎ?感は否めない

※「風の勇士 ポルダーク」日本未公開シーズンについてのネタバレがあります。


今秋の新作は、お薦めできるものがほとんどないので、放送開始されている継続番組をご紹介します。


10月1日からシーズン3が始まったのは、「風の勇士 ポルダーク」です。夏のプレスツアーでも取り上げられず、広報からは新シーズンのオンライン視聴可のお知らせもありませんでした。英文評を書くために、ギリギリまで待って、シーズン3を最後まで観た上で、漸く掲載に漕ぎつけました。PBSは公共放送なので、広報予算が皆無と承知していますが、完全に無視する余裕があるのでしょうか?


英文評


シーズン2第8話で、ロス・ポルダーク(エイダン・ターナー)は、妻デメルザ(エレノア・トムリンソン)を振り切って、’逃した魚’エリザベス・ポルダーク(ハイダ・リード)の再婚を阻止すべくトレンウィズ(ポルダーク本家の館がある地所)に駆けつけました。ポルダーク家の領地も鉱山も略奪したジョージ・ウォーレッガン(ジャック・ファーシング)が、再婚相手!?とは。血気盛んなロスはまるで最後の砦を守るかのように、エリザベスと一夜の契りを結んでしまいます。ロスに救われると早まったエリザベスの期待も虚しく、ポルダーク本家唯一の跡取りジェフリー・チャールズ(ハリー・マーカス)を守るため、更に準貴族の華やかなライフスタイルを維持するために、ジョージと再婚せざるを得なくなります。ロスへの恨み辛みから、打算的再婚に走ったエリザベスですが、一夜の過ちのツケが回って来るのがシーズン3です。


シーズン2放送前に、ターナーと英雄論を交わしたことは、2016年9月29日「エイダン・ターナー、ポルダークを語る」でご報告しました。私の憶測通り、ターナーが’英雄’のレッテルを剥がそうとしたのは、ロスの’紳士にあるまじき行動’を演じた後だったからです。元々、家柄やそれに付随する’力’には無頓着なロスですが、経済的/法的/精神的に追い詰められた結果の型破りな行動が際立つシーズン2でした。ターナーが止めを刺すように’謎だらけの不可解な男’、’無法者’、’裏切り者’、’反逆児’等の言葉でポルダークの影の部分を浮き彫りにしたのは当然です。


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コーンウォール地方の名士ジョージ(ファーシング)&エリザベス(リード)・ウォーレッガン夫妻、ロス(ターナー)&デメルザ(トムリンソン)・ポルダーク夫妻、ドワイト(ルーク・ノリス)&キャロライン(ガブリエラ・ワイルド)・エニス夫妻を中心に、ストーリーが展開されるシーズン3。 Courtesy of ©Robert Vigiasky/Mammoth Screen for BBC and MASTERPIECE


シーズン2は、家柄や権力を誇る準貴族階級対、財力で権力と家柄を手に入れようと躍起になる成金階級の激戦が描かれました。幼い頃からロス・ポルダークになりたい!と憧れてきたジョージは、鍛冶屋から叩き上げた成金三代目で、当時台頭し始めた銀行家と言う名の商人です。数々の策略が功を奏して、恋い焦がれたエリザベスを娶り、トレンウィズ乗っ取りに成功したジョージは、シーズン3は更なる権力を求めて治安判事、代議士、果ては国会を目指します。次々と立身出世しつつも、逆立ちしても貴族にはなれない上、自己嫌悪は日に日に度を増し、何を手に入れても至福を味わうことはありません。妬みと復讐が動機だからです。極めつけは、エリザベスが産んだ長男ヴァレンタインが自分の子供ではないかも?と、疑心暗鬼を生じて益々復讐に身を焦がし、損得尽くの弱い者苛めに徹します。今なら、実父確定検査をすれば済むことですが、何しろ18世紀ですから、証明の仕様がありません。苛めっ子もここまで来ると、滑稽であり、哀しくもあります。エリザベスにさげすまされるのは、時間の問題です。


Poldark Series 3 Teaser Trailer - BBC One


一方、ロスに依存して生きる家族、鉱夫や使用人の輪が広がった今、独り身の時に通用した善悪の判断ができなくなりました。「自由、平等、兄弟愛」の信念を貫けば、波紋は大きく、遠くまで広がります。裁判沙汰になって世渡り術を学んだのか?と思いきや、シーズン2後半で取り返しの付かない過ちを犯してしまったロス。シーズン3は、親友エニス医師(ノリス)救出作戦なる大冒険に身も心も注ぎ、家庭を顧みない身勝手な男になってしまいます。ロスの願いは、飽くまでも望みのままに生きること、家族とポルダーク領地を支えてくれる貧民を守ることです。


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ロス(ターナー)は、地元の繁栄と富を満遍なく分かち合うことが目標のリーダー格。いつの世も、使命感に燃える男にとって、家族は二の次でしかない。 Courtesy of ©Robert Vigiasky/Mammoth Screen for MASTERPIECE


現実を直視して、もっと賢く立ち回って欲しいと願うのは、飯炊き女から妻となったデメルザです。今シーズン、ロスの身勝手を許して溜まるもんか!と、夫婦平等を主張して、積極的に不倫相手を求めたり、実弟サム(トム・ヨーク)とドレイク(ハリー・リチャードソン)の布教活動用に、不動産分与を一存で決めてしまいます。21世紀でも、夫婦が完全に平等!と言い切れる女性が、何人いるでしょうか?今シーズンは、女性キャラ(特にデメルザ)が超近代化されて、現代女性顔負けの強かな女に豹変しました。原作を読んでいない私の憶測ではありますが、これも時代の流れを反映した有機的軌道修正なのでしょうか?18世紀の耐える女や尽くす女が主人公では、21世紀の視聴者の心を繋ぎ止めておけないのでしょうか?


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頑固一徹の男女の結婚の行方は?未熟な男(ロスやジョージ)対実質的な女(デメルザやエリザベス)の闘いが見事に描かれる。 Courtesy of ©Robert Vigiasky/Mammoth Screen for MASTERPIECE


蝶々夫人並みに崖っ淵に立って夫の帰りを待ちわびるシーンも多々ある反面、ロスの出世欲の欠如に不満タラタラのデメルザ。分家の長男とは言え、ポルダーク家の末裔が、御上として農民や労働者を上から押さえつけることに抵抗を感じると説明したにも関わらず、文句は尽きません。完璧ではありませんが、概ねいつも正しいことをしようと心がけ、世のため、人のため日夜努力するロス・ポルダークは、私にとっては’英雄’の外、何者でもありません。尤も、私はロスの奥さんではないから、英雄と呼べるのでしょう。


人助けの使命感に燃える人と結婚すると、家族は優先順位の下の方、下手をすると最下位かも知れません。アメリカ同時多発テロ事件の後、家族を顧みず、ツインタワーに飛び込み殉死した消防士の話を何度も何度も聞きました。英雄は家族を踏み台にして成り立つものです。そこで、デメルザに一言。踏み台にされていると思うなら、文句タラタラ、言い寄ってくる男達(次々と出て来るから不思議です)を利用してロスの気を引こう等、つまらない策略を巡らすのは辞めましょう。ロスに尽くすか、子供を連れて出て行くか、二つに一つ。どちらにしますか?

「世界制覇を目指している訳ではない。買手独占を何とか阻止したいだけ!」と訴えるジョン・ランドグラフCEO。寡頭支配制シリコンバレー・モデルの渦に巻き込まれたテレビ業界の未来を憂う

2017年夏のプレスツアーは、8月9日FX局のパネルインタビュー(継続番組3本、新作1本、特別企画2本)、セット訪問2箇所、フォックス撮影所内の中庭でのイタリアンディナーで華麗に幕を閉じました。


午後5時半から開催された「The Assassination of Gianni Versace: American Crime Story」は、クリエイターのライアン・マーフィー以下5人のタレントが参加し、オペラ風の導入部が初公開されました。ほんの数時間前に、目にしたヴェルサーチ邸の玄関やバスルームが巨大スクリーンに映し出され、親近感が深まりました。セット訪問後に映像(5分程度)を見せるのは、巧みな演出です。「アメリカン・クライム・ストーリー」第二弾、ジャンニ・ヴェルサーチ暗殺事件は期待できそうです。因みに、’暗殺’には単に殺害するのではなく、ヴェルサーチのライフスタイルをこの世から抹殺することで、ゲイへの嫌悪を表現する意図が読み取れるからだと説明がありました。

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FX局の顔となったライアン・マーフィー。現在、「アメリカン・ホラー・ストーリー」「アメリカン・クライム・ストーリー」「フュード/確執」のアンソロジー3本を抱えている。「ヴェルサーチは、最も尊敬するアーチスト」とパネルインタビューで披露したほど、個人的な思い入れが深い。ゲイであることを公表して、華麗な生き方をしたヴェルサーチは、マーフィーのお手本と言うことだ。 WENN.com

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ジャンニ・ヴェルサーチ役を射止めたエドガー・ラミレス。マーフィーから声がかかって、「是非仕事をしたいプロデューサーだったので、即引き受けた」と語った。「兎に角、脚本のペースがとても気に入っている」とも披露。 WENN.com

しかし、同日の午前10時半から実施されたFX局ジョン・ランドグラフCEOのセッションは、これまでにない憂えに満ちた悲観的展望で、奈落の底に突き落とされたような気がしました。テレビをこよなく愛するランドグラフCEOは、年に2回、配信形態の多様化でどのような課題を抱えているか等、歯に衣着せぬテレビ業界の行く末や所見を披露し、希望の光を与えてくれる希少価値のお偉方でした。テレビ業界の’一抹の光’でさえ、今まさに風前の灯火であるかのような、後味の悪い感傷的なプレスツアー最終日となりました。


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ランドグラフCEO (左)と奥方/女優のアリー・ウォーカー。ランドグラフのセッションを体験せずしてTCAを語れないと言っても過言ではないほど、テレビ業界の守護神的存在で、業界からもメディアからも尊敬されている。 (c) Stewart Volland


このコーナーに記事を書くようになって、日本からは全く見えないテレビ業界の内情やストリーミング配信会社との複雑極まる関係などを折に触れてご報告してきました。特に「ピークTV」(=供給過剰)については、2013年以降、ランドグラフCEOが提示したグラフや表を利用して説明して来ました。供給過剰に加担する一方、飽くまでも視聴者数を明かさないストリーミング配信会社(特にネットフリックス)が、業界を根底から覆して混沌を生み出したからです。


プレスツアー開始2週間前の7月12日に、「遂にバブル弾けた?ネットフリックス社の相次ぐ打ち切りが引き金?」と題して、ネットフリックスの日の出の勢いが衰えた背景と事情を、「ブラッドライン」を例に挙げて、ご報告しました。しかし、ランドグラフCEOが持参した8月9日現在の統計では、2016年には、(脚本を元に制作された)ドラマ+コメディー計325本が放送されましたが、2017年同期には既に342本に増えていました。例年の如く、ストリーミング配信会社は、昨年の2割弱増の62シリーズを発表しました。既に配信の発表をしておきながら、配信に至っていない作品は、何と79シリーズもあります。ストリーミング配信会社が、何の理由か溜め込んでいると言うことです。「この驚くべき数字は、Apple TVが市場参入する以前のこと」とランドグラフCEOが指摘し、オリジナル・シリーズでしのぎを削る「ピークTV」は、まだまだ続く模様と予想しました。バブルは弾けたように見えましたが、あれは蜃気楼だったのでしょうか?数字を見る限り未だに膨らみ続けています。


そしてこの日、ランドグラフCEOが供給過剰を生み出した米国経済を分析して、噛み砕いて説明しました。要は、シリコンバレーの巨人が、テレビ領域に土足で踏み込んで来たのです。嘗て、私は地上波局を大衆相手のデパート、ケーブル局をブティック店に例えて業界を説明していました。そこに、大型量販店が乗り込んで来たと想像して頂ければ、現況が明白になります。大型量販店は、数をこなすこと、赤字などお構い無しに商品を買い漁り、消費者の’目’を捉えて現金化、最終的には世界を牛耳ることを目的としています。奇しくも、昨今エンタメ(映画・テレビ)業界を乗っ取ろうと目論んでいる大型量販店の1軒はアマゾンですが、流通産業界ではウォールマートと死闘を演じています。


最早、独禁法など過去の遺物です。シリコンバレー・モデルは、規模、データ、テクノロジー、アルゴリズム、財力を駆使して、市場シェアを拡大拡張し、世界制覇を目指します。そして投資家は、従来の儲けを出す会社に投資するのではなく、赤字でも中小企業をどんどん飲み込んで、お山の大将になり得る会社の規模や世界制覇の可能性に賭けるからです。ランドグラフCEOは、「親会社の21世紀センチュリー・フォックスは年間70億ドルの利益を出す。それに引き換えオリジナル作品に放出するあるストリーミング配信会社(N社を暗示)は、25億ドルの赤字だ」と指摘しました。年間95億ドルの予算があったらどんな作品を選ぶのだろう?と一瞬想像したランドグラフですが、即「自分で品定めして、好みの商品のみ扱えるブティックが好き」と切り返しました。品質、素材、詳細にこだわりがあれば、当然ブティックですよね〜。「世界制覇を目指している訳ではない。買手独占を何とか阻止したいだけ!」と訴えます。


食傷気味になる程、多数の作品が制作/発表されますが、大型量販店(=ストリーミング配信会社)が赤字を承知で買い漁るからです。このシリコンバレー・モデルには、製造業者が培って来た所謂’ブランド’は、利鞘が減るので無用の長物なのです。要は、市場シェアを二分するアマゾンかウォールマートに卸さなければ、いずれは商売が立ち行かなくなるからです。この様な買手が優位な態勢にあることを、買手独占と言います。クリエイターや俳優などのアーチストにとって、買手が数社しかない=選択肢が限定されると、才能を発揮できる機会が減少すると言うことです。


更に、落ち込む理由として、各業界を二~三大企業が牛耳っていて、それを阻止する法律も規制も無く、野放し状態であると言う点が指摘されました。アマゾン対ウォールマート、フェイスブック対グーグル対アップル、インスタグラム対スナップチャット、ネットフリックス対アマゾン対地上波+ケーブル局が好例です。ネットフリックス対アマゾン対地上波+ケーブル局の死闘から供給過剰が生まれ、数限りない水増しされた平均以下の作品が世に送り出されているのが現状です。


シリコンバレー・モデルのとどのつまりは、地上波+ケーブル局が合併吸収を繰り返して規模を大きくしても歯が立たないネットフリックスとアマゾンしか生き残れない、視聴者には何の選択肢もない社会です。テレビの将来は、夢も希望もないのでしょうか?テレビを愛する我々は、今何をすれば良いのでしょうか?飛びつきたくなる17年秋の新作がゼロという事実も相まって、8月9日以降、気が重くなる一方の私です。

2017年TCA賞「THIS IS US 36歳、これから」と「Leah Remini: Scientology and the Aftermath」の受賞に乾杯!いずれもエミー賞獲得を祈りつつ....

2017年のTCA賞授賞式は、去る8月5日夜に開催されました。毎年6月に私が選んだ俳優や作品のリストをTCAに提出します。手間暇かけて、一年の総決算だと信じて、無駄な演習に終わってしまうのを承知の上で、自分なりの候補を選んで自己満足しているだけです。


今年も12カテゴリーに6俳優/作品が選ばれ、最も得票数の高かった俳優あるいは作品にTCA賞が贈られました。毎年、私が贔屓にしている俳優やハマっている作品は最終候補にも挙がらず、今年は自棄のやんぱちで、該当するカテゴリーは全て「THIS IS US 36歳、これから」に投票しました。5日お昼前に、受賞者のリストがメールで送られてきて、「THIS IS US 」と「Leah Remini: Scientology and the Aftermath」の受賞が判明しました。翌日早朝からABCの映像インタビュー10本が入っていて、質問の準備に忙しく、今年は不参加を決め込むことにしました。


今年の打率は6分の1で、例年よりは良い(?)結果でした。「THIS IS US 」の健闘を期待していたのですが、蓋を開けてみたら、最優秀新作賞のみの受賞に終わってしまいました。絶賛されたドラマだけに、総ナメではないか?と思っていたのですが....現実は厳しいものです。それにしても、心温まる人間ドラマが根暗ドラマに押し潰されて、まるで蛍の光です。来年の夏は、トランプ公害で空気が淀んで、蛍はTCAに戻って来ないような、悪い予感がします。


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中央の演壇で新作賞受賞の喜びを語る「THIS IS US 」のダン・フォーゲルマン(クリエイター)。左手には制作関係者、主要キャストの面々は右手に勢揃い。 (c) Frederick M. Brown, Getty Images

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授賞式会場に到着したばかりのマイロ・ヴィンテミリア。エミー賞ドラマ部門の最優秀男優賞候補に挙がっているが、8月1日NBCパネル後にお祝いの言葉を述べたところ、「候補に挙がっただけで、何も変わらない!」と手放しで喜んでいる様子ではなかった。授賞式で撮影されたどの写真を見ても、仏頂面のヴィンテミリア。何かあったの?と心配してしまう。 (c) Frederick M. Brown, Getty Images


エミー賞の最優秀ドラマ候補をはじめとして、6部門にノミネートされている「THIS IS US 36歳、これから」です。地上波局のドラマが最優秀作品賞の候補に上がったのは、2011年の「グッドワイフ」以来のことで、完全にケーブル局の暗~~い、夢も希望もないドラマに長年圧倒されてきた地上波局ですから、是非本作で挽回して欲しいものです。


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2017年の新作賞は、「THIS IS US」が受賞。メインキャストの(左から)ヴィンテミリア、マンディー・ムーア、ジャスティン・ハートレー、スターリング・K・ブラウン、スーザン・ケレチ、クリス・サリバン、クリシー・メッツ。エミー賞最優秀ドラマ賞は、受賞できるか? (c) Stewart Volland


心温まる家族ドラマとは、まるで正反対の「Leah Remini: Scientology and the Aftermath」ですが、私とは好みが全く違う評論家が、このピカイチ!リアリティー番組に投票したことは、青天の霹靂です。信じられません!


私が宗教団体の内部告発モノ(例:HBO「Mea Maxima Culpa: Silence in the House of God」)やカルト教団の内幕暴露モノ(例:HBO「Going Clear: Scientology and the Prison of Belief」Showtime「Prophet's Prey」など)が大好きなのは周知の事実です。2015年9月27日の「事実は小説よりも奇なり!を実証する最近のドキュメンタリーが面白い」で「Prophet's Prey」を、古くは2013年1月30日の「TCA冬のプレスツアー」で「Mea Maxima Culpa: Silence in the House of God」をお薦めしました。

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受賞の喜びを語るリア・レミニ(中央)。左には、サイエントロジー暴露番組に不可欠の元教団幹部から内部告発者に転じたマイク・リンダー、右手は番組のプロデューサー。 (c) Frederick M. Brown, Getty Images


シーズン1は、サイエントロジーの起源や創始者のL・ロン・ハバードの生い立ちから奇行に始まり、レミニ自身のセレブ布教活動や教団内体験、脱退あるいは逃げ出さざるを得なくなった元信者の苦難がドキュメンタリーとして綴られました。又、サイエントロジー盲信者の手になる体罰、性的虐待、脅迫、違法行為など、個人的体験談を記録しました。サイエントロジー教団撲滅運動を率いる元信者で女優のリア・レミニの勇気と行動力、熱意に大いに触発されました。


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日本では知名度は低いが、「The King of Queens」で9シーズンも主役を務めたレミニ。2013年にサイエントロジー教団を脱退、15年11月「Troublemaker: Surviving Hollywood and Scientology」を出版、内部告発者として教団から様々な罪状で糾弾されている。エミー賞を獲得して、撲滅運動を続けて欲しい。 (c) Stewart Volland


サイエントロジーの根深いマインドコントロールは、2015年アレックス・ギブニーが制作した「Going Clear: Scientolology and the Prison of Belief」が描写した’信仰と言う名の檻’が脱退者の体験談から克明に描かれました。この映画の中で紹介された元教団幹部マイク・リンダーが、「Scientology and the Aftermath」では、レミニの右腕となり、脱退者が仕返しの恐怖に慄きながら語る暗い過去を披露します。


カルト教団叩きは、映画→ドキュメンタリー・シリーズ→テレビドラマと変遷しています。E!局のオリジナル・ドラマ第二弾「The Arrangement」は、ヴァニティ・フェア誌2012年10月号が暴露したトム・クルーズの花嫁選びオーディションと背後で糸を引くサイエントロジー教団の陰謀を彷彿させる面白いドラマです。もう1本、’信仰と言う名の檻’を見事に描いているシリーズは、「ザ・パス」(Hulu)です。このドラマは、教祖になる為には教えに反することでも平気でやってしまうサイコパス、教団で育った女性と外部の男性が築こうとする理想の夫婦/家庭、親子三代の信仰度の差などを描く、これまでになかった秀作です。日本でも視聴できるので、是非チェックしてください。

トランプの悪政や独裁者振りを茶化して嘲笑するしか鬱憤晴らしの手がない?笑っている場合ではない米国の切羽詰まった政情不安。

今年1月のプレスツアーが、トランプ対策一色だったことは、2月8日の記事でご報告しましたが、去る7月25日~8月9日に開催された2017年夏のプレスツアーは、目に余るトランプの悪政や暴言を嘆き、一触即発の米国を案じる暗~~いツアーとなりました。


それでも咋夏のように、誰もが涙、涙した「This is Us」級の、毛色の違うドラマが1本でもあれば、一抹の光が差したに違いありません。残念ながら、パイロットを何度見直しても、鈍い光を放つ作品さえ見当たりません。ドラマの本数が増えている割に、コレッ!と思う作品は毎年減少を続けてきましたが、ここに来て遂にお薦めできる作品が底を突いてしまいました。情けないと言うか、悲惨と言うか....世知辛い社会を反映しているのか、逃避する場所をドラマが提供してくれないから、暮らし難い世の中になってしまったのか?卵が先か、鶏が先か?問答なので、悩んでも無意味なのですが....


カオスが生き甲斐のトランプは、毎朝大統領にあるまじき「つぶやき」を垂れ流して、常識人を震え上がらせ、世界から浴びる注目をエネルギー源に、野放しの悪ガキ/’いじめっ子’が天下を取ったような行動を続けています。取巻きにまともな大人がいないことが問題で、無法な振る舞いは国民に広がって浸透し、非常識と勝手気ままがまかり通る’超住み難い国’に成り下がってしまいました。


米国民は遣る瀬ない思いを、トランプ叩きを一手に引き受ける深夜のトーク番組やコメディーに託し、前代未聞のホワイトハウス茶番劇を嘲笑して何とか対処しようと試みます。選挙運動中は、ニュース番組の視聴率が跳ね上がりましたが、トランプ政権が始まって以来、政界風刺コメディーに視聴者が集中して、視聴率が下がる一方のドラマを尻目に、盛り上がりを見せています。


それが証拠に、ケーブル最終日(7月29日)「悪政が深夜トーク番組を盛り上げた?」と題して、パネルインタビューが実施されました。深夜トーク番組の放送作家4名が参加し、評論家から質問攻めに会いました。
クリスティーン・ナングル(「The President Show」Comedy Central局)
ハリー・ハグランド(「The Daily Show with Trevor Noah」Comedy Central局)
ジェイソン・リーチ(「The Jim Jefferies Show」Comedy Central局)
アッシュリー・ニコール・ブラック(「Full Frontal with Samantha Bee」TBS局)


4月27日から放送されている「The President Show」は、トランプのモノマネで名を馳せたアンソニー・アタマナクが自作自演する政界風刺コメディーです。メディアを敵に回したものの、元々主演することに生き甲斐を感じているトランプが、自身のトーク番組を持ったら?の想定で創作されました。深夜のトーク番組形式をそっくりそのまま模した上で、アタマナクが演じる大統領が司会、毎回、テーマに因んだ著名人のゲストをインタビューします。


Donny Goes to School - The President Show - Comedy Central


大統領の活躍振り(?)を記録したコーナーもあり、涙が出るほど笑った例として、このビデオをご紹介しました。悪ガキをコントロールしようと四苦八苦するペンス副大統領(ピーター・グローツ)の姿が哀れです。

トランプはオバマ内閣入りできなかった’負け組’を取り巻きにしてきました。「(胡散臭い連中の)外見を茶化すのは手っ取り早いけど、コメディーのネタとしては薄っぺらい。トランプの狂気の沙汰を心理分析して、何故大統領にのし上がったのかを掘り下げ、のし上らせてしまった米社会を斬ることが目的」と番組の趣旨を明らかにしたのは、ヘッドライターのナングルです。


ゲストの中で、トランプの痛い所をぐさりと突いたのは、ディーパック・チョプラでした。「問題はあなたの自己嫌悪です」と、真顔で繰り返し指摘しました。あの尊大さは、自己嫌悪の裏返しなんですね。な、る、ほ、ど!納得、納得です。更に、アタマナクのコメントに注意深く耳を傾けると、トランプが偽トランプの10分の1でも自分の傲慢さに気が付けば、少しはまともな人間になれるのに....と思うものの、70歳過ぎて今更改心する訳がありません。トランプを1日も早く罷免したいと願う、常識ある視聴者の自己満足に終わってしまわないと良いのですが....

Russia and North Korea Test the U.S.: The Daily Show


「ザ・デイリー・ショー」は、1996年から放送されているニュース・ダイジェスト番組で、2015年南アフリカ出身のトレヴァー・ノアが三代目の司会者となり、「The Daily Show with Trevor Noah」が生まれました。上の映像を選んだのは、北朝鮮の脅威を米国民がどのように捉えているか?似たり寄ったりの怖~~い独裁者トランプとキム・ジョンウンが交わした売り言葉に買い言葉に、身の危険を感じたのは私だけではないと読み取って頂きたかったからです。


ライターのハグランドは、「オバマ大統領時代には、世界中のニュースを取り上げる余裕があって勉強になったけど、トランプのやることなすことが国民の逆鱗に触れるから、結局毎日トランプネタで埋まってしまう。1週間前に、一度トランプのトも出ないニュースを扱ったんだけど、何とも気分爽快だった(笑)」と、トランプの暴挙暴言に辟易しているコメントでした。視聴率を維持するためとは言え、毎日狂気の沙汰を繰り返し体験するのはPTSD(心的外傷後ストレス障害)ですよ。


Bill Cosby's Mistrial and the Fame-to-Blame Ratio - The Jim Jefferies Show

オーストラリアのコメディアンが司会する「The Jim Jefferies Show」が、コメディー・セントラル局の3作目です。知名度と起訴率が反比例することをグラフにして説明するジム・ジェフリーズをご覧ください。中には、これ誰?と首を傾げる顔写真もありますが、思わずニンマリのビデオです。

唯一のコメディエンヌによるトーク番組「Full Frontal with Samantha Bee」は、カナダ人サマンサ・ビーが、ヒラリー派の第一人者として、トランプをこき下ろすダイジェスト版です。トランプ政権が始まった3~4週間は、毎朝、目が覚めると、「さー、今日は何をしでかしたのかな?」とニュースをチェックしていましたが、観るに耐えないので、「Full Frontal」 の1週間分の纏めで充分だと悟りました。トランプが選んだ官僚が女性に如何なる被害をもたらしているかをレポートすることで、他の政界風刺コメディーとの差別化を謀ります。政治に何の興味もなかった私でも、女性の将来を左右する法律を学び、トランプの一挙一動を監視しておくべきだと思うようになりました。更に、「The President Show」で、失態や失言の根源を分析することにしています。

Heir to the White House Throne | Full Frontal with Samantha Bee | TBS


トランプを取り巻く女性、特に元民主党派だったと発表した娘イヴァンカが、ホワイトハウスで何をしているのか?は、大いに笑えるのでご覧ください。他にも、時代錯誤の米国南部で女性がどのような扱いを受けているか、ニュースとして取り上げられたことがない信じられない話題を取り上げます。


「The President Show」は、大統領のトーク番組形式ですが、今回ご紹介した「デイリー・ショー」「The Jim Jefferies Show」「Full Frontal 」の司会者は、全て外国人です。米国で生まれ育った人の盲点を突けるのは、第三者としてこの国に住む外人にしかできませんが、外人にいちゃもんをつけられて、アメリカ人は平気なんでしょうか?


放送作家4人の不平不満を纏めてみました。
1)制作会議が終わった時点で、トランプの「つぶやき」が入ってきて、朝決めたことを覆さざるを得ず、振り出しに引き戻されること。早朝の制作会議の意味がない。
2)官僚の雇用や解雇など、事情が刻々と変わるので、油断も隙も無い。どこにいても、何をしていても、携帯を切ることができない。
3)疲労困憊!!!いつまで続くの?!


「The Jim Jefferies Show」のヘッドライターを務めるリーチも、声を大にして「四六時中、トランプネタなんて、楽しい訳がない。もううんざり!」と言います。トランプ政権半年にして、辟易するのは悪政の被害を被っている国民のみではありません。制作側がうんざりしているのですから、視聴者も当然、そろそろ笑っている場合ではない?!と気が付いているのではないでしょうか?異常が平常になりつつある今が、何とかする潮時かもしれません。

ネイルサロンのソプラノズ!?5人の強かな女の波瀾万丈の生き様は現実逃避に持ってこい!演技派ニーシー・ナッシュ、キャリー・プレストンが光る「Claws」

ケーブル局は、地上波局が一休みしている夏は書入れ時!とばかりに、面白い番組をデビューさせてきましたが、今夏は少々様子が違います。地上波局はここまで手抜きして大丈夫?と言いたくなるほど怠慢を決め込み、ケーブル局からもコレッ!と言う作品が登場しません。ゴールデンタイムはDVDを観るか、DVRに撮り溜めしておいたものを観るしかなかったのですが....



6月11日からTNTで放送されている新作「Claws」は、意外にも続きが待ち遠しいドラメディーとなりました。昨年、暗~い、極道の女たち路線を目指して、「Animal Kingdom」と「Good Behavior」を発表したTNTなので、「Claws」も?と思ったのですが、「Good Behavior」級にはまってしまいました。2016年12月19日「ペテン師と殺し屋の丁々発止のやり取りが面白い『Good Behavior』」で述べたように、「Good Behavior」の主人公レティ(ミシェル・ドッカリー)と同様、根っからのワルではない、努力するものの最後の押しが足らず、ずるずると悪事に引きずり込まれてしまう、応援したくなるキャラが勢揃いしているからです。


舞台はフロリダ州マナティ郡(人口約34万)。マイアミのような洗練された都会ではなく、労働階級が集まる町です。行き場のない閉塞感漂う、フロリダ・ノワール(犯罪ドラマ)ですが、「ブラッドライン」とは異なり、ネイルサロンで働く5人の強かな女達の超シリアスな面と超コメディーの側面のコントラストが面白いドラメディーに仕上がっています。

デズナ(ニーシー・ナッシュ)は、自閉症の弟ディーン(ハロルド・ペリノー)を抱え、街角のネイルサロンを経営する姉御肌。夢は高級ネイルサロンを居抜きで買い取って、フランチャイズ展開し、大邸宅で暮らす一大実業家になることです。資金稼ぎに、地元の暴力団ディキシー・マフィアが経営するペイン・クリニックのマネー・ローンダリングに手を貸しています。毎日、取り立てにやって来る暴力団の幹部ローラー(ジャック・ケシー)が自宅で銃殺されて、デズナの計画が大きく狂ってしまいます。

デズナが家族のように大切にしているのは、ネイルアーティスト2人と守衛です。金髪グラマーのジェニファー(ジェン・ライオン)は、暴力団の親分クレイ(ディーン・ノリス)の甥っ子/第一子分ローラーの兄ブライス(ケヴィン・ランキン)と結婚していますが、極力関わらないように頑張ってきました。年寄りから大金を巻き上げて詐欺罪で服役していたペテン師ポリー(キャリー・プレストン)は、出所した足で古巣に舞い戻ります。店の守衛を務めるクワイエット・アン(ジュディー・レイエス)は、あだ名通り口数が少なく、嘗てインテリ階級の男性と結婚していた等、時々意外な事実が口をついて出ます。


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左から姉御デズナ(ニーシー・ナッシュ)、ジェニファー(ジェン・ライオン)、ポリー(キャリー・プレストン)と、守衛アン(ジュディー・レイエス)の職場家族。ジェニファーのみが曲がりなりにも家族を養っているが、現在の夫ブライス(ケヴィン・ランキン)の将来に不安を抱く。Courtesy of TNT

ポリーのピンチヒッターとして雇われたヴァージニア(カルーシェ・トラン)は、元娼婦だったことに引け目を感じており、教養の無さや非常識を見下されるのがいやで、突っ張りとハッタリをきかせる余り、デズナの職場家族からつまはじきにされます。点稼ぎ(?)のために、デズナに暴力を振るっているローラーを銃殺したことから、このドラマは始まります。


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ヴァージニア(カルーシェ・トラン)は、フィリピン系ではあるが、「サイゴン」とか「中国人形」などのあだ名で呼ばれる。娼婦上がりのネイルアーティストだが、どう突っ張っても赤貧メンタリティーを拭い去ることができない。ゴリ押しでデズナの仲間に入ったものの、誰も信用してくれず、稚拙な策略が裏目に出て、益々信用を失う。Courtesy of TNT

マフィアの跡取りにしようと猫可愛がりしていたローラーの死を嘆き悲しむ親分クレイが、真犯人追求に乗り出したから大変!デズナとヴァージニアの証拠隠滅、犯人のでっち上げ、尋問をはぐらかす等、信じられない茶番劇が始まります。デズナ姉御は、次々と押し寄せる大波をうまく乗り切ることができるのでしょうか?フロリダ・ノワールの代表作「ブラッドライン」のような、一難去ってまた一難が....


5人の女友達の会話、設定のバカバカしさもさる事ながら、演技派ナッシュとプレストンに魅了されてしまうこと間違いなしです。暴力団の手先にならなければのし上がれない底辺に生きる女達は、人種差別、階級差別、男尊女卑等の手枷足枷を付けたまま、閉塞感を抜け出すことはできるのでしょうか?


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ポリーを好演するプレストンと、デズナ役のナッシュはいずれも演技派。プレストンは「グッドワイフ」の個性的な敏腕弁護士エルスベス・タシオネ以来のシリーズ出演。ポリーは、見た目は陽気だが、窮地に追い込まれると勘の鋭さと分析力で、沈着な判断を下す。デズナは、幼い頃から弟を守ってきたので、母性本能が強く、問題児を拾ってきては職場の家族/サポートシステムに変えて行く。Courtesy of TNT


フロリダの炎天下で繰り広げられる暗~くて奇妙奇天烈な犯罪の数々。ネイルサロンやプールサイドでのダンスシーンと惨たらしい殺害シーンが同時進行する明暗のコントラストが、印象的な現実逃避に最適のドラメディーです。

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