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ハリウッドを拠点に活動するテレビ評論家。Television Critics Association (TCA)会員として年2回開催される新番組内覧会に参加する唯一の日本人。Academy of Television Arts & Sciences (ATAS)会員でもある。アメリカ在住20余年。

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ハリウッドなう by Meg

第一印象は「何、これ!」#MeToo運動を過激に描写する異色作「Dietland」は今、一番面白い!痩せれば幸せを掴めるのか?男尊女卑社会に楯突く時が来た!女性必見のドラマ

2015年に登場したサライ・ウォーカーの小説「Dietland」を、最近乗りに乗ってるマーティー・ノクソンがテレビ化した同名のドラマが去る6月4日、AMC局に登場しました。前回ご紹介した「Reverie」同様、「グッドワイフ」で良妻賢母を熱演したジュリアナ・マルグリーズのテレビシリーズ復帰作と聞いた時点から、首を長くして待っていました。1月のプレスツアー時に、パネルインタビューが実施されなかった為、5月にAMC局広報に数話にアクセスしたいと懇願のメールを送りました。「MAD MEN マッドメン」が爆発的に売れて以降、広報は大手の媒体以外は完全に無視する高ビー局になったので、望み薄だと思っていましたが、新作/話題作と言うこともあってか、3話の視聴許可がおりました。


プレミア前に掲載した英文評はこちらです。

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ジュリアナ・マルグリーズの変身振りを御覧あれ!キティー・モンゴメリーは、オースティン・メディア社の全女性誌を統括する編集長にのし上がったが、それなりの犠牲は払って来た。アリシア(「グッドワイフ」)とは正反対の見掛け倒しで、情け容赦も無い悪女で、胸に突き刺さるような棘のある言葉を吐くナルシスト。(c) Patrick Harbron/AMC


マルグリーズがすっかりイメチェンして、良妻賢母/弁護士アリシアとは月とスッポンの見掛け倒しで、毒舌家の嫌な女の役を演じているのはトレーラーで観たのですが、内容は全く知らずに観たところ...2時間のパイロット+1話を観終わって、「何だ、これっ!」と混乱とまるでフェリーニの映画を観た後のような不安(と言っても「???」の読者も多いとは思いますが)に陥りました。残酷、不気味、狂気の沙汰、シュールレアリズムの世界、超ダークでありながら時折笑える、実に不思議なドラマです。ドラマ、ブラック・ユーモア・コメディー、ホラー、風刺、ロマコメ、リベンジ・ファンタジー、心理スリラー等、数々のジャンル間を跳飛する前代未聞、奇想天外な生き物です。「レギオン」を彷彿とさせるのは、ロマコメ、ドラマ、ミュージカル、ファンタジー、スリラーなどジャンルを幅広くカバーする点と、時折登場する不気味なイメージと、不安になることです。「レギオン」では、デビッドの怒りがシャドー・キングの姿で出没します。一方、SFでもアメコミでもない「Dietland」でも、画家ダリの世界から飛び出したようなプラムが登場しますが、今の所、何の象徴かは読み取れません。痛みや押し殺して来た感情を素直に表現できるプラムの本音ではないかと憶測している私です。


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プラム・ケトル(ジョイ・ナッシュ)は、叔母が伝授したお菓子作りが趣味で、近くのカフェでケーキを焼くフリーターをして執筆業のわずかな収入を補う。カフェの従業員ベン(ウィル・シーフリード)は、プラムのお菓子と歌声に癒しを見出す。(c) Patrick Harbron/AMC


アリシア・ケトル(ジョイ・ナッシュ)は、自体共に認める肥満アラサー女子で、丸々でぽっちゃりしているので、プラム(すもも)の愛称で呼ばれています。NYの叔父のアパートで(これだけでも、ラッキー!!ですよ)独り暮らしをしていますが、一人前のジャーナリストになる日を夢見ています。オースティン・メディア社発行のヤング・ティーン向け雑誌「デイジー・チェーン」の編集長キティー・モンゴメリー(マルグリーズ)のゴースト・ライターをする傍ら、近所のカフェでお菓子を焼いて、細々と暮らしています。キティーは、自分にもブスの時代があったと言い張りますが、「迷える子羊」を導くほど叡智の人ではありません。オンライン悩み相談コラムで助けを求める羊達に共感でき、賢そうなアドバイスが書けると、自分が益々輝いて見えるに違いないと判断して、人生に失望したプラムに代筆させています。キティーのような不逞の輩は、自分の発言や行動が周囲の人間を動かすほどの魔力を持っていると自負しているものです。


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キティー(マルグリーズ・左)の独壇場にゴースト・ライターのプラム(ナッシュ・右)は呆然とすることが多々ある。「デイジー・チェーン」のオンライン悩み相談室に寄せられる「迷える子羊」の悩みを分類・分析して報告するプラム。いずれ名入りの記事を書くことが夢だが、いつのことやら...(c) Patrick Harbron/AMC


ある日、自宅ーカフェー肥満サポートグループの狭い行動範囲から、リータ(ダイアン・バーク)との出会いで、信じられない世界を垣間見ることになります。リータの上司ジュリア(タマラ・チュニー)は、キティーの悩み(?)に耳を傾ける振りをする美容部長ですが、ファッションやコスメ業界が推進する’完璧な姿’から女性を解放しようと企んでいます。胃バイパス手術で細身になって、世間に存在を認めてもらおうと奔走するプラムに、汚い/怖い/醜い/見掛け倒しの外界を直視して、折角の知性を啓蒙運動に活用するよう勧めます。


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ジュリア(タマラ・チュニー)は、オースティン・メディア社ビル地下にあるビューティー・クローゼットを仕切る美容部長。女性解放運動地下組織のリクルートをゴスガールのリータ(ダイアン・バーク)に託したまでは良かったが、余計な真似をしたと首にする。(c) Patrick Harbron/AMC


リータの勧めでプラムは、回顧録「Dietland」の著者ヴェリーナ・バプティスト(ロビン・ウェイガート)を訪ねます。奇しくも、プラムが子供の頃、大枚を叩いて入会したバプティスト・ダイエットの創始者の娘で、新バプティスト・ダイエット方法を提唱するフェミニストです。男社会が課した実現不可能な’理想の女性像’に反旗を翻すカリオペー・ハウスを設立し、白羽の矢を立てたプラムに、世間の蔑視を避けるために、身を切り刻めば幸せになるのか?と問題提起します。


折りしも、拉致惨殺事件が続いて、全米を震え上がらせています。’女の敵’に復讐する自警団体が、見せしめのために罪状を告白させ、処刑しては、死体を高い所から投げ捨てています。ジェニファーとは誰なのか?ジェニファーの正体は?何が目的か?を巡って、様々な憶測が飛び交います。


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スタンリー(キャンベル・スコット)は、オースティン・メディア社CEO。遣り手編集長を失いたくないばかりに、キティー(マルグリーズ)の横暴振りに目をつぶる。とは言え、スタンリーは白人中年男だから、過激派自警団が槍玉に挙げる日は近い?(c) Patrick Harbron/AMC


ビル・コスビー、セクハラが公になっても当選したトランプ、一連のFoxニュース管理職やキャスター、ハーヴェイ・ワインスタインなどに端を発した#MeToo(私も被害者!と名乗るセクハラ・職権濫用告発運動)や#Time's Up(男どもに足蹴にされるのは、もう沢山!男尊女卑&セクハラ撲滅運動)が進行する現状を考えれば、この摩訶不思議なドラマは、時流のうねりに乗った革命的な作品と言えます。今や、女だからと諦めていたこと、女だからと遠慮していた発言など、あり得ません。もっとも、白人男性が仕切る米国社会でまかり通って来た職権濫用に楯突くのは、これまで家畜・家財同様に扱われてきた女性のみではありません。最近、頻繁に耳にする「marginalized people」(=主流から排斥された人々)には、白人異性愛男性以外が全て含まれます。


コスビーは4月に再審の結果、三訴因で有罪判決を受けました。5月に出頭したワインスタインは、終身刑に処せられるかもしれないと、報道されています。エンタメ業界で働く職権濫用できる立場にある男性は、身に覚えがある人も無い人も、いつ何時容疑をかけられるか、暴露されるか、毎日ビクビクしているに違いありません。きっと、#MeToo運動が極端に走れば、「Dietland」で描かれている女性の自警団が生まれ、これまで賄賂で口封じして来た被害者が立ち上がり、制裁を加えるかも知れないと、恐怖に慄いているに違いありません。ノクソンが発表した時を得た奇想天外なドラマは、何百年も抑圧されて来た女性達の怒りが爆発する、スカッとする復讐劇です。

このドラマが生まれた、日本からは絶対に見えない意味深な背景は次回に回します。お楽しみに!

サラ・シャヒがきらりと光るNBCの新作「Reverie」。華奢で芯の強いヒロインが綴る心温まるドラマは、テクノロジー社会から消え失せつつある’共感’を美しい映像で描く

2017年秋に始まったドラマが完了し、時間の無駄的、たわいも無いリアリティー番組で埋め尽くされる夏に突入しました。何も観るものが無いので、DVDを借りて観るのが恒例となっていましたが、今夏は何故か様子が違います。異例の2018年夏の皮切となったのが、5月30日にNBCが放った新作「Reverie」です。


英文評


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「Reverie」の主要キャスト5人のポスター。(前列左)マラ役サラ・シャヒ(イラン系アメリカ人)、(後列左から)ポール役センディル・ラママーシー(インド系)、モニカ役キャスリン・モリス(白人)、(後列中央)チャーリー役デニス・ヘイスバート(黒人)、アレクシス役ジェシカ・ルー(中国系)。前代未聞の人種多様性を実現したドラマ。キャスティング・ディレクターにエミー賞を贈りたい。(c) NBCUniversal


毎年、欠かさずチェックするパイロット撮影リストの中で、一際私の興味を引いたのは、主演女優、テーマ共に魅力的なドラマでした。この時点では、タイトルはまだ付いておらず、サラ・シャヒ・プロジェクトとなっていたと記憶しています。「リーガルに恋して」で好演したシャヒのプロジェクトなら!と、画面に登場する日を指折り数えて待っていました。ご存知のように、最近斬新なアイデアの異色作がめっきり影を潜め、リメイク、スパイ、世の終わり等お決まり作品がこれでもか!と登場するので、俳優で選ぶしかありません。



同時に、かねがね私は夢をテーマにドラマを書きたいと思っていました。アイデアを如何に映像化すれば良いのか、仕掛けを思い付かず、ついに今日まで書かず仕舞いになっています。タイトルになったreverieとは、耳慣れない言葉ですが、空想、夢想、幻想という意味です。夢がテーマの本作を心待ちにしていたのは、やばい!先を越されたか?の妬み心が無きにしも非ずだったのですが...


NBCから送られて来たパイロットは、私が書きたいと思っていた夢の概念からは程遠い、SFスリラーに仕上がっていました。オニラ・テック社が開発中の「Reverie」は、不可能を可能にするバーチャル・リアリティー・プログラムです。負け組の惨めな生活を捨て、自ら創造した世界で、思い出に浸る/夢を叶える/現実では物理的に不可能な望みを実現する等、自分で書いた脚本に主演できるVRプログラムなのです。ところが、プログラムを使い始めた初期ユーザー7人が、逃避先の虜になり、昏睡状態に陥りました。ベンチャー起業投資家を代表するモニカ(キャスリン・モリス)にせっつかれて、警備担当のチャーリー(デニス・ヘイスバート)が、元部下のマラ・キント(シャヒ)をリクルートする所からドラマが始まります。ユーザー独自の世界に人質解放交渉人マラを送り込んで、悪評が立つ前に意識を回復させなければ、会社の将来が危ういからです。勿論、各ユーザーがどのような心理状態で、何を目的に現実逃避するのか、何故プログラムに囚われの身となっても、現実に戻ろうとしないのか?等を、関係者に聞き込み捜査するのもマラの仕事です。


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(左から)モニカ(モリス)は前半は投資家を代表する謎の女、ポール(ラママーシー)は夢の専門家、マラ(シャヒ)は人命救助のプロだがPTSDを薬物やアルコールで遣り過す。アレクシス(ルー)は、VRを構築したコンピュータオタク、チャーリーはマラのトラウマを気遣う守護神的存在で、頼もしく且つ優しい上司。(c) Paul Drinkwater/NBC


マラは、バーチャル・リアリティー・プログラムを発案発明したコンピュータの天才アレクシス(ルー)と夢学者ポール(ラママーシー)から特訓を受けて、プログラムの虜になったユーザーの世界に侵入します。果たして、現実に引き戻すことができるのでしょうか?心理学や読心術を駆使して人命救助に携わるマラですが、2年前に身内を銃殺され、アルコールと薬物で心痛を回避し、ストレスの少ない教員職で生計を立てていました。しかし、奈落の底を体験、喪失感や自責の念に浸って来たマラだからこそ、ユーザーの痛みや悲しみをひしひしと感じます。そして、上から諭したり、非難することなく、ユーザーと共に、痛みや悲しみのどん底でうずくまってくれる存在なのです。


テクノロジーにのめり込んで携帯やコンピュータから目を離さない若者に、同情と共感は似て非なるもの!を実証する珍しいドラマです。希望的観測かも知れませんが、相手の痛みや悲しみを否定せず、「不幸中の幸い」や解決策を押し付けず、同等の目線で気持ちを汲み取る/分かち合うことが如何に人間関係の潤滑油になるかを読み取って欲しいと思います。もっとも、生きる知恵は歳と共に蓄積される訳ではありません。無駄に歳だけとって、何も学習していない人が多いので、共感度の高さは歳に比例するとは限りません。テクノロジー社会から急速に消え失せて行く共感を、AIに教える試みが最近話題になっていますが、心して生きた体験がなければ、人間でさえ真の共感を表現できないのに、AIなど以ての外!と思うのは私だけでしょうか?


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NBCの華奢で芯の強いヒロインは、(左)マラ(シャヒ)と、ルーシー(アビゲイル・スペンサー)の2キャラだったのに、「タイムレス」は打ち切られてしまい残念無念。 WENN.com


マラを初めて観た時、「SFは苦手でも『Timeless』は面白い!」(2016年10月10日)でご紹介した「タイムレス」の主人公ルーシー(アビゲイル・スペンサー)を彷彿させるキャラだと思いました。「Reverie」クリエイターも制作陣も口を揃えて、「ルーシーと同様のヒロイン」だと認めています。二人に共通するのは、華奢な割に芯が強く、アクション・ヒロインを難なくこなせるキャラと言う点でしょう。しかし、6月22日「タイムレス」は、正式に打ち切られてしまいました。数奇な運命は今に始まった訳ではなく、シーズン1が打ち切りになって2日後に更新発表があり、出だしから躓いた感があったので、覚悟はしていました。シーズン2が、ヘディー・ラマー、ハリエット・タブマン、グレイス・ハミストン等、米国の歴史に貢献した影の存在である女性を次々と紹介し、切り口の違う希少価値の高いドラマだったので、残念無念です。どこの国でも勝者目線の歴史が語り継がれますが、「タイムレス」は白人男性以外の視点から語る、目からウロコ満載のシーズン2だっただけに、葬り去るのは心苦しいドラマです。「Reverie」がしばらく続くことを期待するしかないようです。

勧善懲悪なんてどこ吹く風?ムカつく「スキャンダル」の結末 「LOST」同様、貴重な時間を返して欲しい メリーの大統領就任で終わった方が、潔かったのに

※日本未公開シーズンについてのネタバレがあります。


去る4月19日、「スキャンダル 託された秘密」は7シーズン124話で幕を閉じました。途中でダレてしまい、一度は盛り返したものの、貧乏くじを引いたのはジェイク(スコット・フォーリー)とデビッド(ジョシュア・マリーナ)のみと言う実に腹立たしい’完’でした。何が言いたかったのでしょうか?クリエイターの意図が全く見えません。それに正義は存在しないとは薄々(?)感じてはいましたが、勧善懲悪などどこ吹く風?的結末には空いた口が塞がりません。こんなムカつく終わり方だと知っていたら、我慢強く最後まで観る必要はなかったのです。メリー(ベラミー・ヤング)が大統領に就任した時点で、’完’とした方がどれほど盛り上がったことでしょう?シーズン7は、「殺人を無罪にする方法」とのクロスオーバー回があったり、#MeTooやTime's Up推進的逸話があって、完結話までふらりふらりと寄り道感があり、下手に引き伸ばさずに、6~7話にぎゅっと詰め込んで、濃い内容にして欲しかったと思います。


思い返せば、シーズン4の最終話でオリヴィア(ケリー・ワシントン)とフィッツ(トニー・ゴールドウィン)がよりを戻し、オリヴィアが誤ちから学び、人間として成長することを期待していた私は、すっかり興醒めしました。ここに至るまでに、何人の人間が殺され、傷付き、職を奪われ、追放されたか?を考えると、実に虚しく、又残虐度が跳ね上がり、目も当てられないシーンが激増したのも忘れられません。何故、悪党がいつもしぶとく生き残り、善人は削除され、バタバタと倒れて行くのでしょう?これが、政界の現実と諦めるしかないのでしょう。いえ、今や政界だけではありません。トランプ就任をきっかけに(?)現実でも偽善者や悪人がはびこり、のさばるようになりました。あー、虚しい!こんな世の中が、今後何年続くのでしょうか?古き良き時代は、もう過去の遺物なのでしょうか?


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1月10日、最後の「スキャンダル」セット訪問で写真撮影。ホワイトハウスの大統領執務室セットで行われたインタビューに参加したのは、(左から)クィン役ケイティ・ロウズ、ワシントン、ヤング。(c) Meg Mimura


オリヴィアは口では「私の責任」と言いますが、結局のところお咎めは一切なく、罪の償いは全てジェイクに押し付けて、フィッツとのハッピーエンドが示唆されました。紆余曲折を経て、二人の恋は実ると言いたかっただけなのです。又、いつのことなのか不明ですが、オリヴィアの今と何ら変わらない颯爽とした肖像画が首都ワシントンの美術館に展示されていて、遠からぬ将来オリヴィア自身が大統領に就任するか、又は政界に軌跡を残すことが示唆されています。オリヴィアとフィッツの将来も意味深な映像が流れるのみで、ライムズは相変わらず「ご想像にお任せするわ」とだんまりを決め込んでいます。


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(左から)副大統領に就任しても大統領の座を虎視眈々と狙うサイラス役を演じるジェフ・ペリー、貧乏くじを引くことになるジェイク役のフォーリーと、一番可哀想なデビッド役のマリーナの3人。気になるのは最近姿を見せなくなったジェイクの妻ヴァネッサだが、この人も悲運の女となるのだった。(c) Meg Mimura


ライムズの屁理屈は今に始まったことではありません。ABC局でのデビュー作「グレイズ・アナトミー」のシーズン1では、テーマは「医者は人間らしく、インターンは医者らしく」だと言い切ったにも関わらず、シーズン7辺りから「メレディスとクリスティーナの友情」が最初からテーマだったと豹変。えー!?それって、こじ付けですよと反論したくなることを平気で口にします。ある評論家に言わせると、「スキャンダル」の制作陣の記憶力は、3話分だとか。確かにそうですねえ。一本筋が通っているのが普通なんですが....だから、訳の分からない気の抜けた炭酸水みたいな結末になってしまうのでしょう。臨機応変に展開を変えたことが、祟っての結果かも知れません。


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どう言う組み合わせなのか、この部屋に集まったのは(左から)ハックを演じたギレルモ・ディアス、アビー役のダービー・スタンチフィールド、殺し屋チャーリー役のジョージ・ニューバーン。(c) Meg Mimura


好例は、オリヴィアだけは人を殺めない筋を貫き通すと断言しておきながら、自分達に都合の悪いことを知っていて脅迫する元副大統領を無惨に殴り殺す始末です。ドラマの展開は、オリヴィア役を演じるワシントンの2回に及ぶ妊娠・出産で大きく方向転換をせざるを得なかったとは言え、筋書きに多大なる影響を及ぼした筈です。共演者や撮影班には迷惑千万な話です。撮影していない間は、俳優にも撮影陣にもギャラ/給料は支払われないので、収入を補う為に、限定シリーズやテレビ映画に出演した俳優達がいました。シーズン5辺りで、久々にキャストの数人と映像インタビューをした際、「この中で、まだ人を殺めていない人は誰ですか?」と確認したほど、破茶滅茶になってしまいました。私の記憶が正しければ、最終話まで自ら殺人に手を下さなかったのは、アビー(ダービー・スタンチフィールド)、デビッド、メリーとマーカス(コーネリアス・スミス・ジュニア)の4人のみです。しかし、最後の最後にデビッドは殺されてしまうのです。アビーが怒り狂わず、実しやかにお墓参りする場面には、特にムカつきました。私なら怒り狂って、犯人に仕返ししますよ。無駄な死に方をするって、俳優にとってはどんな感じなのでしょうか?今度マリーナに聞いてみたいと思います。


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最初に通された会議室には、マーカスを演じたスミス・ジュニアとフィッツ役のゴールドウィンが登場。個別インタビューだったので、唯一の北斗七星を演じたスミス・ジュニアの話を聞いた。フィッツは、最終シーズンは不要だったと思うのは私だけ?(c) Meg Mimura


要は、オリヴィア以下フィクサー達の悪事の数々から世間の目を逸らす為に、遂に秘密組織B613の存在を明らかにし、公聴会まで開かれたにも関わらず、関係者一同には何のお咎めもなく、ジェイク以外は晴れて放免となります。しかも、オリヴィアの父イーライ(ジョー・モートン)と来た日には、公聴会に堂々と出席し、「白人社会を裏で糸を引いていたのは、何を隠そう黒人の私だったのだ!」とバラしますが、気が狂ったのか?と疑う議員さえおらず、皆後ろめたそうなのです。そんな理不尽な話ってあります?御上に向かって、謀叛を起こしたのは私と告白しているのに、何のお咎めもないのです。これってお伽話だったの?と目を疑ってしまいました。極め付けは、あれ程嫌がっていた父親との夕食を、何がどう変わったのかは不明のまま、今は楽しんでいるオリヴィアの姿です。はー???


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B613を使って、共和国の重要事項を差配していた事実を発表することになるイーライ・ポープは、ジョー・モートンが熱演。黒人の本音を吐いたキャラで、最終話でも狂気の沙汰を披露したが、無罪放免となった!!!(c) Meg Mimura


まだまだ、不満、不平は山ほどありますが、考えるとムカつくだけなので、「LOST」や「Mad Men マッドメン」同様葬り去るしかないのかな....?と考えていたところ、5月の新番組発表会で吉報が発表され、もうすっかり過去のこととして諦めがつきました。スコット・フォーリー制作主演の「Whiskey Cavalier」というスパイ・ドラメディーが来春の新番組として登場します。トレーラーを観た限り、フォーリーお得意のコメディーに近いドラマに仕上がっていて、ファンとしては、そそくさとこちらに乗り換えま~す!とはしゃいでしまいました。捨てる神あれば拾う神ありとは言い得て妙です。


【動画】Whiskey Cavalier - Official Trailer

善戦を続ける「ザ・グッド・ファイト」。シーズン2は、トランプ疲れから派生した疑心暗鬼のシカゴを描く。トランプ罷免キャンペーン・ビデオは必見!

※「ザ・グッド・ファイト」シーズン2についてのネタバレが含まれます。


去る3月16日に公開した「18年冬のTCAツアー」の2大トピックの中で、現在の米社会のまともな人間は学習性無力感/絶望感のどん底から這い上がれないとご報告しました。排除しようにも、トランプはのさばる一方で、辟易の頂点に達した常識人は根負けし、完全に闘う気力を削がれてしまったからです。


コメディーで茶化すか、「Designated Survivor」(昨秋始まったキーファー・サザーランド主演の政界ドラマ)のように、理想的な米大統領を描いて夢を見るしか手が無い、実に情けない状況です。そんな現状を蹴散らすように、3月4日ストリーミング配信を再開したのが「ザ・グッド・ファイト」です。プレミアを控えて、発表した英文評でも説明しましたが、学習性無力感/絶望感のどん底で茫然としている我々に成り代わって、タイトル通りの善戦を続けています。


英文評論


シーズン2も、シカゴの法律事務所で働くダイアン・ロックハート(クリスティーン・バランスキー)、ルッカ・クィン(クッシュ・ジャンボ)、マイア・リンデル(ローズ・レスリー)の女弁護士トリオが主人公です。


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(c) 2017 CBS Interactive, Inc.

一度はプロヴァンスで余生を楽しむ準備中だったダイアンは、危うくシカゴの法界から葬り去られそうになります。失脚の憂き目から救ってくれたのが、レディック・ボウズマン・コルスタッド法律事務所のエイドリアン・ボウズマン(デルロイ・リンド)でした。「少数派民族の機会均等ノルマを満たせる!」と冗談を言ってダイアンをリクルート。従来、白人社会に入り込めない「少数派」を雇用するのが機会均等ですが、レディック・ボウズマン・コルスタッドはシカゴでも数少ない’黒人の、黒人による、黒人のための’法律事務所ですから、60代の白人女性ダイアンを採用すると、年齢、白人、女性差別の3分野をカバーできると言うのです。


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エイドリアン役のデルロイ・リンド。少数派に暴力を振るったシカゴ警察から何度も賠償金を勝ち取ったダイアン(バランスキー)を引き抜けば、鬼に金棒と判断したからだ。当時、もう1人のパートナーだったバーバラ・コルスタッド(エリカ・タゼル)は、ダイアンを追い出したくてウズウズしていたが、シーズン2第1話で意外な展開が....WENN.com


渡りに船と移転したダイアンですが、自分の事務所ではない上、異文化の違和感は否めません。やっと落ち着いた矢先、エイドリアンの元妻リズ・レディック=ローレンス(オードラ・マクドナルド)が、亡き父カール・レディック(ルイス・ゴセット・ジュニア)の名を継ぐべく、入所します。トランプを’白人至上主義者’とツイートして、シカゴの検事局を辞任せざるを得なくなった敏腕弁護士ですが、どうも下心があるようです。又、追い出されるのかと疑心暗鬼に取り憑かれるダイアンです。折から法外な弁護料を取られたはらいせに、シカゴの弁護士が次々と殺害されて行きます。「次は私?」と引き出しに忍ばせた拳銃に思わず手を伸ばしますが、事務所に忽然と出現した怪しげな「白い粉」には立ち尽くすのみです。


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リズ・レディック=ローレンス(オードラ・マクドナルド)は再婚したが、元夫エイドリアンと働く羽目になる。検事局で取り扱っていたリンデル一族起訴事件について、ダイアンに時々情報を漏らしたり、クライアント獲得に余念がない等、事務所にとっては貴重な弁護士のように振る舞うが....果たして、吉と出るか凶と出るか? WENN.com


背景にあるのは、トランプの暴君振りが生み出す、秒刻みの「うっそー!?」の瞬間、「あり得ない!?」出来事です。しかも、トランプの汚水漬けになって、もう1年余りになりますから、’疲労’は半端ではありません。正義を貫いてきた’理想に燃える’進歩派弁護士ダイアンでさえ、為す術もなく、狂気の沙汰や修羅場に茫然と立ち尽くすのみです。いつ/誰に殺されるか分からない、うっかりものも言えない、誰も/何も信用できない...所謂被害妄想になっています。もう何も証明する必要がない、頂点を極めたデキる女ダイアンでさえ、トランプの悪政に苦しむ現況を「魂の闇夜」だと描写します。この救いの無い閉塞感や孤立感は、私が昨年来感じている学習性無力感/絶望感と読みました。「苦しんでいるのは、私だけではない!」と感じさせるカタルシス療法と言える「疑心暗鬼を生ず」のシーズン2です。さ、す、が、キング夫妻。又、見事なシーズンの再開です。


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(左から)30台のルッカ(ジャンボ)、20台のマイア(レスリー)、60台のダイアン(バランスキー)。既に頂点を極めたダイアンは、公私とも穏やかな「惰力走行」を目指していたからこそ、世知辛い世の中を憂い、狂気の沙汰を日常化したトランプに楯突く。 Patrick Harbron/CBS


一方、巨額金融詐欺容疑で行方をくらましたヘンリー・リンデル(ポール・ギルフォイル)を炙り出すため、FBIはあの手この手で、愛娘マイア(26歳)を責めて来ます。2週間の抑留体験で、すっかり逞しくなったマイアですが、ダイアン、ルッカ、メリッサ・ゴールド(サラ・スティール)の力添えで、早々に不起訴となり晴れて職場に復帰します。巷の中傷、非難、捏造記事に苛まれながらも、駆け出しの怖いもの知らず故の’猪突猛進’に拍車が掛かり、華奢な身体からは想像できない底力にも磨きがかかりました。


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サラ・スティールは、「グッドワイフ」でイーライ・ゴールド(アラン・カミングス)の娘メリッサを演じたお馴染みのキャラで復帰。「グッドワイフ」シーズン6で、アリシア・フローリック(ジュリアナ・マルグリーズ)のアシスタントとして活躍したが、「グッド・ファイト」では、ダイアンの’押し掛け’アシスタントからカリンダ顔負けの調査員に昇格する。 WENN.com


ルッカ(35歳)は、「魂の闇夜」を憂う暇もなく、仕事に没頭します。漸く出世街道まっしぐら!と思ったのも束の間、思いがけない私事(?)で脱線を余儀無くされた上、なんの因果か政界に引きずり込まれて行きます。今シーズンも、ルッカの私生活は謎だらけ、恋愛哲学は殊更不可解で、一体この人はどんな過去を引きずっているのだろう?と興味津々です。


待ちに待ったトランプ罷免の第一歩は、第7回目まで待たねばなりませんが、折に触れてトランプ叩きがしっかりと盛り込まれています。デキる女の鑑ダイアンが、此の期に及んで、薬の力で修羅場を笑い飛ばす場面は、同調して笑っているうちに、泣けてくること間違いなしです。余りの馬鹿馬鹿しさに辟易し、笑う以外に手がないからです。魂まで空っぽになってしまった今、虚しい笑いでしかありませんが....「幸せの秘訣は、鈍に徹すること」とダイアンは言います。言い得て妙です。


極めつけは、トランプ罷免をどの角度から攻めるべきかについて、レディック・ボウズマン・ロックハート法律事務所で討議する第7話の最後に流れる「Nobody's above the Law」の罷免キャンペーン・ビデオです。地上波局で流して、全米に広げて欲しい、的を得た傑作です。


ブランド嗜好のおしゃれな殺し屋とスパイになりたい冴えないMI5保安局員の一騎打ち。スパイスリラー「Killing Eve」はサイコパス対心理分析プロの心理戦を美しい映像とブラックユーモアで描く。

今春、私がお薦めする新ドラマのうち、一番暗~~いのがBBC America制作の「Killing Eve」です。通常、タイトルに'kill'の言葉が含まれているものは、パイロットさえすっ飛ばすことにしていますが、1月12日BBC Americaのパネルインタビューで、正反対の二人の女の摩訶不思議なイタチごっことして紹介されて、おおいに期待を寄せていました。


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番宣ポスター(c) BBC AMERICA/Sid Gentle Films Ltd.


米国では、4月8日にデビューしましたが、4月5日にシーズン2更新が既に発表されており、局の肩入れ度が伺えます。シーズン1は全8話ですが、プレミア前に7話の視聴が許され、更新の発表に大いに納得した次第です。スパイスリラーは、映画も含めて掃いて捨てるほどありますが、アクションで繋ぐ世界を股に掛けたイタチごっこではなく、テレビシリーズにしか実現できない知能/心理戦が綴られる点がユニークです。最近珍しい「早く続きが観たい!」とわくわくするスリラーに仕上がっています。もっとも、惨殺シーンは例によって例の如くすっ飛ばし、日中に観ました。暗くなってから観ると、夜中に魘されそうです。


原作はルーク・ジェニングスのノベラ(中編小説)シリーズ4本の中から「Code of Villanelle」を土台にして、フィービー・ウォラー=ブリッジが書き下ろし、テレビ化しました。


イヴ(サンドラ・オー)は、英国軍情報部第5課(MI5)保安局で要人警護にあたるアラフォー局員。地味な仕事と平穏無事な結婚生活に満足していると主張するものの、イヴの夢は秘密諜報員になることです。退屈で死にそうになっていたある日、ウィーンでロシア人政治家の暗殺を目撃した女性がロンドンの保安局に護送されて来て、イヴの刺激的なキャリアが始まります。得意の犯罪心理分析と直感で、殺し屋は女と推理したイヴは、目撃者を尋問しようと病院を訪ねますが、トイレで意外な出会いが...


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(左)同僚ビル(デビッド・ヘイグ)は、女スパイなどあり得ないと言い張るが、イヴ(サンドラ・オー)の直感に一目置いて、ドイツに出張。(c) BBC AMERICA/Sid Gentle Films Ltd.


イヴの挑戦を受けて立つのは、過去2年10ヶ国で次々と要人を惨殺した’くノ一’ヴィラネル(ジョディ・カマー)です。乙女チックな外見とは裏腹に、人間が息を引き取る瞬間を満喫する殺しのプロ。ブランド志向のグルメで、パリのアパートで贅沢三昧の生活をしています。


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くノ一ヴィラネル(ジョディ・カマー)。当然のことながら、ピンクのドレスは仕事着ではない。(c) BBC AMERICA/Sid Gentle Films Ltd.

イヴは、ファッションセンス0、がさつで粗野そのもの。善良な夫ニコ(オーウエン・マックドネル)とは正反対で、心の闇や陰謀など「暗さ」に興味津々です。犯罪心理分析官イヴの目に映る殺し屋ヴィラネルは、冷酷、無慈悲、尊大、良心/恐怖心/罪悪感の欠如等、まるで教科書から飛び出したような完璧なサイコパスです。一生に一度あるかないかの好機を逃してなるものか!と、イヴは周囲の反対を押し切って、ヴィラネルに接近して行きます。追う側も追われる側も、正反対の世界に住んでいる故に、強く惹かれあいますが、職業柄友達になる訳にも行かず(?)、イタチごっこに没頭して行きます。


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(左から)イヴ(オー)、コンピュータの天才ケニー(ショーン・デラニー)、アシスタントのエレナ(カービー・ハウエル=バプティスト)、ビル(ヘイグ)。MI6の事務所で、捜査を検討する。(c) BBC AMERICA/Sid Gentle Films Ltd.

「プリティ・リトル・ライアーズ」のルーシー・ヘイルが放つ新作「Life Sentence」は、癌を克服した一家の再出発を涙と笑いで描く。8年間の犠牲と妥協が家族に残した傷は、想像以上に深い!?「目からウロコ!」満載のドラメディー。

CW局は、統合失調症を患う地上波局です。吸血鬼が幅を利かせていた頃は、視聴者ターゲットは17~34歳の女性と主張していましたが、SFモノやアメコミ実写版が大半を占めるようになった昨今は、14~27歳の男性が対象だと言います。2~3年毎に、コロコロと気が変わるのか、作風に応じて集まってくる視聴者が変わるため、ファン層=ターゲットと称するのか?等、首を傾げてしまうことが多い摩訶不思議な局です。カメレオンではあるまいし、局のカラーや対象が、いとも簡単に変わるのは、はっきり言って変ですよ!


4月2日、CW局が更新するシリーズ10本を発表しました。
「ARROW/アロー」
「ブラックライトニング」
「レジェンド・オブ・トウモロウ」
「The Flash/フラッシュ」
「スーパーガール」
「リバーデイル」

「クレイジー・エックス・ガールフレンド」
「ジェーン・ザ・ヴァージン」
「ダイナスティ」

「スーパーナチュラル」(シーズン14、300回を迎える長寿番組)

アメコミ実写版は数あれど、私はDCコミックスのTVシリーズの第一弾としてCWでデビューした「アロー」一本に絞っています。何を隠そう、オリヴァー・クィーンに抜擢されたスティーブン・アメルを観ているだけなのです。それでも、オリヴァーの過去の経緯を描くフラッシュバックが鬱陶しくて、一時は放棄しようかと考えました。あそこまで、これでもか!これでもか!とオリヴァーの過去を見せられると、食傷気味になります。話が行きつ戻りつ=ほとんど前進しないもどかしさと、延々と続くアクション・シーンにもウンザリしていましたが、最近、フラッシュバックとアクション・シーンを早送りですっ飛ばして観ることにしました。問題解決!です。


アメコミ実写版、SFモノ/ファンタジースリラーに加えて、時々評論家好みの「ジェーン・ザ・ヴァージン」「クレイジー・エックス・ガールフレンド」などの異色ロマコメと、クリエイターの思い入れの深い、ユニークなドラメディーやロマコメを発表するのも統合失調症を患う(?)CW局の特徴と言えます。特に今年から土曜日を除く週6日午後8~10時の2時間枠を埋めるため、異色作を増やす必要があるのかも知れません。


この評論家好みカテゴリーに属するのは、2016年10月25日にご紹介した「No Tomorrow」(2016~17年)、ブリット・ロバートソンのデビュー作「Life Unexpected」(2010~11年)、そして古くは、ルーシー・ヘイルがキャストの1人を務めた「Privileged」(2008~09年)です。いずれも短命で葬り去ったにも関わらず、懲りない(?)CW局は、今春又もやキラリと輝く「Life Sentence」を放ちました。


英文評


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CW


ステラ(ヘイル)は、15歳で癌を宣告され、家族に支えられて、我が人生に一片の悔いなしリストを片っ端から実行して、精一杯「死ぬ」準備をしました。最後の願いは、姉リンジー(ブルック・ライオンズ)のように、幸せな家庭を持つこと。パリで恋に落ちることを夢見ていたステラは、街を徘徊している英国人ウエス(エリオット・ナイト)に出会い、電撃結婚します。長くても、半年の命と言い渡されていたステラは、葬式ケーキまで注文して覚悟していたのですが、臨床試験薬が効いて、生命拾いします。


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1月7日に開催されたCW局のパネルインタビューは「Life Sentence」と「ブラックライトニング」の2本。会場入口には、「Life Sentence」の巨大な番宣写真が飾られていた。(c) Meg Mimura


23歳にして、初めて終身刑(「Life Sentence」の意味)に処せられ、「生き」始めるステラです。しかし、第二の人生を始めるのは、ステラだけではありません。母アイダ(ジリアン・ヴィグマン)は父ポール(ディラン・ウォルシュ)を捨て、レスビアン生活を始めます。長女リジーは小説を書くと、幼い子供を夫ディエゴ(カルロス・ペナ・ヴェガ)に押し付け、山中に籠ってしまいます。プレーボーイを自負する長男エイダン(ジェイソン・ブレア)は、闘病中ステラには心の支えだったのですが、野心もなく処方鎮痛薬を売って食べている「負け組」です。


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「Life Sentence」をテーマにした朝食(?)が振舞われた。幸い、病院食ではなかった。(c) Meg Mimura

闘病中、病状に触るような厳しい現実は一切知らされなかったステラ。1日でも長く生きてもらおうと、家族全員が並々ならぬ努力、妥協をし、犠牲を払っていたのです。完治して初めて、綺麗事世界に隔離されて8年を生きたのだと悟ったステラは、完璧な家族が音を立てて崩れて行くのを目前にして、後ろめたさで心中穏やかではありません。恩返ししたいと思うものの、23歳にもなって就職したことも自立したこともありません。「死ぬ」準備に忙しくて、「生きる」術を取得していなかったからです。


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カフェラテのフォームミルクにも、趣向が凝らされて、番宣に力が入っていた。(c) Meg Mimura


こうして自分探しの旅を余儀なくされたステラは、瞬く間に冷たい現実の壁にぶち当たります。もう誰も応援してくれないのか?お互い何も知らずに結婚した夫は、果たして頼りになるのか?これからどんな人間になりたいのか?等々、不安の材料は山ほどあります。危なっかしいながら、自分探しの第一歩を踏み出したステラの冒険を笑いと涙で綴るのが、「Life Sentence」です。


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番宣グッズは、「Life Sentence」のロゴ入りのスープカップ。(c) Meg Mimura


「どんな人間になりたいか?夢は?希望は?このまま結婚していても、大丈夫なのか?などをステラが追求する行程を描くのよ」とヘイルは、このドラメディーへの熱い思いを語りました。私は幸い、癌患者の側にいた経験がありません。ステラを守るために、家族が払った犠牲が語られる毎に、目から鱗が落ちる思いです。癌と闘ったのはステラだけではないのです。一家全員が癌の被害者です。何度も、「御もっとも!」と唸ってしまう、未知の世界に誘ってくれる作品なので、是非長く続いて欲しいものです。


しかし、3月7日にデビューしたばかりと言うのに、既に放送日を水曜日から金曜日に移されてしまいました。米国では、金曜日は誰もテレビを観ていない日と見下され、打ち切りを待つだけの煉獄なのです。やばい!ですよ。もっとも、「クレイジー・エックス・ガールフレンド」と「ジェーン・ザ・ヴァージン」は金曜日枠に追いやられましたが、いずれも更新が発表されていますから、「クレイジー・エックス・ガールフレンド」と対にして、継続してもらえないかしら?と希望的観測をする私です。

良妻賢母だけが女じゃない!「デスパレートな妻たち」2018年版ドラメディー「Good Girls」も、崖っぷちに立つ女たちを哀しく可笑しく描いて爽快、爽快!

前回、18年冬のプレスツアーでは、セクハラが話題の中心だったとご報告しましたが、現在のトレンドは解雇処分になったセクハラ加害者の後釜に座る、あるいはエンタメ業界のトップの座に最も無難な「女性」の起用です。更に、有色人種の女性であれば、男尊女卑、セクハラ、あらゆる意味の’差別’を回避することができるので、一石二鳥いや一石三鳥も四鳥も可能で、今正に真の「女の時代」が始まったように見受けます。


この世相を反映して、今春の新作の女主人公は、「グッドワイフ」のアリシア級のデキる女に違いないと期待していましたが、数ある春の新番組の中から、女のドラマ一辺倒の私がお薦めできるのは、僅か三本しかありません。期待し過ぎたのもありますが、よく考えてみれば、今春デビューするドラマは、1年も2年も前から企画されていた作品だからです。来秋を期待しましょう!


2017年のパイロットの中で、粗筋だけ読んで「これっ!」と思ったのが、今回ご紹介する「Good Girls」(NBC)です。配役など一切知らない時点から、期待に胸を膨らませていた作品ですが、待つこと1年余り。昨秋に間に合わなかったのは、配役変更で、パイロットを撮り直す必要があったからです。プレスツアー準備の為に送られて来た3話は、「デスパ」2018年版と言える、崖っぷち女の哀しくて可笑しいドラメディーに仕上がっていました。


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NBC Universal

去る2月26日のプレミア直前に発表した英文評はこちらをご覧ください。

英文評のリンク


ベス(クリスティーナ・ヘンドリックス)は、4人の子育てに余念が無い専業主婦の優等生。夫ディーン(マシュー・リラード)は中古車販売店を経営、6人家族は羽振りよく暮らしていました。ある日、夫の浮気と遣い込みに気が付いたベスは、キレまくり、勢いに任せて夫を追い出します。子供の為に持家だけは守らねば!と覚悟したものの、手に職の無いベスには滞納していた住宅ローンを払う手立てがありません。


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ベスを演じるクリスティーナ・ヘンドリックス(左)とアニー役メイ・ウィットマン。ヘンドリックスは登板の条件として、「過激な部分を切り捨てないとNBCから確約を取付けたの」と言う。ウィットマンは、「これまで自分を押し殺して生きて来た女性に、羽ばたいて欲しいから引き受けた」と母親役への抱負を語った。 WENN.com


アニー(メイ・ウィットマン)は、姉ベスとは正反対の無責任、無鉄砲を絵に描いたようなシングルマザー。スーパーのレジ打ちをして、「ギルモア・ガールズ」風友達親娘を楽しんでいましたが、元夫グレッグ(ザック・ギルフォード)に養育権を奪われそうになっています。弁護士を雇う余裕など皆無、娘を諦めるしかないのかと切羽詰まっています。


ルビー(レタ)は、夫スタン(リノ・ウィルソン)と子供2人と幸せに暮らしていましたが、娘が難病にかかり治療に毎月1万ドルを工面しなければなりません。ダイナーのウエイトレスには、逆立ちしても無理な額です。しかも、ショッピングセンターの守衛では飽き足らず、夫は警官になると学校に通い始める始末です。


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ルビーを演じるレタ。「Girlfriends' Guide to Divorce」(Bravo局)での脇役から主要キャストに昇格したのは、レタの演技力の賜物だ。ここ数年、活躍の場が増えて、浮上して来た黒人女優の一人。 WENN.com


スーパーの金庫に常に大枚が保管されていることを知っているアニーの薦め(?)で、切羽詰まった良い子ちゃんトリオは強盗を働きます。うまく逃げ果せたものの、予想だにしなかった問題が次々と発生します。地元のヤクザから取立てられる、チンピラに脅迫されるは、崖っぷちトリオは「普通の主婦に戻りたい!」と言いますが、今更後の祭りです。シーズン1は、良妻賢母だけが女じゃない!と武器(?)を手にした良い子ちゃんトリオが、毎回深みにはまって行く様子を面白おかしく描きます。


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(左から)無鉄砲アニー(ウィットマン)、ペテン師顔負けの口八丁手八丁ベス(ヘンドリックス)、歯に衣着せぬ物言いの超現実派ルビー(レタ)の仲良し3人組。トリオの会話は、即興のセリフ満載で絶妙。 Josh Stringer/NBC


「Good Girls」の舞台は、自動車の街デトロイト。良い子ちゃん3人組は、働けど働けど我が暮らし楽にならずの労働階級で、贅沢する為ではなく、男に頼っていては埒が明かないと立ち上がります。高級住宅街で繰り広げられる裕福な家庭を守るのが「デスパ」なら、一攫千金を夢見て敢えて危ない橋を渡る労働階級を描くのが「Claws」(17年7月24日にご紹介したフロリダ・ノワール)ですから、「Good Girls」は丁度中間辺りに位置すると言えます。但し、一難去ってまた一難の茶番劇が3作の共通項です。


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1月9日に開催された「Good Girls」のパネルインタビュー。左から、クリエイターのジェナ・バンズ、ヘンドリックス、レタ、ウィットマン。バンズは「過激なシーンはご法度!の御達しはなく、好き勝手させてもらってる」と告白。地上波局が何とかケーブル局の「暗さ」と肩を並べようとしている証拠だ。 Evans Vestal Ward/NBC Universal


クリエイターのジェナ・バンズは、「絶望の崖っぷちに立つ女は、コメディーそのもの」と言います。崖っぷちから奈落の底に真っ逆さまに落ちて行くトリオは、「普通の主婦に戻りたい」と言いますが、「普通」って何なのでしょう?一旦、悪に手を染めてしまうと、人間普通には戻れません。法律や道徳に一瞬目を背ければ、あくせく働かずともお金になるのです。今更、辞められない、止まらない!とは言え、他人事だから大いに笑えます。但し、家族を守ると言う大義名分が立てば、何をしても良いのでしょうか?トランプ政権下では、そんな屁理屈がまかり通りそうで、追い詰められた者の怖さを実感する今日この頃です。

セクハラ、ディズニーのFox買収に明け暮れた18年冬のTCAプレスツアー。トランプの悪政1年を耐えた疲労感、倦怠感は顕著ながら、背景化した感あり

2018年冬のTCAプレスツアーは、1月4日から2週間に渡り、パサデナにあるランガム・ホテルで開催されました。今回のツアーは珍しく地上波局から始まり、公共放送PBSで無事終了しました。

スケジュール
1月4日 Fox
1月5日 FX
1月6日 CBS/Showtime
1月7日 CW
1月8日 Disney ABC
1月9日 NBC Universal
1月10日 セット訪問
1月11日 ケーブル局 (HBO, Turner, AT&T Audience Network, BritBox)
1月12日 ケーブル局 (BBC America, ESPN, Starz, Discovery, IFC)
1月13日 ケーブル局 (YouTube, ナショジオ, AMC, AMC/Sundance Now, Hallmark)
1月14日 ケーブル局 (Hulu, POP, Crackle, A+E Networks, A+E/Lifetime)
1月15日 ケーブル局 (Paramount Network, Viacom Networks, Acorn TV, Snap, Inc.)
1月16日 PBS
1月17日 PBS

ストリーミング会社は、昨年夏からケーブル局のマーケティング団体CTAMに組み込まれたため、CTAM枠内に企画されるようになりました。但し、今回もNetflixとAmazonは姿を現しませんでした。新局は、英国作品のみを扱うBritBoxとパラマウント映画系のParamount Networkです。此の期に及んで、新たにテレビ局を開設する意味があるのでしょうか?


17年冬のTCAプレスツアーは、トランプ就任前だったため、各局が作品の中でいかにトランプ支持/打倒を表現するのか、特に米国大統領の役柄が組み込まれている作品の制作陣に質問が集中しました。ところが、蓋を開けてみると、トランプ嫌いを歯に衣着せず表明したのは、「グッドワイフ」のスピンオフ作品「The Good Fight」のみでした。トランプに一票を投じた事実を認め、’黒人の、黒人による、黒人のための’法律事務所に居た堪れなくなったジュリアス・ケイン(マイケル・ボートマン)の逸話は、’オバマランド’と呼ばれるシカゴの現状を物語っているのでしょう。去る3月4日に再開された「The Good Fight」シーズン2では、初っ端から「トランプ罷免」の言葉が飛び交い、「民主党支持のシカゴ市民が罷免に持ち込むための法的手続きに着手する舞台裏を描く」とクリエイターのキング夫妻は語りました。辛うじてとは言え、未だにホワイトハウスに君臨しているトランプの祟りは怖くないのだろうか?と制作陣の勇猛果敢さに仰天します。テレビ好きのトランプとは言え、何もかも観る時間はないでしょうし、ドラマの本数が多過ぎて、網羅し切れていないのでしょう。知らぬが仏(誰が?)かも知れませんね。


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「グッドワイフ」シーズン1から、人種差別を訴えつつも、常に「こうもり」として描かれていたジュリアス・ケイン(マイケル・ボートマン)。スピンオフ「The Good Fight」には、’黒人の、黒人による、黒人のための’法律事務所の一員として再登場。トランプに投票した唯一の裏切者として爪弾きにされ、小さい事務所に一時避難する逸話があり、シカゴの現状を物語った。同作2では、第一話から元の法律事務所で投票権を持つパートナーとして活躍するが、「こうもり」ケインはいつ、どう寝返るか判らない。WENN.com


トランプ就任以来、米国は悪ガキを退治しようとあの手この手を打ったものの、何の効果もなく、辟易の頂点に辿り着いた被害者の疲労感と倦怠感に浸っています。異常が平常になって1年。根負けした反トランプ派常識人は、悪ガキに立ち向かうどころか、怒涛の毎日をやっとの思いでこなしているのが現状です。因みにこの「何をやっても無駄!」と認知し、闘う努力さえしなくなった心理状態を、学習性無力感/絶望感と呼び、鬱病の一歩手前と心理学者は定義しています。米社会も私生活でも、二進も三進も行かない状況に置かれた私は、今正に学習性無力感/絶望感のどん底です。但し、「もう、良い加減にして!」と叫びたいのは、私だけではないのだと、今回のプレスツアーで再確認しました。


しかし、今回のプレスツアーでは蔓延する「トランプ疲れ」は単なる背景と化し、昨年10月に発覚したハーヴェイ・ワインスタインに端を発したセクハラ訴訟、告発が引き金となり、業界でセクハラをどのように扱うかに焦点が絞られました。幸い私はワインスタイン兄弟と接触したことはありませんが、報道された時に、「それって、公然の秘密?」ではと思いました。しっかりと裏工作をして口封じしていたからですが、火のない所に煙は立たぬと言うではありませんか?ワインスタインやケヴィン・スペーシー、マット・ラウワー(NBCのニュースキャスター)の3人は「然もありなん!」納得組に分類できます。実際に会った人当たりの良い芸能人が次々と解雇処分され「ブルータス、お前もか!」組に入れたのは、FXコメディーの希望の星だったルイ・CK 、マーク・ハルパリン(「The Circus: Inside the greatest political show on earth」で活躍していた政治ジャーナリスト)、定年間近のチャーリー・ローズ(PBSやCBSで活躍していたベテラン・ニュースキャスター)です。この3人が活躍していた局が、即刻解雇処分したのは驚きで、ワインスタインのセクハラ騒動は、これまでとは全く異なる展開を見せています。業界の恥部をこの際に、根から切り取ってしまおうとの動きでしょうか?ワインスタインに限られていた時点では、俳優ビル・コスビーの前例があるだけに、いくら著名な被害者が名乗りをあげても、十把一絡げにされて、示談で処理されるのかと懸念していましたが、件数の多さと刑事事件として捜査中の申し立てもあって、ワインスタインはとんずらを決め込んだまま、卑怯にも姿を見せません。もっとも、この下地を築いたのが、内部告発でセクハラ容疑が浮上したフォックス・ニュースCEOロジャー・エイルズの辞任(退職金をたっぷりともらって)と、Fox局の看板男(超右派の)ビル・オライリーの解雇事件です。


今回のプレスツアーには、新作の番宣に駆けつけたミラ・ソルヴィーノ(AT&T Audience Networkの新作「コンドール」)とローズ・マッゴーワン(E!局の新ドキュメンタリー・シリーズ「Citizen Rose」)が、ワインスタインの職権を乱用したセクハラと嫌がらせの被害者で業界追放の促進力となった張本人です。


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ミラ・ソルヴィーノは、ワインスタインの執拗な要求を蹴ったため、女優として羽ばたく前に翼を折られてしまった被害者の一人。オーディションさえ受けられなかった映画「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が、ミラマックス社から「ソルヴィーノとアシュリー・ジャッドを配役するな」と圧力を掛けられた事実を認めたことについて「やっぱり、組織的に足を引っ張られてたんだ!って、涙が出たわ。20年、そうじゃないかって思ってたの。確証をありがとう。でも最近、仕事が入ってくるようになったのよ」と涙ぐましい発言。「扱い難い女優」のレッテルを貼られ、人生を狂わされたソルヴィーノだが、今後も逞しくしなやかに生きて欲しい!と応援したくなる。WENN.com


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「チャームド~魔女3姉妹」の頃の面影もない、ローズ・マッゴーワン。パネルインタビューに登場する前に、「あいつの名前を出さないで!」とビデオで指図。ソルヴィーノと比べて、まだまだ傷が深いのか、男嫌いなのか、「大丈夫?」と言いたくなるような言動だった。気狂い呼ばわりしたメディア、~~運動、応援している振りをしたメリル・ストリープ、’バケモノ’の味方をしたNetflix、更に業界全体に物申す!と周囲を全て敵に回しては、空回りに終わるのに...WENN.com


ゴールデン・グローブの授賞式に、女性が団結を象徴して黒衣で参加し、全世界に訴えたこともあって、プレスツアーではほとんど毎日のように、1)内部告発があったので、セクハラ疑惑を捜査中、2)容疑が浮上したので解雇処分にした(ブライアン・シンガー「The Gifted ザ・ギフテッド」「レギオン」のエクゼクティブ・プロデューサー、アンドリュー・クライスバーグ「スーパーガール」「ARROW/アロー」「The Flash/フラッシュ」他)が発表されました。


容疑が晴れたのは、30年の芸能生活のどこかで誰かに告発されたらしいロバート・ネッパーです。但し、「iゾンビ」の制作現場では問題無しと、現在レギュラー出演中の作品に限定されている点が気になります。又、アリー・シーディーのツイートが曖昧で「容疑をかけるなら、顔を出せ!」と居直ったジェームス・フランコは、HBOの「The Deuce」に現在出演中のため、HBOが敢えて持ち出し、容疑は晴れたと発表しました。フランコの演劇学校の生徒5人からセクハラ告発があった事実は、完全に無視されている上、このセクハラ疑惑が実際に捜査されているのか、闇に葬られたのかは不明です。いずれのケースも、過去を遡って調べれば続々と疑惑が浮上するので、臭いものには蓋!式に、「iゾンビ」と「The Deuce」に限って確証は出なかったと言うことなのでしょう。


PBSのポーラ・カーガー社長兼CEOに至っては、インタビュー番組を持っていた前出のチャーリー・ローズと地元LAのタヴィス・スマイリーを解雇した経緯を発表しました。ローズは既に確証が上がっていたので解雇を即決、内部告発だったスマイリーは、セクハラ専門の調査会社に委託した結果の解雇であることを明らかにしました。公共放送は6割強を個人の寄付でまかなっているので、透明にする必要があったものと思われます。又、映画「トゥルー・ライズ」で36歳のスタントマンからセクハラを受けたと最近公表したエリザ・ドゥシュクに対して、「今更だけど、当時聞いていたら、何とかできたのに、残念です」と述べたのは、同作を監督したジェームス・キャメロンでした。本当に、今更ですね...12歳のドゥシュクにそんな勇気があると思いますか?


昨年10月から毎日のように、セクハラ騒動の被害者と加害者が公表され、今日は誰かな?と楽しみにするようになりました。今年に入って下火にはなったものの、エンタメ業界で働く職権濫用できる立場にある男性は、身に覚えがある人も無い人も、いつ何時容疑をかけられるか、暴露されるか、毎日ビクビクしているに違いありません。#MeToo(私も被害者!と名乗るセクハラ告発運動)や#Time's Up(男どもに足蹴にされるのは、もう沢山!男尊女卑&セクハラ撲滅運動)等に代表される女性解放運動に拡大した現状を考えると、この’おっかなびっくり’が作品にいかに影響するのかは、大いに興味のある所です。


しかし、「グレイズ・アナトミー」「スキャンダル」で、職場恋愛を奔放に描いて来たションダ・ライムズは、相変わらず評論家の揚げ足を取りながら、のらりくらりと質問を交わしました。これがライムズの常套手段なので、まともな答えは期待していませんでしたが、「私の作品には、現実には起こり得ないことは山とあるわ。ファンタジーの世界だもの」と述べました。ファンタジーなら職場でくっ付いたり離れたりは許されるのか?の質問に、「『スキャンダル』は残り数話だから、ネタバレは避けたいわ。それに、最終章では恋愛は関係ないし。『殺人を無罪にする方法』については、ピート(ノーウォーク)に聞いて頂戴」と逃げの一手です。ライムズのお墨付き番組に関しては、暗に「私の作品じゃないから、クリエイターか脚本家に聞いてくださいな」とまるで他人事のように言います。的外れな答えで、時間を無駄にしないでくださいな!と言いたくなります。


テレビ業界にとって2017年の一大事は、何と言っても、12月に報道されたディズニーのFox買収劇です。Fox, Fox News, Fox Sportsのみを残して、21世紀フォックス社傘下の20世紀フォックスの映画とテレビ部門をディズニーが買収、拡張する計画です。プレスツアー初日、Fox放送局の共同会長ゲーリー・ニューマンとデーナ・ウォルデンが朝一で、Fox放送局の今後について質疑応答を実施しました。

1)Foxの’現存’の番組がABCに鞍替えすることはない

2)二社間で合意は結ばれたものの、独禁法に触れないと連邦政府に正式認可されるまでに1年~1年半かかると思われる。認可が下りるまでは「通常の業務」を続行する=現在、宙ぶらりん状態と解釈できる

3)買収が成立しても、落ち着くまでには4~5年かかる

と、今年のパイロット制作には何の影響も無さそうな話です。良い子ちゃんの象徴のようなディズニー(+ABC)と、異端児が売りで登場したFoxを統合するには、それなりに時間をかけて、長期戦を覚悟しなければならないに違いありません。FXで数本のシリーズ、限定シリーズを世に送り出したライアン・マーフィーは、プレスツアー時には「様子を見て」で逃げ切りましたが、ライムズに引き続き、そそくさとNetflixに鞍替えしました。捨て台詞は「僕はディズニー風のものなんか書けないから」。テレビ業界の混沌は、まだまだ続きそうです。Netflixに対抗する為に、どんどん規模を大きくするしか手がない地上波局ですが、Appleがテレビ業界に殴り込みをかければ、Netflixですら勝てないとの記事を昨年末に読んだのですが....長い物には巻かれろと、降参する訳にはいかないのでしょう。

意外と面白い今秋の新作「The Brave」「The Orville」「Young Sheldon」。視聴率は?

2017~18年シーズンの秋の新作は、情け無いほど面白くありません。例年の如く、一応パイロット版は全て観たのですが、注目に値する作品が皆無に近い暗~いシーズンとなりました。


それでもめげずに、数話観たところ、うーん、なかなかの出来じゃないか!と感心したのが、NBCの愛国心バリバリの「The Brave」と「スタートレック」と見紛うFoxのSFモノ「The Orville」のドラマ二本です。


パイロットは、まあまあの出来でしたが、「The Brave」は主役のマイク・ヴォーゲルに惹かれて、しばらく我慢の子で観続けようと思っていました。「パンナム」に出演が決まった時に一度お目にかかったのですが、何と言ってもちょい役ながら映画「ヘルプ」でヴォーゲルの演じたキャラが好きで、地上波局の軍隊モノ新作の中から、俳優で選んでしまいました。


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左からマックG役ノア・ミルズ、ジャズ役ナターシャ・カラム、プリーチ役デミトリアス・グロス、諜報員アル・ライサニ役ハディ・タバール、特攻隊隊長のダルトン大尉役ヴォーゲル。(c) Jeff Riedel/NBC


内容は中東にお忍びで待機している特攻隊5人が、米国国防情報局(DIA)の指令で全世界の危機やテロに対処するアクション・ドラマです。ハラハラ、ドキドキの末、救出や脱出を果たすもので、毎回スリル満点です。ヴォーゲルがお目当てで観ようと臨んだプレスツアーのパネルインタビューですが、マックG役のノア・ミルズは画面で見るよりも、実物の方が遥かに魅力的でした。ミルズもヴォーゲル同様、モデル出身の好感度抜群の俳優です。視聴率が芳しくないので、先行きが心配です。


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ヴォーゲル(左)とミルズ。モデル出身の役者が2人揃うのは珍しい?ミルズは、「まだまだ新米なので、学ぶことが一杯です」と抱負を述べた。(c) Lewis Jacobs/NBC


CBSの「SEAL Team」は主役にデヴィッド・ボレアナズ(「BONES 骨は語る」)が起用されていることが判明した時点で、興味が半減しました。そして、何よりも興醒めだったのは、パネルインタビューでも、CBSオールスター・パーティーの席上でも、制作陣が「軍隊モノ」であることを執拗に否定したことです。何故認めないのかは未だに謎のままですが、家庭生活に重点を置くと主張するプロデューサーのサラ・ティンバーマン(「マスターズ・オブ・セックス」)に、「パイロットを観た限り、『ザ・ユニット 米軍極秘部隊』に似ていると思いました」とコメントしたところ、顔色が変わり、側に立っていたプロデューサーとヒソヒソ話をする始末。「ユニット」が好きだったから指摘したのですが、どうもご機嫌を損ねたようで、後味の悪い会話になりました。そこまで、否定するには、何か訳があるに違いありません。


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デヴィッド・ボレアナズは、ネイビーシールズ・ブラボーチームのヘイズ隊長に起用された。「BONES」後のシリーズ復帰作となる。WENN.com


一方、CW局のカラーにそぐわないもう一本の軍隊モノ「Valor」は、戦闘ヘリコプター操縦士として初めて女性が起用されたことに重点を置いたドラマです。こちらは、プロデューサーも俳優もあっさりと軍隊モノであることを認め、CBSとは対照的で爽やかでした。残念ながら、CW視聴者には受けが悪く、シーズン2は期待できそうにありません。


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番宣ランチが開催されたホテル中庭には、主役を演じるクリスティーナ・オチョア(左)とマット・バーの大型ポスターが展示された。(c) Meg Mimura


CBSオールアクセスのオリジナル第二弾として始まった「スタートレック ディスカバリー」は、余りの暗さに一話で見限りましたが、SFモノが大いに苦手な私でさえ、Foxの新作「The Orville」には、すっかりハマってしまいました。シーズン2が既に確約されている事実を見る限り、局自体が視聴率に満足しているものと思われます。


夏のプレスツアーの最中にパイロットを含めた全三話をオンラインで視聴できるようになっていたのですが、私の好きなジャンルではないので、視聴せずにパネルインタビューに臨みました。プロモはコメディーとして押していましが、第三話はとても奥が深いドラマなので、「コメディーとして宣伝しない方が良いのでは?」とある評論家から提案があり、これは一見の価値あり?と観て、すっかりファンになってしまいました。


映像がそれはそれは美しく、50インチのハイデフで観るために制作されたような宇宙探検ドラマに仕上がっています。又、ダークマターなどの概念が映像として表現され、私のようなSF苦手人間でも十分に理解できる点も気に入っています。そして、何よりも夢も希望もない昨今、制作主演のセス・マクファーレンの発言通り「希望のあるドラマ」としてキラリと光っており、毎週楽しみに観ています。現代社会、特にトランプ政権下を暗に批判するような筋書きも多々あり、いつの時代も、どんな世の中でも、人間は然程変わらないんだなぁと思い知らされます。つまり、進歩が無いと言うことなのですが....


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自作自演のセス・マクファーレンは、オーヴィル号のマーサー艦長を演じる。三話以降、コメディー傾向(主にダジャレ)を放棄したのが成功の鍵?WENN.com


今秋のコメディーの話題作「Young Sheldon」は、パイロットを9月25日に放送して、人気を確認してから、11月2日より二話以降を放送するという珍しい方法でデビューしました。「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」のシェルドン・クーパー(ジム・パーソンズ)の生い立ちを描くコメディーです。「ビッグバン★セオリー」でシェルドンの口から聞いた子供時代を映像化したもので、9歳の神童シェルドンを演じるイアン・アーミテージ君がとても愛くるしい上、幼いシェルドンが素直で無邪気な点が大いに気に入りました。ここ数年、シェルドンが意地悪になり、人を蔑む言葉が聞くに耐えないようになっていたからです。パネルインタビューで、パーソンズがまるでアーミテージを我が子のように暖かく見守る微笑ましい姿が印象的でした。


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ジム・パーソンズは、「ビッグバン★セオリー」が始まってすぐにインタビューして、独占記事を書いた思い入れの深い俳優。腰の低さは変わっておらず、「久しぶりですね!元気にしてました?」と声をかけてくれた。「僕自身は、もっと粗削りな自信のない9歳だった」とアーミテージ君を称賛。 WENN.com


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神童シェルドンに抜擢されたアーミテージは、読書が趣味。テレビはほとんど観ないので、登板が決まってから、「ビッグバン★セオリー」を数話観て撮影に入ったと余裕綽々。怖いもの知らずなのか、本当に自信があるのか? WENN.com

第二話は、神童でなくても、学校で除け者扱いをされた経験のある視聴者にはジーンと来る逸話でした。パーソンズのナレーションも、視聴率獲得に寄与していることは間違いありません。難を言えば、シェルドンの母メアリー・クーパーの若かりし頃に配役されたゾーイ・ペリーと、ばあば役アニー・ポッツです。ペリーは、「スキャンダル6」で冷酷で無惨な役を演じている最中に、本作のオーディションを受けたと言いますが、私はあの怖い怖いサマンサのイメージを未だに拭い去ることができず、何度観ても慣れません。イメージがダブって、いつ切れるのだろう?とハラハラします。


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狂信的なメアリーの30代に抜擢されたゾーイ・ペリーは、本家本元メアリーを演じて来たローリー・メトカーフとジェフ・ペリー(「スキャンダル」のサイラス・ビーン役)の実の娘という曰く付きだ。 WENN.com


ばあばは、私のイメージと正反対のポッツが配役されて、小説を読んだ時に、頭に描いていたキャラ像と映画化された時のイメージのギャップに驚くのと同じく、もっと古風なテキサスのおばあちゃんを想像していたんだけど....と思いました。それでも、ポッツはしばらくすればしっくり来るかも知れません。シェルドンにポーカーフェイスを教え込むなど、なかなか強かなばあばだからです。

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モダンなばあば役を演じるアニー・ポッツ。ポッツの代表作「浮気なおしゃれミディ」 の頃から、ファンだったので起用されたのは嬉しいが、私のイメージとは月とスッポン!WENN.com

「風の勇士 ポルダーク3」米国で放送開始。未熟な男対実質的な女の闘いは、いつの世も変わらず?但し、18世紀英国の女が近代化され過ぎ?感は否めない

※「風の勇士 ポルダーク」日本未公開シーズンについてのネタバレがあります。


今秋の新作は、お薦めできるものがほとんどないので、放送開始されている継続番組をご紹介します。


10月1日からシーズン3が始まったのは、「風の勇士 ポルダーク」です。夏のプレスツアーでも取り上げられず、広報からは新シーズンのオンライン視聴可のお知らせもありませんでした。英文評を書くために、ギリギリまで待って、シーズン3を最後まで観た上で、漸く掲載に漕ぎつけました。PBSは公共放送なので、広報予算が皆無と承知していますが、完全に無視する余裕があるのでしょうか?


英文評


シーズン2第8話で、ロス・ポルダーク(エイダン・ターナー)は、妻デメルザ(エレノア・トムリンソン)を振り切って、’逃した魚’エリザベス・ポルダーク(ハイダ・リード)の再婚を阻止すべくトレンウィズ(ポルダーク本家の館がある地所)に駆けつけました。ポルダーク家の領地も鉱山も略奪したジョージ・ウォーレッガン(ジャック・ファーシング)が、再婚相手!?とは。血気盛んなロスはまるで最後の砦を守るかのように、エリザベスと一夜の契りを結んでしまいます。ロスに救われると早まったエリザベスの期待も虚しく、ポルダーク本家唯一の跡取りジェフリー・チャールズ(ハリー・マーカス)を守るため、更に準貴族の華やかなライフスタイルを維持するために、ジョージと再婚せざるを得なくなります。ロスへの恨み辛みから、打算的再婚に走ったエリザベスですが、一夜の過ちのツケが回って来るのがシーズン3です。


シーズン2放送前に、ターナーと英雄論を交わしたことは、2016年9月29日「エイダン・ターナー、ポルダークを語る」でご報告しました。私の憶測通り、ターナーが’英雄’のレッテルを剥がそうとしたのは、ロスの’紳士にあるまじき行動’を演じた後だったからです。元々、家柄やそれに付随する’力’には無頓着なロスですが、経済的/法的/精神的に追い詰められた結果の型破りな行動が際立つシーズン2でした。ターナーが止めを刺すように’謎だらけの不可解な男’、’無法者’、’裏切り者’、’反逆児’等の言葉でポルダークの影の部分を浮き彫りにしたのは当然です。


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コーンウォール地方の名士ジョージ(ファーシング)&エリザベス(リード)・ウォーレッガン夫妻、ロス(ターナー)&デメルザ(トムリンソン)・ポルダーク夫妻、ドワイト(ルーク・ノリス)&キャロライン(ガブリエラ・ワイルド)・エニス夫妻を中心に、ストーリーが展開されるシーズン3。 Courtesy of ©Robert Vigiasky/Mammoth Screen for BBC and MASTERPIECE


シーズン2は、家柄や権力を誇る準貴族階級対、財力で権力と家柄を手に入れようと躍起になる成金階級の激戦が描かれました。幼い頃からロス・ポルダークになりたい!と憧れてきたジョージは、鍛冶屋から叩き上げた成金三代目で、当時台頭し始めた銀行家と言う名の商人です。数々の策略が功を奏して、恋い焦がれたエリザベスを娶り、トレンウィズ乗っ取りに成功したジョージは、シーズン3は更なる権力を求めて治安判事、代議士、果ては国会を目指します。次々と立身出世しつつも、逆立ちしても貴族にはなれない上、自己嫌悪は日に日に度を増し、何を手に入れても至福を味わうことはありません。妬みと復讐が動機だからです。極めつけは、エリザベスが産んだ長男ヴァレンタインが自分の子供ではないかも?と、疑心暗鬼を生じて益々復讐に身を焦がし、損得尽くの弱い者苛めに徹します。今なら、実父確定検査をすれば済むことですが、何しろ18世紀ですから、証明の仕様がありません。苛めっ子もここまで来ると、滑稽であり、哀しくもあります。エリザベスにさげすまされるのは、時間の問題です。


Poldark Series 3 Teaser Trailer - BBC One


一方、ロスに依存して生きる家族、鉱夫や使用人の輪が広がった今、独り身の時に通用した善悪の判断ができなくなりました。「自由、平等、兄弟愛」の信念を貫けば、波紋は大きく、遠くまで広がります。裁判沙汰になって世渡り術を学んだのか?と思いきや、シーズン2後半で取り返しの付かない過ちを犯してしまったロス。シーズン3は、親友エニス医師(ノリス)救出作戦なる大冒険に身も心も注ぎ、家庭を顧みない身勝手な男になってしまいます。ロスの願いは、飽くまでも望みのままに生きること、家族とポルダーク領地を支えてくれる貧民を守ることです。


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ロス(ターナー)は、地元の繁栄と富を満遍なく分かち合うことが目標のリーダー格。いつの世も、使命感に燃える男にとって、家族は二の次でしかない。 Courtesy of ©Robert Vigiasky/Mammoth Screen for MASTERPIECE


現実を直視して、もっと賢く立ち回って欲しいと願うのは、飯炊き女から妻となったデメルザです。今シーズン、ロスの身勝手を許して溜まるもんか!と、夫婦平等を主張して、積極的に不倫相手を求めたり、実弟サム(トム・ヨーク)とドレイク(ハリー・リチャードソン)の布教活動用に、不動産分与を一存で決めてしまいます。21世紀でも、夫婦が完全に平等!と言い切れる女性が、何人いるでしょうか?今シーズンは、女性キャラ(特にデメルザ)が超近代化されて、現代女性顔負けの強かな女に豹変しました。原作を読んでいない私の憶測ではありますが、これも時代の流れを反映した有機的軌道修正なのでしょうか?18世紀の耐える女や尽くす女が主人公では、21世紀の視聴者の心を繋ぎ止めておけないのでしょうか?


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頑固一徹の男女の結婚の行方は?未熟な男(ロスやジョージ)対実質的な女(デメルザやエリザベス)の闘いが見事に描かれる。 Courtesy of ©Robert Vigiasky/Mammoth Screen for MASTERPIECE


蝶々夫人並みに崖っ淵に立って夫の帰りを待ちわびるシーンも多々ある反面、ロスの出世欲の欠如に不満タラタラのデメルザ。分家の長男とは言え、ポルダーク家の末裔が、御上として農民や労働者を上から押さえつけることに抵抗を感じると説明したにも関わらず、文句は尽きません。完璧ではありませんが、概ねいつも正しいことをしようと心がけ、世のため、人のため日夜努力するロス・ポルダークは、私にとっては’英雄’の外、何者でもありません。尤も、私はロスの奥さんではないから、英雄と呼べるのでしょう。


人助けの使命感に燃える人と結婚すると、家族は優先順位の下の方、下手をすると最下位かも知れません。アメリカ同時多発テロ事件の後、家族を顧みず、ツインタワーに飛び込み殉死した消防士の話を何度も何度も聞きました。英雄は家族を踏み台にして成り立つものです。そこで、デメルザに一言。踏み台にされていると思うなら、文句タラタラ、言い寄ってくる男達(次々と出て来るから不思議です)を利用してロスの気を引こう等、つまらない策略を巡らすのは辞めましょう。ロスに尽くすか、子供を連れて出て行くか、二つに一つ。どちらにしますか?

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