1990年代に世界的な人気を博した海外ドラマ「ビバリーヒルズ高校白書/青春白書」(通称「ビバヒル」)で、ブランドン・ウォルシュ役を演じたジェイソン・プリーストリー(57)が、1998年に同作を降板した本当の理由を明かした。実は、番組の方向性に不満を抱き、名プロデューサーのアーロン・スペリングに、シリーズそのものを終了させるよう直訴していたという。
ジェイソンは10月16日、かつての共演者でケリー・テイラー役を演じたジェニー・ガースのポッドキャスト番組「9021OMG」に出演。長年にわたり愛されてきた人気ドラマの舞台裏を振り返った。
「まるで昼のメロドラマ」 人気シリーズの変化に不満
1990年に米FOXで放送を開始した「ビバリーヒルズ高校白書/青春白書」は、ビバリーヒルズに引っ越してきたウォルシュ家の双子の兄妹、ブランドンとブレンダを中心に、若者たちの友情や恋愛、成長を描いた青春ドラマ。日本でも大ヒットし、ジェイソンは誠実で正義感の強いブランドン役で絶大な人気を獲得した。
しかし、長寿シリーズとなった番組に対して、ジェイソンは次第に違和感を覚えるようになったという。
特に転機となったのが、1997年から1998年にかけて放送されたシーズン8だった。
「シーズン8では、本当にいろいろとおかしなことが起きたんだ」
当時、新たにジョン・アイゼンドラスがショーランナーに就任。ジェイソンは彼の脚本家としての才能を認めながらも、登場人物が昏睡状態に陥ったり、突然その兄弟が現れたりと、次々に展開されるストーリーに戸惑いを感じていたという。
「ある意味、昼のメロドラマのようになってきたんだ」
当初の青春群像劇から大きく変化していく番組に、ジェイソンは徐々に不満を募らせていった。
「人気があるうちに終わろう」 プロデューサーに直訴
ジェイソンは、番組がこの先どこへ向かうのか見通せなくなっていたと振り返る。
「問題は、トンネルの出口に光が見えなくなってしまったことだった」
そこでジェイソンは、番組の生みの親であり、ハリウッドを代表するテレビプロデューサーだったアーロン・スペリングに直接掛け合った。
「アーロン、もう終わりにしよう。最高の状態で幕を下ろそうよ」
ジェイソンは、番組は依然として人気があり、視聴率も好調なのだから、納得のいく結末を作ってシリーズを終えるべきだと提案したという。
ところが、アーロンの返答は予想外のものだった。
「何を言っているんだ? 私がこのセットから運び出されるとしたら、死体袋に入れられたときだけだ」
ジェイソンによれば、アーロンはそれほど番組の継続に強い意志を持っており、「絶対に番組を終わらせない」と言い切ったという。
番組終了が叶わず、自ら降板を決断
番組を終えるつもりがないと知ったジェイソンは、自ら去るしかないと判断した。
「それなら、僕が辞めるしかないと思った。キャリアでも人生でも、ほかにやりたいことがあったんだ」
こうしてジェイソンは1998年、シーズン9の序盤でシリーズを降板。劇中では、ブランドンがジャーナリストとしてのキャリアを追求するため、ワシントンD.C.へ旅立つという形で物語から退場した。
シリーズを代表する中心人物の突然の離脱は、ドラマにとって大きな転換点となった。
しかし今回、ジェイソンは当時の決断について、意外な後悔も口にしている。
「残念だったよ。もし僕が辞めたあと、番組があと1年半しか続かないと知っていたら、残っていただろうね」
実際に「ビバリーヒルズ高校白書/青春白書」は、ジェイソンの降板から約1年半後となる2000年5月17日、シーズン10をもって終了した。
ブランドンとケリーの結婚も幻に
ジェイソンの降板によって実現しなかった展開のひとつが、ブランドンとケリーの結婚だった。
ブランドンとケリーは、シリーズを通じて複雑な恋愛関係を繰り広げてきた人気カップル。2人の結婚は物語の将来的な展開として想定されていたものの、ジェイソンが番組を去ったことで、その可能性は失われた。
ポッドキャストでジェイソンと対談したジェニー・ガースも、彼の降板によってシリーズの雰囲気が大きく変わったことを認めている。
すでにブランドンの双子の妹ブレンダを演じたシャナン・ドハーティーもシーズン4で降板しており、ウォルシュ兄妹の両方がいなくなったことは、ドラマの中心的な構図そのものを変える出来事だった。
10シーズンにわたって続き、世界中のファンを魅了した「ビバヒル」。その代表的なスターが明かした降板の舞台裏は、人気ドラマをいつ、どのように終わらせるべきなのかという、長寿シリーズならではの難しさを物語っている。






