2026年8月に亡くなったカントリー音楽界のレジェンド、ドリー・パートン。その死から約2か月が経過するなか、彼女が残した巨額の資産や事業をめぐって、親族と長年のマネージャーの間で深刻な対立が起きている。
米Page Sixによると、ドリーの甥で、20年以上にわたり警備責任者を務めてきたブライアン・シーバーが、元マネージャーのダニー・ノゼルと法廷で争っているという。さらに、一部の親族もシーバーと距離を置いていると報じられ、家族の間にも亀裂が生じている可能性が浮上した。
ドリーは8月25日、80歳で死去。米Forbesが推定した資産は約4億5,000万ドル(約680億円)に上り、テーマパーク「ドリーウッド」をはじめ、音楽や観光など幅広い事業を展開していた。なお、この金額は生前の推定資産額であり、実際に相続される遺産の総額が確定したものではない。
長年仕えた甥が突然解雇、脅迫疑惑で裁判に
今回の騒動の中心にいるのは、ドリーの甥ブライアン・シーバーだ。
シーバーは長年、叔母であるドリーの警備を担当し、彼女から厚い信頼を寄せられていた。ドリーが亡くなった際には、本人の希望により、SNSで訃報を伝える役割も任されていたという。
ところが、ドリーの死後、状況は一変する。
ドリーの事業を管理する会社「She’s Alive」を率いるダニー・ノゼルは、9月にシーバーを警備責任者から解雇。その後、シーバーが金銭を要求し、要求に応じなければドリーの事業や取引先に損害を与えると脅したとして、裁判所に訴えを起こした。
訴えによると、シーバーは関係者に攻撃的なメッセージを送り、従業員の中には恐怖を感じて出社を控える人もいたという。
裁判所は9月、シーバーと彼の警備会社に対し、ドリーの事業に関わる従業員や関係者への接近を一時的に禁止する命令を出した。
ただし、こうした脅迫疑惑が最終的に事実と認められたわけではない。
甥は疑惑を否定「悲しみの中で交わした会話だった」
一方、シーバー側は、ノゼルらの主張に強く反論している。
シーバーは、問題になったメッセージについて、ドリーを失った悲しみや怒りを抱えながら、親しい友人同士で交わした私的な会話だったと説明。言葉の一部だけを取り出されたことで、脅迫のように受け取られていると主張している。
また、ドリーの事業や従業員に対して脅迫メッセージを送ったことはないと否定した。
シーバーの弁護士も、遺族が悲しみに暮れるなか、一方的で不完全な説明が裁判所やメディアに持ち込まれたと批判している。
双方の主張は大きく食い違っており、争いは現在も続いている。
親族間にも亀裂? 追悼イベントに招かれなかったと主張
さらに今回、家族内部の関係にも注目が集まっている。
Page Sixが取材した関係者によると、シーバーを支持していない親族もいるという。多くの家族は表向きには彼を擁護しているものの、全員が同じ考えではないと証言した。
この関係者は、ドリー自身も晩年、シーバーが大きな権限を持つことに疑問を感じ始めていたと主張している。ただし、これは匿名の関係者による証言であり、ドリー本人の考えが確認されたわけではない。
そんななか、シーバーは10月21日に開催されたドリーの追悼イベントをめぐっても、不満を表明した。
イベントには、リーバ・マッキンタイアやケイティ・ペリーら多くのスターが参加。しかし、シーバーはFacebookで、自分と子どもたちは招待されず、出席しないよう伝えられたと訴えた。
「ほかの家族はみんな招待されていた。何人かは出席した。でも、私と子どもたちは来ないように言われた。人生とはそういうものだ」
ただし、誰がシーバーらの出席を認めなかったのかは明らかになっておらず、親族が直接関与したかどうかも確認されていない。
別の姪が新たな代表に就任、家族の対立はどうなる?
こうした騒動の一方、ドリーの姪であるダニエル・パートンが、ドリーのブランドや事業を代表する公式アンバサダーに就任したことも発表された。
ダニエルは最近、自身のInstagramで、シーバーと自分の父親を比較したユーザーに対し、「私たちが友達でいるなら、ブライアン・シーバーと私の父を比べないで」と返信。Page Sixは、このやりとりも親族間の複雑な関係をうかがわせるものとして紹介している。
一方、別の関係者からは、ノゼルがドリーの親族を事業運営から遠ざけようとしているのではないかとの主張も出ている。ただし、こちらも匿名の証言であり、事実関係は確認されていない。
ドリーが長年かけて築き上げた音楽とビジネスの功績。その管理をめぐる争いは、彼女の死後も収まる気配を見せていない。
今回の裁判では11月3日に次の審理が予定されており、今後の展開に注目が集まっている。



