カントリーミュージック界のレジェンドで、「Jolene」「9 to 5」「I Will Always Love You」など数々の名曲を生み出した歌手・俳優のドリー・パートンが死去した。80歳だった。
家族を代表して、甥のブライアン・シーヴァー(Bryan Seaver)が8月25日、ドリーの公式Instagramに投稿された動画を通じて訃報を発表した。
シーヴァーは長年、ドリーの警備責任者も務めてきた人物。今回の動画による発表は、ドリー自身が何年も前から彼に託していたものだったという。
ドリー・パートンの死因は? 「短期間のがん闘病」
訃報が伝えられた当初、詳しい死因は明らかになっていなかった。しかしその後、ドリーの代理人が米People誌に声明を寄せ、「短期間のがんとの闘い」を経て亡くなったことを明らかにした。
ドリーはテネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト・イングラムがんセンターで、愛する人々に見守られながら息を引き取ったという。
現時点で、どの種類のがんを患っていたのか、いつ診断されたのかなど、詳しい病状については公表されていない。
ただしドリーは亡くなる前の約1年間、たびたび自身の健康問題について明かしていた。
夫の看病中、自分の健康を「気にかけていなかった」
ドリーにとって大きな転機となったのが、2025年3月の夫カール・ディーンの死だった。
1966年に結婚した2人は、約60年にわたって人生を共にしてきた。夫の死後、ドリー自身の健康上の問題も表面化していく。
2025年には腎臓結石が原因で感染症を起こしたことを公表。予定していたイベントへの出演を取りやめ、ラスベガス公演も延期した。
2026年5月には、健康上の問題が続いていることからラスベガス公演をキャンセル。さらに8月14日にも、めまいや脱水症状などを理由に、テーマパーク「Dollywood」のイベントへの出席を断念していた。
なお、これらの健康問題と、今回明らかになったがんとの関係は公表されていない。
【動画】ドリー・パートン、亡くなる直前に自身の健康状態を語る
死の4日前、「まだやり遂げたいことがたくさんある」
しかし、ドリーが仕事をやめようとしていたわけではなかった。
亡くなるわずか4日前の8月21日、ドリーはPeople誌の取材に応じ、自身の健康状態について語っていた。
そこで彼女は、夫カールの世話をしていた間、自分自身の健康上の問題に十分注意を払っていなかったことを告白。一方で、治療を続けながら仕事をしていると説明し、まだ実現させたいことが数多く残っているとして、仕事への意欲を見せていた。
また同じ8月21日には、ドリーが病院に入院していたことも後に報じられている。4日後の25日に亡くなった。
結果的に、このインタビューは彼女が生前に残した最後期のメッセージのひとつとなった。
「Jolene」「9 to 5」──世界的スターとなった60年以上のキャリア
1946年1月19日、テネシー州のローカスト・リッジに生まれたドリー・パートン。12人きょうだいの4番目として、経済的に恵まれているとはいえない家庭で育った。
高校卒業後にナッシュビルへ渡り、人気歌手ポーター・ワゴナーのテレビ番組への出演をきっかけにブレイク。その後、「Jolene」「Coat of Many Colors」「9 to 5」など数々のヒット曲を生み出した。
【動画】ドリー・パートン「9 To 5」公式ミュージック・ビデオ
自身が作詞・作曲した「I Will Always Love You」は、1992年にホイットニー・ヒューストンが映画『ボディガード』の主題歌としてカバーし、世界的な大ヒットとなった。
【動画】ドリー・パートン「I Will Always Love You」
また俳優としても、ジェーン・フォンダ、リリー・トムリンと共演した『9時から5時まで』や『マグノリアの花たち』などに出演。1999年にはCountry Music Hall of Fame、2022年にはRock & Roll Hall of Fame入りを果たした。
音楽だけではなかったドリーの功績
ドリーは慈善活動にも長年力を注いだ。
1995年には、幼い子どもたちへ無料で本を届ける「Dolly Parton’s Imagination Library」を設立。故郷テネシー州から始まった活動は世界へ広がり、これまでに3億冊を超える本を子どもたちへ届けている。
2020年にはVanderbilt University Medical Centerの新型コロナウイルス研究に100万ドルを寄付。この研究は後にモデルナ製ワクチン開発につながる研究のひとつとなった。
そして晩年まで、ドリーの創作意欲が衰えることはなかった。
2023年にはポール・マッカートニー、リンゴ・スター、エルトン・ジョン、マイリー・サイラスらが参加したロックアルバム『Rockstar』を発表。さらに自身の人生を描くブロードウェイ作品『DOLLY: A True Original Musical』も準備されており、彼女の死後もプロジェクトは続いていく予定だ。
80歳になっても、病気になっても、ドリー・パートンは最後まで前を向いていた。
亡くなるわずか4日前まで、まだ自分には実現させたいことがあると語っていたドリー。「Jolene」も「9 to 5」も「I Will Always Love You」も、そして彼女が残した数々の功績も、これから先も多くの人々に受け継がれていくだろう。
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