ディズニー映画を見ていて、誰もが一度は思ったことがあるかもしれない。「もし悪役たちの世界に迷い込んだら、一体どうなるのだろう?」と。
そんな、ちょっと怖くてワクワクする世界が、本当にディズニーパークに誕生する。
米カリフォルニア州アナハイムで開催された「D23:アルティメット・ディズニーファン・イベント 2026」で、米フロリダ州ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのマジック・キングダムに建設される「ヴィランズ・ランド(Villains Land)」の新たな詳細が発表された。
2024年のD23で計画が発表されて以来、大きな注目を集めてきたプロジェクトだが、今回ついに正式名称が「Villains Land」に決定。さらに、マレフィセントをテーマにしたジェットコースターと、『白雪姫』でおなじみの「魔法の鏡」が案内役を務めるダークライドという、2つの大型アトラクションの内容も明らかになった。
「邪悪な願い」からすべてが始まる
ヴィランズ・ランドの面白さは、マレフィセントやアースラといった人気ヴィランをただ一か所に集めるだけではないところにある。ディズニー・イマジニアが今回明らかにしたのは、このランドのために作られたまったく新しい物語だ。
ゲストが不気味な森へ足を踏み入れると、そこには壊れた「願いの井戸」がある。かつて何者かがこの井戸で、あまりにも邪悪な願いをした。その願いによって井戸そのものが壊れ、毒された魔法が周囲の森へと広がってしまったという。
やがて、その邪悪な力に引き寄せられるように、さまざまな世界からヴィランたちが集まってくる。彼らは残された魔力を手に入れようとし、その力を使って自分たちの城や宮殿を作り上げていく。
つまりここは、「悪役たちが偶然集まっている場所」ではない。ディズニー作品のさまざまなヴィランが、ひとつの新しい物語の中で共存する世界なのである。

ヴィランズ・ランドの物語は、邪悪な願いによって壊れた「願いの井戸」から始まる © Disney
マレフィセントの城へ! 新ジェットコースターが誕生
2大アトラクションのひとつを支配するのは、『眠れる森の美女』のマレフィセントだ。
ゲストは、恐ろしい山頂の要塞を取り囲む魔法のいばらの中を猛スピードで駆け抜け、ついには「すべての悪の支配者(Mistress of All Evil)」マレフィセント本人と対峙することになる。
これだけでもかなり刺激的だが、さらに気になる発言も飛び出した。イマジニアによると、このコースターには、同種のアトラクションではこれまで試みたことのない要素が盛り込まれる予定だという。具体的にどのような仕掛けなのかは、まだ明らかにされていない。
ドラゴンへと姿を変えることでも知られるマレフィセントが、アトラクションでどのような姿を見せるのか。コースターそのものの仕組みとともに、今後の発表が気になるところだ。

マレフィセントの山頂の要塞と魔法のいばらを舞台にした新ジェットコースター。これまで同種のアトラクションでは試みたことのない仕掛けも計画されている © Disney
「鏡よ鏡…」魔法の鏡の向こう側へ
もうひとつの大型アトラクションは、ジェットコースターとはまったく異なる「ダークライド」だ。
案内役となるのは、『白雪姫』に登場する「魔法の鏡」。ゲストは女王の宮殿の地下にあるカタコンベへと進み、そこに置かれた魔法の鏡と出会う。そして鏡の魔法によって、「Mirror Realm(鏡の世界)」へと送り込まれる。
その不思議な世界には、数々のディズニー・ヴィランが現れるという。特殊効果だけでなく実物のセットも組み合わせ、鏡の向こう側に広がる幻想的な世界とヴィランたちを現実の空間として表現する計画だ。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」――ディズニー史に残るあの魔法の鏡が、今度はゲストをヴィランたちの世界へ連れていくことになる。

マレフィセントの山頂の要塞と魔法のいばらを舞台にした新ジェットコースター。これまで同種のアトラクションでは試みたことのない仕掛けも計画されている © Disney
悪役たちの個性が巨大なランドを作り上げる
では、どんなヴィランたちがこの世界を形作っていくのだろうか。
ディズニー・イマジニアは、ヴィランズ・ランドの開発にあたり、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが生み出してきたクラシックな悪役たちと、その登場作品を徹底的に研究してきたという。それぞれのヴィランが持つ個性や美学を、建築や空間そのものへ落とし込もうとしている。
その建築スタイルには「Conjured Architecture(魔法で生み出された建築)」という独自の名前まで付けられている。
イマジニアたちはパリやバルセロナを訪れ、アール・ヌーヴォーやモデルニスモ建築などを研究。豊かな色彩、曲線的な自然のモチーフ、不気味なほど巨大なプロポーションなどから着想を得て、「まるで魔法によって作られたような建築」を目指しているという。
ヴィランたちが邪悪な魔法を使い、それぞれ自分好みの城や宮殿を作り上げた――。そんな設定が、ランドの建物そのものにも反映されるわけだ。
規模は「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」級
そしてもうひとつ見逃せないのが、その規模である。
Disney Parks Blogによると、ヴィランズ・ランドの大きさとスケールは、ディズニーの巨大テーマエリア「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」と比較されるほどになるという。2つの大型アトラクションだけでなく、レストランやショップなども設けられる予定だ。
2024年の発表時点でも、ヴィランズをテーマにしたエリアはマジック・キングダムの大規模拡張計画の目玉のひとつとして注目されていた。今回明らかになった内容を見る限り、単に新しいアトラクションをいくつか追加するというレベルではなく、ヴィランたちが暮らすひとつの「世界」を作り上げようとしていることがわかる。
今度のディズニーでは、ヒーローは助けに来ない?
ディズニーといえば、勇敢なヒーローやプリンセス、そして最後に訪れる「めでたし、めでたし」の物語がおなじみだ。しかしヴィランズ・ランドでは、その常識がひっくり返る。
願いの井戸は壊れ、森には邪悪な魔法が広がり、そこへ悪役たちが次々と集まってくる。マレフィセントのいばらを駆け抜けたかと思えば、今度は魔法の鏡によってヴィランたちが待つ異世界へ――。ディズニーが長い歴史の中で生み出してきた「悪役」を、今度は物語の主役として楽しむ場所になる。
プリンセスやヒーローの物語では、最後には悪が倒されるのがお約束。しかし、ここは悪役たち自身が魔法を手に入れ、自分たちの城まで築いてしまった世界だ。
いつものディズニーなら、最後にはヒーローが助けに来てくれる。でも、この場所ではそうはいかないかもしれない。
「ヴィランズ・ランド」は、米フロリダ州ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのマジック・キングダムに建設予定。現時点でオープン時期は発表されておらず、今後さらに明らかになるアトラクションや登場ヴィランの詳細にも注目したい。












