俳優トム・クルーズが、映画界でも存在感を増しつつあるAI(人工知能)について自身の考えを語った。
AIの到来そのものを否定するのではなく、その一方でトムが強調したのは、人間が作り上げる映画や“本物”の体験が持つ力だった。
トム・クルーズ、映画界のAIについて語る
トムは9月21日、英ロンドンで行われたBAFTAのトークイベント「Life in Pictures」に登壇。『トップガン』や『ザ・エージェント』『マグノリア』、そして『ミッション:インポッシブル』シリーズなど、40年以上にわたるキャリアを振り返った。
その中で話題となったのが、急速に映画業界へ浸透しつつあるAIだ。
『ミッション:インポッシブル』シリーズが常に最新技術を取り入れてきたことや、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ではAI「エンティティ」が人類を脅かす存在として描かれたことを受け、司会者からAIが映画界に与える影響について尋ねられたトム。
トムはまず、人間にしかないものがあるという考えを示した。
AIについても、その存在を拒絶するのではなく、「やって来るし、そうなるだろう」と、その広がりを避けられないものとして受け止めている。
それでもトムは、「人は本物を見たい」と強調。AI時代を迎えても、人間が作り出す物語や技術を求める観客はいなくならないとの考えを示し、クリエイターたちに「作り続けよう」と呼びかけた。
「映画館で見る映画は、また別の芸術」
トムが今回語ったのは、AIだけではない。
映画館という場所についても、強い思いを明かしている。
トムはストリーミングそのものに反対しているわけではないとしたうえで、映画館で作品を見ることは「また別の芸術形式」だと説明。人々が同じ場所に集まり、大きなスクリーンを前に同じ作品を体験することの価値を強調した。
「人々はその体験を求めている。映画館に足を運んでいる」と語ったトムは、「僕は常に人間を信じている」とも話している。
『ミッション:インポッシブル』シリーズでは、自ら危険なスタントに挑み、可能な限り実際のロケや撮影にこだわってきたトム。その姿勢を考えれば、今回の発言も彼らしいものと言えそうだ。
AIという新しい技術の登場を否定するのではなく、それが広がったとしても、人間が演じ、人間が物語を作り、観客が一緒に作品を見るという映画そのものの魅力は失われない――。今回の発言からは、そんなトムの映画への信念がうかがえる。
新作『DIGGER/ディガー』では“別人級”のトム・クルーズに
そして、そんなトムが次に挑むのが、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の最新作『DIGGER/ディガー』だ。
トムが演じるのは、石油採掘会社のCEOで、大富豪かつ傲慢な権力者のディガー。自らの利益を追い求めた行動によって地球を危機に陥れ、その後始末として世界を救うことを命じられるという異色の人物だ。
【動画】別人級に変貌したトム・クルーズ! 映画『DIGGER/ディガー』オフィシャル予告
これまでのトムのイメージとは大きく異なり、劇中では特殊メイクとボディスーツによって驚くほど変貌。今回のBAFTAイベントでは、その特殊メイクに当初およそ6時間を要していたことも明かした。
トム自身も本作について、これまで読んだことがないような作品であり、非常に独創的で感動的な映画だと絶賛している。
監督を務めるのは、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『レヴェナント:蘇えりし者』などで知られるアレハンドロ・G・イニャリトゥ。アクションスターとして長年スクリーンを走り続けてきたトムが、これまでとはまったく異なる役柄でどのような新境地を見せるのか注目される。
AI時代を迎えても「人は本物を見たい」と語ったトム・クルーズ。その言葉を体現するかのような新たな挑戦を、今度はスクリーンで目撃することになりそうだ。
映画『DIGGER/ディガー』は、2026年10月9日(金)より全国ロードショー。








