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ジェレミー・ザッカー インタビュー – デビュー・アルバムリリース前にして楽曲総再生数は 20億回超えの大型新人シンガー・ソングライター、BTSのVが注目したことでも話題に

ジェレミー・ザッカー INTERVIEWS
ジェレミー・ザッカー

ジェレミー・ザッカーは、1996年3月3日生まれ、米ニュージャージー州出身のシンガー・ソングライター兼プロデューサー。

2015年、大学1年生の時にコロラド大学で分子生物学を学び、眼科医のインターンとして働く傍らで、デビューEP『Beach Island』をリリース。彼の音楽は、SNSやインターネットなどが普及した世の中が生み出す孤独感や不安定な人間関係といった現代的な感情を詩的な歌詞と心を包み込むようなサウンドで表現している。

そのミュージシャンとしての才能が認められ、2017年に米リパブリック・レコードよりメジャー・デビュー。新人ながら音楽ストリーミングサービス上で再生数20億回超えという記録的なストリーム数を樹立し、満を持して2020年春にデビュー・アルバム『love is not dying』をリリースする。


来日公演から半年が過ぎますね。この前来日公演の時の動画をインスタグラムにアップしてましたが、日本で思い出に残っていることは?

「あの公演は本当に素晴らしかった。これまでのショーの中で、一番最高だったショーのひとつだね。よく、日本のオーディエンスは音楽へのリスペクトがあるからすごく静かだよって聴いていたんだけど、僕がパフォーマンスを始めると、他の国と同じくらい皆クレイジーになって盛り上がってくれた。生き生きとしたエナジーが感じられて、僕自身もすごく楽しめたんだ。本当はもっと居たかったんだけど、東京では一日だけオフがあって、渋谷のショッピングモールにいったよ。名前は忘れちゃったけど。ランチでラーメンを食べたんだけど、それがめちゃくちゃおいしかった。寿司も2回食べたし、洋服も買ったな。あと、プラネットがのってるイヤリングを買ったんだけど、それは今でもつけてるよ。」

来日公演後の活動はどんな感じでしたか?

「アジアツアーのあと家に帰ってきて、すぐにアルバム制作を始めたんだ。ビデオも数本撮ったけど、アルバムを仕上げることに集中していたね。その甲斐あってアルバムは完成して、もうすぐリリースされるんだ。」

そのアルバムの話を今日はたくさん聞かせてください。その前に一つ。BTSのV(キム・テヒョン、テテ)があなたの代表曲「comethru」を聴いている動画をツイッターにアップしたけど、それについてどう思った?あなたからテテに伝えたいことはある?

「見た見た。結構前だよね。素晴らしい音楽をパフォーマンスしている彼みたいな大物が僕の音楽を聴いてるなんて、本当にクレイジーだと思ったよ。そんな影響力がある人があれをツイッターに載せたわけだから、大慌てだった(笑)」

前にCosmopolitan Koreaのインタビューで、テテと連絡の取り方が全然分からないんだよねと話していたけど、その後テテとは連絡取りあえましたか?

「まだわからないんだ(笑)BTSのメンバーって、個人の SNSアカウントを持ってなくてさ。もしかしたらマネージメントのコネクションで連絡を取ることはできるかもしれないけど。」

あなたからテテに伝えたいことはある?

「君のサポートに本当に感謝しているよ。君のファンに僕の音楽を広めてくれてありがとう。僕自身がBTSの音楽のファンだから、同じくBTSのファンである皆が僕の音楽を聴いてくれるなんてすごく嬉しい。会って一緒に出かけられたら最高だろうな。」

ここからはアルバムの質問。初アルバム『LOVE IS NOT DYING』が完成したね。アルバムということで、これまでのシングル曲制作と違いはあった?

「やっぱりアルバムだから、制作期間は長くかかった。前にEPを作ったことはあったけど、アルバムに比べると曲数も少ないから、アルバムのような大きなプロジェクトに挑戦するのは始めてだったんだ。だから時間をかけて、まず一ヶ月で20~30個ぐらいのアイディアを考えて、そのアイディアを基に曲を形にしていった。そこから一曲に大体一ヶ月くらいかけて仕上げていったから、本当に自分のペースでゆっくりと作業を進めていったんだ。その過程でプロジェクトがだんだん発展していって、約一年くらいかかってアルバムが完成した。最初に完成した「ジュリア」を書いたのが2018年の11月だったから、僕にとってはすごく長いプロセスだったね。長かったから、その過程でたくさんの発見があったし、色々考えたし、表現の方法を色々実験してみたりも出来たんだ。長いぶん、その間には素晴らしいこともあれば大変なこともあったり、ノスタルジックになる瞬間もあれば、今のことやこの先を考える瞬間もあった。だから、このアルバムの曲の数々は、その期間に起こった自分に意味のある時間や瞬間、自分自身がどんな人間なのかを探って感じることの出来た瞬間のコレクションなんだ。」

今答えの中に出てきた「ジュリア (julia)」では「声」を加工し、続く「ヘル・オア・フライング(hell or flying)」では「生音」で表現という流れにこだわりを感じたのですが。その流れを意識した?

「もちろん。アルバム全体の流れに関してはかなり意識したよ。ぜんぜん違う雰囲気を持った2曲を並べてみたり、繋がりを感じるような2曲を続けてもってきたり。「ジュリア」と「ヘル・オア・フライング」の間には、なんか繋がりを感じたんだよね。このアルバムは、映画みたいなんだ。それぞれの曲にテーマとシーンがあって、それが繋がって一つになっているんだよ。」

昨年リリースした「Oh Mexico」以降の楽曲を収録しているけど、全曲を通して聴くとストーリーがあるような。片思いから失恋、そこから立ち直っていくまでの過程を描いているような。「Oh Mexico」を完成させた時点からアルバムのコンセプトが頭にあった?

「アルバムの制作は、”よし、これからアルバムを書こう。こんな感じのアルバムにしよう”と考えて始まったわけではなかった。とにかく一曲ずつ曲を書いていって、その曲で表現したいことを曲ごとに表現していったんだ。さっきも話したように、一年から一年半のプロセスの中で、その時に出来る色々なことを試した。そうしたことで、自然と自分のその時その時のライフが映し出された作品になっていったんだ。そして、全ての曲を作り終えた後で、始めて曲どうしの共通点が見えてきた。それがタイトルの『LOVE IS NOT DYING』なんだけど、今の僕の人生において感じられることがそれだったんだ。あのタイトルは自然と思いついたもので、それは今僕が感じていることでもあるし、他にもたくさん意味がある。でもそれは、僕が説明しなくても音楽が説明してくれると思うよ。最後の2、3曲を書いている時にアルバム名を思いついて、あの言葉が全てを一つにまとめてくれたんだ。」

タイトルについてもう少しだけ聞かせて下さい。色々な意味がある中で、あなた自身が『LOVE IS NOT DYING』に込めた思いの一つとして、例えば何がありますか?

「説明が難しいんだよね。言い過ぎてしまうと、その固定のイメージができてしまって、皆が自由にその意味を解釈できなくなってしまうから。でも色々ある思いのうち一つは、人生、たくさんの様々なことが起こるけれど、それには必ず理由があるということ。そして、その出来事の数々が互いにどう作用しているかを考えると、それは本当にクレイジーなことだし、人生はそれだけ壮大で素晴らしいものに成りうるということ。今すぐにはうまく言葉をまとめられないけど、もうちょっと考えてゆっくり話したらもっとちゃんと答えられるかも(笑)でもやっぱり一番なのは、リスナーがそれぞれに自分の経験と自由につなぎ合わせて自分なりの意味を見つけてくれることだね。」

サウンドに関してのこだわりは?ギター、ピアノの弾き語りなど様々な音を駆使していますが。それは、楽曲のアイデアを生んだ楽器を使用しているから?

「このアルバムには、僕がやりたかったことが詰まっているんだ。自分が試したかったことを全て試したし、そうやって実験をして、機能するものを採用していった結果バリエーション豊富なサウンドに仕上がった。でも、曲作りの基本はやっぱりピアノとギター。そこに音色を加えていって、より面白いものを作っていったんだ。フィールド・レコーディングをしたりもしたよ。友達が喋ってる声とか、色々な場所でランダムなサウンドを録って残しておいて、それを使ったり。あとは、ランダムな楽器やランダムな楽器も使った。それを全部使ってみて、エディットして、パズルみたいに組み立てていったんだ。」

曲ごとにその曲の中で表現したいことを形にしていったとおっしゃいましたね。アルバムの収録曲の中で、最も今の自分を表現できた楽曲は?その理由も教えて。

「「フルストップ」だな。あの曲は、僕が長い間抱えていたフィーリングが曲になっているんだけど、それをどう表現していたらいいのかがなかなかわからなかったから。クレイジーですごく悲しくて、それらが全部混ざっていて、空が落ちてくるかのように何もかもが崩れ落ちるようなフィーリング。イメージは頭のなかにあったんだけど、それを音で上手く表現することに手こずったんだ。」

「ウィーアー・ファックド、イッツ・ファイン(we’re fucked it’s fine)」は、朝の風景のようなイノセントでドリーミーな世界が印象的。タイトルとのギャップが面白いと思いましたが、この楽曲が生まれたきっかけは?

「この曲の内容は啓示みたいなもので、素晴らしい最高のシチュエーションにいて、それが崩れ終わることがわかっているんだけど、それをわかった上で今の状況をエンジョイしている様子が表現されている。だから、”We’re fucked it’s fine”(=めちゃくちゃな状況だけど、大丈夫)ってタイトルなんだ。サウンドのあの平和な感じはそこからきてるんだよ。」

基本的にはメランコリックな楽曲が目立ちますが、「Lakehouse」だけパンクな衝動が伝わりますね。10代の頃に組んでいたバンドの影響がここに反映?

「そうそう。確実にそれが影響してる。僕は昔、パンクロックやポップパンクを聴きまくっていたからね。Blink182には大きな影響を受けたバンドの一つで、めちゃくちゃハマってた。だから、ストレートなポップやダンスミュージックと共に、ロックやパンクポップロック、オルタナティヴロックは僕の音楽の大きな一部なんだ。パンクロックのあとはヒップホップにもハマったし、そこからラップ、インディと進んで、それからはジャンルというよりも自分に新しいアーティストを発見することにのめり込んでいった。そうやって音楽のテイストがだんだんと進化して広がっていったんだ。」

歌詞に関しては、現在の拠点fブルックリンの日常をベースにし、最後には「旅」に出るという流れになっていると思うけれど。あなたにとってブルックリンとはどんな場所?

「面白い場所だよ。世界の最大の都市の一つであるマンハッタンのすぐ横にあるのに、ブルックリンには緑がたくさんあって、マンハッタンに比べると開放感もある。だから、完全に郊外って感じてもないんだけど、街でありながらリラックスが出来る場所なんだ。友達もたくさんいるし、出かけるのが気持ち良い。あと、パーティーやイベントも充実しているよ。僕の周りにもクリエイティヴな友達がたくさんいて何か開催したりもするし、彼らにインスパイアされたりもする。色々な影響を受けて、自分自身のこれまでの経験とそれを合わせて、なりたい自分になれるのがブルックリンだと思うね。すごく楽しいし、居心地よく、ホームだと感じられる場所なんだ。」

またブルックリンの風景がアルバムや楽曲制作にどんな影響をもたらしている?

「ブルックリンって、さっきも話したけど、街でもあり、シティでもあり、色々なものが混ざっている場所なんだ。だから、スタジオへ行くのにも、電車でもいけるし、車にのったりもするし、歩いたりもする。その生活の中で本当に様々なものや人々を目にするわけだけど、僕はその目に映る全てから影響を受けているんだ。僕の音楽は、ブルックリンで生活している人々のサウンドトラックみたいなものかもしれないね。誰のサウンドトラックにもなりうる。ブルックリンという街は、その背景なんだ。」

「オーキッド (orchid)」は、好きな人を「蘭」の花に例えた楽曲だと思うけど、なぜ「オーキッド」にしたの?花言葉では「優雅」や「美しい淑女」を示しますが。

「その曲が、花が好きな子についての曲で、その子のお気に入りがオーキッドだからオーキッドをタイトルにしたんだ。理由はそれだけ(笑)」

アルバム全体を通じて感じて欲しいことは?

「繋がりを感じて欲しい。曲や歌詞とコネクションを感じてくれたら嬉しいな。僕自身、リスナーとして、会ったことのないアーティストが書いた曲に繋がりを感じて、”ワーオ、僕の他にも同じ気持ちの人がいるんだ”って思うことがある。それが、僕が音楽を作る上で意識していることなんだ。僕の音楽を聴いて、自分は一人じゃないと感じてほしい。会ったことがなくても、曲を書いた人と曲を聴く人がそうやって繋がることが出来たら素晴らしいよね。」

あなたの楽曲は「失恋」や「メランコリック」がキーワードになっていますが、このアルバムを完成させたことで恋愛に対する洞察力は鋭くなりましたか?恋愛の「教訓」があったら教えてください。

「アルバムを書くまでは、果たして自分に恋に落ちる能力があるのか疑問に思っていたけど、アルバム制作の中で色々と経験したり考える時間ができて、僕自身にもその能力があること、人を心の底から思いやることが出来ることを実感できた。そして、愛にも色々な形があることもわかった。恋愛だったり、家族への愛だったり。愛し方も一つではなく様々な愛し方があって、そしてその愛の数々が自分の人生にどう影響しているかを理解することもできたね。このアルバムを作ったおかげで、様々なレベルで自分と愛の繋がりを探求し、見つけ出すことが出来たと思う。」

日本のファンにメッセージを。

「また絶対に日本に行きたいし、その時はまたショーが出来たらいいな。アルバムがもうすぐ皆のもとに届くことにすごく興奮してる。いつも僕の音楽を聴いてくれて、僕をサポートしてくれて本当にありがとう!それに応えられるように、皆にお返しができるように頑張るよ!」

      1. 来日公演から半年が過ぎますね。この前来日公演の時の動画をインスタグラムにアップしてましたが、日本で思い出に残っていることは?
      2. 来日公演後の活動はどんな感じでしたか?
      3. そのアルバムの話を今日はたくさん聞かせてください。その前に一つ。BTSのV(キム・テヒョン、テテ)があなたの代表曲「comethru」を聴いている動画をツイッターにアップしたけど、それについてどう思った?あなたからテテに伝えたいことはある?
      4. 前にCosmopolitan Koreaのインタビューで、テテと連絡の取り方が全然分からないんだよねと話していたけど、その後テテとは連絡取りあえましたか?
      5. あなたからテテに伝えたいことはある?
      6. ここからはアルバムの質問。初アルバム『LOVE IS NOT DYING』が完成したね。アルバムということで、これまでのシングル曲制作と違いはあった?
      7. 今答えの中に出てきた「ジュリア (julia)」では「声」を加工し、続く「ヘル・オア・フライング(hell or flying)」では「生音」で表現という流れにこだわりを感じたのですが。その流れを意識した?
      8. 昨年リリースした「Oh Mexico」以降の楽曲を収録しているけど、全曲を通して聴くとストーリーがあるような。片思いから失恋、そこから立ち直っていくまでの過程を描いているような。「Oh Mexico」を完成させた時点からアルバムのコンセプトが頭にあった?
      9. タイトルについてもう少しだけ聞かせて下さい。色々な意味がある中で、あなた自身が『LOVE IS NOT DYING』に込めた思いの一つとして、例えば何がありますか?
      10. サウンドに関してのこだわりは?ギター、ピアノの弾き語りなど様々な音を駆使していますが。それは、楽曲のアイデアを生んだ楽器を使用しているから?
      11. 曲ごとにその曲の中で表現したいことを形にしていったとおっしゃいましたね。アルバムの収録曲の中で、最も今の自分を表現できた楽曲は?その理由も教えて。
      12. 「ウィーアー・ファックド、イッツ・ファイン(we’re fucked it’s fine)」は、朝の風景のようなイノセントでドリーミーな世界が印象的。タイトルとのギャップが面白いと思いましたが、この楽曲が生まれたきっかけは?
      13. 基本的にはメランコリックな楽曲が目立ちますが、「Lakehouse」だけパンクな衝動が伝わりますね。10代の頃に組んでいたバンドの影響がここに反映?
      14. 歌詞に関しては、現在の拠点fブルックリンの日常をベースにし、最後には「旅」に出るという流れになっていると思うけれど。あなたにとってブルックリンとはどんな場所?
      15. またブルックリンの風景がアルバムや楽曲制作にどんな影響をもたらしている?
      16. 「オーキッド (orchid)」は、好きな人を「蘭」の花に例えた楽曲だと思うけど、なぜ「オーキッド」にしたの?花言葉では「優雅」や「美しい淑女」を示しますが。
      17. アルバム全体を通じて感じて欲しいことは?
      18. あなたの楽曲は「失恋」や「メランコリック」がキーワードになっていますが、このアルバムを完成させたことで恋愛に対する洞察力は鋭くなりましたか?恋愛の「教訓」があったら教えてください。
      19. 日本のファンにメッセージを。
  1. リリース情報
  2. ジェレミー・ザッカー BIOGRAPHY

リリース情報

デビュー・アルバム『ラヴ・イズ・ノット・ダイイング』発売中

ご試聴はこちら⇒ https://umj.lnk.to/JeremyZucker_Album

ジェレミー・ザッカー BIOGRAPHY

1996年3月3日生まれのジェレミー・ザッカ―はアメリカ合衆国ニュージャージー州出身のシンガー・ソングライター兼プロデューサー。2015年、大学1年生の時にコロラド大学で分子生物学を学び、眼科医のインターンとして働く傍らで、デビューEP『Beach Island』をリリース。ジェレミーの音楽は、SNSやインターネットなどが普及した世の中が生み出す孤独感や不安定な人間関係といった現代的な感情を詩的な歌詞と心を包み込むようなサウンドで表現している。そのミュージシャンとしての才能が認められ、2017年に米リパブリック・レコードよりメジャー・デビューを果たす。新人ながら音楽ストリーミングサービス上で再生数20億回超えという記録的なストリーム数を樹立し、満を持して2020年春にデビュー・アルバム『love is not dying』をリリースする。

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