EVENTSMUSIC/ARTISTSNEWS

【エド・シーラン】ベストアルバムのような構成! ワンオクTaka登場! 「日本人が静かに聴いてくれるのも好き」と名バラードも披露した東京ドーム公演【ライブレポート/セットリスト2024.01.31】

Credit:Mark Surridge EVENTS
Credit:Mark Surridge

1月31日(水)、エド・シーランが東京ドームでライブを行った。「+-=÷x Tour(マスマティクス・ツアー」での日本公演は3日間行われ、27日(土)、28日(日)の京セラドーム(大阪)に続き、この東京ドーム公演が最終日。

今回はそんな東京ドーム公演のライブレポートをお届けする。

※ライブ翌日の2/1、いくつか修正を行いました。修正した点は最下部に記載します。

序盤からギター&ルーパーで会場を沸かす

観客のカウントダウンと大歓声に包まれて中央のステージに登場したエド。

突き抜けた爽快感と、ふと訪れる静けさの緩急で鳥肌を立たせる「Tides」からライブは始まった。静かなパートではエドの公演を心待ちにしていた会場中の観客から大歓声が上がり、エドも笑顔を見せる。

2曲目は熱いギターリフが印象的な「BLOW」。クリス・ステイプルトン、ブルーノ・マーズとのコラボレーションでリリースした楽曲だ。ステージ中を駆け回りながらギターをかき鳴らすエドの周りには炎が上がり、色々な意味で熱気に満ちた2曲目となった。

credit:Mark Surridge

credit:Mark Surridge

I’m a Mess」では回転するステージで心地よくアコースティックサウンドを奏でるエド。2コーラスで拍手を煽ると、エドのテンションも上がったのかテンポが心なしか上がっていく瞬間もあった。ルーパー(※)を使用して音と声を重ねていく作風がライブ映えする楽曲だ。

※:一連の音を録音して繰り返し、音を重ねていくことができる機器。エド・シーランは楽曲で多用している。

「来てくれてありがとう」と改めて会場に感謝を伝えると、モニターにも足元のルーパーを映してお家芸のルーパー技を実演。どのように音を重ねていくかを披露すると、その後その応用編のようにリズム、ギターリフ、ピアノ、さらに口でビートも重ね、「Shivers」のトラックを作っていく。乗りやすい人気曲の登場に観客も楽しそうに跳ねた。

「あれからまだ聴き続けてくれるみんなに感謝」

「東京に来るのはずっと夢だった」と語りながらエドが振り返るのは2012年に参加した日本の音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVALだ。

「あの時の日本には僕の音楽を知っている人は少なかった」「でもまたここに来られて嬉しいよ」「あれから今まで、こうして僕の音楽を愛し、聴き続けてくれるみんなに本当に感謝してる」と、日本にもファンが増えたことを喜び感謝するエド。

「観光客としても好きだ」と東京愛を語って歌い始めたのは、2012年のフェスでも披露していた「The A Team」だ。エドは穏やかな歌声で観客を包み、会場はスマートフォンの光でエドを包み返した。

credit:Mark Surridge

credit:Mark Surridge

「ジャンプして!」と会場を煽り、頭上のアニメーションと共に歌い上げたカントリー調の「Castle on the Hill」は元から広がりのある雰囲気の楽曲だが、大きな会場を得てさらに壮大な曲になっていく。

続く曲は「Don’t」。まだ終盤に比べると静かだった会場をコール&レスポンスの繰り返しで温めたエドは、見事“A la n-la la”の合唱の中で同曲を歌い切った。

「生きていると、突然知人を亡くすこともある。葬式に行くことも。僕も知人を亡くしたよ」と語るエドが披露したのは、“目を閉じて踊れば、まだそこに君が見える”と“失った人”への思いを歌う「Eyes Closed」。

「日本人は静かに音楽を聴いてくれる。それも素敵」

「2011年の最初のアルバム『+』から1曲歌いたい」というとエドは「Give Me Love」を披露。
ルーパーの音を増やしていくパートでは、ギターをドラムのように手のひらで連打したりしながら情熱的な音楽を作り上げていく。
さらに同曲終盤では観客をブロックごとに分けて異なるメロディを歌わせ、会場全体にハーモニーをもたらした。

ここでエドはMCで、母国イギリスと日本との国民性の違いに触れる。「日本のみんなは結構静かだよね。以前は僕のこと愛してくれてるのかな、なんて思ったことがあるけど、これは文化の違いなんだって気づいた」「イギリスの観客はすごくうるさく叫び声をあげてくれる。日本はみんな静かに音楽を聞いてくれるけど、それも素敵なことだよ」と、音楽に聞き入ってくれる日本の観客に歌を披露する喜びを語る。

そして「今からやる曲は静かだから、聞いててね」と優しい表情で歌い始めたのは「Boat」。さらに「お気に入りの曲をやるよ」と披露したのは、このツアーでの披露は初となる「Punchline」。最新アルバム「Autumn Variations」収録の楽曲だ。静かに聞き入る雰囲気から、ラストサビはバンドメンバーも参加して一気に盛り上げた。

Credit:Mark Surridge

Credit:Mark Surridge

バンド紹介を経て、ここからは一気にメドレー。他のアーティストと共に手がけた楽曲の数々を少しずつ、連続で披露した。(エミネムとのコラボレーション曲「River」、ファイヤーボーイDMLとの「Peru」、カリードとの「Beautiful People」、カミラ・カベロ&カーディBとの「South of the Border」、そしてジャスティン・ビーバーとの「I Don’t Care」では、ステージから虹色の光が放たれた。)

ポケモンとのコラボMVが再現!?

Overpass Graffiti」では映像もストリートグラフィックアート風に。バンドサウンドで突き抜ける爽快感が気持ちいい。

そして一連の日本公演で演奏し続けているあの曲へ。Nintendo Switchソフト「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」への提供楽曲「Celestial」だ。

MCでも語ったとおりエドは幼少からのポケモン好き。ピカチュウ、ゼニガメ、リザードンなど、同曲のMVでも使われたポケモンのアニメーションが会場のモニターにも映っていて可愛らしい。

縦横無尽にスキップしながら会場を盛り上げるバイオリニストのアリシアと共に観客がサビで声を合わせた「Galway Girl」を経て、エドの楽曲の中でもトップクラスに有名な楽曲の1つであろう「Thinking Out Loud」が披露されると、イントロの時点で会場から歓声が上がる。「日本人は静かとはいえ、もっといけるでしょ?」と会場をコール&レスポンスで歌わせ、再び会場が一つになる。

ジャスティン・ビーバーのカバーも披露

「曲を作ってステージで披露する。それが好きだ。ステージに立ったらスタジオに入って音楽作り。またステージに戻ってくる」というルーティンを「これにまさる趣味なんかない」と話した、誰より音楽愛にあふれるエドはここで1つカバー曲を披露。ジャスティン・ビーバーの2015年の楽曲「Love Yourself」だ。観客もおなじみの楽曲を共に歌っていた。

再びエドが合唱を巻き起こしたのは、繰り返しの歌いやすさもあって会場が一体となった「Sing」。観客はそろって“Oh-ooh”の声を上げた。

途中で声がかすれて「もう一回ね」などとほっこりさせつつ、優しく会場に歌い上げるのは「One」。そしてそのまま「Photograph」へ。

「シンガーソングライターとしては静かな部屋で歌うのも好きだ。楽しいよ」と改めて静かに音楽を披露することの魅力を語ると、コーラスを重ねたハーモニーが美しく響く「Tenerife Sea」へ。モニターの映像もゆらめいて幻想的な空気が作り上げられた。

まさかの「ワンオク」Taka登場!

静かなパートでのハイトーンもしっとり響き渡り、会場に感動の空気が広がったところで、ここに突然のサプライズが。なんと、世界でも活躍する日本の大人気ロックバンドONE OK ROCK(ワンオクロック)から、ボーカルのTakaがステージに登場したのだ!

過去からエドとTakaには親交があること、先日Taka主催のパーティーにエドがサプライズ登場したこともあり、微かな期待の声は前もって上がっていたとはいえ、実際に目の前でそれが実現すれば結局驚愕してしまうし、会場の歓声も鳴り止まない。

credit:Mark Surridge

credit:Mark Surridge

エドとTakaは順に歌ったりコーラスし合ったりしながらONE OK ROCKの定番人気曲「Wherever You Are」を披露した。

肩を組んで歌うふたりの夢のコラボレーションを目の当たりにしながら、観客も全力で合唱に参加するのだった。

一声、一音に思いを込めるような演奏

大興奮のコラボレーションを終えた後の空気。今度はそこにしっとりとした感動の空気を浸透させるかのように、エドは「Perfect」を丁寧に歌い上げる。

credit:Mark Surridge

credit:Mark Surridge

Bloodstream」はクールでスタイリッシュな雰囲気ながら沸々と湧き上がる熱さを感じさせる楽曲。大会場となればそのクールさも熱さも当然増幅した。

本編最後の楽曲は「Afterglow」。曲名どおり夕焼けが目に浮かぶようなエモーショナルなこの楽曲を、エドは丁寧に噛み締めるように歌い、ギターの一音一音に思いを込めているようにも見えた。

アンコールでは超定番人気曲も!

一度退場し、アンコールではジャイアンツのユニフォームをまとって登場したエド。

アンコール1曲目は「You Need Me I Don’t Need You」。
何曲も歌い終えた口でこの日一番の早口ラップをまくし立てるエドに会場のボルテージは一気にMAXだ。

その熱気をそのままに大人気楽曲「Shape of You」のイントロが出来上がり始めると、本公演最大級の歓声が。もちろん会場は一体になって”Oh I”と合唱した。

そして「最後にあと1曲」と言って演奏し始めたのは「Bad Habits」。手拍子に合わせてルーパーに足されていく音の数々がイントロを作り上げ、こちらも開始時点で歓声が沸いていた。サビでは最後の体力を使い果たすように観客がジャンプし、ドームの床が揺れるのだった。

最後まで「Thank you, ありがとう」と感謝を述べ、最後まで大歓声の中で見送られていったエド。

ベストアルバムのようなセットリスト、最高の演出にサプライズゲスト…ループしてほしいくらいに大満足な、贅沢なライブであった。

エド・シーラン 1月31日(水) セットリスト

1.Tides
2.BLOW
3.I’m a Mess
4.Shivers
5.The A Team
6.Castle on the Hill
7.Don’t
8.Eyes Closed
9.Give Me Love
10.Boat
11.Punchline
12.メドレー(River/Peru/Beautiful People/South of the Border/I Don’t Care)
13.Overpass Graffiti
14.Celestial
15.Galway Girl
16.Thinking Out Loud
17.Love Yourself (Justin Bieber Cover)
18.Sing
19.One
20.Photograph
21.Tenerife Sea
22.Wherever You Are (with Taka (ONE OK ROCK))
23.Perfect
24.Bloodstream
25.Afterglow

En1.You Need Me, I don’t Need You
En2.Shape of You
En3.Bad Habits

※2/1修正点

いくつか修正いたしました。たいへん失礼いたしました。

・MCのフェス名「FUJI ROCK FESTIVAL」が「FUJI ROCK EXPRESS(サイト名)」になっていた点を修正しました。
・「Eyes Closed」を「故人への思い」と記載していましたが、故人も含めた「失った人への思い」であるため、“失った人”に修正しました。
・「日本人は静かとはいえ〜」という表現は「Sing」ではなく「Thinking Out Loud」の部分でした。

tvgrooveをフォロー!