俳優で映画監督のクリステン・スチュワートが、ロサンゼルス・ハイランドパークにある歴史的映画館「ハイランド・シアター」を購入した。1925年に開業した同館は、パンデミック後の客足が戻らず2023年に閉館していたが、スチュワートがその再生に乗り出すことになった。
スチュワートは Architectural Digest の取材で、この劇場との出会いを「雷に打たれたようだった」と表現し、古い映画館が持つ独特の魅力に強く惹かれたと語った。彼女にとって今回の購入は単なる不動産取引ではなく、映画文化を新たに育て直すための挑戦だという。
スチュワートは、ハイランド・シアターを地域に開かれたコミュニティの拠点にしたいと考えている。企業的な空気に支配された現在の映画文化に対するアンチテーゼとして、映画を「買う・売る」だけのものにしない場所を目指すと語り、歴史的建築としての美しさを残しながら、ロサンゼルスの映画界に新しい風を吹き込む場にしたいと意気込んでいる。
彼女は現在、長編監督デビュー作『The Chronology of Water』の公開に向けて活動しており、ハリウッドの未来について積極的に発言している。スチュワートは「同じ映画を作り続けるわけにはいかない」と述べ、表面的な多様性ではなく、本質的に新しい制作方法を模索する必要性を強調した。
一方で、スチュワートは最近、アメリカを離れる可能性にも言及している。Sunday Times のインタビューでは、ドナルド・トランプ大統領がハリウッドを標的にした発言や政策案に強い不安を抱いていると明かした。特に、国外制作の映画に100%の関税を課すという提案について「恐ろしい」と語り、自由に映画制作ができなくなる可能性を懸念している。
「アメリカに残るかと聞かれれば、おそらくノーだ。自由に働けない」と語る一方で、「完全に見捨てるつもりはない。ヨーロッパで映画を作って、アメリカの観客に叩きつけたい」と、創作への強い意欲も示した。
スチュワートとトランプ大統領の因縁は2012年にさかのぼる。当時、スチュワートがロバート・パティンソンとの破局を迎えた際、トランプ氏はSNSで彼女を執拗に批判し続けた。スチュワートは後に「彼は私に異常に執着していた」と振り返り、2017年の『サタデー・ナイト・ライブ』出演時にもこの出来事をネタにしている。
今回の映画館購入は、スチュワートがアメリカ映画界の未来に対して抱く危機感と、それでも映画文化を守りたいという強い意志が交差する象徴的な動きと言えるだろう。





