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【映画レビュー『恋するプリテンダー』】ただ笑ってキュンして楽しみたい!! “王道ラブコメ”が恋しいすべての映画ファンへ、最高にハッピーな贈り物! バラエティ豊かな恋愛&コメディ要素のフルコース【恋プリ】

REVIEW

皆さんは、“ラブコメ”に飢えてはいないだろうか。まじめな恋愛映画ももちろん共感・感動させられるが、“ラブコメ”でしか味わえない楽しさがあるのではないだろうか。

『クルーレス』(’95)『チアーズ!』(’00)『キューティー・ブロンド』(’01)『ブリジット・ジョーンズの日記』(’01)『ミーン・ガールズ』(’04)『ハイスクール・ミュージカル』(’06)…わかりやすく明るく楽しく、笑いながら主人公の“仕事(学校)に恋に”を応援できるラブコメが一世を風靡した1990〜2000年代が懐かしい。最近の恋愛映画はどれも少しテーマ性があったり哲学的だったり文学的だったり、“まっすぐ笑って楽しく恋路を追うだけ”の作品が社会現象レベルの人気を獲得することはずいぶん減ってしまったように感じる。

そんな“ラブコメ”ファンの寂しさを吹き飛ばすような1作がやってくる。それが、アメリカで社会現象化!昨年12月のホリデーシーズンに公開されるやいなや、令和のラブコメ映画史上No.1の超特大ヒットをたたき出した「Anyone But You」→邦題:『恋するプリテンダー』(5月10日(金)日本全国で公開)なのだ。

タイタニック・ミー!

タイタニック・ミー!

この記事は「レビュー記事」なので小難しく魅力を分析、語るなどしているが、「ややこしい文章より楽しい映画を受け止めたい!」という人にこそ観てほしい単純明快でストレートな映画なので、「頭を悩ませず観られる映画」を求めている人はぜひこんな小難しいレビューを読まずに、まっすぐ面白いこの1作をドカンと受け止めてきてほしい。

そして、「でも実際のところどんな魅力があるの?」と気になる人は、もちろんこの先のレビューを読んでいただければ幸いだ。

映画『恋するプリテンダー』レビュー

【予告編】『恋するプリテンダー』

『恋するプリテンダー』あらすじ

弁護士を目指してロースクールに通うビー(シドニー・スウィーニー)は、街角のカフェで出会った金融マンのベン(グレン・パウエル)と最高の初デートをするが、ちょっとした行き違いによって燃え上がったはずの恋心が一気に凍りついてしまう。

数年後、そんな2人はオーストラリアで同じ結婚式に出席することになり最悪にも再会。真夏のリゾートウェディングに皆が心躍らせる中、周囲も気を遣うほどの険悪ムードな2人だったが、復縁を迫る元カレから逃げたいビーと元カノの気を引いてヨリを戻したいベンは、お互いの望みを叶えるために恋人のフリをするというまさかのフェイク・カップル契約を結ぶ。

果たしてウソつきな2人は、最高のカップルを演じきることができるのか…?オトナ男女の意地とプライドを懸けたラブゲームの火蓋が切って落とされる。

“こういう作品を求めていた!”が叶う1作

“映画批評サイト”ではどうしても深いテーマやメッセージ性のある作品が高評価になりがち。しかし、映画とはエンターテインメントだ。教訓や風刺を受け取ったり、重厚感のある共感を得られる映画も重要だが、ただ楽しく笑って日々の疲れを吹き飛ばしてくれる映画もあってこその映画文化ではないか、とは常日頃思わされている。(その点でいえば、昨年末の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』や、評価こそ芳しくなかったマーベル作品『マーベルズ』といった作品も確実に必要だと思っている。)

それは恋愛映画においても同じで、『恋するプリテンダー』ほど笑えて王道な“ラブコメ映画”は久々だ。文字通り「何も考えずに楽しめる」。それは決してバカにしているわけではなく、それでこそ楽しいコメディ映画なのだ。ぜひ気軽な気持ちで、ひとりでも、カップルでも、友人グループでも、たくさんの人に楽しんでいただきたい。(例外は親子や、付き合いたての学生カップル。一部存在する下ネタが少し気まずいかもしれないので注意。)

おバカ・ドジネタ、動物ネタから軽いお下品ネタまで、あらゆるコメディ要素のフルコースで笑わせてくれながら、全体を通してしっかり感情に起伏を持たせ、上げたり落としたりしながら要所要所でキュンのチャンスを提供してくれる王道なラブコメ映画。「こんな作品も欲しかったんだよ」と素直に思えた1作だった。

注目のキャストに惚れ惚れ&爆笑

メインキャストはシドニー・スウィーニーとグレン・パウエルという今勢いの止まらないふたり。

「ユーフォリア」で注目され、最近では『マダム・ウェブ』にも出演するなど引っ張りだこのシドニー・スウィーニーと、『トップガン マーヴェリック』のハングマン役でもその美貌を見せつけ、『ツイスター』の注目の続編『ツイスターズ』でもメインキャスト入りしているグレン・パウエル

ふたりそろって美しさ・茶目っ気・セクシーさを持ち合わせたスウィーニーとパウエルが、噛み合わないカップルを滑稽に演じているという構図の面白さは、一時期あふれるように作られたラブコメ作品とは一線を画すクオリティを今作にもたらしている。

真顔で決めポーズをすれば妖艶な絵画のようにすらなれるシドニー・スウィーニーが意味不明なドジをやって爆笑させてくれるシュールさも面白いし、彫刻のような美しさと色気を兼ね備えたグレン・パウエルがとぼけたクセのある役を演じているのも意外なほど似合っていて愉快。とはいえ結婚式の話だけあって、ふたりの美貌にもぴったりのドレスやスーツはゴージャスにそれぞれのキャストを彩っていた。

すれ違いってやっぱり面白い

やはり「すれ違い」は王道だが面白い。彼らは互いの一部だけを見て勘違いをこじらせてしまっているため、(互いのちょっとした性格や境遇の難もあって)余計な衝突ばかり繰り返すのだが、観客はすべての流れを知っている視点であるため、「いやそうじゃないんだよ!」「お願い気づいて…!」とヤキモキさせられる。登場人物たちは揃って勘違いとすれ違いに振り回されるため、このヤキモキを味わえるのは観客の特権だ。序盤に登場した要素や会話の中での細かい言葉が後の展開に活きてくるのも気持ちいい。

単純明快で愉快な映画とはいえもちろん「共感ポイント」も存在する。ちょっとしたすれ違いで人の印象が変わってしまうリアルに関しては、誰もが何度かは身につまされる経験をしているのではないか。

こういったすれ違いが大量に重なる恋愛劇を見ると、「人間関係って、一瞬でも気を抜いたら大失敗することあるよなあ」と自身の行動に対して気が引き締まるし、逆に「相手のこと、ひとつふたつの発言・行動で判断しなくてもいいのかもなあ」と人に寛容になれるような感覚にもさせられる。

レビューまとめ

『恋するプリテンダー』は、王道ラブコメ、王道コメディに飢えたすべての映画ファンを楽しませてくれる、恋愛&コメディてんこ盛りの1作。今勢いのある美しいふたりが、美しい衣装や美しい街の中で全力で笑わせに来てくれる、すれ違いにヤキモキしながら共感もできる非常に愉快な映画だ。

エンドロールまで王道ラブコメらしい演出が貫かれて大満足な『恋するプリテンダー』 は5月10日(金)より全国の映画館で公開。

『恋するプリテンダー』作品情報

タイトル:『恋するプリテンダー』
原題:ANYONE BUT YOU
日本公開:5月10日(金)より全国の映画館で公開
US公開:2023年12月22日
監督:ウィル・グラック 『小悪魔はなぜモテる⁈』『ステイ・フレンズ』『ピーターラビット』シリーズ
製作:ウィル・グラック、ジョー・ロス『スノーホワイト』、ジェフ・キルシェンバウム『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』
脚本:ウィル・グラック、イラナ・ウォルパート
出演:シドニー・スウィーニー「ユーフォリア/EUPHORIA」『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、グレン・パウエル『トップガン マーヴェリック』

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