2022年のアカデミー賞で世界中に衝撃を与えた、ウィル・スミスによるクリス・ロックへの“平手打ち事件”。会場が騒然となるなか、密かに「喜んでいた」という俳優がいたようだ。
その人物とは、『セント・エルモス・ファイアー』『アウトサイダー』などで知られる俳優ロブ・ロウ。もちろん、平手打ちそのものを歓迎していたわけではない。そこには、彼が33年間引きずってきた“オスカーの黒歴史”が関係していた。
「僕だけは喜んでいた」ウィル・スミスの平手打ちを見たロブ・ロウの本音
ロブは先日、アンディ・コーエンのSiriusXM番組に出演。2022年の第94回アカデミー賞で、ウィル・スミスがステージ上のクリス・ロックを平手打ちした瞬間を振り返った。
「ウィル・スミスがクリス・ロックを平手打ちしたとき、僕だけは喜んでいたんだ」
そう冗談交じりに明かしたロブ。その理由について、「これでオスカー史上最悪の瞬間は、あっちになったと思った」という趣旨で説明した。
しかし、ロブの期待とは裏腹に状況は変わらなかったようで、「結局、今でも毎年いじられている」と笑いながら語っている。
【動画】世界を騒然とさせたウィル・スミスの“平手打ち事件”
では、ロブがそこまで忘れてほしいと願う“オスカー史上最悪”の出来事とは、一体何だったのだろうか。
1989年のアカデミー賞、白雪姫と「Proud Mary」を熱唱
問題の出来事が起きたのは、1989年3月29日に開催された第61回アカデミー賞。
授賞式のオープニングでは、白雪姫に扮した女優アイリーン・ボウマンが登場し、ハリウッドを舞台にした約10分間の大がかりなミュージカルが展開された。
そして途中から登場したのが、当時24歳だったロブ・ロウだ。
ロブは白雪姫とともに、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の名曲「Proud Mary」の歌詞を変えたパロディ版をデュエット。派手な歌とダンスを披露したものの、この演出は放送後に激しい批判を浴びることになった。
【動画】ロブ・ロウが白雪姫と熱唱した“伝説のオスカー黒歴史”
ディズニーがアカデミーを提訴する事態に
騒動は「演出が不評だった」だけでは終わらなかった。
ウォルト・ディズニー・カンパニーは翌日、アカデミー側が許可なく「白雪姫」のキャラクターを使用したとして、著作権侵害などを理由に連邦裁判所へ提訴した。
その後、アカデミーがディズニー側に正式に謝罪。ディズニーは訴訟を取り下げ、問題は和解に至っている。
さらに約1か月後には、ポール・ニューマン、グレゴリー・ペック、ジュリー・アンドリュース、ビリー・ワイルダーら17人の著名な俳優・映画人が、この年の授賞式について「アカデミーと映画業界双方にとって恥ずべきものだった」とする抗議書簡を送る事態にまで発展した。
こうしてロブが出演したオープニングは、その後長年にわたり“オスカー史上屈指の失敗演出”として語られることになった。
33年後、ようやく自分の黒歴史を超える事件が起きたと思ったが…
それから33年。
2022年のアカデミー賞で、クリス・ロックがジェイダ・ピンケット・スミスについてジョークを飛ばしたことをきっかけに、夫ウィル・スミスがステージへ上がり、クリスを平手打ちするという前代未聞の騒動が発生した。
世界中が騒然となったあの瞬間、ロブの頭に浮かんだのは、自身の1989年のオープニングだったというわけだ。
「これでもう、自分の出演したオープニングが“オスカー史上最悪”とは言われないだろう」――そんな期待を抱いたロブだったが、37年が経った現在もなお、あのパフォーマンスは語り継がれている。
ちなみにロブは以前、出演後に舞台裏で伝説的女優ルシル・ボールから歌を褒められたことも明かしている。
本人にとっては散々な“黒歴史”でありながら、今では自ら笑い話にできる、ハリウッド史に残る一夜となっている。





