今年もTCA賞のノミネーションを見て、ガッカリ!ガックリ!

誰もが認める秀作「グッド・ファイト」は、TCA賞最優秀ドラマ賞にノミネートされた。しかし、エミー票がとれないため、6月から親会社CBS地上波局でストリーミング配信済みのシーズン1から放送を開始。功を奏するかどうかは、乞うご期待!と言うところか?

毎年6月初旬になると、TCA(テレビ評論家協会)賞のオンライン投票を促すメールが毎日のように送られて来ます。TCAの会員になってから恒例の行事ですが、思い起こせばTVGrooveに初めて書いた記事「未来と過去の狭間:期待の新作とTCA賞投票」(2012年6月14日)で嘆いたように、毎年間違いなく「私って、本当にメジャーじゃないのだ!」と思い知るのです。1年の総決算のつもりで、カテゴリー別に4俳優や4作品を記憶と業界誌のエミー特集を参考にノミネートして行く訳ですが、最近は私の独断と偏見のみで選ぶことにしています。

私の好みが偏っているのは、周知の事実ですし、過去の苦い経験から完全に居直ってしまいました。私が吟味してノミネートしても、最終投票に挙がる6俳優、6作品は、私のリストからは程遠いのは毎年変わらないからです。どうせ、大きく外れるのであれば、私の好きな作品と俳優を網羅して提出するしかないのです。そして、6月20日にTCAが発表した最終投票用の候補者/作品は、相も変わらず同じ宇宙で同じ500作品を観て選んだものとは、とても信じられない結果でした。

個人功労賞ドラマ部門

エイミー・アダムス「KIZU -傷-」
パトリシア・アークエット「Escape at Dannemora」
クリスティーン・バランスキー「グッド・ファイト」*
ジョディ・カマー「キリング・イヴ」
ビリー・ポーター「POSE/ポーズ」
ミッシェル・ウィリアムズ「Fosse/Verdon」

大人の女ダイアン・ロックハートを好演して来たクリスティーン・バランスキーが、最も功労賞を受けるに相応しい。何しろ、「グッドワイフ」7シーズン+「グッド・ファイト」3シーズン=計10年この役を演じて来たからだ。年季が入ったダイアンではあるが、「グッド・ファイト」では、ダイアンがこれまでに見せたことのない側面を毎シーズン披露、新たな発見が書き込まれている点が同作の魅力でもある。

個人功労賞コメディ部門

パメラ・アドロン「Better Things」
ビル・ヘイダー「バリー」
ジュリア・ルイス=ドレイファス「Veep」
ナターシャ・リオン「ロシアン・ドール:謎のタイムループ」
キャサリン・オハラ「シッツ・クリーク」*
フィービー・ウォーラー=ブリッジ「Fleabag フリーバッグ」

ユニークなコメディ「シッツ・クリーク」で、モイラ・ローズの世界で主演する嘗てのトップスターの哀しさを見事に演じるキャサリン・オハラ。他にも助演女優賞をもらって当然の役が多々あったが、オハラのはまり役モイラに敬意を表して、様々な賞を総ナメして来たジュリア・ルイス=ドレイファスには涙を飲んでもらい(笑)、オハラに軍配を上げた。

最優秀ドラマ

「ベター・コール・ソウル」
「グッド・ファイト」*
「ホームカミング」
「キリング・イヴ」
「POSE/ポーズ」
「キング・オブ・メディア」

「グッド・ファイト」は、エミー賞を受賞して当然の秀作。しかし、エミー票がとれないのは、地上波局で放送していないからとの結論に達したCBSは、6月より日曜日にCBSでシーズン1から放送を開始した。最早手遅れだとは思うが、今年何とかエミー賞を獲得したい局の算段のように見受ける。何故、シーズン3ではなく、1に遡って放送しているのかは、謎である。

 

最優秀コメディ

「バリー」
「Fleabag フリーバッグ」
「グッド・プレイス」
「マーベラス・ミセス・メイゼル」
「ロシアン・ドール:謎のタイムループ」
「シッツ・クリーク」*
「Veep」*

「シッツ・クリーク」で、ローズ家の長女アレクシスを演じるアニー・マーフィー(左)と、長男デビッド役/クリエイター/ライターでもあるダニエル・レヴィ。裕福な家族が破産して、昔冗談で買った人里離れた村のモーテルで暮らして寄り添って生きて行くうちに、次第に人間味を増して行く家族コメディ。

 

ドレイファス(ブルーのドレス)の闘病生活で、昨年は「Veep」が放送されず、コメディ部門は例年日の目を見ることがなかった作品にスポットライトが当たった。「Veep」最終シーズンという点は見逃せない事実だが、エミー賞を獲得し続けて来たこともあって、「シッツ・クリーク」に投票予定。因みに「Veep」最終シーズンを観ていないこともある。

2018~09年シーズンの最優秀作品賞

「チェルノブイリ」
「Fleabag フリーバッグ」
「ゲーム・オブ・スローンズ」
「POSE/ポーズ」
「ロシアン・ドール:謎のタイムループ」
「ボクらを見る目」

「ゲーム・オブ・スローンズ」が受賞するのは当然と言う人が多い中、同作のパイロットさえ観たことのない私としては、敢えて「ボクらを見る目」に一票を投じる予定。「Veep」と「ゲーム・オブ・スローンズ」がHBOプレミア局のオリジナル枠から消えた後、今後ワーナー・メディアの傘下で、量産を強いられそうだ。HBOプレミア局の最後となるのでは?と懸念する評論家は多い。

2018~09年シーズンの最優秀新作賞

「デッド・トゥ・ミー~さようならの裏に~」
「The Other Two」
「POSE/ポーズ」
「ロシアン・ドール:謎のタイムループ」
「キング・オブ・メディア」
「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」

最終投票用の候補作リストを見るまで、存在すら知らなかった「キング・オブ・メディア」。HBOが新作試写用の逸話を送って来ないので、私のリストに挙げたHBO作品は「KIZU -傷-」1本のみ。従って、このカテゴリーに上がっている作品の中で、唯一「面白い!」と思った「デッド・トゥ・ミー~さようならの裏に~」に投票するつもりだ。

 

ミニシリーズ/限定シリーズ部門最優秀作品賞

「チェルノブイリ」
「デッドウッド:映画」
「Escape at Dannemora」
「Fosse/Verdon」
「KIZU -傷-」
「ボクらを見る目」

『ボクらを見る目』予告編 - Netflix [HD]

 

日本でも注目されるカテゴリーに絞って上記をご紹介しましたが、*印をつけた俳優あるいは作品のみが、私のリストに上がっています。当然のことながら、最終投票は*印に一票を投じる訳ですが、CBS All Access(CBSの有料ストリーミング配信)の「グッド・ファイト」を、親会社である地上波局CBSが後押しするようになった事実を見ると、もはやストリーミング配信かケーブル局しかヒット作を生み出せないことを、CBSが暗に認めたような行動です。私の選んだ作品賞、新作賞を見て頂くと、今年のエミー賞では、地上波局が健闘してくれるよう祈っているのが明らかだと思うのですが. . .

2018~09年シーズンのTCA最優秀作品賞、最優秀新作賞、ミニシリーズ/限定シリーズ部門最優秀作品賞は、全滅でした。

My Pick

最優秀作品賞候補

「ニュー・アムステルダム」(NBC)
「KIZU -傷-」
「ダイエットランド」
「ボディーガード」

DIETLAND Official Trailer (HD) Julianna Margulies AMC Series

最優秀新作賞候補

「ニュー・アムステルダム」(NBC)
「Whiskey Cavalier」(ABC)
「A Million Little Things」(ABC)
「ボディーガード」

NEW AMSTERDAM Official Trailer (HD) NBC Medical Drama Series

ミニシリーズ/限定シリーズ部門最優秀作品賞候補

「Mrs. Wilson」
「Catch-22」
「The Spanish Princess」
「The Hot Zone」

Catch-22 Trailer (Official) • A Hulu Original

 

ミニシリーズ/限定シリーズのカテゴリーなど、実に目も当てられません。でも、私の印象に深く残ったものを書き出したまでです。「ニュー・アムステルダム」のような毎回泣かされる、視聴率の高い人間ドラマが全く無視されるのは、何故なのでしょう?又、「ダイエットランド」のように、これまで体験したことのない「不安」を提示した画期的なドラマ、夫婦とは?を考えさせる「Mrs. Wilson」、まともな人間の生きる権利を蔑ろにする戦争や軍隊の目に見えぬ圧力を描いた「Catch-22」(英文評はこちら)など、私が選んだ作品はいずれも深く考えることが好きな人種向けであることは確かです。ま、今に始まったことではないので、今年も「メジャーじゃない!」と自負して(笑)、何とか最終投票します。