大女優の自伝本がキッカケで母と娘の “真実”が明らかに! 是枝監督初の国際共同製作映画『真実』出演の仏女優ジュリエット・ビノシュにインタビュー

ジュリエット・ビノシュ
ジュリエット・ビノシュ

映画『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督。彼が初めて国際共同製作として手掛けた新作映画『真実』が、いよいよ10月11日より公開となる。

フランスの国民的大女優ファビエンヌが自伝本「真実」を出版し、アメリカに暮らす脚本家の娘リュミールが夫でテレビ俳優のハンクと娘のシャルロットを連れてパリへと帰省する。出版祝いとして訪れたものの、母の自伝にはありもしないエピソードが書かれていたーー。国民的女優の “真実“を追求していくドラマ作品である本作は、フランスを代表するカトリーヌ・ドヌーヴジュリエット・ビノシュが母娘として共演したことでも話題になっている。

今回は、娘のリュミールを演じたジュリエット・ビノシュにインタビューを決行。是枝監督との撮影時のエピソードなどを語ってくれた。

ジュリエット・ビノシュ

ジュリエット・ビノシュ

――2011年に来日した際、是枝監督と「一緒に映画を作りましょう」という話をされていたようですが、8年越しに約束を果たした今の心境はいかがですか?

やっぱり自分のほしいものややりたいことは、口に出して言うべきね(笑)。そうすると、天が叶えてくれる。なにか欲求があった場合、抱えていないでちゃんと言葉にすることが大切ね。言葉にして実生活に影響が出てくると思うわ。

――日本人である是枝監督との映画作りはいかがでしたか?

監督の存在自体に感銘を受けたわ。人に対する視線や、辛抱強い仕事の仕方などを見るのはすごく楽しかった。是枝さんは優しくて、決して押し付けがましい方ではなくユーモア溢れる方ね。彼は人間の複雑性みたいなものを捉えていて、つまり、人間には矛盾した面があるという感覚があるわ。彼は私にアントン・チェーホフ(ロシアを代表する作家)を思い出させる。チェーホフは全ての登場人物を愛していて、物語の中に極端な悪役は出てこないの。様々な面を持つ登場人物たちに優しい視線を持っている。その優しい視線というのは、俳優に対しても同じ。是枝さんも欠点も含めて全てを受け入れてくれるような人ね。

ジュリエット・ビノシュ

――リュミールは、女優の夢を諦めて脚本家になった役柄ですが、一方で、ビノシュさんは、映画業界で高い評価を得ていますね。そんな現実とは対照的なリュミールのキャラクターに、共感できた部分はありますか。

映画の中では「夢を諦めて、失敗した」と言われるシーンがあるわね。でもあれは、母であるファビエンヌのちょっとイジワルな言い方なの。私はリュミールを演じる上で、彼女が別に失敗の感覚を抱いているとは思わなかった。映画業界で仕事についている人は、演じる側を経験している人が多いの。やっぱり人前に立つということはどういうことなのか、知っていたほうが映画業界で働きやすいのね。編集の人でさえ、昔は俳優だったという人もいるくらい。だからリュミールは脚本家で、彼女は別に女優になろうと思って叶わなかったことが失敗とは思っていないと思う。「女優になろうと思って失敗したのよ」っていうのは、ファビエンヌの意地悪な言い方なの(笑)。

 

真実

 

――大女優カトリーヌ・ドヌーヴとの共演はいかがでしたか?

カトリーヌ・ドヌーヴは、「ハーイ、元気?」というような気軽なタイプではなくて、人と距離を持つタイプだった。そこからできるだけ少しずつ距離を縮めていったの。例えば、英語でいう二人称の「You」がフランス語では、親しい相手に使う「tu」と丁寧な表現の「vous」の二種類あって、彼女はいつも「vous」を使っていたけど、私から「tu」を積極的に使って親しくなるようにしたの。そしたら彼女も「tu」を使うようになったわ。そうやって勇気を持って近づくことが必要だった。それは是枝さんにも頼まれていたことなの。カトリーヌを少し挑発して、揺さぶりをかけて、彼女の今のイメージから違うものを引き出したいってね。私も努力したわ。

カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュ

カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュ

――本作は「演じること」や「女優」とはなにか?いうことを改めて考えさせられる内容ですが、本作に出演する前と後で、ビノシュさん自身の中で「女優」や「演じること」についてなにか心境の変化はありましたか?

特になかったわ。フィクションだからね(笑)。

(インタビュー以上)

【STORY】

真実

全ての始まりは、国民的大女優が出した【真実】という名の自伝本。
出版祝いに集まった家族たちは、綴られなかった母と娘の<真実>をやがて知ることになる――。
国民的大女優ファビエンヌが自伝本【真実】を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール、
テレビ俳優の娘婿ハンク、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、
そして長年の秘書……お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。「一体彼女はなにを綴ったのか?」
そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき――。


原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ『シェルブールの雨傘』/ジュリエット・ビノシュ『ポンヌフの恋人』/
イーサン・ホーク『6才のボクが、大人になるまで。』/リュディヴィーヌ・サニエ『8人の女たち』

撮影:エリック・ゴーティエ『クリスマス・ストーリー』『夏時間の庭』『モーターサイクル・ダイアリーズ』

配給:ギャガ

©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA