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2018年秋の新ドラマの傾向 ― 起承転結が実証された著作やポッドキャストから拝借、オリジナルドラマ希少価値、続々登場するリバイバル/リブート、インド人女優主演のコメディー

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「You」の一場面。ベック(エリザベス・ライル)に狙いを定めたジョー(ペン・バッジリー)。シーズン1放送前に、シーズン2は「You」第二巻を土台にハリウッドを舞台に活躍(?)するジョーを描くと発表があった。© Courtesy of Lifetime Copyright 2018

今年のプレスツアーで読み取った2018年秋の新作の傾向を分析してみました。

1) 実証済みの出版物やポッドキャスト、ビデオゲームなどをテレビ化

今に始まったことではありませんが、既に出版あるいは放送されていると、起承転結やキャラもしっかりと練られ、完成品になってるため、危険度が低いと判断されます。

作品       出典

  • Lifetime「You」- キャロリン・ケプニス著の「You」
  • NBC「New Amsterdam」- エリック・マンハイマー医師著の「Twelve Patients: Life and Death at Bellevue Hospital」
  • Fox「The Passage」- ジャスティン・クローニン著の「The Passage」
  • HBO「My Brilliant Friend」- エレナ・フェッランテ著の「L’amica geniale」(和訳「リラとわたし」)
  • Amazon「Homecoming」- ポッドキャスト「Homecoming」
  • Bravo「Dirty John」- Los Angeles Timesポッドキャスト「Dirty John」
  • Showtime 「Halo」- Xboxビデオゲーム「Halo」を実写SFシリーズ化

© Courtesy of NBCUniversal

Los Angeles Timesポッドキャスト「Dirty John」を元に、アレクザンドラ・カニンガムが書き下ろした。デブラ役のコニー・ブリットン(左)とジョン役のエリック・バナ

© Jeff Reidel/NBCUniversal

NBC「New Amsterdam」の主役マックス・グッドウィン医長を演じるライアン・エッゴールド。エリック・マンハイマー医師著の「Twelve Patients: Life and Death at Bellevue Hospital」が土台になっている今秋の新作

2) 真のオリジナルドラマは、希少価値なのです。

*ABC「A Million Little Things」
*CBS「God Friended Me」
*Fox「Proven Innocent」
*NBC「Manifest」

Proven Innocent

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Manifest

3) リバイバルは、

*CBS「TVキャスター マーフィー・ブラウン」

オリジナル「TVキャスター マーフィー・ブラウン」が終了して20年。赤ちゃんだったマーフィーの息子エイヴリー(ジェイク・マクドーマン)が超右寄りのウルフ局で働き、マーフィー(キャンディス・バーゲン)、フランク(ジョー・レガルブート)、コーキー(フェイス・フォード)、マイルス(グラント・シャウド)は、リベラル派のケーブル局CNCでモーニングショー「Murphy in the Morning」を担当するという新しい設定になっています。要は、母と息子の同時間帯での対決なのです。
3話まで視聴しましたが、トランプ政権下で苦しんでいる常識人や団塊の世代には「待ってました!」と喝采したくなる、風刺コメディーに仕上がっています。

リブートは、設定も配役も性別や人種を入れ替えて一掃。

*CBS「私立探偵マグナム」

マグナムはラテン系のジェイ・ヘルナンデスが演じ、ヒギンスは女性になりました。

*CW「チャームド~魔女3姉妹~」

これもラテン系に総入れ替えで、オリジナルの影も形もありません。パイロットのみ視聴したので、飽くまでも噂ですが、助演キャストは性別の入れ替えがあると聞いています。

© Marc Hom/The CW 2018

リブート「チャームド~魔女3姉妹~」のポスター。左からマギー・ヴェラを演じるサラ・ジェフリー(父メキシコ人+母イタリア人)、メイシー・ヴォーン役マデリン・マントック(アフロ・カリビアン+白人)、メル・ヴェラ役メロニー・ディアス(プエルトリコ系)。

その他にも、「女刑事キャグニー&レイシー」「ロズウェル 星の恋人たち」「トワイライトゾーン/超次元の体験」「スターゲイト」フランチャイズ、「特捜刑事マイアミ・バイス」「サンフランシスコの空の下」「バフィー~恋する十字架~」などの企画が練られています。

4) ミンディ・カリングに引き続き、インド系女優がコメディーの主役に。

サラユ・ブルーが主人公エメットを演じるコメディーがNBC「I feel bad」。家族コメディーですが、父親役にイスラエル+インド人のブライアン・ジョージ、母親役にはインド人のマッドハー・ジャフリーが起用され、白人はエメットの夫役のポール・アデルスタインのみです。

2014年、ジョン・チョーがロマコメ「Selfie」の主人公を演じて以来の、特記すべき現象です。インド人コメディアンヌのカリング自作自演の「The Mindy Project」(2012~17)が終わって1年余りですから、第二弾の登場は意外と早いと言えます。数年前、中国人に占拠されたシーズンがありましたが、今秋の新番組は、白人、黒人、ラテン系以外の少数民族は以下のようになっています。

© Marc Hom/The CW 2018

サラユ・ブルー主演の「I feel bad」のポスター。

インド系

サラユ・ブルー(NBC「I feel bad」)
ブライアン・ジョージ(NBC「I feel bad」)
マッドハー・ジャフリー(NBC「I feel bad」)
パーヴィーン・カウール(NBC「Manifest」)
スラージ・シャルマ(CBS「God Friended Me」)

© Evans Vestal Ward/NBCUniversal

「I feel bad」の一場面。左からポール・アデルスタイン、ブルー、後ろ向きはマッドハー・ジャフリー、ブライアン・ジョージ。

韓国系

グレース・パークス(ABC「A Million Little Things」)
ジェイク・チョイ(NBC「Single Parents」)

日系

三辻茜(YouTube Premium「Origin」)

パネルインタビューの後、話しかけて見ると、日本語も英語も完璧なオーストラリア+日本のハーフ、現在オーストラリアに住んでいるとのこと。このシリーズ出演を機に、ハリウッドに移住して俳優として活躍したいと抱負を語ってくれた。

エレン・トミタ(CW「Charmed」)

メガネが邪魔しているが、素顔は日系そのもの。「Charmed」のメラニーの彼女ニコに抜擢された。

エジプト系

ジーコ・ザキ(CBS「FBI」)

エジプト人=アラブ系らしいが、白人並みの肌の色。パイロットでは、緊張の連続の中、冷静に捜査するFBI特別捜査官オマー・アドム・ジダンを演じているが、垣間見るユーモアが緊張を和らげてくれる。アラブ系にしては厳しい顔つきではなく、可愛いいと言っても過言ではない。話して見ると、気さくで腰が低く、応援したくなる期待の新人だ。

エジプト+ギリシア

アシーナ・カーカニス(NBC「Manifest」)

© Virginia Sherwood/NBC/Warner Brothers

「Manifest」の一場面。左からジョシュ・ダラスとアシーナ・カーカニス。
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