テイラー・スウィフト、自身のマスター音源を奪還! 初期6枚のアルバムの権利を約540億円で買い戻す

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テイラー・スウィフト George Pimentel/Shutterstock
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人気シンガーソングライターのテイラー・スウィフトが、長年にわたり追い求めてきた自身のマスター音源の権利を、ついに完全に取り戻した。関係者が米ビルボード誌に語ったところによると、スウィフトは2020年から投資会社シャムロック・キャピタルが保有していた音源を、約3億6,000万ドル(日本円で約540億円)で買い戻したという。

この音源には、テイラー・スウィフトが過去に発表した最初の6枚のアルバム──『Taylor Swift』『Fearless』『Speak Now』『Red』『1989』『Reputation』が含まれている。

そもそもこの一件の発端は2019年、音楽マネージャーのスクーター・ブラウンが、彼の会社イサカ・ホールディングスを通じてスウィフトの旧所属レーベル「ビッグ・マシーン・レコード」を買収し、彼女の初期作品のマスター音源を手に入れたことに始まる。テイラー・スウィフトは当時、「スクーター・ブラウンは、私が買う機会すら与えられなかった音楽人生のすべてを奪った」と強く非難していた。

翌年、スクーター・ブラウンはそのマスター音源を投資会社シャムロック・キャピタルに売却した。スウィフトは「悔しさと嫌悪感」でいっぱいだったと述べ、彼の行動を「いじめ」とまで表現した。

 

再録音プロジェクトと涙のメッセージ

2021年、テイラー・スウィフトは、自らが権利を持たないマスター音源に代わる手段として、アルバムの再録音・再リリース「Taylor’s Version」を開始した。再録音された音源は彼女自身が権利を所有しており、配信や販売、商業利用による収益がすべて自身に還元される仕組みとなっている。この戦略により、旧バージョンの価値を下げ、自分自身の音楽の主導権と収益構造を取り戻すことが可能となった。今回の買い戻しは、そうした長年の努力がついに実を結んだ象徴的な出来事である。

彼女は公式サイトにて手書き風の感情あふれるメッセージを発表。「何度も夢見て、手が届きそうで届かなかった瞬間のスライドショーが頭をよぎっている」と綴り、「もう無理だと思ったこともあったけれど、それはすべて過去の話」と語った。そして、「私がこれまでに作ったすべての音楽が、ついに私のものになった」と喜びを爆発させた。

テイラー・スウィフト公式サイト

記念写真では、テイラー・スウィフトが6枚のアルバムのアナログ盤に囲まれながら、古代ローマのコインをモチーフにしたペンダントや、“邪視除け”の象徴とされるイービルアイのリングなど、象徴的なジュエリーを身につけている姿も公開された。

ペンダントには都市の守護神ローマと勝利の女神ヴィクトリアが刻まれており、長年の闘いを乗り越えたスウィフトにふさわしいアイテムとなっている。デザイナーのジャッキー・アイシュは、「このリングは単なるアクセサリーではなく、強さと意志の象徴である」と説明している。

 

未再録アルバムへの言及も

なお、まだ再録音されていない『Reputation(Taylor’s Version)』とデビューアルバム『Taylor Swift』について、テイラー・スウィフトは「まだ4分の1も録っていない」としつつも、「そのときが来たら再登場させるつもり」と述べている。

今回の買い戻し発表後、スクーター・ブラウンもコメントを発表し、「彼女のことをうれしく思う」と短く述べた。長年にわたり対立してきた両者だが、ようやく一つの節目を迎えた形となった。

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