エミネム、メタ社を提訴 著作権侵害で約163億円の賠償を請求

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米ラッパー、エミネムの楽曲を管理する音楽出版社「エイト・マイル・スタイル」が、メタ社(旧フェイスブック)を著作権侵害で提訴した。訴状によると、メタはエミネムの音楽を適切なライセンスを取得せずに保存・複製・配信していたという。

複数のメディアの報道によると、訴訟はミシガン州の連邦裁判所に提出され、少なくとも1億900万ドル(約163億円)の損害賠償と、複数の著作権侵害行為の差し止めを求めている。

エイト・マイル・スタイルは、エミネムの代表曲243曲を管理しており、それらがメタの運営するフェイスブック、インスタグラム、ワッツアップなどの音楽ライブラリに無断で保存され、ユーザーによって数百万本の動画に使用されてきたと主張している。その動画の総再生数は数十億回にのぼるとされる。

訴状では、メタが2020年に音楽ロイヤリティ収集企業「オーディアム」とライセンス契約を結ぶ過程で、エイト・マイル・スタイルとの交渉が行われたものの決裂。その後もライセンスなしで楽曲の使用を続けていたとされる。

さらに、現在でもカラオケ版やインストゥルメンタル版を含む複数のエミネム楽曲がメタのプラットフォーム上に残っているという。

同社は「メタはクリエイターの努力を軽視し、自社の利益のために権利を侵害してきた」と批判。広告収入が2023年時点で同社売上の約97.8%を占めていることに触れ、著作権侵害が広告利益の拡大に直結していると主張している。

エイト・マイル・スタイルは、1曲あたり1プラットフォームにつき15万ドルの賠償を請求しており、陪審による審理を求めている。

一方メタは、「当社は世界中の数千のパートナーとライセンス契約を結んでおり、音楽に関する包括的なライセンスプログラムを有している」と反論。「エイト・マイル・スタイルとは誠意をもって交渉を続けてきたが、相手側が訴訟という手段を選んだ」とコメントしている。

なお、エイト・マイル・スタイルは2013年にも、フェイスブックがエミネムの楽曲「Under the Influence」を広告に無断使用したとして、同社を提訴していた経緯がある。

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