「ザ・スプリット 離婚弁護士」にシーズン3はあるのか?未だに更新発表がないことに不安が募る 尻切れトンボは勘弁してと、BBCに懇願しよう!

法学部同級生三人の危なっかしい関係は、シーズン2では三角関係に発展。大人の鑑賞に堪えるドラマの先行きが危ぶまれている。

BBCとSundanceの共同制作「ザ・スプリット 離婚弁護士」は、米国ではケーブル局Sundanceで、本年5月21日~6月5日に全6話が放送されてシーズン2が終了しました。日本でも、10月1日からシーズン2が配信されている好評の離婚弁護士一族の心理ドラマですが、11月22日現在、シーズン更新の発表がなく、尻切れトンボで終わってしまう可能性は日に日に増すばかりです。

英国では「グッドワイフ」に勝るとも劣らないドラマと銘打って2017年に登場したドラマですが、「グッドワイフ」の後釜を探し続けて来た私がこの秀作を発見したのは、2019年でした。何か面白いものないかな~と探している時に、SundanceNow配信サービス局で見つけました。第一話から、心を掴んで離さない魅力があり、「えー、こんな秀作を見逃したなんて、信じられない!」と、運良く巡り合ったことに感謝しました。

主要キャラ三人が法学部の同級生だったこと、夫の不倫発覚を機に妻の焼け棒杭に火が付いて三角関係になる設定は同一ですが、「ザ・スプリット」は数々の離婚訴訟を背景に、離婚や不倫がデフォー一族の女達にどのような後遺症として現れ、人生を狂わせて行くかを深く掘り下げる心理ドラマです。一方、「グッドワイフ」はアリシアの鍛錬を描いた、政界+法曹界+政治家家族のハイブリッド・ドラマで、時折登場したアリシアの母ヴェロニカや弟オーエンとの会話から、アリシアの生い立ちを垣間見ることはありましたが、父親像は全く不明のまま終わりました。

左から長女ハンナ(ニコラ・ウォーカー)、二女ニーナ(アナベル・スコーリー)、三女ローズ(フィオナ・バトン)、母ルース(デボラ・フィンドレー)のデフォー一族。シーズン1は四人が集まるイベントが巧みに組み込まれて、母娘、姉妹関係が明らかにされたが、シーズン2はニーナとルースがハンナの職場に合流したため、四六時中一緒の不自然な設定となった。(c) Mark Johnson/Sundance TV/BBC Worldwide

 

クリエイターは、映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」や「未来を花束にして」の脚本家で、「THE Hour 裏切りのニュース」のクリエイターとしてエミー賞脚本賞を受賞したアビ・モーガンです。モーガンは「赤の他人が築きあげる夫婦関係って、とても脆いもの。女の選択肢が皆無ではない昨今、結婚を維持することが如何に至難の業であるかを描きたかった」と、「ザ・スプリット」創作の動機を発表しています。又、「たまたま知り合った離婚専門弁護士から『法曹界は男の世界、離婚は女の世界』だと聞いて、興味をそそられた」と、女を描くことに全力を注いできた、モーガンならではの目の付け所です。

結婚はいとも簡単にできますが、一旦正式に夫婦として乗り込んだ「結婚丸」が座礁して二進も三進も行かなくなると、船の解体を始めなければなりません。航海中に釣った魚や舵から帆まで、「結婚丸」の一切合財を切り分けて行くのと同じで、想像を絶する労力、体力、精神力を必要とします。米国で、親の死と離婚が人生最大の難関と言われる所以です。飽くまでも財産分与と言う形で解体作業に手を貸してくれるのが離婚弁護士ですが、こじれた夫婦関係の辛苦を自ずから体験中のハンナの心理的葛藤が仕事に見え隠れする点が、大人の鑑賞に堪える秀作に格上げします。

更に、シーズン2では、ハンナがネイサンに答えを迫られると、否定も肯定もせずに巧みに事実を避けるか、情報を小出しにする(=その場で、必要最少限の情報しか提供しない)シーンが多々あり、「さすが、弁護士!」と唸ってしまいます。己の不倫をまるで他人事のように弁護するハンナに、あー、これが「グッドワイフ」で何度も聞いた『弁護士は証人として最悪!』という事だと気が付きました。通常、証人は自己の体験により認識し得た事実を供述しますが、弁護士はストレートに供述できない/しないように訓練を受けたプロだからです。職業病と言うのでしょうか?弁護士の性(さが)と言うべきでしょうか?

法廷弁護士ネイサン・スターン(スティーブン・マンガン)とハンナは、三人の子供と何不自由なく暮らしていたが、シーズン1で発覚したネイサンの浮気を機に、夫婦関係にひびが入る。シーズン2は、ハンナが三角関係を維持しようと悪戦苦闘した挙句の果て、劇的な破局に至るまでが描かれた。(c) Ludovic Robert/Sundance TV/BBC Worldwide

 

ルース・デフォー(デボラ・フィンドレー)は、離婚業界の長老的存在。夫オスカー(アンソニー・ヘッド)の実家が、1885年に設立した老舗デフォー法律事務所を共同経営していましたが、オスカーが愛人と手に手を取って出て行った後、キャリアウーマン/シングルマザーを見事に演じて来ました。プライドの高いルースは、夫への怒りや恨み辛みを燃料に、がむしゃらに生きてきました。しかし、行方をくらましていたオスカーが30年ぶりに姿を現し、真相が明らかになると、デフォー一族の母娘関係に荒波が立ち始めます。このドラマはルースがオスカーから受けた傷が三姉妹にどのような後遺症となって現れ、被害者意識に則ったルースの人生観が、三姉妹の生き方をどんな風に左右するのかを探り、代々引き継がれて行く不倫と離婚の波及効果を描きます。

ルースは、まだまだ第一線で働きたいと、ロニー教授(イアン・マッケルヒニー)の教員職を断る。シーズン2に登場したいわく付きの教授は、ローズの実父なのか?意外な事実は、ルースがロニーと浮気した事が原因でオスカーが出て行ったことだ。ハンナの不倫は母親譲り?(c) Ludovic Robert/Sundance TV/BBC Worldwide

 

ルースが女手一つで育て上げたのは、長女ハンナ(ニコラ・ウォーカー)、二女ニーナ(アナベル・スコーリー)と、三女ローズ(フィオナ・バトン)です。責任感の強いハンナは、一家のまとめ役となり、時には意気消沈するルースになり代わって、母親役を演じてきました。しかし、何もかも仕切るのが鉄則のルースが、飽くまでもハンナの昇進を拒んだため、シティ大学ロースクール(CLS)の同級生クリスティー・カーマイケル(バリー・アトスマ)が働くノーブル・ヘイル法律事務所(NH)に移籍します。シーズン1は、公的には老舗デフォー法律事務所対、近年業界一二を争うようになったNH法律事務所の一騎打ち、私的には30年も音信不通だったオスカーの帰還で、ルースが嘘と欺瞞で塗り固めた砦が音をたてて崩れて行き、娘との関係がぎくしゃくし始めること、ネイサンの不倫に動揺するハンナがクリスティーに急接近することがポイントでした。

ハンナは、夫の浮気が発覚して以来、クリスティー・カーマイケル(バリー・アトスマ)に安らぎを求めるようになる。20年来、クリスティーを選んでいれば、幸せになれたのではないかと疑ってきたハンナにとって、持論を試す絶好のチャンスだったが、二兎追う者は一兎も得ずに。(c) Mark Johnson/Sundance TV/BBC Worldwide

 

法廷弁護士ネイサン・スターン(スティーブン・マンガン)と結婚したハンナは、一男二女をもうけ、何の不自由もなく幸せに暮らしていましたが. . .青天の霹靂のように世間に公表されたネイサンの不倫に、女として妻としての自信が揺らぎ始め、結婚する相手を間違えたのではないかと疑い始めます。CLSの同級生(ネイサンとクリスティー)を両天秤にかけたハンナが選んだ「安全」なネイサンに裏切られたことは、衝撃としか言いようがありません。30年不在だった父親にも、揺るがないと信じていた日常を乱されたハンナの心境は、ニーナやローズとは比べものにならないほど複雑です。

母親の二の舞だけは避けたいと思いつつも、ハンナは「男は信用ならぬ!」と叩き込まれただけに、無意識のうちに母と同じ道をまっしぐらに走っていたのです。それが証拠に、ハンナは時には情け容赦のない冷酷な弁護士として闘いますが、依頼人の心痛に共感して細やかな気配りをし、十分な資産と共に結婚と言う名の「檻」から飛び立てるように御膳立てする優しさも持ち合わせています。但し、ハンナの信条は両刃のつるぎで、敏腕弁護士と言われる一方、私生活ではくり返し男に失望し、結婚丸は座礁の一途を辿っています。ネイサンの浮気への仕返しか、あるいはクリスティーと結婚していたら. . .と叶わなかった夢を追う絶好のチャンスと読んだのか、三角関係へと発展して行きます。

大卒ながらプー太郎を続けてきたローズ(アラサー前半)、優等生/良妻賢母ハンナ(アラフォー)、漸く自分探しの旅に出そうなニーナ(アラサー後半)。世代の違い、生まれ順の違いなど、同じ親に育てられてもこんなにも違った人生を歩むことになるとは. . .姉と違って何の才能もないことを卑下して、ローズはロニーの娘ではないかと疑っているが、髪の色、両親と共に撮った写真がないことから判断して、ニーナの父親がオスカーではないと思っているのは私だけ?(c) Ludovic Robert/Sundance TV/BBC Worldwide

 

デフォー法律事務所に残って、ハンナの身代わりをする羽目になったのは、二女ニーナです。業界の長老として著名な母ルースと比べられるのは勿論、キャリアも家庭も何もかもそつなくこなす優等生/良妻賢母ハンナと比べられるのにも飽き飽きしています。一般的に、真ん中の子はかまってもらえないので、注目されるために、とんでもないことを仕出かします。ニーナの常套手段は、夜な夜なパーティーに興じる口軽/尻軽女、盗癖があり、酒癖の悪い女を演じることです。弁護士として働く事に生き甲斐を感じている様子はなく、かと言って結婚して家庭に収まる伝統的な女になる気など毛頭ありません。特に目標も夢もなく、只々母親が敷いたレールに乗っかって何となくここまで来たのは、「私は何の役にも立たないダメ人間」という自尊心の欠如と思われます。三姉妹の中で最も美人ですが、デキる女にありがちな、彼氏の選択そのものが間違っている事に、未だ気づいていません。妻の代わりに家庭を守ってくれる「主夫」を演じられる太っ腹の男性を探すと良いかもしれません。シーズン2では、ノーブル・ヘイル・デフォー法律事務所(NHD)に迎えられ、いつ見掛け倒しを見抜かれるか、毎日ビクビクしています。そして、望まぬ妊娠、意外な彼氏を選ぶ等、35歳にしてニーナの人生は大きく変転し始めます。親になったから、大人になるという保証はどこにもないと思うのですが. . .

一族の中で唯一家業を継ぐ気がなく、大学を出た後ウェイトレスや子守をしながら、実家でぬくぬくと暮らしている末っ子ローズ。甘やかされて育ち、特に目標も気力もなく、何となく生きています。頭の良い姉達に劣等感を感じている上、生後18ヶ月で、父親に捨てられた記憶はないものの、「男は皆去って行く」と言う潜在意識が行動を左右しています。よりにもよってニーナに、「男に自分の存在価値を求めるのはやめなさい!」と言われながらも、世界で一番面白くない男ジェームズ(ルディ・ダルマリンガム)とゴールインします。母や姉達の非難を避けようと結婚を選んだローズが、折良く姿を現した父親に最も興味津々だったのも頷けます。シーズン2では、流産して又々目標を失い、ロニー教授が実父ではないかとDNA入手に全力を注ぎますが、退職した夫に代わって、自分が大黒柱になろうと一大決心をします。

 

父親を知らずに大人になり、やっとオスカーが戻って来たと喜んだのも束の間、喪失感を二度味わったローズのトラウマをジェームズ(ルディ・ダルマリンガム)は共感できない。更に、ハネムーンベビーを流産してローズの波乱万丈のアラサー人生は、どう展開して行くのか?(c) Mark Johnson/Sundance TV/BBC Worldwide

 

「ザ・スプリット2」は、経営難に陥ったデフォー法律事務所をノーブル・ヘイルが買収し、ルースとニーナがハンナの職場に合流する所から始まります。焼け棒杭に火が付いたハンナとクリスティーは、人目を忍んで、昼下がりの情事に没頭します。今シーズンは6話を通じて、セレブ夫婦フィ・ハンセン(ドナ・エアー)とプロデューサーの夫リッチー(ベン・ベイリー・スミス)のスキャンダル満載の離婚が描かれます。子供が同じ学校に通っていることから、ハンナとフィには弁護士と依頼人以上の私的なしがらみができ、ハンナは爆発寸前の夫婦関係に公私とも巻き込まれます。もはや信頼できなくなったネイサンと、ハンナを独り占めしたいクリスティーの二者択一を迫られるストレス、仕事のストレスの波紋は、ハンナの長女にまで広がって行きます。そして、遂にネイサンとの不仲、クリスティーとの情事が職場で明らかになり、優等生ハンナの現実と幻想の世界が一大衝突します。

妻フィ・ハンセン(ドナ・エアー)とプロデューサー/夫リッチー(ベン・ベイリー・スミス)のセレブ夫婦の離婚を、シーズン2を通じて描く。支配欲の強い夫に一挙手一投足を見張られ、息が詰まりそうな結婚から抜け出すのに、ハンナを選んだフィ。(c) Hal Shinnie/Sundance TV/BBC Worldwide

 

崖っぷちどころか、ハンナの世界が木っ端微塵になった所で終了した「ザ・スプリット2」ですが、未だにシーズン3更新の発表がなく、ファンをイライラ、ハラハラさせています。モーガンは、「最初からこのシリーズは3シーズンと決めて書いて来た」と公表していますが、11月初旬に二度目の外出制限措置がとられてロックダウン状態が続いている英国です。コロナ禍に何らかの目処が立たない限り、撮影可能なのかどうか判断できかねているに違いありませんが、クリエイターがモーガンだけに、有終の美を飾ることは間違いないので、是非とも更新して結末を放送してもらいたいものです。木っ端微塵の尻切れトンボだけはやめて頂けないでしょうか?

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