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【本人発言付きコラム】ワン・ダイレクションの活動休止から6年、ルイ・トムリンソンが見据える<未来>を体現した2ndアルバム

ルイ・トムリンソン COLUMNS
ルイ・トムリンソン

シングル「アズ・イット・ワズ」が全米Billboard Hot 100で通算15週1位を記録するなど、2022年を代表するミュージシャンとなったハリー・スタイルズ、人気オーディション番組『ザ・ヴォイス(The Voice)』の新シーズンにコーチとして出演することになったナイル・ホーランなど、輝くポップ・アイコンたちを輩出している伝説のボーイズ・グループ、ワン・ダイレクション。そのメンバーのひとりであるルイ・トムリンソンが約3年ぶり通算2作目となるソロ作『フェイス・イン・ザ・フューチャー』を完成させた。これまでのルイの華やかな歩みを振り返るとともに、最新作の聴きどころを本人の貴重な発言を交えながら紹介する。

あの頃の記憶は曖昧なものだった

英国のオーディション番組へ登場したことをきっかけに、2010年に結成されたボーイズ・グループ、ワン・ダイレクションのメンバーとしてデビューした、ルイ・トムリンソン。グループは、翌年にリリースされたデビュー盤『アップ・オール・ナイト』で、あのザ・ビートルズも成し遂げられなかった、英国のグループとして史上初となるデビュー作で全米アルバム・チャート初登場No.1を記録。以降も日本を含む世界で旋風を巻き起こし、これまでのレコード・セールスは2億枚以上(うちアルバム6,500万枚)、ストリーミングは累計210億回再生数を記録するなど、21世紀を代表する存在になった。当時のことを、ルイは以下のように振り返る。

「あの頃見ていた景色は、本当に最高なものなんだと、今になって思い出すというか。当時の記憶って正直曖昧だったんだよね。もちろん覚えているんだけど、振り返る余裕がなかったんだ。だから、最近になってソーシャル・メディアなどでアップされている映像などを観て『こんなことをやっていたのか』って当時が鮮やかに蘇ると同時に、良い気分になる。あんなに素晴らしい経験は、人生になかなかないものなんだって」

One Direction – 10 Years of One Direction

ソロとして華々しい活躍の日々

やがてグループは16年に活動休止を発表し、メンバーはそれぞれの道を歩むことになる。ルイも、同年よりソロとしてのキャリアを開始。初のソロ名義曲であり、スティーヴ・アオキとのコラボ・シングルでもある「ジャスト・ホールド・オン」は、日本を含め43の国と地域の配信チャートおいて即日1位を獲得するなど、その人気ぶりを示した。

以降も、精力的な音楽活動を続け、20年にリリースした初ソロ・アルバム『ウォールズ』は、全英トップ4、全米トップ10入りを果たし、ミリオン・セールスを突破。また収録されたシングル「Two Of Us」で2019年ティーン・チョイス・アワードのベスト・ソング賞、iHeartRadioミュージック・アワードの最優秀ソロ・ブレイクアウト賞を獲得するなど、大ヒットを記録。日本を含む大々的なワールド・ツアーがパンデミックの影響により延期・キャンセルされるという不測の事態を乗り越え、代わりに開催した配信ライヴは、男性ソロ・アーティストによるライブ・ストリーミング・コンサートの最多視聴記録を更新し、21年のギネス世界記録に掲載。その後、再開したワールド・ツアーも(残念ながら日本での開催は叶わなかったものの)各地で熱狂を巻き起こすなど、ソロとしても華々しいキャリアを積み重ねている。

「このツアーは、自分にとって本当に素晴らしい経験となった。ミュージシャンとしての自信がついたし、ショーというものが人々(ファン)にとって、そして自分にとってどんな存在なのかを学んだし、自分がどんなにパフォーマンスすることを待ち望んでいたかもわかったからね」

Louis Tomlinson – Two of Us

30代を迎えて完成した2ndアルバム

21年12月には、30歳を迎えたルイ。この年代を迎えたことによって、心境的に大きな変化があったと語る。

「年齢を重ねていくごとに、<選択(チョイス)>と<変化(チェンジ)>が人生において大切なことなんだとわかるようになったんだ」

そして完成した通算2作目となるソロ作『フェイス・イン・ザ・フューチャー』は、<未来を信じる>と意味する通り、常に変化することを恐れず、自分の思う道を選択しようというルイの強いまなざしが注ぎ込まれた作品になっている。

「ロックダウン中、ひとりで考える時間ができたことによって、無意識にそういう考えが湧き出てきた気がする。変化や、あまり選択肢がない状況で、自分のキャリアの次のステージのことを考えさせられたんだと思うんだ」

これまでの自身のキャリアを、この30代を迎える時期にじっくり振り返ることができて、浮かぶフレーズも多かったという。特に、先行シングルになっている「Bigger Than Me」は、現在のルイでなければ生まれなかった楽曲だと語る、力強さと高揚感のあるスタジアム・ロック風な仕上がり。ここ最近のライヴ活動の充実ぶりがうかがえる楽曲にもなっている。

Louis Tomlinson – Bigger Than Me

英国の実力派ミュージシャンとタッグ

ちなみに、この「Bigger Than Me」には、2000年代に活躍した英国のバンド、ザ・ミュージックのロブ・ハーヴェイなどがソングライティングに参加。また他の楽曲では、英マンチェスター発のエレクトロ・ロック・デュオであるハーツのセオ・ハッチクラフトなど、本作には実力派ミュージシャンがコラボレーターとして参加している。

「ロブは、おそらく収録曲の半分くらいは参加している。セオも含め、今回参加してくださった方々は、とても協力的で、ピッタリの人選だったと思う。特にロブやセオの音楽的経験は豊富で素晴らしいし、リスナーとしても大好きなので、自分にとってはとても心強い存在であったことは確かだね」

そんなセオがソングライティングに参加している「Silver Tongues」は、アルバムのなかでもルイがお気に入りというナンバー。ワン・ダイレクション時代を連想させるキラキラした雰囲気をまといながらも、さらに<未来>へ前進し続けようとするルイの力強さがうかがえる楽曲になっているのだ。

「曲そのものが僕が音楽的に進もうとしている未来を示していると思う。僕のサウンド的な未来が見える曲なんじゃないかな」

Louis Tomlinson -Silver Tongues

日本は自分にとって特別な場所

そのほかにも、切れ味鋭いバンド・サウンドがハートを撃ち抜く「Out Of My System」、プラトニックな恋愛をモチーフにしたという美しいバラード「That’s The Way Love Goes」など、多彩なサウンドと等身大の心境がうかがえる楽曲がそろったアルバム。まもなく31歳のバースデーを迎えるルイ。これから始まる30代の時間が、とても充実したものになりそうな予感を抱かせてくれる仕上がりにもなっている。

「30代は、あと9年もある。その時間で何があるかわからないけど、今のところはとにかくツアーをし続けたい。僕は、それくらい本当にライヴが好きなんだ。ファンとも繋がっていられるし、自分にとって意味があることなんだよね」

もちろん、日本でのパフォーマンスも視野に入っている。

「パンデミックの影響で行けなかったのはすごく残念だった。日本は、僕が世界で一番好きな国のひとつだからね。これは、日本のインタビューだからリップ・サービスで言ってるわけじゃなくて、本当に大好きなんだ。ナイト・ライフも最高だしね!以前行った六本木のクラブは忘れられないよ」

最後にファンへのメッセージも残してくれた。

「何度も言うけど、自分にとって日本って特別な場所なんだ。これからも素晴らしい思い出を、更新し続けていきたい。しばらく日本にいけていないのに、未だに僕を応援し続けてくれているみんな、本当にありがとう。心から感謝しているよ」

Louis Tomlinson – Out Of My System

リリース情報

ルイ・トムリンソン アルバム『Faith In The Future / フェイス・イン・ザ・フューチャー』

ワーナーミュージック・ジャパン/BMG
2022.11.11 ON SALE
WPCR-18555
¥3,190 (税込)
国内盤CDは2曲のボーナストラック付き
https://wmg.jp/louistomlinson/discography/27013/

PROFILE
1991年12月24日生まれ、英ドンカスター出身。10年に英人気オーディション番組『XファクターUK』にソロでエントリーした後、ワン・ダイレクションを結成し、2011年にデビュー。16年に活動休止を発表して以降、ソロ転身。20年に初ソロ・アルバムを発表。現在、最新アルバムを携えてのワールド・ツアーを敢行中。

Text:Takahisa Matsunaga

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セバスチャン・イザンバール (c) tvgroove.com
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