「Dirty John」は、ニューポートビーチで起きた実話をテレビ化! コニー・ブリットン(「スピン・シティ」)が演じる女実業家の身勝手にムカつく事しきり! 母親として無責任ですよ!

Dirty John
Bravoが放った「Dirty John」アンソロジー1は、ケーブル局のオリジナルシリーズの視聴率2位と好調。メインキャストは、左からエリック・バナ(ジョン役)、コニー・ブリットン(デブラ役)、ジュリア・ガーナー(二女テラ役)、ジュノ・テンプル(長女ロニー役)。この惨事を生き延びるのは誰? (c) Frank Ockenfels/Bravo

9月27日に掲載した夏のプレスツアーレポート「2018年秋の新ドラマの傾向」の1)実証済みの出版物やポッドキャスト、ビデオゲームなどをテレビ化に挙げた、「Dirty John」が2018年11月25日から、Bravo局で放送されています。Los Angeles Timesポッドキャストをテレビ化したもので、南カリフォルニアの超高級住宅街ニューポートビーチで起きた実話を元に、制作されました

デブラ・ニューウエル(コニー・ブリットン)は、インテリアデザインで富を築いた叩き上げの女実業家。初婚時にもうけた一男二女の3人の子持ちです。長男は結婚して家庭を持っていますが、長女ロニー(ジュノ・テンプル)はアラサーにも関わらずいまだに母親の脛をかじって贅沢三昧を満喫しています。次女テラ(ジュリア・ガーナー)は、獣医になるために大学で勉強しています。

離婚歴3回にも関わらず、未だに出会い系サイトで相手を探してデートを繰り返すデブラですが、誰も帯に短し襷に長しです。ある日、ロニーと住むマンションに姿を現したジョン・ミーハン(エリック・バナ)は、国境のない医師団の一員として行ったイラク戦争で負傷した麻酔医と言う触れ込みで、口八丁手八丁でデブラを魅了します。ちやほやしてくれる最後の男かも?と言う絶望感も手伝って、デブラは恋に目が眩み、間もなく海辺のマンションで同棲を始めます。そして、巡り会って二ヶ月でラスベガスで密かに結婚します。

(c) Michael Becker/Bravo

仕事で行ったラスベガスで、ひっそりと挙式に漕ぎ着けたジョン(エリック・バナ)は、デブラ(コニー・ブリットン)を妻にしてしまえば、富を手にしたも同然だと計算付く。離婚歴3回のデブラは、スピード結婚を疑って当然だと思うのだが、恋は盲目なのか?

寂しい中年女性を獲物に結婚詐欺や恐喝を働いて、薬物依存を維持して来たごろつきジョンは、全米を股に掛けて、悪事を繰り返して来ました。ニューウエル一家は、2014~16年の2年間、ジョンの餌食となりましたが、それ以前にも数々の悪事を働きながら、いつも巧みに起訴をすり抜けて来ました。

一目で母親の危機を直感したロニーは、家族の協力を得てジョンの正体を暴いて行きますが、優しい(?)デブラはジョンの巧みな操作で、日に日に孤立して行きます。倍倍速で万事を進める、ターゲットを家族から孤立させてコントロールするのは、ペテン師の常套手段です。子供達の嘆願に反して、何度も夫ジョンを信じては裏切られ、最終的には財産を乗っ取られないように遺書を書き換え、離婚手続きまで始めます。正体を暴かれたジョンは、父親に教えられた通り、ニューウエル家に復讐する計画を着々と進めて行きます。

(c) Michael Becker/Bravo

セラピーセッションでも、長女ロニー(テンプル)に、胡散臭いジョンと付き合うことを正当化しようと必死になるデブラ(ブリットン)。ジョンを毛嫌いするロニーがいたからこそ、命拾いしたデブラだが、母親としての責任感は無いも同然。

全8回で綴られる実話のテレビ化は、ポッドキャストより面白い、ポッドキャストには及ばないなど、賛否両論です。私は、実話の詳細も結末も知らず、ポッドキャストも聞かずに、全く白紙の状態で観ました。

先ず、ブリットンがこの役を選んだ理由が良く分かりません。「フライデイ・ナイト・ライツ」「ナッシュビル」など、強い女を演じて来たブリットンだけに、優柔不断、優しい=弱い、楽観主義と言うか、とろいと言うのか?とにかく、イライラしてしまいました。何度丸め込まれたら、目が覚めるの?しっかりしてよ!と何度、画面に向かって叫んだことでしょう。お人好しもほどほどにして欲しいものです。ブリットンは、かつて「アメリカン・ホラー・ストーリー」に登板した時に、「ホラージャンルが嫌いだから、敢えて挑戦した」と言っていましたから、今回の暖簾に腕押しの象徴の様なデブラ役を選んだのかも知れません。2018年8月8日のパネルインタビューの記録では、「ペテン師の手に掛かったら、誰でもいちころ!を画面で証明したかったの。誰が観ても、デブラの中に’自分’を見出せる筈」と語っています。私は、極めて警戒心が強いので、ここまで無防備なデブラに、ムカつくことしきり。「お人好し、無防備な人間を逆手にとって利用するのが、ペテン師の手口」とクリエイターのアレクザンドラ・カニンガムが付け加えています。つまり、ペテン師は、「いい鴨」を嗅ぎだす才能に長けていると言うことです。

母アーレイン・ハート(ジーン・スマート)も、すっかりジョンの口車に乗り、ロニー、テラなどの若い世代がどれほど証拠を突きつけても、「完璧な人間などいない。少々の欠点は大目に見なくちゃ」と下手な理屈をこね回します。アーレインとデブラの寛大さの裏に何があるのか、最後まで観れば説明がつくに違いないと思っていましたが、結局不可解なままで終わってしまいました。バツ3ともなると、男性不信になるのが普通だと思うのですが、ここまで凝りないと、何世代にも渡り虐待を受け続けて来て、異常に気が付かないのか、気付いても恐怖の余り現状を脱出できないのだろうか?と心理分析してしまいました。三代目ロニーやテラが、しっかりと観察眼を持っていて、第六感を信じて一家を守ろうとしたのは、デブラの離婚の度に傷付き学習して大人になったからに違いありません。

(c) Frank Ockenfels/Bravo

叩き上げの女実業家デブラ(ブリットン)も、たちの悪いごろつきジョン(バナ)の手に掛かるといちころ。ブリットンは、ゴールデングローブ賞限定シリーズ主演女優賞にノミネートされているが、バナの方が遥かに適役では?元々、バナのファンではないからそう思うのか?

何よりも許せないのは、母親として子供や孫を守る責任感が全く感じられないのです。子供と言っても皆大人ですから、「これからの人生は好きにやらせて!」とどんどん深みに嵌って行くのは勝手なのですが、それって無責任だよ!と思うのは私だけなのでしょうか?何事も神頼みのアーレインに育てられたデブラですから、自分の人生でありながら男に舵取りを任せ切っている節がありますが、それでは実業家として成功している事実と辻褄が合いません。デキる女は、こと恋愛となると、職場で見せる強さを隠さなければならないからです。ジョンの視点でデブラを描く7回目など、語り口は面白いし、ジョンの生い立ちを観ると、ごろつきになるのは当然!と納得は行きますが、肝心のデブラの背景が描かれておらず、何ともすっきりしないまま手に汗握る結末を迎えます。

但し、ジョンの正体を見た後、私なら取るものも取り敢えず逃げ出すと思うのですが、恐怖を顔に出す事なく、さり気なく脱出計画を実行した点は、あっぱれだと思います。感情を露わにしない人なのかも知れません。「娘の強さを目の当たりにしたくなかった」と言うデブラの発言にも、アーレインに「家族はとっくに許してるわ。心配しないで」と言われるデブラにも、どうも納得が行きません。実在の娘さん達に聞いてみたくなりました。

更に、このドラマを観て学習したのは、犯罪者の心理は、まともな人間には、どう逆立ちしても理解できないと言う点です。デブラは、ジョンが何故、嘘をつくのか?何故、立場が悪くなると、被害者を責めるのか?など、何故を探ろうと必死になります。そう言う人間だから、犯罪者なのです。自分の言動に一切責任をとらない、規則や法律など無いが同然、女は飽くまで道具でしかない、思い通りにならないと操りや脅しで反撃するなど、私は1年半ほど前、隣に引っ越して来た犯罪者一家(親子三代)を身を以て体験しているだけに、教訓として有り難く観ました。早く引っ越さねば!