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【映画レビュー『猿の惑星/キングダム』】注目すべきは“上下”と“恐怖”!? 支配者の愚かさと民衆の勇気を描く、シリーズ原点回帰の自由讃歌【映画は弱者の味方】

©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved. REVIEW
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「猿の惑星」シリーズ最新作がついに5月10日(金)公開となる。それが完全新作『猿の惑星/キングダム』だ。この記事では、この最新作の特徴や見どころを簡単にレビューしたいと思う。

『猿の惑星/キングダム』レビュー

【予告編】『猿の惑星/キングダム』

『猿の惑星/キングダム』概要

映画史に残る神話的名作シリーズ『猿の惑星』完全新作!

今から300年後の世界、猿たちは絶対的支配を目論み、巨大な帝国<キングダム>を築こうとしていた。一方、人類は退化し、まるで野生動物のような存在となっていた。そんな世界で生きる若き猿ノアは、ある人間の女性と出会う。彼女は人間の中で“誰よりも賢い”とされ、猿たちから狙われていた。猿と人間の共存は不可能なのか。はたして、この世界で生き残るのは―。

完全新作として描かれる新たな“猿の惑星”。ノアが出会った人間の女性に隠された秘密とは何なのか。進化は本当に“彼ら”を選んだのか。この惑星に隠された驚くべき真実とは―!(公式HPより)

圧倒的映像による大冒険

後に述べるそのテーマ性や表現も面白い今作だが、まずはやはり大前提として世界観・冒険シーンが単純に面白い。はぐれ者の人間と猿が出会い、互いを信頼できるのか探り合いながら協力し合って独裁者に立ち向かう。その構図や猿の文化の描き方など、物語・世界観がまず楽しい1作に仕上がっている点にご安心いただきたい。

©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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被支配と自由、上昇と落下

そして今作でご注目いただきたいのは、「昇る・飛ぶ」「落ちる」といった動きでフィーチャーされる“上昇と落下”。

上空を飛び回るワシの力強さと自由さに、見下ろされた地上で支配される猿達の閉塞感・被支配状態が強調される。「昇れ!」と上へ向かった先に、強さを、自由を、自分を示す場所がある。その動き・状態の対比が今作の理解度を深めてくれるため、ぜひ「上下」にもご注目いただきたい。

©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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必要なのは、恐怖に打ち勝つ勇気

そして今作では支配者にも被支配者にも根源に“恐怖”がある。怖いから支配しなければ気が済まず、怖いから逆らえず、怖いから攻撃し合って、分かち合う心を持てばそれぞれに取り分があったかもしれないものすら、完全な0にしてしまう。

不安や恐怖は生きる上で必要な感覚ではあるものの、それに飲み込まれれば不必要な損失や傷を生む。今作はプロキシマス・シーザーの圧政とそれが生む結果を通して、恐れや、他をコントロールしようとすることの愚かさ・弊害を見事に描いている。

©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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支配者の愚かさ、“独り占め”を目論む傲慢さが描かれるという点で、今作は「猿の惑星」シリーズの原点に立ち返ったともいえよう。

映画は弱者の味方

「猿の惑星」シリーズは長きにわたって人間の愚かさを猿に投影したり、人間自身を狂気的な集団として描いてきた節があるように思う。

しかし、今作において人間の「諦めの悪さ」は今作では希望として描かれている部分もある。映画はいつでも弱者の味方。今作では圧倒的に少数派で弱い立場の人間は、応援される側として描かれている。「猿の惑星」シリーズでなかなかみない、“明らかに人間を応援したくなる構図”。これも初代『猿の惑星』を彷彿とさせる要素のひとつである。

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すばらしい世界観と迫力の映像で冒険を楽しみながら、支配者の愚かさとそれに立ち向かう勇気、人類の歴史にも普遍的に通じるテーマ性をはらんだ完全新作『猿の惑星/キングダム』は5月10日(金)全国ロードショー。

『猿の惑星/キングダム』作品情報

監督:ウェス・ボール
出演:オーウェン・ティーグ、フレイヤ・アーラン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.
作品公式サイト

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