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5月に放送開始される注目作3本 「Hacks」「イン・トリートメント4」「NYガールズ・ダイアリー5」

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メイク中のデボラ(ジーン・スマート)に、自分が書いた新ネタの評価をせがむエヴァ(ハンナ・エインバインダー)。不可解な事を早口で捲し立てるエヴァに、鋭く切り返すデボラに、拍手喝采を送る大人は多い筈だ。本コメディの魅力は、カタルシス効果?!

5月13日配信開始 HBO Max「Hacks」

HBO Maxオリジナル「Hacks」は、往年のコメディエンヌ、デボラ・ヴァンス(ジーン・スマート)と、新進コメディ・ライターのエヴァ(ハンナ・エインバインダー)との師弟関係を、笑いと涙の10話で綴るコメディです。

1973年、夫フランクと共演したシチュエーション・コメディで一躍スターの座についたデボラも、今はフロリダからやって来る団塊世代ファンを対象に、古いネタをリサイクルして週末3日間(金~日曜日)コメディショーを続けています。晩年「ラスベガスの女王」と呼ばれるようになったものの、楽屋口でサインを求めるファンは5~6人、ホームショッピング局でライフスタイル商品を販売したり、レストランの開店イベントに華を添えて稼ぐ毎日です。ところが、若者受けを狙ったショーを書き入れ時の週末2日間に興行し、デボラは日曜日のみに限定したいホテルのオーナーが、追い出し作戦に出たから大変!

ツィートした冗談が原因で、ハリウッドで村八分になったエヴァ(25歳)は、住宅ローンを払おうにも、仕事も相談相手も何にもない!窮地に追いやられてしまいました。藁にもすがる思いで、やって来たのはラスベガス!デボラのネタを「今風に」するゴーストライターに雇用してもらえとエージェントが勧めたからです。しかし、初対面からジェネレーション・ギャップの火花が飛び散り、いつまで経っても平行線をたどるのか?と思いきや. . .デボラのコメディエンヌの仮面の裏にある素顔に触れて行くうちに、エヴァは女はどんなに才能があっても、歳と共に可能性がどんどん先細りしてしまい、道を究めたと気を抜いた途端、坂を転げ落ちて奈落の底!という冷たい現実に目覚めます。

「エミリー、パリへ行く」(本サイトに2020年9月21日掲載)が、SNSの世界で生きるデジタルネイティブ対、変化の急流に押し流されまいと辛うじてしがみ付くデジタルイミグラントの正面衝突を、高級ブランド業界を舞台に描いたロマコメなら、舞台をコメディ業界に移して、変化に即応できない恐竜グループに属するデボラと、自己顕示欲が強く、自信過剰、旧体制を崩壊する為に生まれて来たようなエヴァとの正面衝突を描くのが「Hacks」です。世代が違うとユーモア感覚がここまで違うものかと唸ってしまいます。

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5月23日放送開始 HBO「イン・トリートメント4」

3月5日、「待ってました!ドキュメンタリー『Couples Therapy』シーズン2と11年振りに返り咲くドラマ『イン・トリートメント』シーズン4」でご紹介。

「イン・トリートメント4」は、コロナ禍でテレワークや自宅勤務を強いられたブルック・テイラー心理学博士(ウゾ・アドゥバ)のカウンセリング風景を24話(今時、驚異的!)で綴るドラマです。ニューノーマルに対処しきれない様々な人種(白人、黒人、ヒスパニックなど)のクライアントが登場し、現代に生きる不安や悩みを個々のフィルターを通して描きます。

自らの体験を共有することでクライアントの心を開き、観察力と感情移入で心理療法を施すテイラー先生は、「イン・トリートメント1~3」(2008~2011年)のポール・ウエストン先生(ガブリエル・バーン)とは正反対。但し、私が観た第3話までには、有名な建築家を父に持つ富裕階級出身、高級品を身に着けるセラピストであること以外は、私的なことはほとんど明かされていません。トレーラーには、テイラー先生とくっついたり離れたりの複雑な関係を続ける彼氏アダム(ジョエル・キナマン)が登場し、きっとこの関係がテイラー先生を理解する鍵に違いないと推測しました。

5月26日放送開始 Freeform「NYガールズ・ダイアリー5」

2月18日、「尻切れとんぼドラマ近況報告『グッドガールズ4』3月7日プレミア、『NYガールズ・ダイアリー5』更新」でご報告。

「NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち」最終シーズン全6話は、5月26日から始まります。キャット役アイシャ・ディーが「ライター、逸話監督、ヘアー等々、あらゆる部門でダイバーシティに欠ける」とツイート告発したり、「シーズン4のキャットは、信念も何もない別人に成り下がってしまった!」と公に物申す擦った揉んだがあり、尻切れとんぼで終わる可能性は高いと予想されていました。

ショーランナーのウェンディ・ストレーカー・ハウザーが、「まだ先があるから、ここでドカーンと爆弾を落としたかった」と語ったシーズン4のフィナーレ回。木っ端微塵になった超Wokeなミレニアム・トリオ(ジェーン、サットン、キャット)の公私を、たった6話で再構築できるのでしょうか?ディーが要望した抜本的調整が講じられて、漸く再開される最終シーズンに期待が寄せられます。

因みに、私はサットン(メーガン・フェイヒー)とリチャード(サム・ページ)が縁りを戻して、ハッピーエンドになる事だけを祈ってやみません。お願いしますよ!

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