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「メイキング・ザ・カット2」7月16日、プライム・ビデオで世界同時配信 舞台はロサンゼルス 

「メイキング・ザ・カット2」 COLUMNS
第一話から誰が勝ち抜きそうか予想がついてしまい、ハラハラ、ドキドキ感に欠けるシーズン2。但し、ハイディ・クルム(右)とティム・ガンの意味不明のコントがなくなって、観やすくなった。クルムの衣装は誰の趣味なのか?Courtesy of Amazon Studios

昨年3月27日に世界同時配信となったファッション・コンペ番組「メイキング・ザ・カット~世界的デザイナーを目指して~」は、「プロジェクト・ランウェイ」でお馴染みのハイディ・クルムとティム・ガンの「珍コンビ」が、アマゾン・プライム・ビデオに持ち込んだ企画です。アマゾンの世界制覇政策の一環として、金に糸目を付けずに制作した贅沢三昧のシーズン1でしたが. . .

 

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今夏、7月16日に世界同時配信となるシーズン2は、クルムは司会兼審査員、ガンは司会兼デザイナーのメンター役を務める所までは同じですが、舞台がロサンゼルス1箇所と寂しい限りです。コロナ禍中、マリブにある広大なランチ(牧場)にセットを構築して撮影が行われ、インスピレーションを求めてビバリーヒルズ市庁舎、ディズニー・コンサートホールやビーチに出かける以外は、セットに隔離されていたように見受けました。ニューヨーク、パリ、東京の3箇所で、エッフェル塔やセーヌ河畔等、名所で作品の発表会を開催し、クルムに「プロデューサー冥利に尽きる」と言わしめたほどの散財ぶりだったシーズン1に比べると、見劣りするのは当然です。

シーズン2でレギュラー審査員を務めるのは、モスキーノのクリエイティブ・ディレクターであるジェレミー・スコットとスーパーモデル/ファッションポップのアイコン、ウィニー・ハーロウの二人。又、課題分野で著名なデザイナーや、インフルエンサーがゲスト審査員として登場する回もあります。

左から司会兼審査員のハイディ・クルム、審査員のジェレミー・スコットとウィニー・ハーロウ。今回はナオミ・キャンベルの辛辣なコメントがない分、安心して観られる上、素人が聞いても納得できるコメントが殆どだったが、その分盛り上がりに欠ける単調なシーズン感は否めない。Courtesy of Amazon Studios

 

5カ国から集まったファッションデザイナー10人が、賞金100万ドル+ブランド確立を指導してくれる師弟プログラム+アマゾン・ファッション専属の次世代のデザイナーの地位を賭けて、勝ち抜き戦に挑戦します。今回も、ファッションデザイナーと起業家の両面を兼ね備えた人材が求められ、ブランドを管理する縫製指示から、ビデオ/デジタル・キャンペーンやコンセプト・ストアまで企画する、万能人間を炙り出すコンペです。誰にでも得手不得手があり、万能人間など存在する筈がありません。起業家としてヴィジョンを熱く語れる、売り込みのプロ(=口達者)であれば、デザイナーとして欠けている部分を補い、審査員を説得する事ができます。

ティム・ガン(左)は、チームプロジェクトのリーダー(右グループ中央、白いブラウスの女性)にデザインの意図を詰問するが、聴く耳持たぬ頑固さに呆れ果てる。ガンの忠告に逆らって、良い結果が出た試しがないことを知らないのか、自信過剰の怖いもの知らずなのか?Courtesy of Amazon Studios

 

デザイン面でも、シーズン1に増して、創造性と融通性が試されます。毎回、オートクチュール1~2着と既製服を必ず1着作らなければなりません。審査員が選んだ気軽に着用できる既製服は、配信終了後メイキング・ザ・カット・ストアで購入することができるシーズン1と同じ仕組みになっています。シーズン1では、この審査員オススメ既製服は、2日で完売するほど人気があったので、今シーズンも配信日(毎週金曜日に2話配信)に即購入するように広報は勧めています。将来売れ筋を量産してくれるアマゾン専属のデザイナー(=商品提供者)を100万ドルで買う、アマゾンの世界制覇政策の一環ですが、専属デザイナーは、一体何年アマゾンに縛られるのだろう?と変なことが気になってしまいます。(笑)

今回も、ティム・ガンの包容力に涙してしまいました。25年余り教育者であった事もあり、猪突猛進しがちな若者に、やんわりと自省を促す如才の無い助言をします。酸いも甘いも嚙み分けた人格者の言葉は、優しさとおもいやりに満ち満ちていて、自分の道を切り開こうと必死になっていた頃にガンのようなメンターが出現していたら、私の人生はどう変わっただろう?と考えてしまいます。そう言う意味では、「プロジェクト・ランウェイ17」からガンの後釜に座ったクリスチャン・シリアーノは、ガンの足元にも及びません。30年後に、出直して来い!と言いたくなるほど、修行が足りないのです!「そう言う言い方はないでしょ!」と逆らいたくなるような、嫌味たっぷりの助言は、何の足しにもならないだけでなく、相手を深く傷つけることに全く気付いていないのでしょうか?新ホストのカーリー・クロス(クルムの後釜)、新審査員のブランドン・マックスウェルもエレイン・ウェルタロスも、皆好感度抜群で楽しく観られるのに、シリアーノはどうもいただけません。尤も、ガンほどの人格者が掃いて捨てるほどいる訳ではありませんが. . .

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