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ダブルストは終結したものの、期待の次シーズンはいつ観られる?

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「ナイト・エージェント」は、今年一番面白いドラマだったのに、エミー賞の「エ」も聞かないのは、ネットフリックスが広告費をケチったから?業界誌にも、根回し用の写真や記事が見られず、遺憾ながら諦めた。

前代未聞のダブルストが終結して、何もかもが元に戻ったかのように見えるかも知れませんが、蓋を開けて見ると、事はそう簡単には元に戻りません。何しろ、映画やドラマ制作は1,000ピースのジグソーパズルを組み立てるようなものです。ピースが全て揃って初めて一枚の絵になる訳で、どのピースが欠けても前進すら困難を極めます。WGAストが終結した時点では、脚本にとりかかるのが先決問題だと思われるかも知れませんが、役者や撮影班、更にはスタジオや機材の取り合い合戦や優先順位をめぐる小競り合いがあって、撮影が始まるのは早いもので来年早々、様々な事情で春までは何も始まらないというケースも多々あります。前回お知らせした地上波局CBSの更新シリーズが2月から始まるのは、信じられない快挙と言っても過言ではありません。同局の「FBI」は11月26日、「ブルーブラッド 〜NYPD 家族の絆」は27日から撮影に入っています。「NCSI:ハワイ3」の撮影は、12月4日オアフ島で祝福儀式後に再開します。

11月27日、オアフ島で開催された祝福の儀式に参加した「NCIS:ハワイ」のレギュラーキャスト。(左から)ヤスミン・アル=ブスタミ、アレックス・タラント、ヴァネッサ・ラシェイ、ノア・ミルズ、トリ・アンダーソン、ジェイソン・アントゥーン。(c) Karen Neal/CBS

 

例えば、撮影が中断された超大作映画を優先するか、スト中に制作が決まった新ドラマが先か、インディー映画はどの位置付けか等々、何を以って順位を決めたら良いのかが不明だからです。コロナ禍で完全にハリウッドが閉鎖されてしまった非常事態とは異なり、肝心要の俳優との交渉が一切禁じられていたため、SAG-AFTRAスト終結後から、漸くプリプロダクション(撮影前の準備作業)が始まっています。スタートラインに立てるであろう/立って欲しい(複数の)役者を想定して、撮影スケジュールを組まねばならず、よって誰が登板するか不明状態では、脚本を執筆しても書き直しの可能性も高くなります。又、3週間ほどで完成する中断していた作品に雇用されるよりも、20〜30週間雇用を約束してくれるプロジェクトに乗り換える撮影班が続出しても仕方がありません。

「ナイト・エージェント2」の脚本は半分以上完成、現在キャスティング進行中

一番、制作に近いドラマは、ネットフリックス自慢の23年の世界的ヒット作「ナイト・エージェント2」です。3月23日に世界同時配信され、6日目の3月29日には、好評につき「ナイト・エージェント2」更新が発表されたほど。コメディー部門の世界的ヒット作「エミリー、パリへ行く2」更新発表は、シーズン1配信開始50日後でしたから、6日目というのはネットフリックス史上初です。

又、2022年11月21日の週の5日間で、3億4千123万時間再生という驚異的な記録を出した「ウェンズデー」に次ぐ再生時間(4日間で1億6千871万時間)を記録した「ナイト・エージェント」でしたが、配信第二週目を加えた再生時間総計は3億8千5百万時間となり、スリラージャンルでは首位に躍り出ました。配信後28日間の実績は、人気ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界3」を上回り、人気のほどを物語っています。何事もなければ、23年8月に撮影が開始され、2024年春にシーズン2配信の運びとなる予定でした。

ライアンのもの書き哲学「一目惚れは嘘っぽい。恋は時間をかけてこそ実るもの」を実際に演じたローズ(ルシアン・ブキャナン)とピーター(ゲイブリエル・バッソ)。ローズはカリフォルニアに戻ってテック起業をやり直し、ピーターはナイト・エージェントとして世界を飛び回るようになれば、二人の接点は?(c) Netflix

 

マシュー・クワークのベストセラーを基に、ショーン・ライアンが久々に書き下ろした「ナイト・エージェント」は、人間味豊かな陰謀アクション・スリラーです。去る10月11日、ライアンはCBSの「S.W.A.T.」とネットフリックスの「ナイト・エージェント」の制作班(プロデューサー、ライター、スタッフ等)に囲まれて、誕生日を祝う集まりの席で、両番組の現況を知らせています。

現時点で公表されていることは:

  • 11月現在、キャスティング進行中
  • 撮影は2024年1月〜4月を予定
  • ロケ地はワシントンDCからNYに移動。シーズン3は、アジアで撮影する可能性もある
  • 配信開始は早ければ2024年冬、遅くとも25年早々

内容は?ライアン曰く「元々、ネットフリックスに売り込んだのは、毎シーズン起承転結がはっきりしている1シーズン完結型ドラマ。コアになる数人のキャラが、毎シーズン移行するのが前提」。シーズン1の手柄でナイト・エージェントとなったピーター・サザランド(ゲイブリエル・バッソ)が、シーズン2では新天地でナイト・エージェントという名の新任務をどうこなし、人間として成長して行くかを描きます。シーズン1のキャラがそっくりそのまま(死んだキャラは別として)2に移行する訳ではありません。但し、相手役ローズ・ラーキン(ルシアン・ブキャナン)と、副大統領の娘の子守役(?)チェルシー・アリントン(フォーラ・エヴァンス=アキンボラ)シークレット・サービス護衛官は、再登場する可能性は大です。「アルファ・ウーマン」ローズと新世代の「白馬の騎士」ピーターとの恋の行方が最も気になりますが、サイバーセキュリティのプロであるローズの力を時々借りる遠距離恋愛でも、年に1回しか逢えない織り姫とひこ星の切ない関係でも、ライアンのもの書き哲学にはぴったりはまるというものです。

 

シーズン4で終了?の噂を否定するダーレン・スターの最新ヒット作「エミリー、パリへ行く」

2020年10月2日にネットフリックスのオリジナルとして世界同時配信され、第73回エミー賞のコメディー部門にもノミネートされた「エミリー、パリへ行く」。コロナ黙示録の真っ只中で身も心も荒んでいる全世界の視聴者を、美しいパリに誘う魔法の絨毯となって現実逃避させてくれました。オードリー・ヘップバーンの再来と言われる清楚で可憐なリリー・コリンズが演じるエミリー・クーパーの仕事、恋愛、友情におおわらわのパリ奮闘記を描くロマコメです。

しかし、エミリーの三角関係と公私混同故の、もやもや、ねちねちの何ともスッキリしないシーズン2は、仏語会話が急増して字幕を読まないと理解できない面倒さと、ミンディー(アシュリー・パーク)の歌唱力を証明する為(?)のシーンがやたら多かった事もあいまって、ネタ切れ感漂うメロドラマに変身してしまいました。昨年12月に始まったシーズン3は、エミリーとアルフィー(ルシアン・ラヴィスカウント)対ガブリエル(リュカ・ブラボー)の三角関係に、ガブリエル奪還作戦に成功したカミーユ(カミーユ・ラザ)の火遊びと妊娠が絡みあって、あちこちで爆弾が炸裂しました。シーズン2にも増して、ほとんどのキャラが仕事と私生活をごちゃ混ぜにした結果、心安らぐ空間がなくなってしまい、自分で自分の逃げ道を塞いで慌てふためいているような、混沌のシーズンとなりました。

[「SATC」のキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)もこんなドレス着てたような記憶が. . .パリが売りの「エミリー、パリへ行く」の最大の障壁は、24年6月までにはロケを完了しなければならない事。]

毎年、夏にパリで撮影される「エミリー、パリへ行く」も、ダブルストのあおりを受けて制作が中断されていましたが、ネットフリックスのオリジナルコメディーのトップの座を維持するだけあって、23年6月17日にシーズン4の更新を確約するビデオを流して、全世界のファンにアピールしました。自慢のヒット作と言えども、毎シーズン10話では、次シーズンの配信が大幅に遅れると忘れ去られてしまうとネットフリックスが悟った(そんな訳はない!と思いますが)のかも知れません。

 

公私ともノーと言えないピープルプリーザー(お人好し)エミリー(コリンズ)が、ガブリエルを諦めてくら替えしたのがフランス叩きに専念する英国人アルフィー(ルシアン・ラヴィスカウント)。そんなアルフィーが、パリに舞い戻ったのは、エミリーが理由と言うが、信憑性に欠ける。ラヴィスカウントの演技力の問題? (c) Netflix

ダブルスト終結後に、プリプロが始まっており、撮影開始は24年1月22日と発表されています。

現時点で公表されていることは:

  • 撮影は2024年1月〜4月。6月〜9月にかけて、撮影禁止地区が設けられるため、4月には完了する必要がある。
  • ロケ地はパリ。但し、24年夏季オリンピックがパリで開催される為、3シーズン利用したラ・シテ・デュ・シネマが既に予約済みで、近くのモンジョワ・スタジオに急遽変更。
  • 配信開始は早ければ2024年末、遅くとも25年早々

カミーユに押し切られっ放しの優柔不断を絵に描いたようなガブリエル(リュカ・ブラボー)も、漸くシーズン3でミシュランの☆印評価を受けるレストランにしたい!と抱負を語りだしたが、カミーユの妊娠が引き金になった事は誰も知らない。(c) Netflix

 

シーズン4で完となるのでは?と言う噂が流れる中、スターは「え〜、まだ始まったばかりなのに!」とかわした上で「まだまだネタは尽きないから、フィナーレからは程遠い」と付け加えています。シーズン4では、「エミリーの『ローマの休日』だってあるかも知れないわ!」とコリンズがファンイベントで発表したり、スターも「『エミリー、パリへ行く』の域をはるかに超えた!」と意味不明な(?)発言をしています。フランチャイズ化を示唆しているのでしょうか?サヴォア従業員の頃から、エミリーを敵対視し、シルヴィー(フィリピーヌ・ルロワ=ボリュー)の新会社アジョンス・グラトーに移ってからも、エミリーに仕事を盗られたと文句たらたらのジュリアン(サミュエル・アーノルド)が独り立ちして、エミリーのユニバースを広げたりして. . .

とにかく、次シーズンでは、木っ端微塵になったエミリーの世界を再築しなければなりません。スターは、「エミリーとガブリエルの腐れ縁に決着をつけると言うより、エミリーがパリにやって来た理由を考えると、二人の未来が自ずと見えてくる。二人とも将来はこうなりたい!という目標があるから、大人の決断をする筈」と言います。先ずは、各自の夢を実現させる為に、恋はお預け!と言う事なのでしょうか?でも、降って沸いた美味しいパリ駐在に乗ったエミリーの夢って何ですか?シカゴ本社に戻って昇進するチャンスを棒に振ったのは、単にアジョンス・グラトーの一員としてシルヴィーも認めた「才能」を発揮する為だけのように見えるのですが. . .人に嫌われる事や揉め事が怖いピープルプリーザーの典型エミリーは、カミーユと仲違いしてでも、ガブリエルと縒りを戻した方が良かったと思うのは私だけでしょうか?周囲の人間を優先して、波風を立てたくない気持ちは解りますが、人生は短いものです。もっと、自分の気持ちに正直に生きないと後で後悔しますよ。

今度こそ、タイでロケ「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル3」

特権階級の目に余る超自己チュー的言動や、見るに堪えない醜態を描くドラマやコメディーを次々と輩出して来たプレミア・ケーブル局HBOの最新のヒット作「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル」は、好評につき限定シリーズからアンソロジー・シリーズ(主題、形式は同じで新キャストが演じるドラマ)に切り替えて、22年10月30日に「ホワイト・ロータス2」を放送開始しました。

ハワイの離れ小島にある高級リゾート、ホワイト・ロータスで繰り広げられる富裕層の特権階級が強要する弱者への醜いパワハラ(=有利な立場にいることを利用して、社会的地位の低い人達に理不尽なことを強要すること)を描いて、格差社会の惨状を見事に風刺したシーズン1。地上の楽園マウイ島に押し寄せる貪欲な特権階級のパワハラの津波を、マイク・ホワイトは持てる者と持たざる者の観点から描いて、数々のエミー賞を受賞する「唸る」程面白いドラマに仕上げました。

[シーズン1は限定シリーズとして放送されたが、世界的にヒットしたため、アンソロジー・シリーズに切り替えて、ホワイト・ロータスのシチリア編が制作された。次シーズンはタイ編。]

「ホワイト・ロータス2」は、舞台をシチリア島にある高級リゾート、ホワイト・ロータスに移して、VIP客3組9人の破廉恥な色恋沙汰や夫婦関係の駆引きを描きました。視聴率は「ホワイト・ロータス1」を上回ったと言いますが、シーズン1と同様の格差社会の惨状風刺劇を期待しすぎたのか、単に男女の考え方の違いが描かれていたのみで、少々物足りませんでした。

敢えて言うなら、実業家キャメロン(テオ・ジェームズ)と妻ダフネ(メーガン・フェイヒー)の関係が最も印象的でした。何の不自由もない熱々のカップルに見えますが、実はお互いの浮気や金遣いの荒さなどは見て見ぬ振りをして、微妙な持ちつ持たれつの夫婦関係を維持しています。本題には触れることなく、外見だけを繕っている訳で、特権階級の夫婦は、家事や育児は人任せですから、庶民レベルの口喧嘩はしません。「男って可哀想。社会で立派なことをしているつもりだけど、実は独りぼっちで(群れから離れて)さまよってるだけなんだもの」と、皮肉を言う醒め切った専業主婦ダフネに、「ホワイト・ロータス1」で、玉の輿婚を後悔したレイチェル(アレクザンダー・ダダリオ)の10年後を見たのは私だけでしょうか?夫シェーン(ジェイク・レイシー)の言うなりにキャリアを諦めて、10年に渡り物欲と安楽な生活に走ると、ダフネのような醒めた専業主婦になるに違いありません。レイチェルの将来を描いたのか?と思いきや、実はフェイヒーは、レイチェル役の最終候補でしたが、ダダリオに決まってしまい、涙を呑んで諦めた役だったと判明しました。晴れてシーズン2のダフネ役に起用され、エミー賞ものの演技をしているフェイヒーが、レイチェルの未来を演じているとは、不思議な巡り合わせとしか言いようがありません。

ダブルストで中断せざるを得なかったシーズン3の脚本の仕上げにおおわらわのホワイトは、目標は「longer, bigger, crazier」と発表しています。シーズン1は全6話、2は全7話でしたが、逸話数が増えて、スケールも大きく(?)なり、これまで以上の狂気の沙汰を期待できると言うことです。

現時点で公表されていることは:

  • 11月9日(俳優組合のスト終結日)より、18〜80歳に渡るレギュラー9役+ゲスト4役(計13役)のキャスティング進行中。
  • 撮影は2024年2月初旬
  • ロケ地はタイ
  • 放送・配信開始は2025年

お人好しで、救助願望の強いベリンダ(ナターシャ・ロスウェル)は、タイのリゾート内にあるウェルネスセンターで働いていると言う設定らしい。(c) Mario Lopez/HBO

 

シーズン2で、女実業家タニヤ・マックワード(ジェニファー・クーリッジ)が死んでしまったので、次シーズンの配役はどうなるのかを巡って憶測が飛び交っています。現時点で登板が確定しているのは、シーズン1で「感情の吸血鬼」(ナルシストの被害者タイプ人間)タニヤの犠牲となったスパ・マネージャーのベリンダ(ナターシャ・ロスウェル)のみ。

努力と実力で手に入れた地位なのに、希少価値や#MeTooの波に乗って昇進したのでは?と疑われる事が何よりも癇に障る。超Wokeで口が達者な娘に糾弾/罵倒/キャンセルされっぱなしで、キレまくるシーンは現実味たっぷり。(c) Mario Lopez/HBO

叩き上げのテック会社CFOニコールを演じたコニー・ブリットンも、ホワイトからシーズン3に復帰しないかと声がかかった事実は認めていますが、今のところ登板は確定していません。負け組の夫マーク(スティーヴ・ザーン)と離婚して、タイで独り旅を満喫すると言う設定はどうでしょう?

出発前夜にシェーン(ジェイク・レイシー)と縒りを戻すべきかどうかを相談したかったレイチェルは、ベリンダに無下に扱われて、時間切れとなり、仲直りをして帰途につく。救助願望満々のベリンダが、レイチェルに手を差し伸べられなかったが為に、レイチェルの人生を変えてしまったと知ったらどう反応するのか?是非、タイで対決して欲しいものだ。(c) Mario Lopez/HBO

更に、登板が確定しているベリンダの絡みでいくと、救いの手を差し伸べられなかったレイチェルにタイで罪滅ぼしをして欲しいものです。「たかが’提灯記事’ライターなど辞めてしまえ!あくせく働くのは貧乏人のすること!」と新郎シェーンに罵倒されて、キャリアか専業主婦かの二者択一を迫られたあのレイチェルのその後(=現況)に興味津々だからです。ダフネのようにならないで欲しい、でも現実的にはあり得る?等、シーズン1でもっとも共感できたレイチェルが気になって仕方がありません。ベリンダ同様、私も救助願望が強いからでしょうか?

シーズン2の衝撃的なエンディングをどう説明するのか?グレッグ(ジョン・グリース)がタニヤ殺害計画に関与しているのか?タニヤの遺産は誰の手に?タニヤの不思議ちゃんアシスタント、ポーシャ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)は、クエンティン(トム・ホランダー)の企みを見抜いた結果、追われる身となるのか?アルビー(アダム・ディマルコ)とポーシャの関係は?等々、次シーズン決着をつけるべき!の意見がサイバースペースを駆け巡っています。テーマが、東洋文化的価値観に基づいた死生観と自己観、スピリチュアリティと言う事なので、無駄死にで死んでも死に切れないタニヤが化けて出るのでしょうか?輪廻転生を信じている私には、大歓迎のテーマですから、シーズン1にも勝るとも劣らない「唸る」ほどの秀作にして欲しいと祈るのみです。

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