※「グッドガールズ：崖っぷちの女たち３」についてのネタバレがあります。
今年は、２月１６日から「グッドガールズ：崖っぷちの女たち３」が放送開始となり、５月３日に第１１話で終了しました。種明かしをすると、１２話の１シーンのみ撮影が残っている時点で、コロナウィルスのため撮影が中断されてしまったからです。局からは、シーズン３は１６話の確約をとっていたのですが、撮影を続行できなくなったため、泣く泣く１１話をフィナーレ回にせざるを得なくなってしまったのです。この尻切れトンボ感は、何だ！？と思ったのは、事実尻切れトンボだったからです。納得！！
ターナーFBI捜査官が射殺された現場に駆け付けたアニー（メイ・ウィットマン）、ルビー（レタ）、ベス（クリスティーナ・ヘンドリックス）の仲良しトリオ。ターナーとリオの間でどのような取引があったのかは、謎のままだ。
「グッドガールズ」は、２０１８年４月３日に地上波局としては過激な新作としてご紹介、２０１９年５月４日、フィナーレを迎える前にシーズン２の展開をご報告しました。シーズン２でさえ、モグラ退治ゲームを延々と続けた疲労感が募り、根っからの悪党ではないベス（クリスティーナ・ヘンドリックス）、アニー（メイ・ウィットマン）、ルビー（レタ）のトリオが、阿漕さのせめぎあいを続けざるを得ない泥沼から如何に這い出すのか？をドキドキ、ハラハラしながら観ました。疾っくの昔に崖っぷちから転がり落ちたトリオが、どん底で這いつくばりながら、それでも一抹の光を求めた「悪足掻き」シーズンでした。ベスの親分気質／姉御肌が見事に開花するかと思いきや、お山の大将リオ（マニー・モンタナ）のみでなく、不甲斐ない夫ディーン（マシュー・リラード）にまで芽を摘まれ、ベスは絶望／虚脱感の余り、完全に現実をシャットアウトしてしまいました。最早、元の普通の主婦に戻ることはできないとしても、私はリオが実は潜入捜査官だった的（＝善人だった）と言うドンデン返しを期待していたのですが. . .
リオ（マニー・モンタナ）は、ギャングの親玉に返り咲きすると、ベスの偽造工房の偵察にやって来る。やっと独立して、リオから解放されると安心した矢先だ。
「グッドガールズ３」は、もがけばもがく程、這い出せなくなる「蟻地獄」シーズンと言えるでしょう。この世から葬り去ったと思い仏心を出して、リオの彼女レイ（ジャッキー・クルーズ）に近付いたり、手取り早く大金を手にするには、偽札造りしかないと、印刷注文もできるペーパーアイテム専門店でパートを始めたベス。アニーはレストランでバレーサービス、ルビーはネイルサロンに勤めて、１ドル札のチップを集めることに専念。閉店後、アニーとルビーがドル札を持ち寄り、古い印刷機を使って小規模ながら偽札造りを始めます。試行錯誤の結果、やっと偽札探知器に引っ掛からない完璧な１０ドル札偽造に成功したものの、誰がマネーロンダリングをするのか？が次のハードルです。元締めとして君臨するだけの前科も無い、どすが利かない主婦トリオはチンピラや前科者に舐められて、ただ働きする羽目になります。そんな時に、死んだ筈のリオが戻ってきて、元の黙阿弥に！！！
１ドル札を化学薬品に浸し、インクを除去することから始まる偽造工程。ビニールプールを使っているのがおかしい。
ディーンは、ジェットバスやプールを販売するチェーン店で営業をしています。四六時中不審な呼び出しに応じて出かけて行くベスを見ると、ディーンは嫉妬に燃え、ベスは不甲斐ない夫への失望感が増して、夫婦仲の溝は広がりはせずとも、益々深くなって行きます。家事手伝いにやって来た姑ジュディス（ジェシカ・ウォルター）の嫌味や意地悪も、夫婦仲に水を差すばかり。但し、部屋の塗り替えや、ペットで誤魔化せる無邪気なボーランド家の子供達は、ベスのヤクザな商売に気づいていないようです。
リオが死んだと信じている間は、何とか縒りを戻せると信じていたディーン（マシュー・リラード）とベス。新しい職場では、ディーンが上司に言い寄られることになる。
シングルマザーのアニーは、無鉄砲、無責任、無計画をトランス息子ベン（イジー・スタナード）に諌められる毎日です。しかし、元夫グレッグ（ザック・ギルフォード）と妻ナンシー（サリー・プレスマン）に勧められて、アニーはセラピーに通い始め、自分探しの旅に出ます。コーエン先生（ロブ・ヒープス）は、愛情に飢えているアニーが男に救いを求める悪い癖を持っていると分析したものの、自分とは正反対の衝動的なアニーに惹かれ、アニーも親身になって話を聞いてくれるセラピストに恋心を抱くようになります。ひょんなことから、救急救命士の素質があると褒められたアニーは、一念発起して救急救命士になろうと勉強を始めますが、例によって例の如く途中で飽きてしまい、またもや汚い手を使って大学に入学しようと試みます。
仕事が終わった後、高卒認定試験を受けるための勉強を一緒にしてくれる優しいコーエン先生（ロブ・ヒープス）に恋心を抱くアニー。
ルビーには、常に正しい道を照らしてくれる北斗七星のような夫スタン（レノ・ウィルソン）がついていた筈ですが、警官を辞めてストリップ劇場の守衛になったスタンの生活は目も当てられません。スーパーに強盗に押し入ってまで娘サラ（リディア・ジュエット）の命を取り留めたものの、移植後の処方薬は目が飛び出るほど。夫婦でどんなにシャカリキになって働いても、とても追いつかない額です。両親が仕事（？）にかまけている間に、サラは次第にぐれ始め、「お母さんだけが好きなことしてるじゃない！」とルビーに反抗します。
敢えてスタン（レノ・ウィルソン）だけは悪の道から救おうと頑張るルビーですが、娘サラ（リディア・ジュエット）の軽蔑の眼差しが。
リオを抹殺するしか生き残る道はないと、仲良し三人組は、手を替え品を替え、必殺仕置人を探し当てるのですが、リオは健在のまま、シーズン３が終了。ターナー捜査官が狙撃された後、偽札偽造の本家本元を嗅ぎ分けて、ドネガンFBI捜査官（ローレン・ラプカス）が迫って来ています。如何に努力（？）しても、ここまで何も好転しないと、もうどうでも良くなってしまうのですが. . .これがまだまだ続くのでしょうか？
５月１５日、NBCはシーズン４更新を発表しました。先ずはシーズン３の残りの５話を撮影する予定と制作側は言いますが、いつになったら撮影を再開することができるのでしょう？ウィットマンは逸話監督デビューを果たせるのでしょうか？
ハリウッドなう by Meg ― 米テレビ業界の最新動向をお届け！☆記事一覧はこちら
◇Meg Mimura: ハリウッドを拠点に活動するテレビ評論家。Television Critics Association (TCA)会員として年2回開催される新番組内覧会に参加する唯一の日本人。Academy of Television Arts & Sciences (ATAS)会員でもある。アメリカ在住20余年。
