映画が好きな人・・・"> Vol. 20. 字幕翻訳者に向いてる人って、どんな人?| 海外ドラマ&セレブニュース TVグルーヴ
Twitter
YouTube
Instagram
Facebook
注目トピックス
GIMME A BREAK! アメリカンTV字幕翻訳者のひとりごと[連載終了]詳細

Vol. 20. 字幕翻訳者に向いてる人って、どんな人?

2001年8月3日
今日は、「字幕翻訳者に向いている人」ってどんな人なのか、私の短い経験の中から考えてみました。(^o^)丿

1: 映画が好きな人

これはもちろん必須の条件ですね。映画は、なるべくたくさん見ましょう。でも、いくら映画を見に行っても、憧れのスターの顔をうっとりと眺めてるだけじゃダメですよ! ストーリーの流れや、セリフのポイントをつかむコツが見につくように映画を見ることが大事です。

私は、短期間ですが字幕のチェッカーの仕事(誤字、脱字などがないか、字幕の流れが悪くないか等をチェックする仕事)をしていたので分かるのですが、「正しい訳文」を作ることばかり気を取られて「流れ」と「ポイント」をつかみきれない翻訳者の方が意外と多いんです。いくらセリフの訳がうまくても、「流れ」がないといい字幕になりませんし、ポイントをつかんでいないと作品を見終わっても全体の話が分からなくなっちゃいます。「この脚本は、何がいいたくて書かれたものなのか? 監督がこの映画で一番見せたかったシーンはどれなのか?」ということを常に考えながら映画を見るようにしましょう。

それから、もひとつ大事なこと。字幕制作会社の方も、やっぱり映画好きの方が多いんですよね。打ち合わせで顔を合わせたときに「最近、なんか映画見ました?」なんて世間話になることもあります。そんなとき、「あんまり映画見ないんですよね~~」などとは、口が裂けても言えません。逆に、担当者と映画の好みが合えばしめたもの! 「好感度アップで優先的にお仕事ゲット」の可能性もあります。(多分。)(^O^)

2:体力のある人

翻訳の仕事はずっと座っているだけなので、はた目には楽そうなんですが、ところがどっこい、体力勝負の世界です。特にフリーの場合は、締め切り近くには徹夜もあたりまえ。20代のころはすべて「気合い」で乗り切れるので、体力の心配なんかしなくても大丈夫ですが、30歳、35歳と年を重ねるごとに、体が全然言うことを聞かなくなってきます。いやー、お若い方々にはぜんぜんピンとこないと思いますが、これがホントに辛いんですよ…。私、先日36歳の誕生日を迎えたばかりなんですが、急激な体力低下にボーゼンとする今日このごろです。もっと鍛えなくっちゃ!(^^;;)

3:調べもの好き、雑学好きな人

「カブトガニの血液は青くて、重要な試験薬になる」「アラジンと魔法のランプのアラジンは、本当は中国人」「above the saltとは、上流階級を指す古い表現。昔、食卓の中心に塩入れを置き、その上手に位の高い人が座ったため」…これを読んで「へ~~~え!」と思った人、あなたは字幕翻訳者に向いているかもしれません。こういう、何の役にも立たない(と思われる)知識が、字幕の仕事をしていると雪だるま式に増えていきます。バックナンバーでも書きましたが、字幕翻訳は「調べ物地獄」です。この地獄を楽しめるような雑学好きな人でないと、ただのツライ労働です。

4:落ち込まない性格の人

自分の翻訳文について注意を受けたときに、いちいち落ち込んじゃう人は、絶対に翻訳者には向いてません。翻訳は数学のようにたった1つの「正解」があるものではないので、人によって何通りもの訳が生まれるのはあたりまえのことです。万が一、翻訳内容に対して注意を受けるようなことがあっても、動じてはいけません。その場は真摯なキモチで拝聴しつつも、「まっ、いっか、次から気をつけよっと!」と、明るく受け流せる性格が大事です。

…といいつつも、私自身も仕事を始めたころは、「この訳はおかしいですね」などと指摘を受けるたびに、ガ~~ン( ̄□ ̄;)!! と、自分の全人格を否定されたかのように落ち込んでいました。最近は、だいぶ図々しくなってきたので、ちょっとやそっとじゃ落ち込みませんが。

5:自己管理のできる人

在宅の仕事って、自分との戦いです。仕事するのも家事するのも遊ぶのもくつろぐのも全部同じ場所ですから、自分のキモチの切り替えだけでうまくスケジュールを管理しなくてはなりません。よく「通勤しなくていいなんて、うらやましい!」なんていわれますが、とんでもないです。私は、できることなら、カイシャに行きたーい! もっと翻訳でお金を儲けられるようになったら、どっかのアパートの部屋でも借りて「出勤」したいところですが、いまの月収ではとても無理です。残念!

スペースがなくなってしまったのでやめますが、ほかに思いつくのは:

・孤独に強く、忍耐力のある人
・営業力のある人
・数字に強い人
・細かい作業に強い人 などですね。

そうそう、

貯金のある人
っていうのも大事です。 非常に収入の不安定な職業ですので。 あれれ…でも、自分で書いておきながら、私自身にあてはまらない要素がすごく多いことに気づきました。これは、私にあてはまってます! と胸を張って言えるのは、1番の「映画好き」と3番の「調べ物好き」ぐらいかもしれません。(^^;;)

そっかー、どおりで日々苦労が絶えないわけですね~。 …って、感心している場合じゃありません。「翻訳者に向いている人」を目指して、今後もがんばります。(^o^)丿

お知らせ 
今月からFOXチャンネルで始まったコメディ「タイタス」の字幕を担当しています。 ちょっとおマヌケな主人公クリストファー・タイタスと、さらにおマヌケな弟デイ ブ、タイタス兄弟をいじめることを趣味とする酒癖と女癖の悪い父親ケンの、しょー もない親子ゲンカが続く30分。爆笑しながら翻訳してます。放送日は水曜夜12時、木 曜昼12時、夜6時、日曜夜11時。見てね!(^O^)