Twitter
YouTube
Instagram
Facebook
注目トピックス
GIMME A BREAK! アメリカンTV字幕翻訳者のひとりごと[連載終了]詳細

Vol. 28. 私の恩師(有名人編)

2002年3月22日
さて今回は、前回のエッセイの続きとして、「私の恩師」シリーズ第2弾をお送りします。今度は、私が勝手に「恩師」と仰ぐ有名人の先生方です。

*****

【恩師その3:岡枝慎二先生】

字幕界の大御所、岡枝慎二先生です。もちろん私は弟子でもなんでもなくて、何百人といる生徒のひとりとして翻訳学校で授業を受けただけですが、字幕の基礎はすべて先生に教えていただきました。

岡枝先生の授業では「Take Ten」という小テストが名物でした。これは、授業のまんなかで「10分間の休憩」として行われる、英語の常識問題のテストです。「星座をすべて英語で書け」「映画の原題の意味を正しく書け」「略語(“FBI”“ISO”など)の正しい表記と訳」、「聖書に出てくる言葉」、「軍隊用語」など、「うろ覚え系」、「そこはちょっとつっこまれたくない系」の質問が10問並び、生徒は毎回頭を抱えていました。

また、先生が授業で繰り返しおっしゃっていたのは、「古典と呼ばれる海外の小説を最低100冊は読みなさい」ということでした。シェイクスピア、ブロンテ姉妹、トルストイ、ユーゴーなどなど、(普段敬遠しがちな)文豪の作品の内容を読み、基礎知識として蓄えておくのが翻訳者のたしなみ、なのだそうです。実際に100冊読破した人には、先生からごほうびがもらえるシステムまでありました。え、私ですか? ええと、当時は40冊ぐらいで挫折してしまいました…。薄めの文庫本を選んで、一生懸命読んだんですけどね~。(^^;;) いまも、少しずつ読み続けています。

そして岡枝先生は、とても面倒見がよく、優しい先生でした。各学期の最後の授業で「返事は必ず書きますから、お手紙ください。私はネコが好きなので、ネコの葉書でくださいね」と、生徒全員に名刺を配ってくださるのです。「返事は必ず」というのはホントで、お手紙を出すと、すぐに心のこもった手書きの返信をいただけます。私は嬉しくて、図々しく何度も手紙を書いたので、先生の葉書をたくさん持っていて、宝物にしています。(いまも時々、現状報告などを送っています。)先生のお宅には、膨大なネコ葉書コレクションがあるそうです。

こうやって、振り返ってみると、私は英語の「楽しさ」や「英語圏の文化」を学ぶことの大切さを教えてくれる先生に恵まれていたようです。いくら英語の単語の意味をたくさん知ってても、言葉にまつわる文化的な背景を知らなければ、本当に理解したとは言えませんよね、だいたい丸暗記なんて楽しくないし、人間、楽しくないことは身につかないのです。(あ、これ、前にも書いたような気が。)

そして最後に、直接お会いしたこともないのにもかかわらず、私が一方的に「英会話の師」と仰ぐ先生方をご紹介します。

【恩師その4&5:アメリカの某有名DJと俳優】

・ケイシー・ケイサム(Casey Casum):昔FENを聞いていた人なら、知らない人はいないくらい有名なDJ。高校のとき、アメリカのポップスにはまった私は、彼の番組「American Top 40」を毎週熱心に聞き、ノートに手書きでチャートをつけていました。ケイシーの深くてあったかい声とはっきりした発音は、英語学習者にもわかりやすく、聞き取りに自信がつきました。

・マイケル・J・フォックス:言わずと知れた「ファミリー・タイズ」のアレックス君。彼は特別ハキハキした発音でもないのに、なぜかセリフが聞き取りやすいのです。(単に私の耳と「相性のよい」声だったのかもしれませんが。)「ファミリー・タイズ」は英語音声でも「わあ、分かる分かる!」と、とても嬉しく、自信につながったので、マイケル君にとっても感謝しています。

2回に渡ってご紹介してきましたが、以上が私の恩師の方々です。ホントに、たくさんのすばらしい先生に恵まれて、幸せな私です。こんな個人的なお話をして、果たしてみなさんのお役に立てるかどうか、分かりませんが…。すでに英語をマスターしている方々には、「私もこんな苦労をしたなあ…」なんて、昔を思い出していただければ嬉しいです。何かおもしろい話があったら、ぜひ掲示板でお聞かせくださいね。

こうやって振り返ってみると、英語はとにかく楽しく覚えるのが一番! という気がします。勉強の途中で、いろいろ壁にぶち当たって悩んでいる方も多いと思いますが、肩の力を抜いて、のんびりやることをオススメします。

それではまた! (^o^)丿