裁判そのものをエンターティメントとして<・・・"> Vol. 5. 正義に燃えるオバサン判事、 「ジャッジ・ジュディ」の裁判を見よう!| 海外ドラマ&セレブニュース TVグルーヴ
Twitter
YouTube
Instagram
Facebook
注目トピックス
GIMME A BREAK! アメリカンTV字幕翻訳者のひとりごと[連載終了]詳細

Vol. 5. 正義に燃えるオバサン判事、 「ジャッジ・ジュディ」の裁判を見よう!

2000年11月12日
「アメリカは訴訟社会である」というフレーズを、よく聞きますよね。アメリカの ケーブルテレビでは、裁判そのものをエンターティメントとして楽しむ番組がたくさんあります。「Court TV」っていう、実際の裁判を一日中放送してる放送局すら 存在するそうです。中でも人気(?)の高いO・Jシンプソンやクリントン大統領 の裁判の放映などは、なんとビデオ化までされていて、レンタル屋さんで借りられ るそうですよ。日本じゃ絶対に考えられないことですね~。

私が以前に字幕を担当させていただいたことのある「法廷ドキュメント/ジャッジ ・ジュディ」(2000年11月現在、月~土曜の毎日、フォックス・チャンネルにて放 送中)も、そんな裁判番組のひとつ。アメリカでは高視聴率を誇る大人気番組です 。主役はもちろん、ジュディ判事。現在58才の彼女は、ニューヨークの家庭裁判所で裁判官を10年もつとめてきた人物。私生活では、5人の子供と孫をかわいがるおばあちゃんだそうです。

テレビ番組とは言え、ジュディ判事は常に真剣そのもの。とにかく、おっかないのです。話しかけるときに「your honor(閣下)」を付け忘れたりしようものなら、 「裁判官に敬意を払わない人は、即退廷!」といきなりカミナリが落ちます。得意 のセリフは、「私はあなたの言うことなんか信じません」「だまらっしゃい!」 「そんな言い訳は通用しませんよ」「そんなロクでもない男とは、とっとと別れな さい」「今言ったことを、私の目を見て繰り返しなさい!」 ・・・ああ、こわ~ (^^;;)。

しかし・・・出演者の訴える内容のくだらなさときたら、あきれちゃいます。「ガレージの前にコンクリートを敷いたら、隣の家の犬が歩いてきて足跡を残した。工事をやり直したから、弁償してもらいたい」「半年だけ同棲して別れた彼が、月賦 で共同購入した冷蔵庫の残金を払わない」「婚約者が"君に婚約指輪を買いたいから 金を貸してくれ"と頼むので、貸してやった。もう別れたのにお金を返してくれない 」「ルームメイトに家賃の半額を渡したら、彼女が使いこんだ」とか、そんなのばっかり・・・。「友達に大金を貸したのに、返してくれない!」といきまく女性も 、ジュディ判事が「いくらですか?」と聞くと、「100ドルです!」と胸を張って答 えたりするので、困ったもんです。

まあ、きっと、弁護士さんを雇って本物の法廷で争ったら、とても高くついてしま うから、この番組に出てウサを晴らしているんでしょうけど、それにしても「こんなくだらないことでテレビに出ちゃうのは、ちょっと恥ずかしいかな~(^^;;)」なんて、思わないんですかねえ? そんな事件ばっかり、毎日毎日扱っているジュディの目は、ますますつり上がってゆくのでした。

彼女は、ベストセラーになった本も書いてます。そのタイトルも『Don’t Pee on My Leg and Tell Me It’s Raining(あんたが私の脚におしっこひっかけたくせに、" 雨が降ってるね"なんてトボけないで)』と『Beauty Fades, Dumb Forever(美しさは消える、バカは永遠に続く)』。うーん、すごすぎですね。(^^;;) 

後者は、なんと日本語訳も出ています。『女の馬鹿は死ぬまで直らない(ジャッジ ・ジュディ著、講談社刊)』というタイトルです。なんだか絶望的なタイトルです が、先日読んでみたら「女はバカ」と決めつけているのではなくて、「女はもっと 頭を使って、賢く生きなさい」という内容でした。翻訳版の装丁は、ちょっとオシ ャレっぽくて、仕事と恋に悩むOLが書店で手に取る女性向け自己啓発本、といった感じ。日本では、ジャッジ・ジュディがどんなオバサンか知らないで読んでいる人が大半だと思いますが、私自身は、番組でのジュディ判事のガミガミぶりを思い描きながら読んだので、普通の人の数倍は楽しめました。(^^;;)

さあ、あなたも、正義感に燃えるオバサン判事、ジャッジ・ジュディの法廷をのぞ いてみよう!(^o^)