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Vol. 2. アメリカの「いまどきの家族」を描く「キング・オブ・ザ・ヒル」はおもしろい!

2000年10月2日
今回は、私が字幕を担当しているアニメ番組「キング・オブ・ザ・ヒル」を紹介しちゃいます。「キング・オブ・ザ・ヒル」は、MTVで放送されたアニメ「ビーバス・アンド・バットヘッド」の作者マイク・ジャッジと、日本でも大人気の「シンプソズ」のプロデューサー、グレッグ・ダニエルズが制作しているアニメ番組です。

アニメといっても、内容は決して子供向きではありません。主人公はテキサスの田舎町に住む、ハンク・ヒルというビール腹のおじさん。ハンクのご近所さんの、これまたさえない中年のおっさん3人と、その家族たちの日常生活が、リアルに描かれています。「"サザエさん"のテキサス田舎バージョン」だと思っていただけると、分かりやすいかもしれません。ただ、サザエさんと違うのは、ブラック・ジョークが随所にちりばめられていることと、ドラッグ使用をはじめとする社会問題を、巧みなギャグに包みつつ、ちょっとマジメな姿勢で取り上げたりするところ。アメリカの「いまどきの家族」がよく分かります。

ただ、難点がひとつ。それはアニメの絵柄です。どういうことかというと・・・変にリアルなんです。もっとはっきり言うと、日本人的感覚からすると、ちょっとキモチ悪いのです。(^^;;) (「ビーバス・アンド・バットヘッド」と同じく、作者のマイク・ジャッジが描いています。)実は私も、このアニメが担当になった当初は、ぎょっとしてしまいました。でも、第1話を訳して以来、すっかりその面白さにハマっています。すでにエピソード数も80近くなった今は、まるで自分もヒル家のご近所さんになった気分で楽しんでいます。

この作品を翻訳していて感心するのは、シナリオの完成度の高さです。各回のストーリーにさまざまな伏線が隠されていて、見れば見るほどハマる仕掛けになっているのです。セリフにはムダが一切なく、登場人物の性格に合った言葉使いが研究されており、練り上げられたセリフばかりです。ひとつひとつのセリフの翻訳に、まったく気が抜けません。

また、苦労するのは、英語だけで通じるようなギャグが多いこと。ダブル・ミーニング(二重の意味)を持ったセリフなどもたくさん登場するので、本当に翻訳者泣かせです。字数の制限がある字幕ではとても説明しきれないので、もしできることなら、画面に注釈をつけたいくらい。でももちろん、そんなことは不可能なので、限られた字数内でなんとか視聴者の方々に楽しんでもらおうと、頭をひねる日々です。

この番組は、ゲストも豪華。メリル・ストリープ、デニス・ホッパー、キャスリーン・ターナー、サラ・ミシェル・ゲラー、バート・レイノルズ、ウィリー・ネルソン、チャック・マンジョーネ、などが過去に登場しています。

私が愛と思い入れをこめて字幕翻訳をさせていただいる番組、「キング・オブ・ザ・ヒル」は、現在(2000年9月)、CSまたはケーブルテレビで見られる「フォックス・チャンネル」にて放送中です。どうぞ、応援してくださいね!(^o^)