「ゴスペルの源流を訪ねる旅」のその後です。最初の目的地はメンフィス。ホ・・・"> Vol. 36. アメリカ南部の笑顔パワーにノックアウト!| 海外ドラマ&セレブニュース TVグルーヴ
Twitter
YouTube
Instagram
Facebook
注目トピックス
GIMME A BREAK! アメリカンTV字幕翻訳者のひとりごと[連載終了]詳細

Vol. 36. アメリカ南部の笑顔パワーにノックアウト!

2002年11月21日
行ってきました、憧れの南部へ! 前回のエッセイでお話しした「ゴスペルの源流を訪ねる旅」のその後です。最初の目的地はメンフィス。ホテルはメンフィス出身のスーパースター、エルヴィス・ブレスリーの邸宅の真ん前に位置する、その名も「ハートブレーク・ホテル」でした。もちろん、エルヴィスのお宅も拝見してきましたよ。感想は…「すんげー悪趣味!」。(^^;;) いやー、ホントにあきれました。どこもかしこもゴテゴテで、ピカピカで、鏡張りで、成金趣味で…。まるでラ○ホテルみたい。ちょっとエルヴィスが嫌いになってしまいました。

そのエルヴィスも、生前は敬虔なクリスチャンとして知られていましたが、アメリカの南部は「バイブルベルト」と呼ばれる国内で最も教会の多い地域。車の外を眺めていると、あるわあるわ…、あちこちに十字架のついた建物が点在しています。とにかくもう、そこらじゅう教会だらけなんです。

また、メンフィスはかのマーティン・ルーサー・キング牧師が狙撃された場所としても有名です。キング牧師が狙撃されたモーテルは、現在は公民権博物館として保存されており、ゴスペルの流行とも密接な関係がある公民権運動の歴史を詳しく知ることができるようになっています。内部は広く改造され、驚くほど大量の展示物と解説のパネルがぎっしりと並んでいました。どのくらいすごいかっていうと、なんとキング牧師を狙撃した犯人のパンツまで展示してあるくらい。これにはかなり面食らいました。

そして今回のツアーの目玉は、地元の教会でのゴスペルパフォーマンスの見学。私たちが訪問させていただいたのは、客席数4000席、100名の専属クワイアとフルオーケストラ付きという、とんでもないスケールの教会でした。まだ建てられて間もないというピカピカの礼拝堂にこそこそと(といっても日本人43名の大ツアーだったんですけどね)お邪魔すると、そこには巨大な空間を埋める、よそ行きの服で着飾ったアフリカ系アメリカ人の人、人、人。

しかも、この教会の礼拝の模様は毎週クリスチャン用チャンネルで全米に放送されているとか。そのため、巨大なクレーン付きのカメラが何台も設置され、正装(教会ですからね)のオペレーターが操作し、熱弁をふるう牧師さんの姿を追っています。その映像は、ロックコンサートさながら、壇上の両脇にある巨大スクリーンに映されるのでした。

私はこのゴージャスさにただ圧倒されて、コチコチに緊張しつつ、目を丸くして礼拝堂内を見回していました。すると突然、壇上の牧師さんがにこやかに「今日は日本からお客さんがいらっしゃいました。あちらに座っています」と私たちを紹介するではありませんか!その言葉と同時に空中からぬーっと迫りくるテレビカメラのクレーン!巨大スクリーンに大写しになる私たち!しかもそれは全米で生放送中! (後日ビデオも販売!)…それだけでもかなり気が動転しているのに、その次に起きた出来事に、私たちはさらに驚かされました。

なんと、満場の教会員の方々が一斉に立ち上がり、にこにこと笑顔を浮かべて私たちに向かって拍手をしてくれたのです。(誰も「立ち上がって拍手をどうぞ」なんて言ってないのに!)もう、日本人おのぼりさんツアー一行は大感激!地元の教会員の方々が正装で集う礼拝へ、普段着のまま図々しく押しかけた観光客の私たちに、あんなに暖かな歓迎の拍手をしてくださるなんて。そしてその笑顔ときたら、まるで子供のような、とびきりの笑顔なのです。最近はすっかりスレてしまい、「今世紀最大の感動作!」なんていう宣伝文句の映画を見るときには意地でも涙しない私でしたが、4000名の笑顔攻撃には素直に感動の涙が出ました。あの光景は、一生忘れらないと思います。

礼拝終了後、まだ興奮さめやらぬ私が「どうしてあんなに暖かい拍手で迎えてくれたんですか?」とツアコンの方に尋ねると、彼はにっこり笑ってひとこと。「あれがサザン・ホスピタリティですよ」。なるほど!人の心を暖かい気持ちにさせる、純真無垢の笑顔。それがサザン・ホスピタリティの正体だったのです。旅行中、あの笑顔には何度も出会いました。

メンフィスの次にはツアーと分かれてニューオリンズにも寄り、南部訛りも堪能し、おいしいものもいっぱい食べて、のんびりゆったり&ニコニコ、「ああ、南部っていいなあー!」と大感激の数日間を過ごし、最後にニューヨークに寄った私は、またびっくりすることになりました。ニューヨークの街を行く人の足の速いこと!そして、道行く人の無表情で怖いこと!店員も、ぶっきらぼうでおっかない顔です。ニューヨーク郊外に1年半ほど住んでいたことのある私は、ニューヨーカーの無愛想さには慣れているはずでしたが、それでもショックでした。

そして、ニューヨークではさらに驚くべき小事件に遭遇した私でしたが…、スペースが尽きてしまったので、この続きは次回に。それではまた!P.S.私たちがお邪魔した教会のHPは//www.bbless.org。文中に出てきた巨大な礼拝堂の写真が、//www.bbless.org/new.church.photos.htmにあります。よかったら見てみてくださいね。