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Vol.38 ユダヤ人は「ケチ」って、本当!?

2003年2月3日
先日、前回のエッセイでもご紹介した「ゲット・リアル」の字幕を翻訳中、一家のお父さんが「子供のころはハヌカをお祝いしたなあ…」と昔を懐かしむシーンが出てきました。お、ハヌカか、来たぞ来たぞ、と身構える私。ご存知の方も多いと思いますが、「ハヌカ」とはユダヤ教のお祭りのことです。アメリカのショービズ界にはユダヤ教の人が多いため、映画やテレビの中にユダヤ人のお祭りや習慣がよく出てきます。日本人にあまりなじみのない宗教ですから、誤訳しないように慎重に調べて訳さなければなりません。

代表的なユダヤ教のお祭りは上記の「ハヌカ」、「過越(すぎこ)しの祭り」、そして「バルミツバ」。「ハヌカ」はクリスマスシーズンの少し前に8日間をかけて行われるお祭りで、「メノラー」という燭台に立てられた8本のロウソクを1本ずつ毎日ともしてお祝いします。子供は「ドレイドル」というコマをまわして遊ぶのが習慣だとか。なんだか、日本のお正月みたいで、親近感を覚えますね。

「過越しの祭り」は英語では「Passover」。「pass over」という二つの単語と勘違いし、誤訳する人も多い言葉です。このお祭りでは、マッツァという、おせんべい風のパンを食べます。そして「バルミツバ」はユダヤ教の成人のお祭り。ユダヤ教では13歳で成人を迎えるのですが、日本の結婚披露宴みたいな豪華なパーティを開き、たくさんの人を招いて盛大にお祝いします。

ユダヤ人の性格は…「ケチ」ということになってます。その理由は、一説によると、キリスト教徒に迫害を受けていた昔、金融業に従事していた人が多いためだとか。シェイクスピアの「ヴェニスの商人」に出てくるユダヤ人のシャイロックも「人情のない金貸し」ということになっていて、なんともまあひどい描かれようです。現在のアメリカでも、ユダヤ系のお金持ちが多いので、やっかみもあるのでしょう。

ユダヤ人の多い州といえば、ニューヨーク。以前、私が短期間だけニューヨークにいたとき、ホームステイをさせていただいてたお宅には、ちょうど13歳になったばかりの男の子がいました。彼にはバルミツバの招待状がしょっちゅう来るのですが、それを見ると、お母さんが「ああ、また来ちゃったわ」と深いため息。

なぜかというと、バルミツバに招待された人は現金のご祝儀を包むのがお約束なのです。子供のパーティなのに、相場はなんと50~100ドル! クラスメイトが一斉に成人しちゃうわけですから、たまったもんじゃありません。100人近くも招待して、ごっそり大儲け…じゃなくて、たくさんのお祝いをいただく家庭も多いとか。しかも、ホームステイ先の男の子の話によると「オレはバルミツバで1万ドル儲けたぜ!」などと言っていばる子も多いらしく、「そりゃ、“ケチ”って陰口を叩かれるわけだわ…」とつい納得してしまった私でした。

そして、私の大好きなパン「ベーグル」はユダヤ人が作った食べ物。日本ではなかなかおいしいベーグルに出会えませんが、ニューヨークのベーグルは最高! でっかくて、ずっしりとしていて、中はもちもち。あのもちもち加減は、パンを焼く前に生地を1度「ゆでる」ことでできあがります。NYには、たくさんベーグル屋さんがあって迷っちゃいますが、ぐつぐつ煮立つ熱湯の中にドーナツ状のタネをぼんぼん放り込んでるお店を選ぶのが正解。日本のベーグルは中身がスカスカなのが多くて残念です。

去年10月の南部旅行のあと、ついでにニューヨークに出かけた私は、友人のおすすめのベーグル屋さんを訪ねました。そこは郊外の小さなショッピングセンターにある、観光客は絶対に来ないような小さなお店。私たちは日本人数人のグループで、どかどかと店内に入ると、ふざけて「日本からあなたのベーグル買いに来たのよ!」と店主のおじさんに言ってみました。すると彼は無表情のまま、突然、特大の紙袋をどん! と出し、ベーグルをどんどん袋に詰めはじめるではありませんか。

「な、なにごと?」と困惑しつつ、見守っていると、おじさんは袋がいっぱいになったところで、無表情のまま、こう一言。

「持ってけ。金はいらねえ」

…は? と聞き返した私たちでしたが、おじさんは何度聞き返しても「金はいらん」の1点張り。押し問答の末に、「いいから持ってけ!」と、江戸っ子なみの強情オヤジと化したユダヤ人店主に恐れをなした私たちは、「ありがとう!」とお礼を言い、そそくさとお店を出ました。友人の家に戻り、ベーグルの数を数えてみたら…その数、なんと25個! すごい! オヤジさん、太っ腹! もう、「ユダヤ人はケチ」なんて、2度と言いませーん! と誓った夜でした。お味のほうも、もちろん最高! タダだと思うとよけいにウマイのでした。…あ、ケチは私のほうですね。(^^;;)

それでは、先日アメリカ旅行のお土産の当選者発表です! だれも応募がなかったらどうしよう…? と心配していた「ワニジャーキー」も、数名応募してくださった方がいてホッとしました。ありがとうございます!

厳選なるアミダくじの結果、以下の方々が当選されました。私からメールを出しますので、住所を教えてくださいね。よろしくお願いします。

その1:「シンプソンズ」2003年度カレンダー: 我孫子市 小松原さん
その2:「サウスパーク」2003年度カレンダー: やまもとさん
その3:「The Osbournes」マグネット: 東京都 武山さん
その4:「ドーソンズ・クリーク」マグネット: 東京都 納谷さん
その5:アメリカ南部セット: 栃木県 狐塚さん

それではまた! (^o^)丿