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Vol. 27. 私の恩師(小学校~高校編)

2002年3月7日
みなさん、こんにちは! お正月が来たのが、ついこないだのような気がするのですが、あっという間に3月になってしまいましたね。3月といえば、卒業式のシーズン。今回は私に英語を教えてくれた「恩師」について、書いてみたいと思います。

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【恩師その1:うちの母親】

実は、私の実家では子供相手の英語塾を開いており、私は最初に母から英語を習いました。その教え方は少し変わっていて、イギリスの小学生が「国語」の授業で使っている絵入りの本を使い、ひたすら英文を音読させる、というものでした。そして、絵を見ながら状況を説明するのですが、単語の意味とか、訳はほとんど教えてくれません。教えるのは、生徒がうずうずしてきて、「先生、この単語の意味は何ですか?」と、聞いたときだけ。ときどき、不安になったお母さんから、「うちの子は、単語の意味が分からないと言ってるんですけど…」と電話がかかってくるのですが、うちの母親は涼しい顔で「小学生のうちは、それでいいんですよ。最初は繰り返し読むことが大事なんです。単語の意味は、なんとなく分かってきますから」なんて受け答えをしていました。

それからだいぶ大きくなって、ペーパーバック読破に初チャレンジしたときにも、母は「辞書を引かずに読み通してみなさい。分からない単語は繰り返し出てくれば自然と意味が分かるんだから。日本語を覚えたときだって、いちいち辞書なんか引かなかったでしょ?」と言っていました。そんなんでいいのかなあ…!? と、疑問に感じつつも、その通り実践してみると、不思議なことに、辞書を引かずに覚えた言葉って、いつまでも忘れないんです。どうやら私の頭は、初めて見た単語をすぐに辞書で引いちゃうと、そこで安心してさっさと忘れてしまうようです。

こんな母のおかげで、私は小さいころから自然に英語と接して、気楽に本を読めるようになったようです。文章全体から単語の意味を推察する力もつきましたから、暗記嫌いの私には一石二鳥でした。「英語の本を読むときは、いつも辞書を引きまくりで、うんざり。せっかくペーパーバックを買ったのに、途中で挫折してしまった」とお嘆きの方は、思い切って、辞書を閉じたまま1冊読み通してみることをオススメします。

また、エッセイ15でも書きましたが、マザー・グースの本を小学生の私に買い与えたのも、この母でした。わけのわからない詩を面白がって覚えたのが、いまの仕事ではすごく役立っています。

【恩師その2:高校時代の英語のF先生】

私が通った高校は、横浜市の端っこにあるK学院。ここで3年間英語を習ったのがF先生でした。私はとても大好きな先生だったのですが、一部の生徒からは不評を買っていました。なぜかというと、教科書そっちのけで英詩を読んだり、生徒に歌を歌わせたりという授業が多かったため、受験勉強や期末試験ばかりを気にする生徒には迷惑この上なかったのです。(^^;;)

また、F先生の授業では、毎回授業の最初に5分間の聞き取り練習がありました。先生が短い構文をいくつか読み上げ、指名された生徒が黒板に文を書き、その意味をみんなで考えるというものです。採点もしないし、成績や受験とは関係のない練習だったので、これまたえらく不評でした。おまけにF先生は、生徒が知らない難しい言葉でもお構いなしにどんどん読み上げてしまうのです。「先生、そんな単語習ってませーん!」といくら抗議してみても、「いいから、聞こえた通りに書いてみなさいよ」と諭されるだけ。最初のうちは、みんなめちゃくちゃな単語や文を書いていました。しかし毎日これを続けると、聞こえた言葉の綴りがなんとなくカンで分かるようになり、辞書を引くコツもわかってきます。そうすると、どんどん単語が書けるようになってくるのです。できなかったことができるようになると、人間楽しくなってきますから、英語がますますおもしろくなりました。

ちなみに…TVGrooveのスタッフのシオンさんも、同じ高校に通っていたので、私の後輩なのです。シオンさんとはネット上で知り合った仲なのですが、ある日その事実が発覚して、お互いにびっくりしてしまいました。いや~、ネットの世界も狭いですねえ…! (^○^)

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まだ紹介したい先生がいるのに、スペースが足りなくなってしまいました。次回、「私の恩師:有名人編」をお送りしますね。それではまた! (^o^)丿