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Vol.24 『ER』ウィーバー役ローラ・イネスの素顔

2006年8月22日
『ER 緊急救命室』のケリー・ウィーバーは、平気で人を傷つける反面、繊細で孤独な一面も持ち合わせています。無茶苦茶なシフトをERの医療スタッフに押し付け、その上文句ばかり言う彼女は血も涙もない人間のようですが、産みの母親を必死に探したり、自分が同性愛者であることを葛藤しながら受け入れていくなど、かなりヒューマンな面をさらけ出しているのです。今回は嫌われ者だけれど実は繊細な心を持つ医師ケリー・ウィーバーを見事に演じているローラ・イネスをご紹介します。

理解ある父親の言葉が後押し
ローラ・イネスは1959年8月16日にミシガン州ポンティアック生まれ。6人兄弟の末っ子として金型産業企業のエグゼクティブだった父と専業主婦だった母との間に生まれました。『ER』のケリー・ウィーバーは生まれつきの股関節異形成という設定で、杖をついて歩いています。演じるローラは実生活では健常者ですが、彼女はこれまで何度か病院に入院しています。最初の入院はなんと1歳で、誤飲のため気管切開をするという手術まで受けたのでした。

演劇好きだった父親は、家族をカナダのストラトフォード・フェスティバルに毎年のように連れていきました。シェークスピアの作品のほか,古典から現代劇までを上演する世界的に有名な、この演劇フェスティバルを見てローラは演劇に強い興味を示すようになります。

父親の「一番好きなことをすればよい」と言うアドバイスを受けて、ローラはノースウェスタン大学で演劇を専攻。ちなみに、親友メーガン・ムラリー(『ふたりは友達?ウィル&グレイス』)とは、この大学で出会ったのです。

ダリル・ハンナと共にデビュー
ローラの女優デビューは1978年。映画『The Fury』がデビュー作となります。ちなみにこの映画で女優ダリル・ハンナもデビューを果たしています。

大学卒業後はシカゴのグッドマン劇場など舞台を中心に女優活動をするようになり、評価が高まっていったのです。

その後、活動の場をテレビへと移したローラは『Another World』(1964~1999)『Brooklyn Bridge』(1991~1993)など人気のある番組にゲスト出演するようになります。そして、1991年米NBCネットワークのコメディドラマ『Wings』(1990~1997)でレギュラーの座を獲得し、このドラマを見た『ER』のクリエイティブ・チームが彼女をケリー・ウィーバー役に抜擢。シーズン3からレギュラーとして『ER』に出演するようになったのです。

ケリー・ウィーバーという役は嫌われ者ではあるものの、ローラは責任のあるポジションに就いている女性ならではの苦悩を熱演しており、働く女性達から強い支持を受けるようになります。また、職場でレズビアンであることをカミングアウトしたり、パートナーと共に子供を儲けて育てたりなど、同性愛者からも指示されるようになったのです。

ローラにとって、この役は当たり役となり、エミー賞にノミネートされるなど数多くの賞にノミネートされています。

婚約者が射殺
女優としてのキャリアは順調そのものですが、ローラは私生活でかなり辛い思いをしています。1980年代初め、最初の婚約者が駐車場で射殺されたのです。彼女はこの件で深く傷つき精神的に大きなダメージを受けたとのことで、未だに語るのを拒んでいます。

1987年、ローラは盲腸が破裂してしまい生死を彷徨います。倒れる前日に出会った俳優のデヴィッド・ブリスビンは、毎日のように入院している彼女を見舞い励ましたのだとか。そして、 これがきっかけで二人は交際を開始し、1998年結婚したのです。

結婚して2年後、ローラは妊娠しますが、妊娠はトラブル続きで、とうとう入院してしまうことになります。絶対安静を言い渡され3ヶ月間の辛い入院生活を送り、3ヶ月早くでしたが約1500グラムで無事に長男を出産しています。

夫婦は、2002年に中国人の赤ん坊を養子として迎え、1男1女の母親として幸せな生活を送っているとのことです。

監督業もこなすスーパーウーマン
ローラの才能は女優業だけに留まらず、有名ドラマの監督も手がけています。

『ER』でもいくつかのエピソードを監督していますし、米NBCネットワークの人気政治ドラマ『ザ・ホワイトハウス』の監督も手がけており、その中でもシーズン2第8話「自由を求めて(SHIBBOLETH)」は絶賛を浴び、2001年度エミー賞ドラマシリーズ部門監督賞にノミネートされたのです。

彼女は学習障害であることをカミングアウトしていますが、1995年に他界した父親の「一番好きなことをすればよい」という言葉に常に励まされて、精進しているのだとか。

163センチとERのキャストの中では小さいローラですが、大きな存在感がありますよね。これからも女優として監督として活躍することを期待したいです!

<次回は、ERのアジア系医師として活躍するデブ・チェンを演じるミン=ナ・ウェンです。お楽しみに!>