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Vol.54 「ダイナスティ」伝説の“エレガントな悪女”が登場!

2009年2月26日
アメリカでは打ち切りが決定してしまいましたが、2007年にABCネットワークで放送がスタートした「ダーティ・セクシー・マネー」というドラマがあります。豪華キャストが出演し話題を集めていましたが、もう一つ、話題をよんだことがありました。アメリカテレビ史上初めて、トランス・ジェンダーの女優(キャンディス・ケイン)がプライムタイム・ドラマにレギュラーとして出演したのです。

これまでにも、放送規制が緩い有料チャンネルのHBOチャンネルのドラマ「シックス・フィート・アンダー」などではゲイのラブシーンなども登場してきましたが、5大ネットワークTVでは規制が厳しく、トランス・ジェンダーを登場させラブシーンを演じさせることなど、一昔前では考えられなかったことでした。

プライムタイム・ドラマ「ダイナスティ」で、アメリカ・ネットワーク・テレビ史上初の「見かけは普通の男性だが、異性ではなく、男性を愛する」という、とてもシリアスなゲイ・キャラクターを演じたアル・コーレイは、最初は「多くの人へメッセージをおくることができたら」「役者としてのチャレンジになる」と役を引き受けたものの、ネットワークの意向で「ラブシーンもなし」「ボディ・タッチすらだめ」となり、役に深みがないことを不満に思うようになったといいます。そして、次第に「プライムタイムでゲイを演じること」の限界を感じるようになったそうです。

今回も語り継がれる名作「ダイナスティ」を、ご紹介いたします!

悪女を選んだ女性は・・・・・・
ミスキャストは絶対に許されないという雰囲気の中、ブレイクの元妻アレクシス役を演じきれる女優を探し続けていた「ダイナスティ」のクリエーターたち。しかし、すでに断られたエリザベス・テイラー、ソフィア・ローレンを超える女優になかなかたどり着くことができません。

そんな中、製作総指揮者アーロン・スペリングの妻キャンディ・スペリングが、70年代にアーロンが手掛けた大ヒットドラマ「Fantasy Island」に1話だけゲスト出演したことがあるイギリス人女優ジョーン・コリンズはどうかと提言。キャンディいわく「悪女を演じきれるエレガントな女性は彼女しかいない」と直観したそうです。

オーディションのオファーを受けたジョーンは当時48歳。エリザベス・テイラーに匹敵する女優として20世紀FOXと契約を結んだものの、ハリウッド女優としてなかなかブレイクできないジレンマを抱え続けてきた彼女は、悪女役であるにもかかわらず迷うことなくオファーに飛びついたのでした。

静まり返った撮影所
アーロンたち制作スタッフは、ジョーンが適役だと思ったそうですが、ドラマを放送するネットワークは「年をとりすぎていないか」としぶい顔をしました。しかし、時間が迫っていたこと、そして何よりアーロンが、ジョーンが持つ雰囲気がアレクシスぴったりだと感じたため、ジョーンで撮影をすることに決めたのです。

皆が見守るなか、シーズン1最終話から続く裁判所のシーン撮影が行なわれました。

勢いよく裁判所のドアを開け、法廷に入るジョーン。その瞬間、皆が息をのみ撮影所は静まり返ったそうです。悪女アレクシスになりきり、エレガントでプライドの高い女性を演じるジョーンに、ネットワークも大満足。アレクシスの登場に、多くの視聴者がひきつけられ、シーズン2の視聴率はうなぎ登りとなったのでした。

特に、リンダ・エバンス演じるブレイクの妻クリルタル・キャリントンとジョーン演じるアレクシスが、初めて取っ組み合いの喧嘩をしたシーンは、一気に視聴率がアップしたのだそうです。

もう一人の美女が登場
ドラマのハイライトともなったクリスタルとアレクシスのキャット・ファイト・シーン。少々やりすぎではと思うほど、熱を入れて撮影をしたそうです。クリスタル役のリンダは「女優として登りつめよう」という野望はなく、仕事があるだけで幸せというタイプ。アレクシス役のジョーンは、本人も認めるほどの野望の持ち主で、そんな2人の考え方もファイティング・シーンに現れており、面白かったとクリエーターたちは振り返っています。

そして、もう一人。ドラマの視聴者が大喜びするようなキャラクターがシーズン2から登場しました。「パトカー★アダム30」ですにブレイクしていたヘザー・ロックリアを、クリスタルの姪サミー役として登場させたのです。タイプの異なる個性派女優が勢ぞろいした「ダイナスティ」に全米の女性が夢中になり、「テレビのジャンクフード」と称されるようになりました。

しかし、その影でゲイ・キャラクター、スティーヴンを演じていたアル・コーレイは、プライムタイムのドラマでゲイ役を演じる限界を感じていました。ストレートだっただけに、プライベートでも世間が「ゲイじゃないか」と見る、そんな目にも耐えられなくなったそうです。プロデューサーやクリエーターと何度も衝突したアルは、とうとう降板する道を選んでしまったのでした。

<次回も「ダイナスティ」の撮影秘話をご紹介いたします。お楽しみに!>