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海外ドラマ・スター True Story~海ドラ・セレブの人生はドラマティック!~詳細

Vol.61 「サダム 野望の帝国」ショーレ・アグダシュルー

2009年9月21日
アメリカ現地時間9月20日に開催されるアメリカTV界最大のイベント、エミー賞。今年で61回目を迎える同賞には、毎年クオリティの高い作品/役者がノミネートされ、名誉ある賞を誰が獲得するのか、世界中で話題となります。

ドラマやコメディ、アニメ、リアリティなど、シリーズ部門が注目されがちなエミー賞ですが、ミニシリーズやTV映画部門も毎年有名ハリウッド俳優や女優の名がノミネートに並ぶことから注目度が高いものとなっています。

拘束時間が長いTVシリーズに出演するのを嫌がる銀幕役者は少なくなく、大物スターになればなるほど、その傾向が強くなるとされています。しかし、ミニシリーズやTV映画だと撮影時間が短く終わり、その上、エミー賞の「主演男優/女優賞」というタイトルを手に入れられるチャンスも出てくるので、時々、えっ!というような大物スターが出演するのです(「エンジェルズ・イン・アメリカ」のアル・パチーノやメリル・ストリープなど)。

今年もシャーリー・マクレーン(「CoCo Chanel」)、シガニー・ウィーバー(「Prayers For Bobbys」)らがノミネートされていますが、その中でも最も注目されるべき役者はHBOとBBCが共同制作した話題作「サダム 野望の帝国(House Of Saddam)」でフセイン元大統領の第一夫人を演じ、助演女優賞にノミネートされたショーレ・アグダシュルーではないでしょうか。

今回はショーレ・アグダシュルーと、彼女が出演したサダム・フセイン元イラク大統領の半生を描いた衝撃作「サダム 野望の帝国」をご紹介します!


ハリウッドに認められた初の中東出身役者

ショーレ・アグダシュルーはイラン出身の女優で今年で57歳になります。彼女は舞台女優として20歳のときにキャリアをスタートさせ、イラン国内で活躍。25歳で出演した映画での演技が評価され、モスクワ映画祭を受賞するなど、イランの演劇界をになう次世代女優として注目されるようになりました。

しかし、27歳のときイラン革命が起こり、ショーレは渡英。イギリスでも舞台を中心に女優として活躍し、35歳のときハリウッドでの成功を目指し渡米します。しかし、多くの外国人役者がぶつかる「英語に中東訛りがあるため、決まったタイプの脇役しかまわってこない」という壁にぶつかり、長い間低迷してしまいました。

しかし、2003年にイランから亡命した家族を描いた映画「砂と霧の家」に出演したことで、実力派女優として認められるようになり、アカデミー賞の助演女優賞にノミネート。中東出身の役者として初めてアカデミー賞にノミネートされたこともあり、その後、ショーレはTVドラマや映画にひっぱりだことなったのです。

今回の「サダム 野望の帝国」でサダムの第一夫人、サージダ・ハイラッラーをオファーされたとき、ショーレは「権力の虜になり理性を失うサダム・フセインを、どうにかして現実に引き戻そうとした女性」「夫の心を掴もうと必死な、とても孤独な女性」なだと興味を持ち、ぜひ演じたいと受けたそうです。監督や共演者たちはショーレのことを「力強い演技をする、存在感のある素晴らしい女優」だとべた褒め。エミー賞を受賞する確立は高いとみられています。


波紋をよんだ「サダム 野望の帝国」

「史上最悪の独裁者」「暴虐と弾圧の王」「世界の恐怖」と称されてきたサダム・フセイン元イラク大統領。彼がどのようにして独裁者となっていったのか、何を考え、どんな生活をおくり、なぜ世界から恐れられるような人物になったのか、に興味を持った人物がいました。脚本家でプロデューサーのアレックス・ホームズです。

アレックスは、フセインの「真の姿」に近づこうと、実際にサダムと接触したことがある人物にかたっぱしからインタビューを申し込み、取材を重ねました。そして、フセインがどのように狂気の道へと暴走していったのかをドラマ脚本化することに成功したのです。

彼を「悪」の象徴だと言う人がほとんどですが、実は「カリスマ」「ヒーロー」だという人も一部では存在します。ドラマは、インタビューで得た情報に基づき制作されており、これまで表に出てくることのなかった「人間っぽい」フセインに重点をおき、「どちらが側」にもつかないように制作され、そのため「事実と異なる部分が多い」「美化しすぎだ」とも非難されました。

しかし、ドラマとしては一流であることは確かであり、「難しい」テーマの作品でありながらも英国映画テレビ芸術アカデミー賞や王立テレビ協会賞、モンテカルロ・TV・フェスティバル賞などにノミネートされ、高い評価を得たのです。


「ソプラノズ 哀愁のマフィア」+「ダラス」=「サダム 野望の帝国」

プロデューサーのアレックスも「フセインの内部組織と、マフィアなどの犯罪組織はとても似ていると思う」と語っていますが、「サダム 野望の帝国」を見て「ソプラノズ 哀愁のマフィア」を連想する人は多く、また贅を尽くした煌びやかな生活は「ダラス」を思い出させます。

撮影は「イラクに最も似たランドスケープ」であるチュネジアで行われました。フセインの豪邸は、チュネジアに実際に存在する豪華ホテルを使用しています。また、出演者は、ただ単に「似ている」だけでなく、中東の歴史を理解できる「演技派俳優」であることにウェイトを置き選考されました。

エジプトやトルコ、イラン出身の役者も出演していますが、ショーレのほかに、サダム・フセイン役にはイスラエル出身の実力派俳優イガル・ノール、ウダイ・フセイン役にはイギリスのTVドラマなどで活躍しているイタリア出身で、トルコ語、フランス語、スペイン語が話せるフィリップ・アルディッティがキャスティング。

出演者の中には、サダムに対する敵対心を持つ者も少なくありませんでしたが、キャラクターの人間性に集中し、体当たりの演技を披露することによりドラマを成功へと導いたのです。

日本でもスター・チャンネル ハイビジョン[BS10ch]で、9月26日と27日の夜9時から放送される「サダム 野望の帝国」。見ごたえのある本作品は、今秋日本で放送されるミニシリーズの中でも一押しの作品です!

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